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「ウーバー」、日本社会への問いかけ  (宮内義彦氏の経営者ブログ)

2016年09月18日 23時23分35秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07218430T10C16A9000000/?n_cid=DSTPCS001

「ウーバー」、日本社会への問いかけ  (宮内義彦氏の経営者ブログ)
(1/2ページ)2016/9/16 6:30日本経済新聞 電子版

 日本経済は依然として政府支出頼りの成長が目論(もくろ)まれており、もどかしい限りです。経済を活性化するためには、市場で活発な競争によって新しいサービスや商品がつぎつぎと生まれる必要があるはずですが、なかなか生まれません。なぜなのでしょうか。

■初乗り700円台は高い

 最近、興味深かったのは米国生まれのライドシェア(相乗り)サービス、「ウーバー」を巡る動きです。スマートフォンのアプリを使い、一般人の車を利用して会員間の運送をするシステムです。運賃が安くてサービスが早いといわれています。日本でも一部の過疎地の特例としてサービスが始まりましたが、実質的には参入できない状態です。ライドシェアは米国はもちろん世界各地に広がっており、最初は慎重だったヨーロッパでも普及し始めています。(ウーバーテクノロジーズの本社がある)米サンフランシスコでは消費者の支持がウーバーに集まり、既存のタクシーより人気も出ているといいます。

宮内義彦(みやうち・よしひこ) オリックス・シニア・チェアマン 1935年神戸市生まれ。関西学院大学商学部卒。米ワシントン大経営学修士(MBA)。米国に渡って学んだリースを手始めに、不動産、生命保険、銀行などと事業領域を広げてきた金融サービス界の重鎮。最高経営責任者の在任期間は30年を超え、企業経営に関する著書も複数ある。語り口はソフトながら、世の中の動きを分析する視点は鋭く、時に厳しい。マクロ経済についての関心も高く、規制改革にも長く取り組む。野球好きで知られ、球団オーナーの顔も持つ。現在も経営への助言を続けている。

 ライドシェアは世界で新しいサービスとして歓迎され人気のようですから、日本でも利用者に受け入れられるに違いありません。日本でもどんどんできるのかと思うのですが、法律上はいわゆる「白タク」にあたるため認められないとのことです。このまま推移すると主要国でライドシェアがないのは日本だけになりかねません。

 新規参入や競争がなければ既存の企業は悠々と経営できます。日本のタクシーの初乗り700円台というのはいつも高いと思っていました。気軽に乗れる水準ではない。最近やっと初乗りを400円台にする試みが始まりましたが、タクシーに近い業種としてライドシェアが認められれば、新たな競争が生まれ、利用者に大きな便宜が与えられるようになるでしょう。例えば今までに無かったサービスが生まれたり価格もより合理的になったりして、それが全国に広がっていくはずです。

 新しい競争相手が現れれば、既存の企業は対抗して知恵を絞ります。競争によってどのサービスがいいのか選ぶのは利用者です。行政というのは既存業界のためにあるのではなく、商品やサービスを使う利用者や消費者のためにあるということを忘れてはいけません。

■割安なLCCは大人気

 一部にある安全性が低下しかねないという議論は的外れでしょう。格安航空会社(LCC)が人気ですが事故が頻発しているという話は聞きません。これは機体の整備やパイロットの技能などについて、監督ができているということでしょう。ライドシェアや既存のタクシーが安全に運行されるかは行政の監督のやり方で統一的にできるものなのでしょう。

ウーバーの利用は欧州にも広がってきた(8月、ロンドン)=ロイター

 ライドシェアが広がらない一つの要因として日本の法律自体にも問題があります。タクシー等を規制する道路運送法はライドシェアはもちろんインターネットさえない時代につくられたものです。しかも日本の法律は抽象的に幅広く網をかけてつくられており、新しいものが出てきてもそれが適用できるかのようになっている。これでは消費者がどれだけ歓迎しても新しい事業の芽は古い法律の中で運用せざるを得なくなります。本来、消費者に不都合なことが先にあり、社会的にみてもそれに枠組みをはめる必要があると判断したときに法律をつくるのが自然でしょう。

 例えばウーバーの場合、会員制のクラブと考えれば、はたしてタクシーを規制している法律の対象なのかと疑問もわくのは素人考えでしょうか。

 私たちの暮らしを大きく変えたインターネット検索や動画の配信サービスは規制の多い日本ではとても成立せず、新しいサービスに寛容な米国だから成長したと専門家は指摘しています。政府は成長戦略を考えるなら、今ある法律や行政の仕組みをもう一度見直す必要があるのではないでしょうか。

 民泊の論議もライドシェアと似ています。民泊はもともと自宅に泊めてあげた友達が「お世話になりました」とお礼を置いていくことの延長線上にある極めて小さな経済活動です。安くて手軽だからこのような小事業は世界で広がり、日本でも空き家を活用する形で増え始めました。ところが政府はいったん解禁を打ち出したはずなのに、厳しい規制をかける方向の議論も出て、戦略特区での緩和といったことに進み始めています。

 ここでも旅館やホテルなどを対象につくられた法律が新しいサービスとぶつかった格好です。欧米ではB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)といって、道路沿いの民家が旅行者にベッドと朝食を提供するサービスをよく見かけます。簡素で割安なサービスは旅行者にとっても提供する側にも都合がいいわけですが、日本ではきっと「旅館業法違反」ということになるでしょう。

■経済は消費者のためにある

日本電信電話公社が民営化され、日本電信電話(NTT)が誕生した(1985年4月)

 民泊についても利用者が歓迎しているのだから、自由に経営できるようにすればどうでしょうか。利用者や近辺に何か不都合なことがあればその部分だけ規則を作り守ってもらえばそれで良いはずです。経済は既存業界のためにあるのではなく利用者、消費者のためにあるわけです。ホテルや旅館は消費者の支持を得られるよう新たに競合に知恵を出せればいいわけです。

 ただ、日本も悲観すべきことばかりだったわけではありません。通信、電力、国鉄などの民営化と規制改革を進めて、新しいサービスや産業をたくさんつくってきた歴史があります。たとえば日本電信電話公社(電電公社)が通信を独占していた時代、電話機は公社から借りたものを使うのが前提でした。それを「電話機は自分で買ってもいいのではないか」、というところから自由化を始め、今日の携帯電話やインターネットの全盛時代に至っています。この間に通信のコストは大幅に下がりました。

 電力も長年かかりましたが、小売りの自由化までたどりつきました。自由化が進む前、大手電力は真夏の需要のピークを基準にして設備投資をして、通常は余剰設備を抱えていました。自由化が進んだ海外の例では夏場の電力料金を高くすることで電力消費のピークを抑え、過剰な設備を持つことを防いでいるところもあります。競争することでいろいろな知恵が生まれるものなのです。

 アイデアと新しい技術をもったベンチャーが登場するからこそ経済は活性化するはずです。需要の不足がいわれていますが、経済対策による一時しのぎでなく消費者のニーズをとらえた本当の需要をつくれば、長期の停滞からの脱却につながるはずです。それは新しいものへの対応を社会がどう受け入れるか、法律を含めたあり方というか制度が今は問われているのでしょう。利用者目線でこれを解決する、そんな流れをつくれることを願っています。
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