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AIでデザイン可能か、発想支援に期待も市場性に疑問 「先端技術×デザイン」が示す未来(1)

2016年10月12日 14時50分30秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07671020X20C16A9000000/?dg=1

AIでデザイン可能か、発想支援に期待も市場性に疑問
「先端技術×デザイン」が示す未来(1)
(1/2ページ)2016/10/12 6:30日本経済新聞 電子版

日経デザイン

 急速に進歩してきたAI(人工知能)で今後、デザイナーの仕事はなくなってしまうのか──。デザイン業界からはそんな心配の声も聞こえてくる。日本IBMでAIシステムを担当する中野雅由氏と、デザイナーの発想法を論理化したデザイン・シンキング(デザイン思考)に詳しい東大i.schoolの横田幸信氏に、AIの可能性について聞いた。

【インタビュー:日本IBM】 市場性からデザイン領域には広がりにくい

──ズバリ聞きますが、AIで今後、グラフィックやプロダクトといったデザインをシステムで自動的に創りだすことができるようになるのでしょうか。

中野雅由 (なかの・まさよし) 日本IBM 「IBM Watson」マーケティング・マネジャー。外資系ベンダーにてデータベース製品を中心としたサーバー製品のエンジニア、営業、マーケティングに従事。サーバーOS、データベース、グループウエア、Eコマース関連のテクノロジーおよびマーケティングに精通し、製品戦略に深く関わってきた経歴を持つ

中野 最近のAI技術の急激な進展で、そうしたAIに関する「誤解」はよく聞きます。当社もAI技術を活用したシステム「IBM Watson(ワトソン)」を発表しましたが、デザインの領域にAIが広がることはないでしょう。

 確かに大学などの研究機関では、さまざまな開発が行われていると思いますが、AIを実際に販売しているIT(情報技術)企業の立場で言えば、AIでデザインやクリエーティブの分野を置き換えるといったマーケットは想定していませんし、規模を考えると、そうした市場を開拓するつもりもありません。

 確かに最近のAIでは、システムが自ら学習する機能が大幅に向上したことで、今まで難しかったことが容易にできるようになりました。しかしAIを利用する分野の中心は、ビッグデータなどと呼ばれるような大量のデータからより深くパターンなどを分析することです。人間の考えだけでは見つけることができない「法則」を、AIではすぐに発見することができるようになりました。しかも数値データだけでなく、自然言語処理や画像認識の技術で、文字や画像までも認識できるようになってきたので、利用分野の幅が大きく広がります。

 例えば、大量の医学論文の文字を入力し、その内容をAIで認識させれば、論文に書いてある互いの関連性を見つけて、新たな法則を発見することもできます。人間だけでは大量の論文を読むことも新たな法則を発見することにも、多くの時間がかかるでしょうし、実際には無理な話です。それをAIは短時間に処理しますから、実際に新薬の開発につながった導入事例も出てきています。

 大量のデータをより深く分析するにしても闇雲に探索するのではなく、方向性やルールなどを事前に設定しておくと、今までより効率的に分析でき、これまで見えなかった法則をより短時間でつかめるようになります。当社は企業向けの情報システム市場を狙っていますから、大量のデータからの発見・探索や意思決定支援につながるような分野をAIでも開拓していきます。

■判断するのは人間

──たとえAIで画像を認識できても、大量のデータや方向性、ルールなどの定義が事前に必要となると、デザインの領域にAIを適用するときには、既存のデザインを何らかのデータで表現したり、「良いデザインとは何か」を事前に定義しておかなくてはいけませんね。

中野 デザインとは違いますが、何かを創り出すという意味で、こんな例を紹介しましょう。当社はAIの一般向けサイトとして、「シェフ・ワトソン」と呼ぶレシピ開発システムを試験的にオープンしています。

「シェフ・ワトソン」の画面。食材などを入力すると、AIでさまざまなレシピを提案してくれるが、その背景には調理・加工でそれぞれの食材の成分がどう変わるかなど、大量のデータ分析がある

 これは食材を入力すると、AIが自動的に判断してさまざまなレシピを提供してくれるものです。一見すると単純なシステムのように思えますが、その裏には調理・加工によってそれぞれの食材が持っている成分がどう変化するか、さらに人間が「おいしい」と感じるにはどんな成分が必要かといったデータまで覚え込ませています。

 だからこそ食材を入力すると、既存のレシピだけでなく、今まで人間が思いつかないような組み合わせを探索・発見して、意外なレシピも示してくれる。レシピの場合は、おいしさを成分上から事前に定義できるから、発見・探索が容易になります。おいしいをゴールとするなら、やはりおいしいとは何かが事前に分からないとレシピを提示できません。いくら意外な組み合わせでも、おいしくないレシピでは意味がありませんからね。

■デザインに「正解」はあるか

──そうなると、デザインやクリエーティブの内容を定義できて、人間が思いもつかない作品をAIで創り出しても、それが「正解」と判断されれば、デザイナーやクリエーターは2つ目の作品を創りにくくなるのではないでしょうか。定義することで、むしろ創造性の進化が止まってしまいかねません。

中野 重要なのは、個人がそれぞれの内容をどう判断するかでしょう。シェフ・ワトソンで提案したレシピの内容をどう思うかは、個人の味覚で異なる部分もあります。成分上の定義では「おいしい」とされても、人間にはそれぞれ好き嫌いがありますから、いろいろな考え方が出てくるでしょう。たくさんのレシピを提示するなど、AIで意思決定を支援することはできるようになりました。しかし、どれを選択し、どう判断するかといった点はやはり人間の役割になるのです。

【インタビュー:東京大学i.school】 イノベーションの発想支援には使えそう

──デザイン・シンキングでは、優秀なデザイナーの考え方を論理的に表現することで、非デザイナーでも新しい発想を生み出せるようにすることが狙いです。「論理的」という観点で言うと、AIとデザイン・シンキングは親和性が良いので、将来はAIを利用したデザイン・シンキングが可能になるのではないでしょうか。極論すると、AIでイノベーションにつながるような独創的な発想ができるようになるかもしれません。

横田幸信(よこた・ゆきのぶ)東京大学i.school ディレクター/i.labマネージングディレクター。九州大学理学部物理学科卒業、九州大学大学院理学府凝縮系科学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程中途退学。修士課程修了後は、野村総合研究所にて事業戦略や組織改革、ブランド戦略などの経営コンサルティング業務に携わり、その後、東京大学先端科学技術研究センター技術補佐員および博士課程を経て現職

横田 実は私も同様なことを考えています。「人工創造性」とでも呼ぶのでしょうか。AIのアーティフィシャル・インテリジェンスならぬ、アーティフィシャル・クリエーティビティーと言うならば、さしずめACになるのでしょうか。

 東京大学i.schoolではイノベーションを起こすにはどうすればいいか、どのように発想すればいいのかなどを研究しています。また東大の学内ではAIの研究が非常に盛んで、私は他大学も含めて多くのAI研究者と交流があります。そうした人たちと議論すると、これは私の個人的な意見ですが、今後はAIでイノベーションにつながるような独創的な発想をすることが可能になるのではないか、とにらんでいます。

 人間がなかなか思いつかない関連性を発見することがAIでは可能なので、今までにない新しい考え方が生まれやすいでしょう。画期的なイノベーションを生み出すのはもっと先のことかもしれませんが、発想を支援するツールとしてAIを利用することは、そう難しくないと思います。

 例えば、今までにない新しい商品やサービスを考え出したとしても、マーケットの大きさが不透明なために、せっかくの開発がストップしてしまうケースは少なくありません。

 しかし、そうした場合でも、思い切って販売してみたら思いかけず非常に売れてしまい、新たなマーケットを生み出せた、という企業があります。そうした過去の事例のデータをAIに入力させ、マーケットを分析させることで、人間が今まで気付かなかった市場規模の算出のロジックを導き出せるようになるかもしれません。

 今までは人間が無理矢理にはじき出した市場規模が、かなり高い確率でAIで予測できるようになると、たとえ今までにない新しい商品やサービスの開発でもスムーズに運ぶはずです。

■アイデア出しはAIで

──今までにない市場規模の算出にAIを使うのはユニークな発想ですね。データを扱える分野ならすぐにAIと結び付きそうですね。

横田 ほかにもウェブサイトの画面をAIによるデータ分析の結果から、最適に作り直すこともできるでしょう。ウェブデザイナーの仕事のやり方も今後は大きく変わるかもしれません。

──確かに発想のための支援ツールとして使うなら、すぐにでもAIの役割が期待できそうですね。

横田 今までにない新しい市場規模の算出だけでなく、さまざまなアイデアをどんどん出していくときにもAIが利用できます。

 デザイン・シンキングでもそうですが、イノベーションを生み出すための過程には、さまざまなアイデアをたくさん出していくプロセスがあります。現状を正確に認識し、問題を明確にした上で、メンバーが数多くの意見を出していく。このとき、多くの時間をかけて闇雲にアイデアを出していくのは、あまり効率的ではありません。

 実はアイデア出しのロジックがあり、考える上でのポイントがあります。「連想法」とも言えるもので、これに沿って考えれば次々とアイデアを出せるようになる。

 こうしたアイデア出しの過程では、人間が考えるよりも、AIでどんどん発想した方が、むしろ漏れがなくていいかもしれません。ロジックが分かっている以上、アイデアの「発散」は機械に任せればいいのです。

■人間の意思をいかに反映させるか

──アイデア出しの過程がデザイン・シンキングでは最もクリエーティブな部分だと思っていましたが、むしろ論理的に考える手法があるのですね。アイデアを出すだけなら、AIに向きそうです。

横田 その通りです。でも問題はたくさんのアイデアをいかに絞り込むかの方にあります。どういったロジックでアイデアをふるいにかけるか、何を持って判断するか、といった「収束」の部分はまだ人間が考える必要がある。

 実はそこがイノベーションを生み出すときに最も創造的なところではないか、と私は見ています。

 新しいものをクリエーションしていくためには、人間はどんな目的意識を持ち、何をどう判断していくかが重要です。それによって結果も大きく異なるに違いありません。この部分はそれぞれの人間の意思が入るところですから、AIに任せるのではなく、人間自身が行う必要があるでしょう。

AIの特徴とデザイン・シンキングの手法を組み合わせることで、創造性を効率的に生み出せる時代が来るかもしれない

(日経デザイン 大山繁樹)

[日経デザイン2016年8月号の記事を再構成]
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