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W杯最終予選、ハリル監督が見せた2つの顔 編集委員 武智幸徳

2016年10月13日 11時22分22秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08256590S6A011C1000000/?dg=1

W杯最終予選、ハリル監督が見せた2つの顔
編集委員 武智幸徳
(1/3ページ)2016/10/13 6:30日本経済新聞 電子版

 サッカーの2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選でB組の日本代表は10月の連戦を1勝1分けで終えた。6日のイラク戦、11日のオーストラリア戦でまったく異なる顔を見せた戦いを振り返るとき、日本の苦闘はまだまだ続くと予感した。

W杯アジア最終予選B組

位 チーム名 勝 分 敗 勝

点 得


1 サウジアラビア 3 1 0 10 5
2 オーストラリア 2 2 0 8 3
3 日本 2 1 1 7 2
4 UAE 2 0 2 6 -1
5 イラク 1 0 3 3 0
6 タイ 0 0 4 0 -9

 イラクに2―1で勝ち、オーストラリアに1―1で引き分けた日本の通算成績は2勝1分け1敗の勝ち点7、順位は一つ上げて3位になった。首位にはアラブ首長国連邦(UAE)との中東対決を3―0で制したサウジアラビアが3勝1分け(勝ち点10)で浮上し、2勝2分け(同8)のオーストラリアは2位に落ちた。

 アジア最終予選の次の日本の試合は11月で、オマーンと親善試合(11日、カシマスタジアム)を一つこなしてから、15日に埼玉スタジアムで首位サウジと戦う。年内最後の最終予選をきちっと勝ち点3を挙げて締めてもらいたいものである。

 2試合で最低限のノルマに思えた勝ち点4を挙げ、一部のメディアをにぎわす解任論を封じ込めた日本代表のハリルホジッチ監督だが、6日のイラク戦は後半追加タイムの山口(C大阪)の決勝点で劇的な勝利を収めたものの、内容は褒められたものではなかった。

■守りが中途半端なら攻めも中途半端

 気になったのは最終予選初戦の9月のUAE戦から続く安定感を欠いた守備。力は日本が上のはずなのに、攻められると結構危ない形をつくられてしまう。プレスをかけるタイミング、ボールの取りどころにチームとしての意思統一が感じられず、攻撃もつなぎの過程でパスやトラップなどに細かいミスが出る。守りが中途半端なら攻めも中途半端、ボールの失い方が悪いから守備も苦しくなる悪循環にはまり込んでいる感じだった。

気になったのは9月のUAE戦から続く安定感を欠いた守備=共同

 イラク戦では先発で右サイドのFWを任された本田(ACミラン)の不調も心配になった。81分に小林(川崎)と交代したときは「遅きに失した」と思ったほどだった。26分に原口(ヘルタ)が先制点を決めた場面にしても、原口にラストパスを送った清武(セビリア)はオフサイドの位置にいたが、そうなったのは(副審は反則を採らなかったが)、オーバーラップした清武にパスを出した本田と受けた清武のスピード感のあまりのギャップにあるように感じられた。

 その一方で、本田がいないと困るなという場面も何度かあった。ゴール前でのヘディングの強さである。イラク戦では相手CKの際に、そこに飛び込んで合わされたら致命的と思える場所に本田が置き石となってボールを跳ね返した。攻撃面でも、クロスを頭で直接ゴールを狙うにしろ、中に折り返すにしろ、ヘディングの仕事が一番正確なのは本田だった。主審が得点に認めず、物議を醸したUAE戦の浅野(シュツットガルト)のシュートにしても、その一つ前で本田がヘディングで正確にお膳立てしていた。

 まして、最終予選第4戦で戦うオーストラリアは大型選手を前にも後ろにもそろえている。セットプレーからの得点は彼らの武器でもある。となれば、相手のCKやFKを跳ね返す要員として、本田を先発から外すのは難しいと考えていた。

 厄介なことにオーストラリアの攻撃は右より左の方が強烈で、左SBのスミス(ボーンマス)の突破力とクロスの鋭さはアジアの水準を超えている。いつもどおり、本田を右のFWに置くとモロにスミスと対峙する。トップフォームの本田なら「君、本田のマークを外して前に攻めていって大丈夫?」とスミスに対して余裕のセリフをかませたが、イラク戦の本田の出来を見れば、事態は逆になりそうだった。

オーストラリア戦の原口の先制点は本田(右)の特長がうまく出たゴールだった=共同

■本田、ぶっつけ本番同然でCFの仕事

 オーストラリアのポステコグルー監督が「どんどん前に出て本田を置き去りにしろ」と指示するのは目に見えていた。本田の守備の戻り遅れを心配し、勤勉に戻って守備をしたらしたでそこで体力を使い、攻撃で役に立たなくなるのも心配だった。それでは本田を使う意味がない。右サイドでスミスと対峙したら、イラク戦よりもっと早く交代に追い込まれる気がした。

 対オーストラリア向けにハリルホジッチ監督が出した答えは本田をFWの真ん中で使うことだった。右には運動量のある小林(川崎)を置いた。小林には高さもあるからスミス封じにも空中戦要員にも使えて一石二鳥。本田がセンターフォワード(CF)でプレーするのは2012年10月にポーランドのウロツワフでブラジルと戦って以来だから、冒険的な配置転換だったが、守備力のベースアップを主眼にするのなら理にかなった策といえた。

 4年ぶりのCFの仕事を本田はぶっつけ本番同然で何とかこなしてみせた。日本の攻撃陣の中ではDFを背負える強さがある方だから、奪ったボールの預け先として堅実な仕事ができる。いわゆる“タメ”もつくれるから周りの選手はボールを持った本田の体勢を見ながら、次に起こすべきアクションを選択できた。

 原口(ヘルタ)のパスカットから長谷部(アイントラハト・フランクフルト)、本田を経由して原口にラストパスが戻って生まれた先制点は、本田自身が「自分が取るというより、周りが点を取りやすくなる」と語る特長がうまく出たゴールだった。

 対オーストラリア用に4人、時にはトップ下の香川(ドルトムント)も加わって5人のMFと4人のDFで築いた守備のブロックはなかなか強固だった。ブロック全体の移動スピードやブロック内の補修や修復の作業効率がアップしたように感じた。CBとボランチの間で回されるパスを本田もよく追っていた。ロングボールの多用から、つなぎのサッカーに変革中のオーストラリアがブロックの中にパスを入れようとしても、簡単には通させない密度が、特に前半はあった。11人の守備意識のベクトルがきちっと同じ方向を向いていた、という意味では、今大会一番の出来だったように思う。

 勝てばB組首位に立てる可能性もあった試合で守備重視の戦いをしたことを批判する向きもあるが、やむを得ないのではないだろうか。主将の長谷部はオーストラリアの攻撃を「イマジネーションとか連係とかはあまり感じなかった」と話したが、確かにつなぐサッカーに変身中といっても、攻めはサイドに展開してクロスを入れるというオーソドックスな手口に限られた。意表を突かれることは少ないから、こちらも基本に忠実に守れば怖くないという感触は試合前からあったわけだ。

 それゆえにハリルホジッチ監督も現状のメンバーで一番勝てる確率の高い道を選んだのだろう。酒井宏(マルセイユ)の出場停止、長友(インテル・ミラノ)の負傷離脱、イラク戦で左足首を痛めたFW岡崎(レスター)はベンチ待機に回り、さらに遡れば、宇佐美(アウクスブルク)と武藤(マインツ)も代表メンバー発表後にケガで辞退した。櫛(くし)の歯が欠けるように戦力が手薄になっていく状況の中で、監督は勝利への最短距離だと信じる道を行った。それが本当に責めに値することなのかどうか。

 もっとも、オーストラリア戦はあの戦い方でやむなしとして、心配なのは次のサウジ戦である。長谷部も「ホームで同じことをやれるかというと……」。日本で試合をするときは、オーストラリア戦で日本がやって見せたことを相手がやってくる。順位などその時々の状況にもよるが、オーストラリアやサウジは守りを固めて日本を誘い込む策に出てくるだろう。11月決戦の場合、サウジは引き分けで十分なのだから。

ゴール前を固める相手への攻略法をハリルホジッチ監督はまだ示せていない=共同

 個人的には、相手がどこであれ、どんな戦いをしてこようと、本田はCFやトップ下など中央でプレーした方がいいと思っている。ゴールの近くに置いてシュート力とキープ力を生かす原点に回帰させた方がチームにはメリットがあると。今回のオーストラリアとのアウェー戦では、その有効性の一端が確認できたが、相手が引いてしまう日本のホームゲームでも使える手かどうかはわからない。そういう意味ではサウジ戦の前のオマーンとの親善試合をいろいろな予行演習の場にしてもらいたいもの。

■ハリル氏、劣位からの逆襲似合う監督

 オーストラリア戦を見ながら、ハリルホジッチ監督は劣位からの逆襲が似合う監督だとも感じた。ビッグクラブや大国を率いたことがないから当たり前だと言われたらそれまでだが、ブラジル大会でアルジェリアを率いてドイツを陥落させかけたように、攻め込んでくる相手を向こうに回し、新手や奇手を繰り出しながら、ひと泡吹かせる策士の仕事が性に合っているのではないかと。

 逆にまったく引きこもって相手が出てこない城攻めはあまり得意ではないような。審判や判定にケチをつけ、城を落とせない理由を選手のコンディションばかりに求めるのも、苦手な城攻めにフラストレーションがたまってしまうからではないかと。

 W杯の最終予選で日本の歴代の代表監督は立て籠もる相手を崩すのに苦労してきた。その攻略法(アジア仕様)に予選を通じて磨きをかけたと思ったら、それは本大会ではあまり出番がなかったりする。W杯では日本が押し込まれる側になるからだ。ハリルホジッチ監督は、日本がW杯の舞台に立ったときの世界仕様をどうするかで、代表監督の指揮を任された。

 監督はオーストラリア相手にその一端を見せたように思う。見方を変えれば、世界で使うはずの堅守速攻の策を、予選の段階で出さなければならないほど追い詰められていた、ということになるのかもしれない。

 今はまだ日本はアジアの戦いのさなかにいる。城門を固く閉ざした城を一つ一つ抜いていかない限り、W杯に出られない。残念ながらその攻略法を監督はまだ十分に示せていないように思う。
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