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不妊治療、重み増す培養士 曖昧な資格、疑問の声も

2016年09月18日 14時25分55秒 | 市場動向チェックメモ
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO07191160T10C16A9TZD000?channel=DF130120166127&style=1

不妊治療、重み増す培養士
曖昧な資格、疑問の声も
 
シェアツイートクリップ2016/9/18

精子が映る画面を見つめる胚培養士の渡辺英明さん
 不妊治療の現場で、人の受精卵を扱う胚培養士という仕事に携わる人が増えている。「裏方」ながら、赤ちゃんの誕生に深く関与する。技術の進歩で仕事の重みは増している。

 「第2のパパとして写真撮影を頼まれることもありますよ」。神奈川レディースクリニック(横浜市)に勤める培養士の渡辺英明さんは、ほほ笑む。不妊治療にはいくつか方法があるが、体の外で精子を卵子にかけて受精させる「体外受精」や、極細のガラス針で精子を卵子に挿入し受精させる「顕微授精」の際に欠かせないのが培養士だ。

 顕微授精の場合、まず医師が女性の体から卵子を取り出す。そこから培養士の仕事が始まる。顕微鏡をのぞき、泳ぐ精子の中から1つを選んでガラス針で吸い取り、卵子に挿入する。うまくいけば受精卵になる。「卵は一つ一つ形も顔色も違う。よしよしがんばれよって思ってみている」と渡辺さん。

 複数の受精卵ができた時は育ち具合をみてランクをつける。母親の体に戻すとき「どの子」を選ぶか、医師は培養士の意見を聞くことが多い。良い卵がいくつもある時、渡辺さんはこう祈る。「頼む! 俺が選んだ子がいい赤ちゃんに育ってくれ」

■医師との分業進む

 女性の晩婚化と重なるように不妊治療は増えてきた。日本で体外受精が始まったのは1983年。90年代半ばには顕微授精が登場した。日本産科婦人科学会によると、2014年に体外受精や顕微授精で生まれた子どもは約4万7千人。その年に生まれた子どもの約21人に1人が該当する「不妊治療大国」だ。


 「昔は診察から培養まで全部を医者がやっていたんだけどね。今は17人の培養士を抱えてやりくりする。僕はコンビニ店長みたいなもの」。神奈川レディースクリニックの小林淳一医師は屈託ない。患者が増えたことや技術の高度化で2000年代に培養士が登場し、徐々に医師との分業が進んでいった。

 今や医師の間では「培養士なしで不妊治療は無理」という声がほとんどだ。分業しなければ増える患者に対応できない。また、良い受精卵がどれだけできるかは培養士の腕次第の面があり、病院の妊娠成功率を左右する。年収300万円ほどの培養士がいる一方、病院間でヘッドハンティングされるトップクラスは年収が2000万円にもなる。

 職業としての人気も高まっている。培養士になるには決まった資格があるわけではなく、国内の2つの学会がそれぞれ認定する。最近は日本卵子学会が02年に始めた資格を取る人が多く、約1300人が取得した。年一回の試験の応募枠を150人にしているが「募集を始めると一瞬で埋まってしまう」(同学会)という。受験者で多いのは牛などの繁殖を学んだ畜産関係の学科の出身者だ。就職先が見つかりにくい事情が背景にある。最近は工学や教育学部などの出身者もいる。

■知識不足が課題に

 ただ、学会の資格がなくても仕事には就ける。そんな培養士のあり方を問う声もあがり始めている。

 「生命の大元に針を刺すのに資格が要らないのはおかしい」。岡山大学の舟橋弘晃教授(動物生殖工学)は疑問を投げかける。国内には約600の不妊治療施設があるが、約6割は年間の体外受精が100例以下と小規模だという。「先輩がおらず、培養士の技術の蓄積ができていない医療機関も多い」と舟橋教授は危惧し、「最低限の能力を担保する意味でも国家資格にしたほうがいい」と訴える。

 医療倫理や感染症の予防などの知識不足も課題だ。「国家資格がない人に任せたくない」(不妊治療を手掛ける黒田優佳子医師)と、培養士を雇わずに治療をする医師もいる。一方で、厚生労働省は「国家資格の具体的な検討はしていない」と距離を置く。不妊治療を巡っては、代理母など課題が山積しており「厚労省にとって優先度は低い」という見方が多い。

 トラブルが表面化しにくい構造も厚労省の腰を重くする。基本は医師の責任の下で作業が行われる。しかし、ある培養士は「顕微鏡をのぞく時は一人。紛失してもごまかせる。取り間違いなど、ひやっとすることもある」と明かす。個人の倫理観に頼らざるを得ない状況に、慶応義塾大学の吉村泰典・名誉教授は「培養士は責任がないから何でもできる。何かあってからでは遅い」と警鐘を鳴らす。

 今後、受精卵の情報や安全管理はさらに重要になる。染色体の異常を調べる先端技術「着床前スクリーニング」が広がれば、受精卵の性別がわかり、使い方次第では男女産み分けにもつながる。不妊治療以外でも、受精卵などを使って遺伝子を操作し、医療などに応用する「ゲノム編集」技術が出てきた。すでに中国では人の受精卵を使った実験がされるなど、物議を醸している。「余った卵を持ち出すことは可能」と話す培養士もいる。

 不妊治療の急速な広がりに合わせ、増える培養士。取り巻く環境が変わるなか、そのあり方を見つめ直す時期に来ている。

 ◇   ◇

■岡山大、培養士の「卵」育成

 岡山大学は胚培養士の育成に乗り出している。全国でも珍しい取り組みの現場を訪ねてみた。

実際の医療機関に近い環境で実習をする「胚培養士の卵」たち(岡山大学の生殖補助医療技術教育研究センター)
 岡山大学は2013年に「生殖補助医療技術教育研究センター」を開設した。農学部と医学部の学生が参加し、培養士になるための知識を学べる。「農学部で畜産の繁殖をやっていると卵の培養はできる。医学部だと感染症予防などの生理学の知識はある。それぞれ欠けている知識を補えるように教育するのが目的」と同センターの高山修助教は語る。

 不妊治療をする医療機関での実習のほか、同センターで動物の卵や精子を使った培養の実習もする。実際の治療現場ではチームを組み、作業に取り組むことが多い。岡山大の実習でも5人程度でチームを組み、声を掛け合い、それぞれが自分の役割を考えながら作業を進める。患者のサンプルには「佐藤さん」「斉藤さん」「佐々木さん」など似通った名前を付け、取り間違い防止なども経験させる。「できるだけ本番に近い形で作業し、ノウハウを学ばせたい」(高山助教)という。

 実習に参加する馬場由紀子さんは不妊治療の人を助けたいという思いから培養士の道を選んだ。「実際にやってみるとすごく難しい。顕微鏡のちょっとした動きで卵を見失ってしまう。本番では絶対におこしてはいけないことで、手が震えるくらい緊張する」と話す。

 現在、約70人の学生がこのセンターで学ぶ。卒業生の7割程度は培養士になっているという。培養士は、今はそれぞれの医療機関の現場での育成が中心だが、岡山大のような動きが広がれば、レベルの底上げにつながりそうだ。

(福山絵里子)
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