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[FT]資本主義に危機 租税回避、公正な競争阻害

2016年09月18日 23時28分02秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H1C_X10C16A9TZN000/?n_cid=DF150220104320

[FT]資本主義に危機 租税回避、公正な競争阻害
(1/2ページ)2016/9/18 3:30

Financial Times
 資本主義は時折、強欲な資本家の手から救い出す必要がある。制約がなければ企業は独占に走り、技術革新を起こした企業には利益が集中する。創造的破壊をもたらしたと威張る企業家も、時がたつと既得権益を守り、そこに安住しようとする。資本主義は競争を強いれば機能するが、成功した資本家は競争を好まないものだ。

■国同士が競う税率引き下げ

イラスト Ingram Pinn/Financial Times

 このことをよく理解していたのが第26代米大統領セオドア・ルーズベルトだ。彼は20世紀初頭、カルテルや独占を禁じるシャーマン法を使い、大企業の独占的な利潤追求行為を規制した。以来、時により効果に差はあったが、独禁法は消費者の利益を守り、大企業も競争下でなら利益をあげることが正当化された。

 ところが、グローバル化が進み、同時に法の抜け穴を突く手法が登場して、状況は一変する。各国の大企業が国境を越えて活動するようになり、すべての企業を同じ条件で公正に競争させることが難しくなった。グローバル化で租税回避の機会が急増する一方、各国が税率引き下げ競争を繰り広げる中、市場における競争を維持しようする政治家の意志はくじかれてきた。政治家は、巨大多国籍企業やその下で手厚い資金をもらって活動するロビイストたちを相手に規制に乗り出すことには及び腰だ。

 こうした企業への課税は強化したいところだが、税率を上げ過ぎて投資や雇用が海外に移ってしまっては元も子もない。結局、そのしわ寄せを被るのは消費者と一般の納税者だ。市場経済も敗者といえる。

 そこへ登場したのが欧州委員会だ。欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会で競争政策を担うベステアー委員は8月末、アイルランド政府に対し、アップルに過去に与えた税優遇分130億ユーロ(約1兆4900億円)を追徴課税するよう命じて話題になった。ちなみに、同社は税務当局の手が及ばないオフショアに、推定2150億ドル(約21兆9000億円)もの資産を保有している。

 ベステアー氏は数年に及ぶ調査の結果、アイルランドによるアップルへの複雑な税優遇措置は、特定企業だけを優遇することを禁じたEUの「国家補助規制」に抵触し、公正な競争が阻害されていると結論づけた。アップルが払っていた税率はわずか0.005%だと同氏は言う。もっとも、アップルはこの数字に異議を唱え、欧州委の判定と争う構えだ。

■ルールの尊重が社会の繁栄に

 欧州委が問題視しているのはアップルだけではない。同委は米スターバックスや米アマゾン・ドット・コム、米マクドナルドが欧州諸国から受けた税優遇が、企業競争にどんな影響を与えたかについても調査中だ。ベステアー氏はEU競争法違反の疑いで、米グーグルについても買い物検索、携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」、それにインターネット広告事業に関して調べている。

 これらの企業は調査されていることに対し、単に怒っているのではなく、激怒している。数々の巨大企業の創設に携わった銀行家ジョン・モルガンは、自分は大統領と対等な立場にあると考え、ルーズベルトの怒りを買った。

 モルガンと同様に自分が絶対に正しいという怒りの下、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は欧州委の判断を「たわ言」と痛罵する。アップルがどの税務当局にも説明責任を負わない「無国籍」組織を経由して売上高を移し替えていることなど、この際、たいした問題ではない。クック氏は、自分たちのビジネスは一介の政治家や規制当局者が取り組んでいることよりも重要だと考えているようだ。政府はとにかく邪魔をするな、というわけだ。確かにアップルは洗練されたデジタル機器を作っているが、だからといって同社に特別な地位が与えられるわけではない。

 アップルと同様、グーグルも法的納税義務を怠らないよう、細心の注意を払っていると常に主張する。その言葉に疑いの余地はない。だが、欠けていることがある。企業は法令を厳守してさえいればいいわけではない。法令以外の複雑な慣習やルールをもっと尊重してこそ、様々な市場を抱える社会は繁栄する。

 例えば、グーグルが英国の売り上げをアイルランド子会社に移し替えることで納税額を最小限に抑えることは合法かもしれないが、良き市民の行為とはいえないし、市民の反発を招くことにもなる。

■反グローバル化は解決策にならず

 現在、先進国ではポピュリスト(大衆迎合主義者)が台頭し、その怒りの矛先は政治家に向かっている。だが、こうした動きの背景には、グローバル化と大企業の行動に対する市民の強い不満がある。米共和党大統領候補のトランプ氏であれ、仏極右政党、国民戦線のルペン党首であれ、イタリアのEU懐疑派政党「五つ星運動」創設者のグリッロ氏であれ、ポピュリストは経済的な国家主義が必要だと訴える。現在のシステムは不正操作されているから、グローバル資本主義に対してバリケードを築けというわけだ。

 一般市民は、グローバル化により利益を得る企業には、通常すべての人に適用される規則の手が届かないと思っている。グローバル化に伴う不安はすべて一般市民に降りかかる。ポピュリストは、市民の市場に対する信頼の低下につけ込んでいる。彼らが提案する解決策は、保護主義を掲げてグローバル化に反対することだが、いずれも今の格差問題や経済停滞の解決には全くならない。

 昔の悪徳資本家と同じように、自分たちの仕事は政治家などのそれより大事で素晴らしく、民主政治を「茶番」だとみる企業経営者は今後も登場するだろう。こうした人間は、企業の唯一の役割は利益の最大化だと考える人から支持される。

 ルーズベルトは社会主義者などではなかった。彼は、資本主義は一般市民にとっても恩恵を受けられるシステムでなければ持続できないことを見抜いていた。これは今も当時と変わらぬ真実だ。ベステアー氏をルーズベルトの再来だと言うのは早計だろう。だが、アップルやグーグルのような企業の成功を可能にした自由市場経済を支持する人は、大企業優位に傾いている流れを是正しようとする同氏の勇敢な努力に称賛を送るべきだ。

By Philip Stephens

(2016年9月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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