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三菱商事、見えてきた資産入れ替えの効果 証券部 押野真也

2017年08月09日 09時14分07秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19790550Y7A800C1000000/?dg=1

三菱商事、見えてきた資産入れ替えの効果
証券部 押野真也
2017/8/9 5:30日本経済新聞 電子版

 三菱商事の2018年3月期業績に上振れ期待が浮上している。2日発表した2017年4~6月期連結決算で、純利益(国際会計基準)は1178億円と前年同期に比べて17%増えた。主力の原料炭が収益を押し上げた以外に、下支え役となったのは食品関連やサービス、医療など市況変動の影響を受けにくい事業だ。金属事業の減損など300億円の一時的な損失を出しつつ増益を維持したことで、通期業績の上振れが視野に入った。掲げてきた非資源シフトの経営戦略が奏功した格好で、発表翌日の株価も3%高と好感された。

三菱商事は市況に左右されない経営体質への転換を進めている(豪州の石炭鉱山)

 「資産の入れ替えは順調に進んでおり、18年度末よりも手前で(リスク資産のうち市況変動の影響の大きい割合を3割以下に抑えるという)目標を達成できる可能性がある。今はもう一歩というところだ」。増一行・最高財務責任者(CFO)は2日、こう強調した。

 4~6月期決算では資源権益を中心に資産売却額を1187億円と、前年同期より287億円積み増した。市場では「経営計画で示した資産入れ替えの方針が守られている」(外資系証券)と評価する声が聞かれる。7月以降もオーストラリアで出資する2つの鉱山権益の売却を決めた。

 資源事業を縮小する一方で、サービス分野などの事業展開を加速している。最近ではミャンマーで病院事業に乗り出す計画を発表。20年をめどに総合病院を開設し、日本から医師を招く。現地大手の複合企業キャピタル・ダイヤモンド・スター・グループ(ヤンゴン市)、医療事業のイー・シン・ホールディングス(マンダレー市)と合弁会社を設立し、三菱商事は3割出資する。

 不動産関連では、4月に米国で約275億円の不動産ファンドを立ち上げた。現地企業と開発中の賃貸住宅や物流施設の一部を取得し、開発完了後は物件を売却し収益を得る。今後もノウハウを生かし、同様のファンドを組成する方針だ。このほか生活分野では、ローソンを子会社化し、食品や物流など自社が持つ機能と相乗効果を出そうとしている。

 増CFOは「現在は資産の売却が先行しているが、投資案件は手元にたくさんある」と話す。今後も投資案件は市況に左右される金属資源や船舶などではなく、食品関連やサービス、医療など市況変動の影響を受けにくい分野が多くなりそうだ。

 三菱商事が資源依存から脱却を急ぐのは、過去の手痛い経験からだ。14~15年に原油や金属資源の価格が急落し、16年3月期に連結最終損益が初めて赤字に転落した。16年4月に就任した垣内威彦社長は「2度と赤字にならない体制にする」として、150ある事業ユニットを市況リスクに応じて分け、将来の利益確保が見込めない分野から撤退を進めている。リスク割合を加味した資産「リスクアセット」の約6兆円のうち、市況変動に左右される事業の割合を19年3月期末までに3割以下に抑える目標を掲げる。

 同社は今期の純利益予想を前期比2%増の4500億円と据え置いたが、市場では上方修正への期待が強い。野村証券は3日、三菱商事の投資判断を「中立」から「買い」に引き上げ、目標株価も2600円から3250円に引き上げた。業績へのインパクトが大きい原料炭の価格が高い水準で推移しており、サケやマスの養殖事業など資源以外の事業の収益も順調に伸びている。

 課題は株主還元だ。伊藤忠商事や三井物産、丸紅が今期の増配を見込む一方、三菱商事は年80円配と据え置いた。自社株買いを期待する声があるものの、「大手商社の中では株主還元に積極的でない」(国内証券)との見方が根強い。業績の上振れ期待が強まるほど、株主還元の拡充を求める声も増えそうだ。
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