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苦境の習主席、頻繁な軍視察の深い意味

2016年10月12日 11時41分45秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08207460R11C16A0000000/?dg=1

苦境の習主席、頻繁な軍視察の深い意味
(1/3ページ)2016/10/12 3:30日本経済新聞 電子版
中国

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

 最近、中国国家主席の習近平が、人民解放軍の視察を繰り返している。かなりの頻度だ。そこには今、習が置かれた厳しい環境も絡んでいる。

 まず8月29日。習は、新設した「戦略支援部隊」の視察に訪れた。これは、杭州で開いた20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため北京を離れた9月3日の前だった。

 戦略支援部隊は旧来の戦闘部隊ではなく、「未来の軍」といわれる。中国紙、環球時報のインターネット版などによると、戦略支援部隊は3つの部門で構成される。

(1)ハッキングに備えるインターネット軍=サイバー戦部隊

(2)偵察衛星や中国独自の衛星ナビゲーションシステム「北斗」を管轄する宇宙戦部隊

(3)敵のレーダーシステム・通信をかく乱する電子戦部隊

 これらはすべて、南シナ海などで対峙する米国や、中国周辺部の局地戦において、きわめて需要な役割を果たすとみられる。

■戦略支援部隊、ロケット軍など次々

新設した「戦略支援部隊」を視察し、幹部一人一人と握手する習近平国家主席(8月29日、国営中国中央テレビの映像から)

 そして9月13日。習は中央軍事委員会の下に新設した「聯勤保障部隊」の設立大会に出席した。この組織と関係が深い旧総後勤部は伝統ある陸軍4総部の1つだったが、汚職の巣窟でもあった。すでに谷俊山・前副部長が断罪されている。

 総後勤部は、習が推し進めた軍再編で後勤保障部に改編。その核心を担うのが聯勤保障部隊とされる。総合的に全軍を後方支援する兵站(へいたん)部門で、食糧供給や戦闘員の確保・投入のほか、軍事衛星・通信衛星と連動する衛星ナビゲーションシステム「北斗」の運用にも関わるという。

 さらに9月26日。新設した「ロケット軍」を視察した。これは大陸間弾道弾を含む戦略・戦術ミサイル部隊だった「第2砲兵」を格上げし、陸海空の3軍と同格にしたものだ。ロケット軍は、近代戦の主役であるばかりではなく、戦略支援部隊と同じように宇宙戦の核心を担う。

 10月11日。人民解放軍機関紙、解放軍報は1面で、前日に北京で全軍の重要会議が開かれたと報じた。「全軍大組織・軍事委員会機関各部門共産党委員会書記の専門会議」と称するものだ。習自身は出席しなかったが、軍事委主席として習が批准した会議であると、あえて冒頭で説明した。

 会議のテーマは、前中央軍事委員会副主席で断罪された郭伯雄、徐才厚(故人)らが軍内に浸透させた腐敗という「毒」の流れを断つという、おどろおどろしいものだった。

■軍の足場固めの重要性認識

習主席は軍再編で「ロケット軍」を新設した
(2015年9月3日、北京の軍事パレードに登場した弾道ミサイル「東風21D」)

 なぜ、こうも頻繁に習の軍視察や、習が指示した軍の会議があるのか。かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と説いた。苦しい場面で軍を視察し、みずからのバックに軍が控えているとアピールするのは、毛沢東以来のセオリーに沿った行動である。

 習は、清華大学を出た後、国防相だった耿飆(こうひょう)の秘書として中央軍事委員会で働いた経験を持つ。“青年時代から軍歴がある”というのが、習の自慢だ。その自信もあってか、苦しい局面で、あえて軍を訪問してきた。

 今年は、軍トップとして軍の一大再編も指揮した。しかも肝煎りの戦略支援部隊、ロケット軍などは、中国の将来の安全保障を担う核になる。習は、それを一気に作り上げた功績を掲げ、難局を乗り切り、来年の共産党大会に臨みたい。

 これだけの仕事をしたのだから、本来、すでに足場は固まったはずだった。しかし、この中国で軍を完全に掌握するのはそう簡単ではない。なにせ無期懲役に追い込んだ郭伯雄、周永康(前最高指導部メンバー)の元部下や関係者は、なお軍や武装警察の組織内に潜んでいる。彼らは表向き習の命令を聞いたふりをしつつ抵抗している。

 それだけではない。習の「反腐敗」で身動きが取りにくくなった官僚組織そのものが、裏であらがっている。その一端が、図らずも露呈した事件があった。

■抵抗の実相、赤裸々に語る学者ら

無期懲役になった陸軍のボス、郭伯雄・前中央軍事委副主席(2012年11月の共産党大会で)

 この夏から秋にかけて、著名な中国の国際政治学者が内部向けに語った講演内容が大きな話題になった。それは彼の専門領域の話ではなく、内政に関して指摘した部分だった。

 「習近平は柔らかい抵抗にあっている」――。こう題した文章は、講演録を基に別の人物が書いて、中国の公式なインターネットサイト上に流布された。きわめて刺激的な内容だった。習がトップに就いた2012年から14年まで、苛烈な「反腐敗」運動の目新しさから大衆人気も盛り上がった。官僚らも文句を抱えながらも、従うしかなかった。

 だが、15年に一変したという。「反腐敗」をはじめとする習の指示は、実際上無視された。聞くふりをして誰も聞いていない。そして誰も仕事をしないので、経済もどんどんおかしくなっている。こんな内容だ。それを「柔らかい抵抗」と表現している。門外漢の国際政治学者が赤裸々に述べただけに、迫真のルポのような面白さがある。

 しかし、その内容は数時間以内に中国のインターネット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)監視当局によって削除されてしまった。中国内の一般庶民に苦しい習を取り巻く実態が流布されてはまずい、との判断だった。講演内容はいくつかのサイト上で繰り返し流れたが、その都度削除されている。いたちごっこだ。

 この2、3年、習はずっと胸突き八丁のつらい坂を上ってきたつもりだろう。そして「反腐敗」、軍再編など力業の結果、ようやく苦しい局面から抜けられるかと思っていたら、そうは問屋が卸さなかった。目の前に再び高い壁が現れたのだ。

 動かぬ官僚、不透明な経済、口うるさい長老たち……。17年党大会の最高指導部人事に向けて、まだまだ楽はできない。習の頻繁な軍視察は、政治情勢の厳しさを認識する彼の危機感の表れだろう。

 習は今後の権力闘争を優位に進めるためにも、軍の後ろ盾を必要としている。とすれば、どうしても中国の対外政策、安全保障戦略は強硬に傾きがちになる。この点にも注意を払う必要がある。(敬称略)
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