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働くシニアの「年金の心得」 収入が多いと減額も!? 受給時期の繰り下げで最大142%増額

2017年08月13日 21時29分11秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19656190U7A800C1PPE000?channel=DF280120166591&style=1

働くシニアの「年金の心得」 収入が多いと減額も!?
受給時期の繰り下げで最大142%増額
2017/8/13

PIXTA
 定年と同時に仕事を辞める人は今や少数派。60歳以降も働き続けるシニアは今後も増えそうだ。豊かな老後を送るには長く働いて収入を得るのが効果的だが、公的年金の知識も欠かせない。働き方などによって年金の額が変わる仕組みがあるからだ。働くシニアに必要な年金心得とは――。

 「定年前の会社員らを対象にした年金セミナーでは『在職老齢年金』について必ず話す。説明すると驚く人もいる」と社会保険労務士の望月厚子氏は苦笑する。在職老齢年金という名称からは、働き続けると特別にもらえる年金などを連想しがちだが、実はその逆。頑張って働くとかえって年金額が減る仕組みだ。

■65歳を境に違い

 制度は65歳を境に計算方法が異なる(図A)。基準となる額は65歳未満で28万円、65歳以上で46万円。平均の「月収」と、通常であれば受け取れる「年金月額」の合計が、基準額を上回ると、超過額の半分が年金額から差し引かれる。65歳以上だと基準額が高いので、企業役員のように収入がかなり多くないと減額の対象にはならない。


 注意したいのは65歳未満で「特別支給の老齢厚生年金」をもらう人たちだ。「特別支給の月額は平均で約10万円、大企業に勤めていれば12万~13万円ほど。もし月収が15万~20万円あれば基準に引っ掛かってしまう」(社会保険労務士の森本幸人氏)。計算上、年金月額が例えば10万円の人は月収が38万円を超えると年金額はゼロになる。

 減った分は「将来、完全にリタイアした後にまとめて支給されると勘違いしている人もいるが、戻ってくることはない」(望月氏)。特別支給の開始年齢は段階的に引き上げられており、今年4月以降の定年者では男性が63歳に上昇。女性は現状60歳で、キャリアが長く高収入の人は減額の影響を受けやすいだろう。最初の心得としてこの減額の仕組みを挙げたい。

 在職老齢年金は、60歳以降も働いて保険料を納付する厚生年金加入者を対象とする制度だ。目先の損得にこだわるなら、厚生年金に加入せずに働く手もある。だが「多く働けば月々の収入は増えるし、辞めた後に受け取る年金も増える。長生きしたときの経済的リスクへの防御策になる」と森本氏は指摘する。

 厚生年金への加入条件は昨年10月に緩和された。労働時間が週20時間以上、賃金が月8.8万円以上などと基準が下がった。選ぶ仕事や会社によるが、60歳以降も厚生年金に入って働く機会は拡大している。そこで改めて、シニアが厚生年金に入って働く利点を知っておこう(図B)。



 厚生年金への加入は最長で70歳まで可能。加入期間が長ければその分、退職後にもらう年金額は増える。ただ基礎年金(国民年金)部分は原則60歳で加入期間が終わる。このため、仮にそれまでと同じ収入で働いても「年金の増え方は緩やかになる」(望月氏)。

 「障害厚生年金」の適用対象でいられる点も大きい。65歳までの加入期間中に初めて受診した病気やケガで所定の障害を負った場合、基礎部分(障害基礎年金)に上乗せして支給される。基礎部分では対象外である比較的軽度の障害も年金支給の対象としている。

 厚生年金に入れば自動的にその会社の健康保険に加入することになり、そのメリットも見逃せない。ケガや病気で欠勤して給料の支払いがなくなった場合は傷病手当金を受け取れる。60歳以降も、健康保険料と介護保険料は会社が原則半分を負担してくれる。扶養家族がいればその分は保険料ゼロで医療が受けられる。大企業の健保組合なら法定外の給付も手厚い。

 働くシニアがもうひとつ知っておきたい年金の仕組みが「繰り上げ」と「繰り下げ」。年金をもらい始める年齢を通常の65歳から早めたり、遅らせたりする仕組みだ(図C)。早めれば年金額は減り、遅くすれば年金額は増える。

■繰り上げ生涯影響

 長く働く人が選択肢としたいのが繰り下げのほうだ。もらい始めを66歳以降、1カ月遅らせるごとに年金額は0.7%ずつ増える。最も遅い70歳を選べば、年金額は通常より42%多くなる。給与収入があって当面、年金に頼らずに済むのなら、将来の年金額を増やすことを優先してもいい。



 85歳、90歳と長生きしたときの生活資金に余裕が生まれるからだ。70歳からの受給開始を選んだ場合、81歳よりも長生きすれば、受取額の合計が65歳開始を上回って有利になる計算だ。

 ただ、繰り下げを選ぶ人の比率はわずか1%(老齢基礎年金の受給者、15年度)。反対に繰り上げを選んだ人は13%になる。もらえるものは早くもらいたいと考える人が多いようだ。仮に60歳まで早めると年金額は30%少なくなる。

 繰り上げの場合、減った年金額は生涯続くことを忘れてはならない。「繰り上げた人の中には65歳になるともとの年金額に戻ると勘違いしている人もいる」(森本氏)。65歳になる前に障害を負っても、障害基礎年金をもらえないといったデメリットもある。

 「繰り上げで後悔する人は少なくない。定年後の資金計画は80歳ぐらいまでしか考えない人が多いが、男性は90歳、女性は95歳ぐらいまで考えたい」とファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子氏は話す。特に男性よりも長生きが目立つ女性にとっては繰り下げのメリットは大きそう。

 あらかじめ年金が増減する仕組みを心得ておけば、それに応じた選択が可能になる。

(土井誠司)

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