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「巨人」に挑む大手法律事務所、グローバル化急ぐ

2017年03月15日 19時03分45秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO14037630U7A310C1000000/?n_cid=DSTPCS001

「巨人」に挑む大手法律事務所、グローバル化急ぐ
(1/3ページ)2017/3/15 6:30日本経済新聞 電子版

 日本の大手法律事務所が、本格的なグローバル化に舵(かじ)を切っている。日本の事務所としては初となる海外事務所買収や、海外経験の長い企業経験者の起用など、動きが急だ。日系事務所の国際化は、海外M&A(合併・買収)に挑む日本企業にもメリットだが、米英の一流事務所ははるかに巨大だ。アジアのハブ(中軸)を目指す日本勢の戦略を探る。

森・浜田松本法律事務所は昨年12月、タイの大手事務所を買収した(調印式でタイ側代表と握手する河井聡弁護士(左)ら)

■タイ大手を買収、弁護士50人規模

 日本の「五大事務所」の一角を占める森・浜田松本法律事務所(東京・千代田)は昨年末、タイの首都バンコクにある大手法律事務所「チャンドラー・アンド・トンエック」を買収した。

 今年1月4日に発足した新生「チャンドラーMHM」は、タイ人と日本人を合わせて50人超の弁護士が所属、タイの法律事務所の中で弁護士数トップ3をうかがう存在となった。

 10年間に及ぶ友好関係を築いてきた両事務所が統合に動いたのは近年、タイにおける日系企業の存在感が高まったことが背景だ。特に自動車関連企業は東南アジア全域をカバーする統括法人をタイに置き、域内のM&Aや資金調達の意思決定をすることが多い。森・浜田松本でマネージング・パートナー(企業の代表取締役に相当)を務める松村祐土弁護士は「タイに進出した日系企業の期待に応えるとともに、現地企業を顧客とする仕事も増やしたい」と意気込む。

 そうはいっても買収後の運営は手探りだ。「森・浜田松本はタイ人弁護士をリストラしたり、顧客との打ち合わせなど重要な仕事を日本側で独占したりするのではないか」。現在はバンコクに駐在し、チャンドラーMHMの経営を担う河井聡弁護士は交渉中、タイ側の幹部弁護士からこんな疑問を突きつけられた。チャンドラーはタイの老舗事務所で、経営手法は「家族的」だったという。そこに森・浜田松本は河井氏を含む日本人弁護士8人を送り込んだ。河井氏は、タイ人弁護士の間の席に日本人弁護士が座り、仕事の機会も平等に提供するよう努めるなど、融和に心を砕く。

■アジアのハブに

 タイの法律事務所でトップは米国系のベーカー&マッケンジーだ。日本にも進出済みの同事務所がタイで擁する弁護士は150人以上とされる。松村氏は「タイ人弁護士に日本側が持つM&A契約作成の最新ノウハウを伝授したり、日本式の研修を実施したりして能力向上を図る。弁護士数も1~2年でさらに増やし、早期に同国内トップを狙える位置に持っていきたい」と話す。

 森・浜田松本はタイ以外にも、シンガポールなど東南アジアに計4つの自前の拠点を持ち、ミャンマーでは弁護士数で現地大手の一角に食い込みつつあるという。「ゆくゆくはアジアトップの法律事務所を目指す。そのためにもタイでの買収を必ず成功させなければならない」(松村氏)。タイはあくまで初手にすぎない。見据えるのは「アジアで顧客企業に法務需要が生じた際、真っ先に相談を受けるハブ法律事務所になる」ことなのだ。

■実力と名声、米英勢と差

 日本で企業法務を主に手掛ける大手法律事務所は「五大事務所」と総称される。最大手の西村あさひ法律事務所(東京・千代田)の弁護士数は約570人、2位のアンダーソン・毛利・友常法律事務所(同・港)は約420人だ。森・浜田松本はそれに次ぐ約370人で、長島・大野・常松法律事務所(同・千代田)とTMI総合法律事務所(同・港)もほぼ同じ規模だ。1990年代までは100人を超す事務所はなかったのだから、この20年間で合従連衡を繰り返し、大きく成長したといえる。しかし米英勢には、規模や国際展開でまだまだ遠く及ばない。例えばベーカー&マッケンジーや米英系DLAパイパーは、いずれも40カ国以上に4000人規模の弁護士を擁する。

 さらに米英勢と差があるのは「実力」と「名声」だ。ロンドンに本拠を置くクリフォードチャンス、リンクレーターズ、スローター&メイなど英国の五大事務所は俗に「マジックサークル」と呼ばれ、別格だ。ニューヨークに本拠を置くサリバン&クロムウェル、シンプソン・サッチャー&バートレット、スキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロムなどと共に、グローバル企業が大型M&Aや資金調達の際に頼るのが彼らだ。

 日本の大手企業でも、大型M&Aや資金調達、クラスアクション(集合訴訟)対策といった国際法務の重大局面では、これら米英の国際ハブ事務所を使う。まずハブ事務所が大きな仕事を取り、その差配によって、国別の比較的小さな仕事が各国の提携先事務所に下りてくる。これが今の「企業法務の国際秩序」だ。グローバル企業、少なくとも日本の大手企業の法務のハブになれる存在に脱皮することは、日本の大手事務所に共通する目標だ。

昨年12月に西村あさひ法律事務所の経営陣に加わった宮坂彰一氏は、ファーストリテイリング執行役員の経歴を持つ

■プロ経営者を招請

 「法律事務所をイノベーティブ(革新的)に経営するには、弁護士ではないプロ経営者の知恵も借りるべきだ」。西村あさひは昨年12月、ファーストリテイリング執行役員だった宮坂彰一氏を経営陣の一角を務める「シニア・エグゼクティヴ・ダイレクター」に招いた。そのきっかけになったのは、執行パートナー(代表取締役に相当)を務める保坂雅樹弁護士が2013年秋、訪問先のニューヨークで、ある一流法律事務所のベテラン弁護士から聞いたこんな言葉だったという。

 保坂氏は11年に執行パートナーに就任。事務所経営を学ぶため、実力と名声の高いニューヨークやロンドンの事務所を行脚していた。日本も欧米も通常、法律事務所の運営を仕切るのは「パートナー」と呼ばれる上級弁護士たちだ。事務所に出資し、稼いだお金を事務所に納める。事務所の経費やアソシエイトと呼ばれる若手弁護士、その他のスタッフたちを養うのはパートナーだけに、その権限は絶大だ。

 多くのパートナーは「弁護士でない者が事務所運営に口を出すなど言語道断。その必要もない」という感覚を持つ。しかし保坂氏は「本当にそれでいいのか」と自問していた。そもそも弁護士の力量は自己研さんや顧客からの信頼によって決まる面が大きい。自分の売り上げを大きくすることや顧客との関係を築くことは上手だが、企業経営者のように長期的な戦略を立てたり、組織を効率的に運営したりできるとは限らない。疑問が確信に変わったのがニューヨークでの会話だった。

■拡張路線、組織運営が課題に

 西村あさひは10年ごろから日本企業のアジア事業の拡大に合わせ、国内外で大胆に拠点を増やしてきた。東京だけだった拠点は今や14カ所に及び、海外では中国やタイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、ミャンマーなどに進出。昨年12月には中東・アラブ首長国連邦のドバイにも日本勢初の駐在員事務所を設けた。一方で、現地に派遣した弁護士への支援が十分にできないなど組織運営の限界も見え始めていた。

 そんな中で出会ったのが宮坂氏だった。同氏はファーストリテイリンググループで東南アジアなど海外事業を担い、特にオーストラリアでは現地法人の初代最高経営責任者(CEO)として、1000人を超えるスタッフと共に基盤を確立した。あるとき宮坂氏は「西村あさひの経営理念って何ですか」と保坂氏に尋ねた。「法の支配を社会に広げるという大きな理念があるが、同時に自分はイノベーティブな組織にしたい。目標はニューヨークの一流事務所です」との答えに「自分の経験は法律事務所の経営にも生かせるかもしれない」と感じたという。

 宮坂氏は今、西村あさひの国内外の拠点の訪問を重ねる。「弁護士も、それ以外のスタッフも優秀な人ばかり。ただ急拡大に伴って組織や人員の再配置が必要な面もある。グローバル化につれて、経営陣も多国籍になるのが自然だと思う」。宮坂氏の国際感覚は、西村あさひの経営にさらなる変化を生じさせそうだ。

今年1月、TMI総合法律事務所の最高執行責任者(COO)に就任した元リクルート執行役員、井上智生氏

■悲願の米東海岸進出へ

 「スケールが小さ過ぎる。もう1回考え直せ」。今年2月上旬、TMIの代表、田中克郎弁護士は、部下の弁護士から提出された「米英進出プラン」を却下した。TMIは年内をめどに、国際ハブ事務所の本場である米国東海岸と英国へのオフィス設置を目指している。米英への本格進出は国内法律事務所の悲願だ。「日本勢が数人で地味に活動しても存在感は出せない。10年後を見据えたスケール感がほしい」と田中氏は言い切る。

 田中氏は90年、所属していた西村真田法律事務所(現・西村あさひ)から同僚と共に独立し、TMIを創業した。同氏が発案する積極果敢な経営方針により、弁護士10人でスタートした事務所は五大事務所の一角に食い込むまで成長した。しかし創業者の起業家精神や経営マインドを受け継ぐ後継者を育てることは難題だった。

 そこで田中氏が切り札として起用したのがリクルート(現リクルートホールディングス)の法務部長や執行役員を歴任した井上智生氏だ。井上氏は今年1月1日付でTMIの最高執行責任者(COO)に就任。期待されるのは、起業家精神を発揚するとともに、リクルートが得意とする人材育成・組織運営のノウハウを注ぎ込むことだ。井上氏も「弁護士が自らを高めようとする努力はすごい。そこに起業家精神、組織として個人を支援する仕組みを植え付けていきたい」と手応えを感じている。米英進出、そしてその先へ、田中氏と井上氏の思いは一致している。

■日本企業にメリット

 日本発の国際ハブ法律事務所の実現は、弁護士たちにとってだけの夢ではない。日本企業のメリットも期待できる。米英の一流事務所の弁護士報酬は高く、日本の大手の2倍以上ともいわれる。日本の事務所が国際法務を担えれば、利用する企業はコストを抑えられる。それだけではない。日本の経営者や法務責任者が日本語で弁護士に相談できるようになれば、国際法務のコントロールは格段にしやすくなるはずだ。東芝をはじめ、海外子会社の統治で苦しむ日本企業は多く、海外のM&Aや大型投資で損失を抱え込む事例も少なくない。大手法律事務所の国際化の成否は、顧客である企業にどれだけ貢献できるかにかかっている。

(編集委員 渋谷高弘)
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