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インド、「いきなり電子決済」へ跳躍するか  編集委員 村山宏

2017年03月13日 09時24分32秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO13806950Y7A300C1000000/?n_cid=DSTPCS019

インド、「いきなり電子決済」へ跳躍するか  編集委員 村山宏
(1/2ページ)2017/3/13 6:30日本経済新聞 電子版
インド 中国

 インドは昨年11月に突然、高額紙幣を廃止したが、真の狙いがようやくわかってきた。地下経済を締め出し、脱税を防ぐ狙いと伝えられたが、インドをキャッシュレス社会に導くのが本当の目的だった。人々の多くがクレジットカードどころか銀行カードを持っておらず、キャッシュレスの実現は荒唐無稽に聞こえる。だが何もないのは強みでもある。新たなテクノロジーを妨げる古い制度がなく、一足飛びに次の段階に跳躍できるからだ。

 アジア情報を英文で伝える「Nikkei Asian Review」(ネット版)は2月7日、インドの経営コンサルタント、アルビンド・シングハル氏の寄稿を掲載した。「インド、キャッシュレス社会への大きな跳躍 高額紙幣廃止は金融デジタル化構想の一部」という表題だ。高額紙幣の廃止がもたらすインド経済への悪影響ばかりに焦点があたっているが、この施策はモディ政権が進めてきた金融システムをデジタル化する一環なのだという。

■キャッシュレスへインフラ整備着々

 高額紙幣がなくなれば人々は小額紙幣をたくさん使う現金使用を嫌がるだろう。シングハル氏によると、インド政府は「ジャン・ダン・ヨジャナ」(国民マネー計画)といわれる、国民に銀行口座を開かせる事業を推進してきた。2014年の8月の表明以来、2億7000万人が口座を新たに開いた。同時に政府はアドハー(基盤)という個人の生体認証システムを構築し、登録すればネットを通じて本人確認がすぐにできる環境を整えている。

 本人確認をネット上でできれば口座からのマネーの引き落としは簡単だ。カード会社への照会は要らない。政府はアドハーを使って金融決済のできる「統合決済インターフェース」(UPI)に取り組んでいる。さらに「インディア・スタック」と呼ばれるデータベースを構築している最中だ。住所、職歴などの膨大な個人データをここに保存し、人々はデジタルデータを使って口座開設や融資の申し込みを簡便にすませられる。

高額紙幣の廃止で銀行カードさえ持たない人が多いインドが、電子決済で最先端を行く可能性がある=AP

 政府による究極の個人監視システムのようにも感じるが、ともあれキャッシュレス社会に近づくのは間違いない。インドのネットインフラの状況を詳しく知りたい方は次の記事も参照していただきたい。英エコノミスト誌の「ネットインフラ、インドを拓く」(日経電子版16年12月27日付で翻訳転載)と、米オンラインメディアのベンチャービートの「キャッシュレス社会で米国の先を行くインド」(日経電子版1月27日付で翻訳転載)の2つだ。

 インドのキャッシュレス社会は弾みがつけば実現は急速かもしれない。中国も手段は異なるがキャッシュレスへの道をひた走っている。中国はインド同様にクレジットカードの保有者はなお少数派だ。中国ではクレジットカードを用いたネット上での決済が難しいため、10数年前まではネット通販の普及が不可能とさえいわれた。だが、電子商取引のアリババ集団がネット上で決済できるシステム「支付宝(アリペイ)」を開発すると、状況は一変した。

 アリペイの登場でパソコンやスマートフォン(スマホ)があればネットで簡単に決済できるようになり、ネット通販は一気に中国全土に広まった。逆に通販隆盛のあおりで小売りの実店舗が次々に閉店に追い込まれている。中国では「なぜ日本は実店舗が存続できるのか」といった笑えない議論が交わされているほどだ。アリペイは日本でも使えるようになり、中国人はスマホさえあれば国外でもカードや現金を持ち歩かなくてもよくなるだろう。

中国は支付宝(アリペイ)の導入でネット通販が全土に広まった

■ITでの経済発展、金融でも常識通じず

 日本や米国はキャッシュレス社会に向かう新たなテクノロジーの普及では後続の中国に後れをとってしまったのかもしれない。クレジットカードという便利な仕組みがあるばかりに、新たなツールを展開する必要性を感じていないからだ。後から追いかける者が先進的な技術を駆使し、先行者を追い抜いていく事例は山ほどある。日本に無料のWi-Fiのスポットがなかなか増えないのもこの観点から説明できるかもしれない。

 日本は早くに第3世代通信(3G)、第4世代通信(4G)が普及し、Wi-Fiを利用しなくとも携帯電話でデータのやりとりができた。3Gの普及が遅れた諸外国ではWi-Fiスポットに行かなければデータの送受信をしにくく、結果として無料のWi-Fiスポットが街中にあふれた。日本に無料スポットが少ない理由は情報漏洩を恐れるためといわれるが、それ以上に日本人がその必要性を感じていないからだ。

 インドに話を戻すと、かの国はそもそも経済発展からして過去の常識を打ち破った。通常ならば農業から始まって工業に発展の段階が移行し、次にサービス産業へと成長のエンジンが移るが、インドのこの10年の発展は工業段階をすっとばし、いきなりサービス産業から始まった。インターネットが世界に張り巡らされたことで、インドではIT(情報技術)アウトソーシングやソフトウエア開発など新たなサービス産業が隆盛に向かった。

 インターネットの登場がそれまでの発展段階論を根底から覆してしまったのだ。14年に登場したモディ政権は「メーク・イン・インディア」を唱え、ようやく製造業の育成に力点を置くようになった。新たなテクノロジーがもたらす「跳躍」の予兆は先を行く国や社会からは見えにくい。金融インフラの遅れた発展途上国こそがキャッシュレス社会に最も近い存在だという逆説を、インドはそう遠くない先に証明してみせるかもしれない。


村山宏(むらやま・ひろし)
1989年入社、国際アジア部などを経て現職。仕事と留学で上海、香港、台北、バンコクに10年間住んだ。アジアの今を政治、経済、社会をオーバーラップさせながら描いている。趣味は欧州古典小説を読むこと。アジアが新鮮に見えてくる。
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