経済中心に書いてます!

趣味の範囲で…園芸・沖釣り・漢方・医食同源の投稿をします…業務はCX・225指数・FX Pro. …

車の屋根8割軽く 企業の壁超え異素材接合 三井化学と共和工業がタッグ

2016年09月11日 17時37分50秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO06977330X00C16A9X13000/?n_cid=DSTPCS003

車の屋根8割軽く 企業の壁超え異素材接合
三井化学と共和工業がタッグ
(1/2ページ)2016/9/8付日本経済新聞 電子版

 ドローンは5割、車の屋根は8割軽くします――。三井化学が開発した樹脂と金属の接合技術「ポリメタック」。ベンチャーのZMP(東京・文京)がドローン(小型無人機)に採用したことで三井化学にスポットライトが当たる機会が増えた。平原彰男執行役員は最近、顧客の問い合わせにこう答えている。「ポリメタックは彼らが居ないとできないんですよ」。

■最高峰の設備

 「彼ら」とは2014年に買収した樹脂金型メーカー、共和工業だ。自動車のバンパーからユニットバスまで、樹脂部材の成型に使われる金型を造る。熱で溶けた樹脂が均質に行き渡るように金型を設計する技は自家薬籠中のものだ。

共和工業の工場には機械のようにヒーターや配線がついた金型が並ぶ(新潟県三条市)

 ポリメタックは金属の表面に薬剤で微細な凹凸を施し、そこに樹脂を流し込んで両者をつなぎ合わせる。薬剤処理は三井化学の技術だが、後工程で確実に樹脂を流し込めるように計算して金型を作りこむのは共和工業の仕事。その本丸が新潟県三条市にある。

 「ここには新しい加工機を入れて、あそこには三井さんと試作スペースを作って…」。開発中の製品があちこちでカーテンに覆われている工場を歩きながら、共和工業の岩渕学社長は矢継ぎ早に投資計画を説明する。

 「世界で1番大きい」というプールのような放電加工機や、連続運転ができるように改造したマシニングセンター。別の棟には試作用の成型機もずらりと並び、ヒーターやセンサーを組み込んだ機械の塊のような金型が出荷を待つ。

 設備は数台、従業員は20人未満という小規模企業が9割を占める日本の金型業界で、共和工業ほど潤沢に機械を持つ企業はまれだ。「試作を引き受ければ顧客の量産ラインを止めなくて済む」と始めた投資だったが、いつしか顧客のモノ作りに入り込み、量産条件などをアドバイスする力を蓄えた。

 「設備水準はドイツのフラウンホーファー研究所に相当する」と岩渕社長は自負する。フラウンホーファーは官民出資の応用研究機関。2万人を超える頭脳集団が活動する。世界最高級の研究機関に自らをなぞらえる、その志が三井化学の心を捉えた。

 三井化学の淡輪敏社長が共和工業を訪ねたのは14年の就任後すぐ。金型設計、成型、工法の開発――。「顧客に近い素材メーカー」を掲げる三井化学が自社で育てるには時間がかかりすぎる技術要素が共和工業には詰まっていた。「ぜひ組むべきだ」。社内の懐疑的な声を抑え、子会社化を決定。ポリメタックの用途開発が加速したのもこの時からだった。

 素材メーカーと金型メーカー。異業種で手を組んだ両社が手本にするのは「ドイツモデル」だ。

 「ドイツには技術ブローカーがそこらじゅうにいる」(共和工業の岩渕社長)。技術ブローカーは素材や成型機、金型それぞれの専業メーカーが持つ技術をまとめあげ、自動車メーカーなどに新たな工法を提案する。彼らの多くはフラウンホーファーをはじめとする研究機関の出身者だ。

 個社の事業領域に制限されず、企業の壁を越えた柔軟な工法を編み出せる。欧州自動車メーカーで車体に樹脂素材が日本よりいち早く採用されている背景には、こうした開発システムの違いもある、というのが岩渕社長の持論だ。

■米工場で実践

 日本にはこの仕組みは根付いていない。「自分たちでタッグを組んでしまおう」(岩渕社長)

 実践のひのき舞台は米国にある。イリノイ州にある共和工業の金型工場では最近、自動車の内装材を作れる450トンの成型機が稼働し始めた。材料は三井化学のオハイオ州の拠点で製造する。

 部品ごとに成分を配合したポリプロピレンの混合剤と製造工法を一緒に提案し、米フォード・モーターや米ゼネラル・モーターズなど自動車大手に金属部品の樹脂への置き換えを促す。

 燃費規制が今後強化される米国は、車体の軽量化を目指して鉄、アルミ、樹脂それぞれの業界が売り込みにしのぎを削る。だが異なる素材をつなぎ合わせる技術はまだ確立していない。「異素材接合を制する者が素材間競争を制する」。今、あらゆる素材メーカーの関心はここにある。

 「米国では我々がクルマの樹脂化の最右翼になりますよ」。三井化学と共和工業の技術担当者は共に決意を語る。

 もっとも、両社が手を取り合ったのはそうせざるを得ない経営環境が互いにあったからだ。

 液晶テレビ部材用の金型が強くピーク時には売上高が130億円あった共和工業。だが2010年、弱体化した日本のテレビメーカーからの注文が途絶え、売上高が1年で半減。その後も新たな成長市場を探しあぐねていた。

 三井化学もリーマン・ショックの余波で収益が悪化し純損益は14年3月期まで3期連続で赤字。他の化学大手が医薬や農薬を軸に回復を遂げるなか、汎用樹脂の構成比が高い三井化学の回復は遅れた。「1人負けの三井」から脱するには量り売りのサプライヤーから脱皮し顧客の近くで新たな事業を開く必要があった。

 焦燥感から生まれたタッグは異素材接合という新技術で1つの結実を得た。異業種連携で新たなものづくりを切り開く道は見えてくる。

■ハガネの技、世界欲す

 古代から「たたら製鉄」で繁栄した島根県。刀剣や包丁にも使われる高級鋼ブランド「ヤスキハガネ」を求めて、世界中から自動車メーカーの技術者たちが殺到する工場が県東北部にある。

日立金属が開発した金型の寿命が7倍になる鋼材「SLD―i」

 日立金属の特殊鋼製造拠点、安来工場(島根県安来市)に足を踏み入れると、まず球体の電気炉が目に入った。作業員が鋼材の原料を専用スコップですくって炉に入れると、セ氏1500度以上に熱されて赤々と溶けていく。原始的にも思える作業で造るのは、最先端の自動車工場で使われる金型の母材だ。

 自動車用の金型はプレス機による千トン級の荷重に耐え、硬い鋼板を幾度となく受け止める。何度もプレスを打てば、金型は摩耗し変形、劣化していく。逃れられない宿命に真っ向からあらがう特殊鋼「SLD―i」を、日立金属が開発した。この金属を使うだけで金型の寿命は最大7倍に延ばせるのだという。

■量産も品薄状態

 新しい鋼材の発売に際し、安来工場に約40億円を投じて設備を整えた。今年4月から量産を始め、米国の金型メーカーなどに出荷しているが既に品薄状態。自動車のほかスマートフォンやテレビの電子部品を成型する金型に採用され始めた。

 技術者が夢に描いた鋼材を実用化するカギは内部の金属組成にある。鋼材の硬さや伸びにくさを左右するのは、主成分の1つである炭化物。この粒子が小さく内部に均一に散らばるほど鋼材は硬く変形しにくくなる。


画像の拡大
 粉末状の金属を焼き固めれば製品化できるが、コストがかさむ。「何が何でも低コストで実現しなければ」。開発に携わった安来工場の田村庸技師長らの胸にあったのは、価格を理由に鋼材が不採用になったと報告する東京本社の営業マンたちの姿だった。

 開発に着手した2000年代前半は、自動車など日系メーカーが世界各地で工場を立ち上げていた時期。自動車用の金型製造も現地調達化が進められていた。

 日立金属は安来工場から鋼材を輸出し、現地の金型メーカーに出荷していた。だが「金型の熱処理技術や設備が異なるため、日本製の金型と同等の品質が出ない」(高級金属カンパニーの井上謙一技術部長)。低価格が強みの現地金属メーカー製に乗り換えられる悔しさを味わってきた。

 「世界中どこでも高品質の金型が作れる鋼材が必要だ」。東京本社から来た営業担当者の要望に、安来工場の技術者は二つ返事で引き受けた。

 劣化しにくい金属は、金型の製造時に加工誤差が生じにくい特性も持つ。金型の熱処理設備のいかんにかかわらず、世界中で均一品質の金型が製造できることになる。危機感を抱く東京本社と、安来工場の技術者の思いが一致した。

 量産技術の確立には時間を要したが、ひとたび金型メーカーに「ヤスキハガネ」シリーズの新製品としてサンプル出荷を始めると称賛の声が続々と届いた。「確かにヘタレにくく長く使える」。これまで日立金属には見向きもしてこなかった欧米の自動車部品メーカーが次々と採用を決めた。

 開発当初には予想していなかった追い風も吹いている。世界的に広がる燃費規制強化を受け、自動車メーカーは車体の軽量化に血道を上げる。軽くて丈夫なハイテン(高張力鋼板)の性能は年々アップ。主要部材に使う鋼板の硬さは10年で2倍になったとも言われる。

■「コストも削減」

 硬い鋼板ほど金型にかかる負荷も大きいため、劣化も速い。高級ハイテンを採用する工場であるほど、新鋼材を試したいという声が大きい。

 「価格は割高であっても、金型が長く使えるため結果的にコストも削減できるのが強み」(井上技術部長)。佐藤光司・安来工場長は「開発に10年以上かかった。技術も少なくとも10年は追いつかれない」と、飛躍に大きな自信をのぞかせる。

 ヤスキハガネを世界へ――。高橋秀明社長は新鋼材で世界の金型を席巻する計画を描く。ターゲット地域は自動車市場が拡大する中国や東南アジア、さらに現地自動車大手の牙城である欧米だ。

 金型用鋼材の加工拠点をアジアで増強。欧州では販売会社のM&A(合併・買収)も視野に、世界じゅうの工場で同等品質の金型を使えるメリットを自動車メーカーに説き、採用を増やしていく方針。金型用鋼材を含む工具鋼事業の18年度売上高を15年度比3割増の790億円に引き上げる目標を掲げる。

 製造業の国内空洞化で、一時は海外メーカーにお株を奪われた日本の金型業界。だが、金型に新たな価値を与える素材の登場で潮目は変わりつつある。革新的な素材と金型との組み合わせがものづくりのあり方を一変する日も遠くない。

(上阪欣史、佐藤浩実、安原和枝)
ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« つながる裏に仕掛けあり、欧... | トップ | がん保険、放射線・抗がん剤... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コーティングレス (通りすがりの金型職人)
2017-04-26 16:37:31
 SLD-MAGIC製の樹脂の切断刃は切れ味抜群だ。
地球環境直球勝負 (低フリクションマルテンサイト)
2017-08-08 23:12:27
島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑(機械工学における摩擦の中心的モード)の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象(機械工学における中心的摩擦現象)にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

市場動向チェックメモ」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。