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太陽光パネル、「大量排出時代」にリサイクルで備え

2016年09月15日 23時34分56秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05717120V00C16A8000000/?n_cid=DSTPCS003

太陽光パネル、「大量排出時代」にリサイクルで備え
(1/3ページ)2016/9/15 6:30日本経済新聞 電子版

 2020年頃から廃棄が増え続け、ピーク時には年間4050万枚の廃棄が予想される太陽光パネル。環境対策として分離技術やリユースパネルの検査技術が求められている。

 2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が導入されて以来、全国に大量の太陽光発電設備が設置されている。太陽光パネルの寿命は平均20~30年といわれており、近年に導入されたパネルが寿命を迎える時期に大量廃棄されるのは避けられない。

■ピーク時には年4050万枚が廃棄

 環境省が作成した太陽光パネルの排出予測量が下のグラフだ。各年の値は、平均寿命を20年と想定して寿命到来に伴う年間排出量と修理交換などに伴う年間排出量を合計した量を示している。

太陽光パネルの排出予測量(環境省資料より抜粋。平均寿命20年想定の排出量(寿命分と交換などに伴う分の合計))

 排出量は2020年に1万t(トン)を超え、2031年に10倍の10万tに達する。そこから加速度的に増え、FITの開始から約20年が経過する2033年には30万tを突破し、2034~40年のピーク時は約70万~80万tで推移する見込みだ。ピーク時の排出量81万tをパネル枚数に換算すると約4050万枚。1日当たり約11万枚が排出される計算だ。

 この膨大な排出量に備えるべく、2013年度から環境省が中心となって太陽光発電設備のリサイクルやリユースを推進する検討会を重ね、2016年4月にガイドラインを発表した。今後ガイドラインに沿った太陽光パネルのリサイクルやリユースが本格始動する。

 太陽光パネルは、5層のサンドイッチ構造になっている。太陽光が当たる側からガラス、EVAと呼ぶ樹脂でできた封止材、セルと呼ぶ電池部分、EVA、バックシートと呼ぶ保護材で構成されている。

ホットナイフ分離装置でガラスとセルを分離

 太陽光パネルは、長期間屋外に設置されるため耐久性を高めている。前述の5層を真空中で加熱し、EVAを溶解・圧着してセルとガラスを一体化する。その後、両端にアルミフレーム、電線が束ねられているジャンクションボックスなどを取り付けると完成する。

 太陽光パネルのリサイクルには、2つの目的がある。1つはセルに含まれる有用金属の銀などを抽出すること。もう1つはガラスを再資源化することだ。この2つの目的の達成には、パネルの効率的な分離技術が欠かせない。ガラスとセルをEVAが強力に接着しているため、破砕や分別といった一般的な方法では、分離が難しいからだ。

 現在の一般的なリサイクルの手順は、まず人間の手でジャンクションボックスやアルミフレームを外した後、パネル全体を破砕機に入れて破砕する。異物を大まかに除去した後、製錬会社で破砕くずから銀などを抽出する。残った焼却灰は最終処分場に埋め立てるといった具合だ。

 この方法の欠点は、まとめて破砕することで不純物が多く混ざり、ガラスのリサイクルができないこと。さらに破砕くずの量が多いため収集運搬や処理にかかる費用が高く、埋め立て量も増える。

 そこで環境省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年度から様々な企業と、ガラスとセルを効率的に分離する技術の実証実験に取り組んできた。その1社が、太陽光パネルの製造装置などを手がけるエヌ・ピー・シー(東京・台東)である。

■1枚を40秒で引きはがす

 エヌ・ピー・シーは「ホットナイフ分離法」と呼ぶ分離技術を開発した。1枚当たり約40秒の速さで、EVAによって強く接着されたガラスとセルを分離する。具体的には、2つのローラーの間にパネルを挿入し、パネルが波を打たないように水平な状態を保ちながら一定の速度でパネルを押し出す。その先にホットナイフと呼ぶ180~200℃に熱した厚さ1cm、刃渡り1mの鉄製の刃を設置し、セルを分離する。

 難しいのは、パネルメーカーごとにガラスの厚みやEVAの材質が異なるなどパネルの性状が一様でないことだ。「刃の向きや温度などを微妙に調節する技術が必要になる」と、伊藤雅文社長は力説する。

 同社は、8月に産業廃棄物処理業の浜田(大阪府高槻市)と対等出資で合弁会社「PVテクノサイクル」を設立し、太陽光パネルのリサイクル事業に本格参入した。3年後にリサイクル8割、リユース2割の割合で5万~10万枚を処理し、売上高5億円を目指す。

 東芝グループの東芝環境ソリューション(横浜市鶴見区)もガラスとセルの分離技術を有し、既に約3万枚のリサイクル実績がある。現在の処理能力は月にパネル3500枚、重量換算で44t(トン)だ。

 同社の分離技術の特徴は、鉄製のブラシを高速で回転させて、パネルからセルを削ぎ取ること。エヌ・ピー・シーの分離法と比べると、1枚のガラスが残るのは同じだが、エヌ・ピー・シーはセル部分が1枚のシートで残るのに対し、東芝の場合は削ぎ取るので粉末になる。

 「ガラスを除いた粉末は銀の濃度が高いため、製錬会社は高く買ってくれる。また、乾式のため溶媒や熱を使わないので環境負荷も低い」と東芝環境ソリューション環境エンジニアリング事業部の武田信治部長はアピールする。

 太陽光パネルのリサイクルの課題は採算性の悪さだ。その主因はガラスの再資源化価値が低いことにある。太陽光パネルはガラスの塊だ。重量比で8割を占める。太陽光パネルに使うガラスは光を通しやすくするために高い透過性が必要で、建築用ガラスと比べても高純度のガラスを使っている。

 一方、ガラスくずの資源価値は1kg当たり0.5~1円と低い。太陽光パネル1枚のガラスの重量を10~15kgとすると、パネル1枚分のガラスくずは高くても15円程度だ。

 NEDOは、現在進めている実証実験で低コストの処理技術の確立を目標に掲げている。具体的には、2018年度末までに1W当たり5円以下の処理コストを目指す。パネル1枚(200W)として換算すると1000円になる(輸送費は含まない)。

 東芝環境ソリューションによると、今は需要が少ないこともあるが、アルミフレームなどを解体する作業員の人件費を含めると収益化は難しく、NEDOの目標の数倍の処理費をもらわないと採算は厳しいと言う。今後、同社は分離した板ガラスを、ガラスくずより高価で買い取ってもらえるリサイクル製品を開発する。

 板ガラスの付加価値を高めるための秘策が水平リサイクルの実現だ。ガラス再資源化協議会の加藤聡代表幹事は「EVAを完全にはがしたガラスを再び太陽光パネルのガラスとして使うリサイクル技術の実用化は十分可能だ」と意気込む。

■リユースの課題は検査・解析

 太陽光パネルの価格は1枚7万~13万円程度するのに対して、リサイクル後の資源価値は現状低い。その意味では使えるものは徹底的に使うリユースの推進も大事だ。

出力が低下したパネルは海外でのリユースもある。アフリカなど送電設備が未整備な地域での用途と使用電力

 太陽光パネルは年月を経るごとに出力が低下する。その割合は5年間で2~4%程度といわれ、20年を経ても8割の出力が残る計算になる。8割の出力が残っていれば、設置パネル数を増やして出力低下分を補うことでリユースできる。アフリカなど送電設備が未整備な地域における電化製品の最低限の利用なら5割でも可能だ。

 太陽光パネルのリユースを推進する際の課題は2つある。1つは使用済みパネルの経年劣化を正確に予測できないこと。そのためリユースパネルの市場価格形成や導入判断が難しい。

リユース促進の鍵は簡易診断と用途開発。左は稼働中パネルを簡易検査する様子。右は赤外線で電流を可視化し断線状況を確認

 太陽光パネルの出力低下は、絶縁性の低下や材料の劣化などによっても起こる。東芝環境ソリューションはソーラーシミュレーターを導入して、様々な使用済みパネルのデータを取得し、経年劣化を評価・解析できる技術の開発を進めている。

 もう1つの課題は検査の効率化だ。リユースできるかどうかを調べるために、大量の使用済みパネルを検査場所に運ぶのでは手間やコストがかかる。リユースできる可能性があるパネルを事前に選ぶなど効率的な検査技術の構築が必要だ。エヌ・ピー・シーは稼働中のパネルを簡易検査する装置を開発した。出力はもちろん、赤外線でパネル内部を可視化し、断線箇所やセルの破損部などを見てリユースができそうか診断する。

 太陽光パネルの大量廃棄到来の時期は、前倒しされる可能性もある。地震や台風などの巨大災害による破損、新品交換による廃棄の増加がないとも限らないからだ。

 2020年の排出想定量1万tですら、先行する東芝環境ソリューションの現在の月間処理量である44tを基に計算すると、完了まで19年かかる。ピーク時の80万tの大量廃棄に対応するには、技術開発を加速させて処理能力を拡大し、全国的な処理ネットワークを構築する必要がある。

(日経エコロジー 富岡修)
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