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主役はロシア 中東・エネルギーの新地政学  編集委員 松尾博文

2016年10月17日 21時31分40秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08309700T11C16A0000000/?dg=1

主役はロシア 中東・エネルギーの新地政学  編集委員 松尾博文
(1/2ページ)2016/10/17 6:30日本経済新聞 電子版

 石油輸出国機構(OPEC)が「サプライズ減産」で合意した9月28日、ケリー米国務長官は電話の向こうにいるロシアのラブロフ外相と対峙していた。

 米ロが仲介したシリア停戦は崩壊の瀬戸際にあった。ケリー長官は翌日も、翌々日もラブロフ外相と電話で協議したが、打開策は見つからず、米政府は10月3日、停戦協議の停止を発表した。

シリア停戦の米ロ合意は崩壊した。2日、シリアの首都ダマスカスで、アサド政権軍の空爆の後、壊れた建物のがれきの脇を歩く人々=ゲッティ共同

 シリア内戦と原油安――。2つの混乱が、同じタイミングで1つの像を結びつつある。増大するロシアの存在感である。

■シリアをてこに孤立打破狙う

 政権交代期に入った米国に、シリア情勢を打開する次の手を打つ余裕はない。外交解決は遠のき、ロシアが支援するアサド政権は攻勢を強める。

 OPECの盟主サウジアラビアは長引く原油安に耐えきれず、相場の立て直しへかじを切った。実現には非OPEC産油国、なかでもロシアの協力が不可欠だ。

 いずれもロシアが行く末を握る。

 シリア内戦が始まって5年8カ月、原油価格の急落から2年あまり。世界を巻き込む我慢比べの果てに見えてきたのは、中東とエネルギーをめぐる新たな地政学の姿だ。

 9月12日に発効したシリアの停戦は、オバマ政権にとって、内戦を軍事力に頼らず解決に導く最後の機会だった。しかし、同政権の「時間切れ」を視野に入れるロシアは当初から冷ややかだった。

松尾博文(まつお・ひろふみ)89年日本経済新聞社入社。エネルギーや商社、機械・プラントなどの業界や経済産業省、外務省などを取材。イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)の3カ国に駐在した。現在は編集委員兼論説委員。エネルギー問題、インフラ輸出、中東・アフリカ情勢などを担当。

 米国を中心とする有志連合によるアサド政権軍への「誤爆」も重なり、停戦発効から1週間あまりで政権軍は米国が支援する反アサド勢力への空爆を再開した。

 ロシアはシリアでの影響力をてこに、ウクライナをめぐる孤立と劣勢の打破を狙う。ウクライナ情勢と中東問題を切り離して対ロ協力を探った米国との溝は埋まらなかった。「和平をあきらめたわけではない」。ケリー長官の発言には悔しさがにじむ。

■原油減産でも存在感

 シリアでロシアの利益を体現する「駒」がアサド政権だとすれば、原油市場での「相棒」はイランだ。

 「OPECが市場管理を取り戻す決断だ」。サプライズ減産を決めたアルジェリアでの臨時総会後、満足げに報道陣の質問に応じるイランのザンギャネ石油相の脇を、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が無言で通り過ぎた。

 長引く原油安はサウジに重くのしかかっている。しかし、サウジだけが減産しても供給過剰の解消に与える効果は小さい。産油国が足並みをそろえる必要がある。なかでもOPECの内側ではイラン、外ではロシアが加わるかどうかが鍵を握る。

原油の価格安定はロシアとの連携がカギを握る。9月28日、アルジェリアのアルジェで原油の減産合意について記者会見したOPECのサダ議長(カタール・エネルギー相)=AP

 9月上旬に中国・杭州で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議。ロシアのプーチン大統領と、サウジの実力者、ムハンマド副皇太子が会談し、原油相場の安定で連携することを確認した。

 サウジは水面下でイランにも接触した。「イランが増産を停止すればサウジは減産する」と提案したとされる。折り合えずになだれ込んだアルジェリアで、サウジはイランを減産の例外扱いとする、もう一段の譲歩に踏み込んだ。

 サウジはシリア内戦で反アサド勢力を支援する。アサド政権を支えるロシアやイランはいわば、敵だ。譲歩を重ねてまで歩み寄る姿には、「なんとか原油価格を上げたい」(外交関係者)サウジの苦境がにじむ。

■トルコとも急接近

 ロシアはシリア西部にあるロシア空軍の基地防衛を理由に、最新鋭の地対空ミサイル「S300」を配備した。地中海沿いの海軍基地の恒久化も急いでいる。

ロシアは関係が悪化したトルコとも距離を急速に縮めている。10日、イスタンブールの世界エネルギー会議に出席したロシアのプーチン大統領(中央)とトルコのエルドアン大統領=AP

 シリア領内の過激派組織「イスラム国」(IS)を攻撃するため、ロシア軍機はイラン西部ハマダンの同国軍基地から出撃した。カスピ海のロシア艦艇から発射された巡航ミサイルはイランやイラクの上空を通過した。

 「唯一の超大国」として、米国の「威光」が中東に及んでいた10年前には考えられない事態だ。

 ロシアとトルコは昨年11月に起きたシリアでのロシア軍機撃墜事件をめぐり関係が悪化した。ここに来て、エルドアン大統領の強権姿勢へ批判を強める米欧諸国へあてつけるように、トルコはロシアとの距離を急速に縮めている。

 シリアからトルコを経てイランへ。弧を描いて東西に伸びるロシアの勢力圏が中東に出現しつつある。ペルシャ湾岸のアラブ産油国は自国の北側に張り出すロシアの影を意識せざるを得ない。

 プーチン大統領は今月10日、トルコ・イスタンブールで「OPECの生産調整に加わる用意がある」と表明した。ロシアが石油市場での存在感を見せつける場に、シリア内戦の最前線であるトルコを選んだ意味は小さくない。
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