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米大統領選、米利上げ、そして英国……市場を覆う3大リスク

2016年10月11日 14時12分29秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08200260R11C16A0000000/?dg=1

米大統領選、米利上げ、そして英国……市場を覆う3大リスク
2016/10/11 11:02日本経済新聞 電子版

 米労働省が7日発表した9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比15万6000人増えた。この発表後、3人の米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが発言した。

 時系列的に、まず、投票権を持つクリーブランド連銀のメスター総裁(投票権あり)が失業率5%も含め、9月の雇用統計は「solid(力強い数字)」と評価した。メスター氏は9月利上げにも賛成票を投じている筋金入りタカ派である。金融市場はメスター氏の見方に「さもありなん」との反応だった。

 次に、米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長が9月の雇用統計について「ゴルディロックスにかなり近い(pretty close)」とコメントした。ゴルディロックスとは熱すぎず冷たすぎず、という「適温経済」を意味する。

 そして、投票権は持たないシカゴ連銀のエバンス総裁は米CNBCで10日、「12月は(利上げに)適当な時期とは思うが、切迫感を感じているわけではない。完全雇用と同時にインフレ率目標も重要だ」と述べ、ほぼ中立的といえる発言であった。

 3人の中では、大物副議長と目されているフィッシャー氏の発言が市場には相対的に重く響く。12月利上げ観測も、米雇用統計の発表直後は市場予想を下回ったこともあってやや後退したが、その後はフィッシャー副議長の発言で、再び台頭している。

 そして、米大統領選候補による第2回のテレビ討論会も開かれた。

 最新の米NBCと米ウォール・ストリート・ジャーナルによる調査結果を見ると、支持率は46%が民主党のヒラリー・クリントン候補で、共和党のドナルド・トランプ候補を上回った。米CNNの調査で、トランプ氏は前回の討論会より良くやった、との回答が66%に達したが、劣勢を覆すほどではなかった。やはり、直前に暴露されたひどい女性蔑視発言テープのダメージは大きい。討論会でトランプ氏は「あれはロッカールームでのおしゃべり」と述べ、話題をIS(過激派組織「イスラム国」)に振った。あたかも「IS問題よりはマシ」と言わんばかりの発言で、反感が強まったようだ。クリントン氏のEメール問題も「米国の大統領になったら、嘘つきのクリントン氏を、監獄へ送る」と独裁国並みの発言で、自ら攻撃の機会を失した。

 そんな中でも、トランプ氏の「あなたはこの30年間、何をやってきたのだ」という言葉は殺し文句になる。ここが、一般聴衆に響く一節だ。クリントン氏が、リンカーンの言葉を引用すれば、「リンカーンは正直だった」と軽くいなす。やはり、クリントン氏の弱点は信頼感が薄いことだと感じさせる。

 欧米市場では、総じてトランプ氏が前回より「大統領らしく」振る舞ったが、あくまで相対比較の話だ。統治能力や保護主義的なドル安政策に伴う円高、地政学リスクの悪化といった「トランプ・リスク」は若干後退した程度の反応だ。

 それより、金融市場では先週7日の日本時間に勃発した英ポンドの「フラッシュ・クラッシュ」(突然の瞬間的暴落現象)のショックが依然尾を引いている。米雇用統計や米大統領選の候補者によるテレビ討論会より、インパクトは強い。英国の欧州連合(EU)離脱のハード・ランディングという意味で「ハード・ブレクジット」という言い回しがすっかり一般化しつつある。

 英国がヒトの移動や移民規制にこだわる限り、EUの単一市場にはアクセスできず、国際金融市場としてのロンドンは機能不全になる、というリスクだ。

 市場は12月の米利上げ、11月の米大統領選よりも目先はハード・ブレクジットの成り行きを警戒している。ドイツ銀行にまつわる不安感と共振して、欧州発の信用不安から目が離せない。救いは原油価格上昇なのだが、サウジアラビアとイラン、ロシアが果たして本当に減産合意を実行できるのか、市場には懐疑論も根強く残る。

 かくして、ベクトルの異なる様々なリスクが混在する。性急な米利上げは景気を冷やす。米大統領選では先に述べたトランプ・リスクや両候補者に共通するドル安志向、それに伴う円高があるほか、環太平洋経済連携協定(TPP)決裂も不安要因になる。英国は金融市場の混乱を呼びかねない。こうした中では総体的方向感が定まらない。

 最も早く決着する米大統領選までは、市場の漂流が続きそうだ。


豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org
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