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株式価値向上へ、「巨鯨」GPIF動く 高橋理事長が新たな進路語る

2016年09月18日 15時35分54秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07387350X10C16A9K14800/?dg=1

株式価値向上へ、「巨鯨」GPIF動く
高橋理事長が新たな進路語る
(1/3ページ)2016/9/18 5:30日本経済新聞 電子版

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が動き出す。市場への関与を強め、株式の価値向上に乗り出す──。高橋則広理事長は日経ヴェリタスのインタビューで、こう語った。世界最大級の機関投資家が掲げた新たな針路を追う。

■企業との直接対話で活性化

「企業との対話は長期的には年金受給者の利益につながる」

高橋則広氏(たかはし・のりひろ)1980年東大法卒、農林中央金庫入庫。民間で最大規模の機関投資家である農中では債券投資部長や開発投資部長を歴任し、運用畑を歩んできた。2008年のリーマン・ショックの後処理でも評価が高く、農中専務理事やJA三井リース社長を経て4月から現職。58歳。

 「対話の新たなルートを整備する」。東京都港区のGPIFでのインタビューで高橋理事長は、企業の投資家向け広報(IR)担当の役員らと話し合いの場を新たに設けたことを明らかにし、狙いをこう表現した。

 「クジラ」とも称されるGPIFは日本株を30兆円保有し、大半の上場企業の実質的な株主だ。だが、企業との対話は資金を委託し、企業の直接的な株主となっている運用会社に任せてきた。ところが、1月の企業へのアンケートで、実質的な株主のGPIFとの話し合いを求める声が多く、直接対話に踏み切ったという。

 その試みはまず9月1日、GPIFの会議室で行われた。高橋理事長は、オムロン(証券コード6645)や日産自動車(7201)など主要企業8社のIR担当幹部と向き合った。

 企業側からは「短期の視点のファンドマネジャーが多い」などの声が寄せられた。企業が伝えたい内容とアナリストなどがほしい情報のズレも目立つ。高橋理事長は「意見交換の場にするつもりだったが、内容を他の企業や運用会社にも知ってほしい。議事要旨も公開したい」と表明した。

 GPIFは3月、機関投資家に投資先の経営監視の強化などを求める行動原則「スチュワードシップ・コード」を推進するための新組織を設立しており、7月時点で7人の人員をさらに拡大する方針だ。活動を強化する背景には「海外年金はより積極的に企業と対話しているという危機意識がある」。

 企業との直接対話に踏み切った一方で、運用会社にも対話の強化を促す。「委託する運用会社の評価手法のなかで、対話力の項目の比重をかなり引き上げ、評価項目も少しずつ開示していく」という。対話をしない運用会社は資金を預けてもらえないことになる。「運用するマネジャーやアナリストのモチベーションのアップになってくれればありがたい」と期待を示す。

 GPIFの投資は、東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動した運用成績を目指すパッシブ運用が8割を占め、長期に保有し続ける。運用利回りを高めるには株式市場全体の活性化が欠かせない。GPIFが、企業と市場の対話を促すことで、日本の市場の底上げにつなげる狙いがある。

 課題も残る。パッシブ運用は信託報酬が安く、運用会社は対話に時間や労力を割けないとの見方も強い。高橋理事長は「本当にパッシブ運用で対話をすると負担になるのか、対話のやり方はあるのではないか」と疑問を投げかける。パッシブでは長期に保有するため、企業の大きな変化だけチェックするなど「工夫の余地はある」とみる。

 海外の年金基金など長期投資家との会合「グローバル・アセットオーナーフォーラム」も設立する。「フォーラムでは日本企業にも先進的な考え方が多いことを伝えたい」と話す。海外の投資家には日本企業は閉鎖的との見方がなお残るため、企業との直接対話を通じて得た内容を海外投資家にも伝えていく方針だ。

■ESG投資比率先の裾野広げる

「この先20年、ESGを意識した企業が評価されるとみて投資する」

 GPIFは「環境(Environmental)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」という「ESG」を重視する企業への投資を増やす。指数会社にESGに優れた企業を組み込んだ株式指数の開発を促しており、提案された指数について、9月中に投資に適切かどうかを検証する方針だ。

GPIF理事長の高橋則広氏

 高橋理事長は「新インデックスの効果はすぐには期待できない」としながらも「長期間続ける。後戻りはできない」と力を込める。ESG投資が運用利回りを引き上げられるかどうかは見方が分かれているが、自ら市場を作りに行く姿勢だ。

 GPIFは1年前、ESGに配慮した投資を投資家に促す国連の責任投資原則(PRI)に署名した。「国民に長い目で見て投資しているということを、わかってもらいたい」との狙いがあった。環境や社会に配慮した企業活動を行い、企業統治が安定している企業ほど中長期で成長が期待できる。

 もっとも、ESG投資とリターンの関係についての実証的な検証は乏しく「運用のパフォーマンスが高まるという研究は見たことがない」と話す。国内のESG投資の資産規模は足元で約65兆円と6年前の6.5倍に膨らんだが、多くが既存の運用戦略とESG評価を組み合わせた「統合戦略」だ。

 「インデックスの作成において、どこに軸足を置くかは悩んでいる」。9月に有効な指数が出てこなければ、「もう少しじっくり考えた方がいい場合は慎重にやりたい」と先送りも選択肢に入れる。「5~10年後に、なぜこのような指数にしたのか説明ができるものにしなければならない」という。

 一方で「ESG投資では株価の下落リスクが軽減されるとの期待はある」。東芝(6502)や三菱自動車(7211)による企業不祥事と株価下落が問題となったが、不祥事のリスクがある企業はESG投資にもとづく銘柄組み入れから外されるためだ。過去には不祥事による株価下落がGPIFの運用に影響を与えた事例がある。独フォルクスワーゲンが排ガス規制不正で株価が急落したため、GPIFは同社に対する集団訴訟に参加している。

 長期の視点を重視するのは、企業統治改革などの効果はすぐには出ないとみていることもある。昨年6月に企業統治指針が導入されたが、「企業価値の向上に結びつくまでには5~10年かかる」とみる。ESGにもとづく新インデックスへの投資は「運用全体からみれば相対的には少額だが、100億円でも運用会社に与える影響は小さくはないだろう」と分析。企業と投資家に持続的な成長という視点を与える「呼び水のようなもの」と期待する。

■損失5兆円でも長期投資を継続

「株式は危険だとも言われるが、日本企業の成長力を楽観的にみている」

 2016年4~6月期には国内外の株価の下落が響き、基金全体で5兆2342億円(3.88%)の損失となった。累積の収益額も約40兆1900億円に減った。14年10月の基本ポートフォリオの策定で株式の比率を高めたことに批判もあるが、高橋理事長はあくまで配当収入を軸にした長期投資を続けると強調する。「日本の成長の原動力は企業。1ドル=70円台の円高も金融危機も乗り越えてきた」と中長期の成長やコーポレートガバナンスの改善に期待している。

 ポートフォリオ変更に伴う日本株の購入は一巡した。日経ヴェリタスの推定では4~6月期は新たに買っていない。6月末の比率は21%と基本ポートフォリオの25%を下回るが、追加購入を見送っている。「無理に近づけようと思えば可能だが、機械的にはやらない。市場の見通しを考えて対応していく」と、株価が下がればすぐに買うわけではないと強調した。

 日本株は14~15年度に合計6兆3185億円を買い、市場では「クジラ」と評された。2年での購入額は日銀の4兆7000億円は上回るが、上場企業の自社株買い8兆7000億円は下回る。「言われているほど株価へのインパクトがあったとは思っていない」との見方だ。2014年10月の新ポートフォリオの発表以前から債券を売り、株式に振り替えており「急激にシフトしたとの印象をもたれているのは残念だ」と語った。

> 日銀の上場投資信託(ETF)の買いが株価に大きく影響していることには「日銀の金融政策全体の効果を考慮した上で資産配分の戦略を決めたい」と語った。日銀の買いによって株価の下落リスクが小さくなるなら「企業には株価下落を恐れずに積極的な経営をしてほしい」との思いも明かした。

■代替資産、拡大は慎重に

「合議制に移行しても自家運用のハードルは高い」

 GPIFの運用で今後の焦点の1つはオルタナティブ(代替資産)の拡大だ。基本ポートフォリオでは、資産の最大5%まで投資枠を設けており、15年度末では0.05%にとどまる比率を高めていく方針だ。

 現在は、不動産、インフラ、プライベート・エクイティの3つの資産についてコンサルティング会社と市場調査を進め、どう投資していくかを検討している最中だ。「何年でどのくらいの投資をするか決めて動くのではなく、投資機会があれば決定していく」との姿勢だ。

 世界的な金融緩和でオルタナティブの市場にも資金が流入しており、「すべての資産価格が高い」との見解を示した。「まずは経験を積むのが大事だが、抑えめに進めていく」と急激には増やさない方針を示した。

 もう1つの中長期的な課題が株式の自主運用だ。

 年初の厚生労働省社会保障審議会の年金部会では反対意見が多く、見送りとなった。一方で、理事長に権限が集中する現行体制から合議制の経営委員会が最高意思決定機関となる組織改革を控える。ガバナンスの変更で、政治介入の懸念を払拭し、自主運用への道が開ける可能性もある。

 経団連など企業側にGPIFが直接の株主になることを警戒する声が出ていることについては「理屈よりも漠然とした不安が先行している。合議制となってもアレルギーはなくならない」とみている。自主運用よりも、資金を委託する運用会社との関係を洗練するなかで、リターンを高めていくことに注力すると強調した。企業との対話のなかで、警戒感が薄らぐことに期待を示した。

 運用の委託先をどう選ぶかは、マネジャー本位で決めるように変えていく可能性も示唆した。15年度末ではアクティブ型が21%、パッシブ型が79%を占める。今後の委託先の選定は「運用スタイル別で資金配分するのではなく、良いマネジャーがいれば任せるのが国民目線にもかなう」という。

 海外の運用会社への委託が増えている裏側には、企業との対話力や、運用力などで国内勢が選ばれにくかった面があるとされる。特に「対話に後ろ向きでは困る」とくぎを刺した。

川路洋助、松崎雄典が担当した
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