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グルメ情報Retty 成長の源泉AI、導入の内幕 樽石将人 Retty CTO

2017年08月22日 23時00分40秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19271700W7A720C1000000/?n_cid=DSTPCS003

グルメ情報Retty 成長の源泉AI、導入の内幕
樽石将人 Retty CTO
(1/3ページ)2017/8/22 6:30日本経済新聞 電子版

日経情報ストラテジー
 昨今のAI(人工知能)ブームを引っ張っているのは、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる手法だ。実名型口コミのグルメ情報サービスを手掛けるRetty(レッティ、東京・港)は、写真画像分類などでディープラーニングを活用するAIの先進企業だ。同社の取り組みを樽石将人CTO(最高技術責任者)に語ってもらった。(日経情報ストラテジー)

Rettyは実名型口コミのグルメ情報サービスとして成長を続ける。スマホアプリの利用者も多い。情報の分類、加工でAIが大きな力を発揮している(画像:Retty)

■AI導入の初期投資は約15万円

 私がCTOを務める「Retty」では、ディープラーニングなどの技術を使って、従来は人にしかできなかった業務を自動化するAIを開発し、運用している。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる取り組みに近い。

 2016年5月に第1弾として、ユーザーが投稿する写真画像を、料理/店舗外観/内観(店内)/メニューの四つに分類する作業を自動化した。従来は、他の作業と合わせて外部に委託しており、分類だけで月に数十万円程度かかっていた。

 今では、外注はほぼゼロ。AI導入の初期投資は、人件費を除いて15万円ほどなので、1カ月もかからずに投資を回収できた計算になる。

RettyのAI開発を統括する樽石将人CTO。AIについてはRetty入社後に学んだ部分も多い

 2016年6月に実用化したAIの第2弾は、人間にもできなかった仕事を自動化するものだ。投稿された写真画像の解像度を高める「超解像」を、深層学習によって実現した。

 AIに置き換えた業務はほかに3つある。人の作業を残したままサービスを強化した案件を含めると、適用箇所は全部で10に上る。

 業務のスピードが劇的に向上したのに加え、超解像のような新しいサービスを実現できた。現在は、AIがこなす業務範囲をさらに広げるべく、開発を進めている。

 良いと思った店舗や料理を推薦する口コミから料理名を抽出したり、デートや接待など、どういう用途に向く店舗であるかを判別してタグ付けしたりするAIの実用化にメドを付けた。外注している仕事を中心に、AIに置き換えていく。

■AIを開発しないと先がない

 今でこそAIの開発が軌道に乗り成果も出ているが、取り組みを始めた2015年10月当初は、AIに詳しい人材が社内に一人もいなかった。文字通りゼロからの出発だった。

 AIを実用化できる確信などなかったが、どうしてもAIで業務を自動化しなければならない理由があった。当時のままではRettyのビジネスが頭打ちになるのは必至で、事業をスケールさせるには、AIを実用化するしかなかったからだ。

 Rettyのサイトやスマホアプリのサーバーには、ユーザーからグルメの口コミ情報が投稿される。主として、料理、店、メニューなどの写真画像、テキストの口コミだ。

 月間のユーザー数は3000万人(2017年5月時点)。2011年のサービス開始以来、蓄積した口コミは数百万件、写真画像は1000万枚を超える(同)。これだけの情報を投稿してもらっていることがRettyの最大の財産だ。

 日々投稿される口コミ情報はRettyのビジネス資産だが、このままでは潜在的な価値を最大限に引き出せない。分類、タグ付け、メニュー写真のテキスト化といった編集・加工で価値が高まる。

 口コミという自然言語や画像の編集・加工だから、以前はコンピューターで自動化できていなかった。人間がやるしかないので、ユーザー数とともに口コミ情報が増えるほど、費用も増加する。

 ビジネスの根幹である価値を生むプロセスが労働集約的で、スケールしない状態で、歯がゆい思いを続けてきた。せっかく膨大な口コミ情報を投稿してもらっているのに、全てを編集・加工するのは無理なのだ。

 コストを考えると、人気の地域やジャンルを優先するしかない。新しいコンテンツのアイデアが浮かんでも、あきらめることもあった。

 投稿してもらった口コミ情報を最大限に生かしてユーザーの期待に応え、Rettyが成長していくには、自然言語や写真画像を自動的に編集・加工するAIの開発が不可欠。口コミ情報とともに増えた仕事に追われる社内で、多くの社員が同じ認識を持つようになり、CTOとしてプレッシャーを感じていた。

■突破口を開いたインターン生

 AIの開発といっても、雲をつかむような話だ。「畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network=CNN)」という新しいアルゴリズムによって、画像に何が写っているのかを判別する精度が飛躍的に向上した、という話は知っていた。

 しかし、業務に適用するとなると一筋縄ではいかない。CNNは日進月歩の技術だから、解説書を読むだけでは不十分で、最新の技術論文も読んで理解を深める必要がある。

 調査すべきはCNNだけではない。AIに使える新しいアルゴリズムはほかにもあり、従来型のニューラルネットワークも理解しなければならない。これらと統計学的な手法とを、適用する業務の内容に応じて、使い分けたり組み合わせたりする必要がある。

 先述したように、社内にAIに詳しい人材がいたわけではない。それどころか、ITチームは全員日々の仕事に追われており、AIの調査・研究に回す余裕もなかった。

 突破口を切り開いたのは、実は社員ではない。インターンシップの学生だった。インターンは実務では役に立たないと思うかもしれないが、Rettyの考えは違う。実際、大学・大学院で研究している内容については、社員より詳しいことも珍しくない。

 手始めとして2015年夏に、学生から条件を提示して企業を探す、人材紹介会社主催の逆求人イベントに参加し、社内のエンジニアが熱っぽく、プレゼンテーションした。これをきっかけに、AIを研究するインターン生のAさんが入ってきた。

 相談して、ユーザーが投稿した口コミから料理メニュー名を抽出するAIの開発に取り組んでもらった。このAIの難しさは、「玉子焼き」のような一般的なメニュー名だけでなく、「茄子とほうれん草のふわふわ焼き」といった、各店舗で異なるオリジナルのメニュー名を抜き出すことにある。

 従来は人手で抜き出していたが、しばしば間違いが起こる。AIによる自動化は難航が予想された。

 ところがAさんはすぐにAIのプロトタイプを開発し、2015年10月にデモを行った。実用レベルに達していないものの、可能性を感じさせるものだった。ちなみに、現在は社員のエンジニアが実用化へ向けて開発を引き継いでいる。

 このデモが社内に衝撃を与えた。「インターン生はAI開発でも即戦力になる」。Retty社内はこの考えで一致し、インターン生の獲得にさらに力を注いでいく。

 現在は運営を修了しているが、2015年11月には、「Retty Technology Campus Tokyo(Tech Campus)」と名付けた学生向けオフィスを、東京大学本郷キャンパスの近くに設けた。

 オフィスといっても、実態はコワーキングスペースの一部を借りただけのもの。それでも、電車で30分以上かかる東京・五反田のRetty本社(当時の所在、2017年6月より東京・港区の麻布十番)とは違い、大学の研究室からすぐに通えるため、多忙な東大のインターン生に好評だった。

■インターン生に社員が触発される

 Tech Campusは、単なる学生向けオフィスではなく、RettyのAI開発拠点という位置付けだ。社員エンジニアをインターン生から何でも相談を受けるメンターに任命。そのうえで、インターン生一人ひとりがAIの手法を考えて適用し、成果を週次で発表する。さらに、社員エンジニアからのフィードバックを基にインターン生が改良するというサイクルを回した。

週次でインターン生と社員のエンジニアがAIについて議論する。社員とインターンが一体となってAI開発を進めるのがRetty流だ(写真:Retty)

 インターン生に触発されるように、社員エンジニアの間でもAI開発への意欲が高まる。メンターとして相談を受けたり助言したりする過程で、AIの知識が自然と身に付いたうえに、インターン生の前向きな姿勢に共感したようだ。

 ビッグデータ処理に詳しい一部の社員エンジニアが、AIを勉強し試行錯誤するようになった。時間は、「10パーセントルール」という社内制度を使って捻出した。

 これは、業務時間の10%を、自分の担当業務を超える課題解決に割り当てられるもの。10%の余力をAIに注ぎ込んだというわけだ。

 翌12月に、Aさんが成果を出す。ユーザーが投稿した写真画像を料理、店舗外観、内観(店内)、メニューの4つに分類するAIのプロトタイプを開発したのだ。この時点で既に精度が高く、社員のエンジニアが開発を引き継いで半年後に、RettyでのAI実用化第1号となった。

 12月下旬には、行動情報データ解析事業のUBIC(現FRONTEO)と共同でAIのハッカソンを開催。このころからインターンの応募が徐々に増えていく。

 象徴的な存在が、米ハーバード大学に留学中の日本人学生Bさんだ。翌2016年1月にインターン生になり、ユーザーが自然言語による対話形式で店舗を検索できるチャットボットのプロトタイプを開発した。

 2016年春には、Tech Campusの話が口コミで広がったためか、早稲田大学や慶應義塾大学などからもインターン生の応募が来るようになった。

 同年4月には、社員エンジニアの一人をAI開発の専任にした。AI専任の社員が主導することによって、開発がさらに加速する。

 インターン生と社員エンジニアが一緒になって考案したAIのアイデアのうち、実現可能性ありと判断したものはこれまでに60個以上。AI専任者が主導して検証し、実用化していった。

 既に触れた通り、AIの適用箇所は全部で10に上る。今後もインターン生の力を借りながら、増やしていく予定だ。

■AI基盤をアキバで調達

 Rettyで開発したAIの大半は、大量のデータを基にした、いわゆる機械学習で精度を上げる。機械学習は、膨大な行列計算を伴う。

 一般に、AIの活用が進むほどコストが膨らむ。ビッグデータによってAIを作成・補正する機械学習の過程で、大きなコンピューティングリソースを必要とするからだ。

 AI向けプロセッサーとしては、GPU(グラフィックス処理専用プロセッサ)が適しているため、基盤として、GPU搭載仮想マシンのクラウドサービスを考えた。しかし高価で、導入に踏み切れなかった。クラウドサービスとオフィスとのネットワーク遅延によって、開発の生産性が上がらないという問題もあった。

 求めていたのは、社員のエンジニアやインターン生が24時間いつでも好きなだけ定額でGPUを使える環境だ。最終的に、クラウドではなくオンプレミス(自社所有)環境で導入するのがいいと判断した。

 コストを下げるため、高性能のGPUワークステーションは購入せず、汎用パソコンに数万円のGPUボードを載せたものを調達することに決めた。AIの開発を始めたばかりだったので、GPUを使う時間は限られる。それ以外は、通常の開発環境として利用できるようにした。

 東京・秋葉原でパーツを買い集めてパソコンを組み立てた。ソフトは無料のオープンソース・ソフトウエアで、1号機の製作費用は合計で約15万円だ。

5台まで増えたAI用の自作システム。人件費を除くコストは総額で50万円。GPUは米NVIDIA製品を秋葉原で調達し、オープンソース・ソフトウエアの機械学習ライブラリである、米グーグルのTensorFlow、Preferred NetworksのChainerをLinux上で稼働させている。コンテナ管理ソフトのDockerと分散ファイルシステムでクラスター化した

 1号機の利用が増えるに従い、コンピューティングリソースが不足するようになった。大量のデータを処理するため、クラウドと連携させたり、バックアップの仕組みを導入したりしつつ、現在はGPUマシンを5台に増設している。

 1台当たりのGPUマシン費用は約10万円、GPUマシンは5台だから、総額約50万円で動いている。現時点で、コストは問題になっていない。必要に応じてGPUを増設するのも簡単だ。

 今やAIはRettyの事業に欠かせない存在になっている。しかし、まだまだやるべきことはある。

 Rettyの事業コンセプトは、友人や食の好みの合う人のお薦めによって、ユーザーがおいしい店を見つけられるようにすることだ。人と人がつながることでおいしい店に出会い、おいしい店で人と人がまたつながっていく。

 そんなサービスの実現に、AIはもっと役立つはずだ。

樽石将人(たるいし・まさと) Retty CTO(最高技術責任者)。レッドハットおよびヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパンで、OS、コンパイラー、サーバーの開発を経験後、グーグル日本法人に入社。日米のオフィスを行き来し、システム基盤、Googleマップのナビ機能、モバイル検索の開発・運用に従事。東日本大震災時には、安否情報を共有するGoogleパーソンファインダーなどを開発。その後、楽天で次世代プラットフォーム開発を担当し、2014年6月からRettyにCTOとして参画。海外への事業展開に向け、技術チームをリードする。

[日経情報ストラテジー2017年8月号の記事を再構成]
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