経済中心に書いてます!

趣味の範囲で…園芸・沖釣り・漢方・医食同源の投稿をします…業務はCX・225指数・FX Pro. …

ノーベル経済学賞、日本人が受賞する条件

2016年10月11日 00時19分08秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGH05H0Y_V01C16A0000000/?dg=1&nf=1

ノーベル経済学賞、日本人が受賞する条件
(1/2ページ)2016/10/10 19:32日本経済新聞 電子版

 今年のノーベル経済学賞は、米ハーバード大学のオリバー・ハート教授、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のベント・ホルムストロム教授の受賞が決まった。ノーベル賞の歴史の中で、日本人が受賞していないのは経済学賞だけで、今年も受賞を逃した。日本人の経済学者が世界で評価され、ノーベル賞を受賞するためには何が必要なのか。

■「英語力の壁」やインパクト不足

故・青木昌彦氏

 昨年夏に死去した青木昌彦氏(米スタンフォード大名誉教授)の生前の活躍ぶりを示す著書が9月、書店に並んだ。タイトルは「比較制度分析のフロンティア」(青木昌彦・岡崎哲二・神取道宏監修)。世界各国の経済学会の連合体である国際経済学会連合(IEA)の会長を2008年から11年まで務めた青木氏が企画し、11年に北京で開いた世界大会での発表の中から、青木氏が厳選した論文を邦訳した。

 IEAの初代会長はジョセフ・シュンペーター。以来、ポール・サムエルソン、ケネス・アロー、アマルティア・セン、ロバート・ソローら世界を代表する経済学者が会長を務めてきた。ちなみに青木氏の後任はジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授(11~14年)である。

 青木氏は、人々の行動を左右する慣習などを「制度」と定義し、ゲーム理論の手法を使って各国の経済構造の違いを解明した。歴史や文化の中ではぐくまれる「制度」と、経済学の中でもとりわけ「純粋理論」の色彩が濃い「ゲーム理論」。対極にあるようにもみえる両者を結びつけて独自の理論を展開する、斬新な着想が世界の経済学界で高く評価された。人脈づくりにも熱心で、青木氏を中心に世界の研究者の強力なネットワークができあがっていた。「ノーベル経済学賞を受賞する資格があり、本人も狙っていた」(今井賢一・スタンフォード大名誉シニアフェロー)と評される青木氏のような存在は、残念ながら現在の日本には見当たらない。

 「比較制度分析のフロンティア」には、清滝信宏・米プリンストン大教授の「金融制約へのメカニズムデザイン・アプローチ」と題する論文も収録されている。引用された論文数を基準にノーベル賞候補を毎年発表している米トムソン・ロイターは10年、清滝氏を経済学賞の候補に選んだ。日本人が初受賞するなら清滝氏と関係者は口をそろえる。清滝氏の名前がよく挙がるのは、世界で認められている日本人がごく限られているためでもある。

 世界で評価される条件は何か。日本人の経済学者たちに尋ねると、ほぼ同じ回答が返ってくる。

 (1)アメリカン・エコノミック・レビュー、エコノメトリカ、ジャーナル・オブ・ポリティカル・エコノミーなど「トップジャーナル」と呼ばれる論文誌に投稿し、多くの論文が掲載される。

 (2)論文が世界の経済学者の間で注目され、他の論文に引用される。

 (3)論文に関連するテーマに取り組む研究者が増え、経済学界に大きな流れができる。

 (4)経済学の新分野を開拓した、あるいは既存の分野に新しい視点を取り入れて経済学を革新したと、多くの経済学者が認識する。

故・宇沢弘文氏

 何をすればよいのかは十分わかっていても、実行できないのはなぜか。依田高典・京大教授は「英語力の壁」を挙げる。数理経済学が全盛だった頃は、数学が得意な日本人学者が活躍する余地が大きく、ノーベル経済学賞の有力候補と呼ばれた宇沢弘文氏(東大名誉教授)らのスターが生まれた。応用経済学が主流となった現在、トップジャーナルのレフェリーを納得させる論理を展開するのは難しいとみる日本人学者は多い。

 岡崎哲二・東大教授が日本人学者に欠けているとみるのは「新しい問題を発見し、大きな流れをつくっていく力」。トップジャーナルへの掲載を目指してこつこつと努力し、成果を上げている学者は増えてきたものの、経済学界に大きなインパクトを与えるほどの勢いはない。

■海外との人材交流も乏しく

 この点でよく指摘される問題が、特定の分野への研究者の集中だ。例えば東京大学の場合、経済学研究科の大学院生の間で最も人気が高いのはゲーム理論。ゲーム理論が専門でトップジャーナルへの論文掲載の実績がある教授陣が在籍しているため、世界で活躍したいと考える若手研究者がゲーム理論に殺到している。論文を量産しないと大学に職を得にくいという就職事情も影響しているようだ。ゲーム理論は確かに最先端分野の一つではあるが、今後も「成長分野」であり続けるのかどうか。「ゲーム理論の論文を積み上げても、経済学の革新に貢献したと評価されるのは難しいのではないか」と懸念する声もある。

 ノーベル経済学賞の最近の動向をみると、サーチ理論、マーケットデザイン、産業組織論、開発経済学などで新たな潮流を起こした学者が受賞している。「小粒な研究」にまい進しているばかりでは、ノーベル賞は遠のく一方だ。

 岡崎氏はさらに、海外と日本の研究者の間での人材交流の乏しさも問題視する。海外で活躍する研究者を日本にスカウトできれば日本の大学の底上げになるが、「米国の大学の第一線の研究者の報酬は日本の大学の2~3倍。声をかけても断られる場合が多い」と嘆く。優秀な研究者には特別枠を設けるなどの対策を提案する。

 「日本人の受賞者ゼロ」を嘆く必要はないとの見方もある。アルフレッド・ノーベル自身が設けたわけではなく、スウェーデン国立銀行が設立300周年行事の一環としてノーベル財団に働きかけて誕生した経済学賞。「資本主義と自由主義を守る」という思想が根底にあり、マルクス経済学や反グローバリズムを正面切って唱える研究者らは選考からはずされる。米国中心主義も鮮明で、過去の受賞者の約7割を米国人が占めている。ノーベル経済学賞だけが経済学者の価値を決める評価基準ではない。

■世界経済の活路切り開く研究を

 ただ、市場の働きを万能視する「シカゴ学派」と呼ばれる学者たちが受賞を独占していた1990年代などに比べると、最近は受賞対象となる研究テーマの幅が広がっている。しかも、米国などで最先端の経済学を身に付け、米国の研究者らと「同じ土俵」で勝負する日本人研究者が増えており、ノーベル経済学賞の「偏り」を「日本人の受賞者ゼロ」の理由にはできない。

 むしろ「経済学の現状は、無国籍の創作料理に似ている。経済のグローバル化やIT(情報技術)化の影響を受け、日本料理とかフレンチの流れを無視して新しいモデルをつくるから、どこの国について分析しているのかわからなくなっている」(脇田成・首都大学東京教授)と心配する声が出るほどだ。

 グローバルな視点を取り入れながら独創的な研究に取り組み、成果を出していけば日本人学者が受賞するチャンスは十分にある。世界経済はこれからどこへ向かうのか。経済のグローバル化が進む中で長くデフレに苦しんできた日本経済を目の当たりにしてきた日本人学者の中から、世界経済の活路を切り開くような研究成果が生まれる可能性に懸けたい。

(編集委員 前田裕之)
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« サムスン電子、「ノート7」... | トップ | ノーベル経済学賞に米経済学... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

市場動向チェックメモ」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。