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経済の苦境、偽ニュース生む マケドニア中部の街

2017年05月13日 21時22分08秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO16360960T10C17A5I00000/?dg=1&nf=1

経済の苦境、偽ニュース生む マケドニア中部の街
2017/5/13 20:27日本経済新聞 電子版

 バルカン半島の小国マケドニア中部に事実と反するフェイク(偽)ニュース発信の拠点として名をはせる街がある。2016年の米大統領選の際には100以上も乱立した政治サイトが偽情報を拡散し、トランプ米大統領の誕生に一役買ったとされる。若者らが量産したでっち上げの現場では何が起きていたのか。

 首都スコピエから南へ50キロ、山間の高速道路を抜けると、人口5万人のベレスという街がある。4月中旬に訪れると、数人が重い口を開いた。

 「もうけ話があるぞ」。失業中のニコラさん(19、仮名)は16年8月、友人に持ちかけられた。米政治に関する英語ウエブサイトを立ち上げ、サイトに掲載される広告のアクセスを稼げば多額の報酬を得られる――。こんな噂を耳にはしていたが、実際に友人からサイトと多額の口座への入金を見せられた。友人に140ユーロ(約1万7千円)支払って指導を受け、政治ニュースサイトを始めた。

 仕組みはこうだ。サイトを立ち上げ、グーグルの広告配信サービスに登録する。訪問者が広告をクリックするごとに報酬が得られ、指定した銀行口座に振り込まれる。フェイスブックなど交流サイト(SNS)を通じて記事のシェア数を増やせばサイトへのアクセスを膨らませる。

 ニコラさんは片言の英語しか話さない。毎日4、5時間ネットを検索。グーグルの翻訳機能を使って既存メディアや偽ニュースのサイトの記事を読みあさり、受けそうなものをコピーしたり、自分で捏造(ねつぞう)したりして、毎日10本程度を掲載した。

 「ヒラリー・クリントン氏、大統領選から脱落、重病が発覚」「ビル・クリントン元大統領は昔、麻薬の売人だった」。こんなでっち上げへのアクセスは数万に達した。「トランプ氏は同性愛者」といった偽ニュースも掲載したが、トランプ氏に肩入れした記事の方がアクセス数が多かった。

 サイトのファン数は9万に膨らみ、広告収入で一時月550ユーロ稼いだ。マケドニアの平均月収は360ユーロ、ベレスは200ユーロ程度とされる。「トランプのためではなく、生きていくために、お金のためにやった。善悪なんて関係ない」とニコラさんはいう。「お金をくれるグーグルも、偽ニュースを喜んで読むのもアメリカ人じゃないか」

 ニコラさんは16年末にサイトをやめた。大統領選が終わると収入が急減したことにくわえ「少し怖くなった」からだ。いまは趣味でサッカーのファンサイトを運営しているだけで、収入源はない。「次の大統領選を待っている」。ニコラさんは最後にこうもらした。

■ネット翻訳切り貼り、本業の10倍稼ぐ

 「それで、いくらくれるんだ」。アツェさん(28、仮名)はカフェに腰を下ろすなり取材に応える見返りを要求してきた。偽ニュースの温床と非難されるグーグルやフェイスブックが対策に乗り出し、運営するサイトのうち1つが最近、グーグルの広告配信から遮断されたのだという。「記者と話すやつはこの街にはもういないぞ」。お金は払えないと断ったうえで、粘って取材を続けた。

 健康食品のサイトで広告収入を得ていたアツェさんは「トランプのニュースがもうかる」と聞き、政治サイトに乗り換えた。ニコラさんと同様に英語能力は低い。毎日8時間はパソコンの前に座り、ネットの翻訳機能を使って読んだ記事のコピーと貼り付けを繰り返した。複数のサイトを通じた大統領選時の収入は本業の10倍、数千ドルに上ったという。

 自分のサイトがばれるのを恐れ、詳細は一切話そうとしない。アクセスの多かった記事の例をしつこく聞くとやっと1つ明かした。「メルケル独首相はトランプ氏に借金がある」。意味を尋ねると、「知るか。どこかで見つけた記事をコピーしただけだ」との答え。大統領選後の収入は大きく減ったものの、本業よりはなお多く、今も3つのサイトを続ける。トランプ氏の夫人や娘のゴシップなど「トランプネタはまだ稼げる」。

 別の人物にベレス発だと教えてもらったフェイスブックのページにはこんな見出しの記事が並ぶ。「トランプ大統領の暗殺を計画した民主党議員2人逮捕」「最高裁、オバマケアを憲法違反と宣言」「(女優の)ニコール・キッドマン、トランプ氏は歴史上最高の大統領と語る」。クリックすると広告が多く掲載されたサイトにつながる。

■大規模な組織の陰、米は調査団派遣

 なぜベレスで偽政治サイトが広がったのか。「トランプの勝利を助けた男」。こんな名刺を持つミルコ・チェセルコスキー氏に首都スコピエで会った。自らネット広告で富を築いた同氏はその手法を教える学校を12年に開き、高校生を含むベレスの若者を多数指導したと明かす。

 「偽情報を作る指導をしたことはない」と強調しながら、教え子の何人かは大金を稼ぎ、高級車を買ったり海外に家を購入したりしたと誇らしげに語る。こうした「成功者」は数人の偽ニュースの作成者や英語への翻訳家を雇うほどで、グーグル以外の広告システムも開拓して多くのサイトを運営しているという。「マケドニアの若者にはネット広告ビジネスくらいしか成功する機会はない」とチェセルコスキーさんはいう。

 偽ニュースの背景に経済の苦境があるのは確かだ。マケドニアの失業率は20%超、若年層は50%近くに達する。かつて産業都市だったベレスはユーゴスラビア崩壊とともに工場が相次ぎ閉鎖されて廃れた。産業を興したユーゴ指導者にちなみ、かつては「チトーの街」と呼ばれたベレスを、今は「トランプの街」と皮肉る声もある。

 大規模な組織の影もちらつく。「事情通」とされる20代の男性に接触した。当初は取材を拒まれたが、男性の友人に仲介してもらうと、「“大物”が2人いる」と明かした。組織に雇われて数カ月偽ニュースを作成したというこの男性はいう。「金銭目当てで親トランプの偽ニュース業が自然に広がったというような、単純な話ではない」。

 チェセルコスキー氏によると、米当局は1月、トランプ陣営の関与を疑いベレスに調査団を派遣、教え子も調査対象になった。米大統領選にはロシアの介入が疑われ、フランスなど欧州各国の選挙でも偽ニュースの流布が問題になった。

 トランプ氏は9日、米大統領選へのロシアの介入疑惑の捜査を指揮していたコミー米連邦捜査局(FBI)長官を解任した。トランプ氏は自身に不都合な報道を「偽ニュース」と断じ、自ら事実に反する情報を拡散する。偽ニュースの裏に広がる闇は深い。

(ベレスで、古川英治)
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