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東芝再生のカギも握る、半導体巡る米中摩擦  編集委員 西條都夫

2017年04月19日 06時45分43秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15394830X10C17A4000000/?n_cid=DSTPCS001

東芝再生のカギも握る、半導体巡る米中摩擦  編集委員 西條都夫
(1/2ページ)2017/4/18 6:30日本経済新聞 電子版

 東芝の再建が軟着陸するか、ハードランディングに至るのか、そのカギは稼ぎ頭のフラッシュメモリー事業の売却が順調に進むかどうかだ。15日付の日経新聞は「東芝半導体 混戦に」という記事を掲載し、買収に名乗りを上げた各陣営の動向を伝えた。

 こうした個別の動きを離れて、本稿では今世界の半導体市場の底流で何が起きているかを考えてみたい。それは東芝のメモリー事業の行方にも陰に陽に影響するだろう。その「底流の動き」を一言でいうと「半導体の覇権をめぐる米中のせめぎ合い」である。

 こう書くと、米中がほぼ互角の立場でぶつかり合っている印象があるかもしれないが、現状では開発力でも生産力でもIP(知的財産権)の蓄積でも、あるいは半導体製造装置のような関連産業の厚みでも米国のリードは大きい。だが、この優位が「いつの日か中国の攻勢で脅かされ、イノベーション(技術革新)を生み出す産業のエコシステムが破壊されるかもしれない」というのが米国の懸念である。

■中国、10年間で16兆円投資

中国は2030年までには半導体で世界最高レベルの能力を持つことを目標に掲げている

 ここではまず中国の動きから触れてみたい。中国政府が2014年6月に決めた「国家集積回路発展推進要綱」では15年には回路線幅28ナノメートル、20年には同14ナノメートルの先端製品の量産を実現し、30年までには半導体の主要な全セグメントで世界最高レベルの能力を持つことを期す、と具体的な目標を書き込んだ。これが号砲となって中央政府や地方政府による投資ファンドの設立が相次ぎ、その規模は後に触れる米大統領科学技術諮問委員会(PCAST)によると、「向こう10年間で1500億ドル(約16兆円)」に達するという。

 なぜ中国はこれほど半導体でのキャッチアップに意欲を燃やすのか。IT(情報技術)時代の「産業のコメ」ともいえる半導体を自前でつくる能力を持たない限り、産業の高度化は難しいと考えているからだろう。一つ象徴的な数字がある。昨年の中国の貿易統計をみると、「半導体等電子部品」の貿易赤字は1664億ドル(約18兆円)に達し,「石油及び粗油」の1143億ドル(約12兆円)を大きく上回っているのだ。

 むろん中国は輸入した半導体をスマートフォンなどに組み立て、その多くを再輸出しているので実質的な赤字はもっと小さいはずだが、巨額の半導体赤字が映すのは先端的な部品を自前でつくれず、組み立てなどで賃加工的に稼ぐしかない産業構造の劣後だ。これを克服するためにカネに糸目をつけず、必要とあらば外資の買収を通じた技術資源や人材資源の獲得に乗り出したのが、過去3年間の「日の丸半導体」ならぬ「五星紅旗半導体」の実態である。

 こうした動きを警戒する一つは台湾だ。台湾企業が中国本土に半導体工場をつくる場合は台湾当局の許可が必要で、かつ、その工場に最先端のプロセス技術を導入することは禁止し、それより1世代古い技術の導入しか認めていない。基幹産業である半導体の技術をやすやすとは流出させまいという当局の意志を感じさせる。


 もう一つ「中国の野望」の前に立ちはだかるのが、いうまでもなく米国だ。先に触れた大統領の諮問機関のPCASTが今年1月、当時のオバマ大統領宛てに「半導体における米国のリーダーシップとイニシアチブを確保するために」という報告書を提出した。リポートを書いたワーキンググループにはインテル、クアルコム、JPモルガン・チェースの経営トップなどそうそうたるメンバーが名を連ねる。

 それによると、半導体を「ロボットや人工知能(AI)など次世代技術の基盤ともいえる重要性を持つほか、国防技術においてもカギを握る、米国としては他国に優位を譲るわけにはいかない分野」と規定。中国の産業政策が健全な市場競争をゆがめることに警鐘を鳴らし、必要なら対抗措置を取るべきだとした。興味深いのはこのリポートが保護主義的なトランプ政権下ではなく、対中融和的ともいわれたオバマ政権の末期に出されていることだ。半導体のリーダーシップの死守は、党派を超えた米国の総意とみることができる。

■警戒強める米、包囲網形成めざす

独アイクストロンの米国法人の買収に、米政府は待ったをかけた

 このリポートが出る以前も、中国資本による米半導体企業の買収の試みは相次いで頓挫してきた。最も有名なのは15年の中国・紫光集団による米マイクロン・テクノロジーへの買収提案で、これに米政府は「待った」をかけたといわれる。米政府の関与がより明確だったのは、対米外国投資委員会(CFIUS)が昨年11月に「安全保障上の懸念がある」と表明した中国投資会社による半導体製造装置メーカー(正確には独アイクストロン社の米国法人)の買収で、これも流れた。

 むろん中国側は「中国のプロセス技術は3世代分も遅れており、米国の脅威にはならない」「中国の動きを怖がらず、米メーカーも中国で積極的にビジネスすることで利益を上げてほしい」などと発言しているが、米国の態度は今のところ変わらない。

 日本もこうした米中間の緊張とは無関係ではあり得ない。PCASTは先のリポートでally(同盟国)やlike-minded partners(同志)といった表現を使いながら、中国の攻勢にこうした仲間とともに立ち向かう必要性にも言及した。3次元積層などの先端技術を有する東芝のメモリー事業の買い手が誰かについても、無関心ではないはずだ。


西條都夫(さいじょう・くにお)
 87年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)などを経て経済解説部編集委員兼論説委員。専門分野は自動車・電機・企業経営全般・産業政策など。
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