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人民元安の底流、根強い自国通貨不信

2016年10月17日 12時35分45秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08442090X11C16A0000000/?dg=1

人民元安の底流、根強い自国通貨不信
2016/10/17 11:13日本経済新聞 電子版

 「フィアンセからマイホームを買えないようでは結婚延期と言われた。コツコツ貯金に励み、かなりの額に達したけど、お目当てのマンションの価格は急騰し、とても手が出ない。しょうがないから虎の子の資金を運用しようと思う。人民元安も不安だ。ついては意見を聞きたいのだけど」

筆者が講演した上海での投資セミナー風景。400人の熱気につつまれた

 これは中国の大手銀行でアドバイザーをやっていたときに知り合った真面目な若手行員の切羽詰まった言葉だ。ここに中国の個人資産運用の実態が垣間見える。

 筆者が上海の投資セミナーでの講演後、多数の参加者に囲まれて質疑応答したときも、投資家の人民元への不信、そして海外の通貨への強い興味を実感した。

 中国は数千年の歴史の中で、政治レジームが変われば、通貨の呼称も変わるという経験を繰り返してきた。そのなかで人民元は「新参者」である。

 先述の大手銀行の上海分行の9階に「銀行博物館」があるのだが、その入り口に写真のような陳列物があった。

60億元紙幣。丸窓には一握りの米(筆者撮影)

 1949年に発行された額面60億元の元紙幣だ。その下の丸窓には、一握りの米が入れられて60億元の購買力を示している。

 多くの中国人来訪者たちが群がっていたが、一般個人の自国通貨への不信感を象徴する展示であった。

 テレビ番組の現地ロケで、中国最大の貴金属店を訪問したときのこと。「店」といっても、デパートの1~4階まで全て「金および金製品」という規模なのだが、金地金販売コーナーで27歳のOLがインタビューに応じてくれた。出てくる言葉は「人民元が心配」「銀行に人民元を預けておくより金のほうが安心」。円に安心感を感じ、外貨建てには不安を感じる日本人の感覚では、ほぼありえない反応だ。

 そもそもOLが小型金地金を買うことに日本人として違和感を覚えたが、こともなげに「友達もけっこう買ってる」と語っていた。これは人民元に対する不信任投票なのだと感じた。

 ちなみに経済が減速した2015年でも、中国は世界の年間金生産量(3158トン)の31%にあたる981トンを買い占めている。さらに中国人民銀行も外貨準備として金の割合を増やしている。

 供給サイドでは中国がダントツで世界一の458トンだ。2位のオーストラリア(275トン)を大きく引き離している。金供給の他国依存から脱却するため、国をあげて金鉱山の開発を推進しているのだ。尖閣諸島近くの海域にも金を豊富に含む鉱床が確認されている。なお、南アの金生産は150トンまで落ち込み7位まで急落している。

 国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権であるSDRへの採用や、国際的信認の強化にも、公的な金準備の増強は意味を持つ。

 最新のIMF統計によれば、米国の公的金保有量は8133トン。外貨準備に占める金の割合は75.8%だ。対して中国は1833トンで僅か2.6%。金本位制は過去の遺物だが、量的金融緩和の進行で「中央銀行が刷れない金」も、外貨準備として保有を増やす傾向が定着してきた。

 世界の公的部門の年間金売買も05年には663トンの売却超過だったが、15年には483トンの購入超過に転換している。年間生産量が3158トンの市場で、この絶対差である1146トンは、需給の景色を変える。05年の年間の平均金価格は444ドル。15年は1160ドルとなった一因といえる。

 こんな事例もある。ユーロ誕生直後に欧州中央銀行(ECB)が外貨準備の少なくとも10%は金で保有し、新通貨信認のアンカー(支え)とするとのガイダンスが出ていた。そこでドイツ、フランス、イタリアなど公的な金保有が2000~3000トン級で、金準備比率が6割を超える国々が、ECBに自国保有の公的金準備の一部を拠出した。

 更に中国国内では過剰流動性対策として国民に金現物保有を促進する政策も採られている。金の先物ではなく現物を購入すると、文化的に金選好度の高い民族ゆえ長期保有する傾向が強く、過剰流動性が不動産や株式の市場で暴れるのを抑制する効果があるからだ。

 そこで大手商業銀行に貴金属部門を創設させ、それぞれ1万を超す支店網で、個人向けに金の販売を開始した。

 金の世界から見ると、人民元への国民的な信認が薄いことを実感する。


豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org
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