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電子書籍「読み放題」一部削除はアマゾンの転機か  編集委員 西條都夫

2016年10月11日 14時10分16秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08133400X01C16A0000000/?dg=1

電子書籍「読み放題」一部削除はアマゾンの転機か
 編集委員 西條都夫
(1/2ページ)2016/10/11 6:00日本経済新聞 電子版

 アマゾンジャパン(東京・目黒)と講談社をはじめとする出版業界の対立が波紋を広げている。事の発端はアマゾンが8月初めに始めた読み放題サービスの「キンドル・アンリミテッド」だ。

「キンドル・アンリミテッド」は和書で12万冊、洋書で120万冊を用意したが…

 講談社はこのサービスに書籍や雑誌など1000を超えるタイトルを提供していたが、サービス開始から1週間ほどで比較的人気の高い写真集数点(スノーボード元五輪代表の今井メロさんや元オセロの中島知子さんら)が読めなくなった。

■通告なしに読めなくなる

 それに対して「元に戻して読めるようにしてほしい」とアマゾンに抗議を続けていたところ、何の通告もなく、9月30日の夜から翌朝にかけて1000点強全てが読めなくなった。同社が10月3日に出した声明には「このような状況にたいへん困惑し、憤っております」という率直な真情がつづられている。

 同社以外にも大手では小学館や、中堅では少女漫画の白泉社や官能小説のフランス書院などのタイトルも一部または全部が読めなくなった。個別の契約なので関係者の口は一様に重いが、何人かの出版業界関係者によると、事の経過の大筋は以下の通り。

 ・アマゾンは読み放題サービス開始に合わせて利用できるタイトルを充実するために、年末までの期間限定で出版社に上乗せ料金を払う契約を結んだ。

 ・ところがふたを開けると、アマゾンの予想を上回る利用があり、出版社への支払いも予算以上に膨らむ恐れが出てきた。

 ・そこで各出版社や取り次ぎと契約内容の再交渉を始めたが、かならずしも交渉はすんなり進まず、そうこうするうちに一部(または全部の)タイトルが削除された――。

西條都夫(さいじょう・くにお) 87年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)などを経て産業部編集委員。専門分野は自動車・電機・企業経営全般・産業政策など。

 一方でアマゾン側は「書籍や動画などを対象とした数多くの定額利用型のサービスと同様に対象作品は随時変動する」とコメントするだけで、経緯については口を閉ざしている。

 さて、この一件からはアマゾンの抱える2つの問題点が浮かび上がったように思う。

 1つは「市場の理解が不十分ではないか」という疑問。読み放題サービスは米国で先行的に始め、アマゾンにはそれなりにノウハウの蓄積があると見られるが、米国と日本の書籍市場は別物だ。日本の電子書籍市場はコミックスや写真集のようなビジュアル系コンテンツが7~8割を占めるといわれ、1人の人がたくさんのタイトルを高速で消費することが可能だ。その結果、仮に閲覧回数ベースで出版社に対価を支払う契約を結んでいれば、アマゾンの負担は重くなる。

■「顧客第一」はいずこ

 むろん日本の電子書籍市場でも重きをなすアマゾンが日米の違いを知らないわけがない。そこで出版業界でささやかれているのが、「日本の事情をよく分かってない米国のアマゾン本社の主導で契約やサービスの設計が進み、日本法人には発言権がなかったのでは」という見方だ。セールスの基本は「市場を知れ」「顧客を知れ」だが、この基本がおろそかになっていなかったかどうか。

キンドルストア上で対象作品にキンドル・アンリミテッドのマークが表示される

 もう1つの懸念が、アマゾンの経営理念である「カスタマー・ファースト(お客様第一)」の原則からの逸脱だ。読み放題に加入した人はそれぞれお目当ての本や漫画があって、それを読むために契約した人が多いだろう。それをアマゾン側の内輪の都合で削除することは、カスタマー・ファーストの理念に相反するのではないか。

 アマゾンに限らず、大手流通資本が台頭する時は「顧客第一」を旗印に掲げることが多い。ダイエー創業者の中内功さんは顧客に少しでも安い商品を提供しようと、松下電器産業(当時、現パナソニック)などのメーカーや問屋とけんかすることも辞さなかった。だが、大企業病といえばいいのか、いつしか顧客第一の原則を見失い、不動産投資などに乗り出して自滅した。顧客の支持を集めて驚異の急成長を遂げてきたアマゾンもそろそろ転機を迎えているのかもしれない。
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