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「コンビニ人間」と「コンビニ社長」 働き方熱く語る

2016年10月12日 17時08分46秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07980000U6A001C1H11A00/?

「コンビニ人間」と「コンビニ社長」 働き方熱く語る
(1/3ページ)2016/10/9 6:32日本経済新聞 電子版

 小説「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さん。18年間のコンビニ勤務の経験があるだけにストーリーの面白さとともに、コンビニ愛が半端ではない表現に満ちている。そんな村田さんと最大手のセブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長に対談をお願いした。題して「コンビニ人間×コンビニ社長」。一風変わったコンビニ物語をお届けする。(司会は日経MJ編集長 中村直文)

■オープニング店、白紙の楽しさ

芥川賞作家の村田沙耶香さん(左)とセブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長

 場所は東京・二番町にあるセブン&アイ・ホールディングス本社。お二人は初対面で、対談は緊張気味でスタートした。

 古屋氏 ストーリーもさることながら、本当に店員さんたちの動きの表現が緻密で。さすがです。最後はあの変わった登場人物と主人公が結婚してしまうんじゃないかと思って(笑)社員も楽しく読んでいました。

 村田氏 ありがとうございます。

 古屋氏 仕事目線で読むと、話題性のある商品は上に置かないといけないとか、気温が高いからアイスは氷菓が売れるとか、あんな気の利く店員さんがいたら店は繁盛しますね。

▼「コンビニ人間」

 36歳の主人公、古倉恵子は独身で恋愛経験なし。コンビニで18年間バイトで働いている。幼い頃から世間とずれており、家族の心配の種となっているが、マニュアルに基づいて仕事をするコンビニ店員でいるときだけは「世界の正常な部品」でいられると感じる。コンビニを舞台に、家族や結婚など様々な世間の常識に疑問を投げかけた作品。
 村田氏 主人公の古倉さんは優秀な店員にしたいと思っていたので。自分自身、色々なお店で働き、蓄積があるので苦労せずに細かく描けました。直営店が多かったせいもあります。

 古屋氏 我々が店で目指すのは全員参加型です。レジや店内作業だけではなく、できる限り多くの従業員に発注をしてほしくて。するとお客様への関心も高まるし、注文した商品が売れると楽しいですから。

 村田氏 以前セブンイレブンの都内の店で働いていたときに、発注を学びました。

 司会 コンビニの仕事の醍醐味は何ですか。

 村田氏 大学時代に別のチェーンのオープニングで働いたのがきっかけです。社員が本社から来て、トレーニングなどをしているうちに店がどんなことを(自分に)求め、どんな店を作りたいのか、初日はどう盛り上げるのか、そんな気持ちが伝わってきました。レジも一から学べて、それで好きになりました。

 古屋氏 確かにオープニングの店はベテラン店員やオーナーの色がなく、白紙の状態だから楽しいですよ。本にもそんな流れがありますね。

 村田氏 接客が好きなんですね。繁華街の店で働いたときは酔客も多かったけど、今はオフィス街でしらふの方ばかりで。コンビニをやめてファミリーレストランで働いた経験があったのですが、向いていなくて。単純に不器用でパフェとかを作るのが苦手でした。

■国籍・年の差超え仲間に

 司会 主人公ほどではありませんが、世間の流れからずれていた感じだったのですか。

むらた・さやか 1979年千葉県生まれ。小説家。玉川大文卒。2009年「ギンイロノウタ」で野間文芸新人賞受賞。13年「しろいろの街の、その骨の体温の」で三島由紀夫賞受賞。16年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。他の著書に「マウス」「殺人出産」「消滅世界」など。

 村田氏 内気でしたね。でもコンビニで働くとそうは言ってられません。特にオープニングは遠くまで聞こえるように声出しの練習などをして、内気さは多少克服できた感じがします。

 古屋氏 私もこう見えて内気で、社会に出ると人前で話すように自分を演出しないといけない。コンビニでバイトすると学生のアルバイトも自分の潜在的な能力を発見しますから。

 村田氏 全然年が離れている人、国が違う人ともみんながフラットに仲間になれる場所です。

 司会 小説にもそんなシーンがありますね。性別、年齢、国籍に関係なく同じ制服なら、すべてが店員と。

 村田氏 人間関係の垣根を越えて、例えば今日は「ブラックサンダー売るぞ」とか、一丸になってがんばることが部活みたいな感じで楽しかったのだと思います。

 司会 コンビニ人間のきっかけとなったエッセーの一文が「私を人間にしてくれた」です。本来はシステマティックなコンビニですが、そこで人間になれたという逆説が面白いです。

 古屋氏 店という一つの器で同じ目的で色々な役割を果たしながら同じ思いで進んでいきます。普段話すことのない年配の人や外国の方とコミュニケーションをとりながら。

■基本は現場 声かけが大切

 村田氏 最初は店長で始まったのですか。

 古屋氏 私は32歳でこの会社に入りました。ある程度の社会経験を経て入ったわけですが、入社2~3年目の店長から「トイレ掃除をしてください」とか、少し抵抗もありました。でもどんなキャリアを積んでいようが、まずは店を理解することが大事です。

 村田氏 社長も店員の経験があるのですね。

 古屋氏 アイスクリームを売ったり、カウンターでお薦めしたりね。だから店舗を回るフィールドカウンセラーには店舗のことを忘れないように定期的に店に入るようにしています。基本は現場からです。

 村田氏 それは素晴らしい。店舗を回るスーパーバイザー(セブンではフィールドカウンセラー)には優秀な方に恵まれてきて、アルバイトには優しかったです。「村田さんは前は違う店にいましたよね」とか話しかけられて。店長は時にすごく怒られていましたが。

 古屋氏 フィールドカウンセラーは2600人ぐらいいます。店長やオーナーにだけ話すのではなく、パートさんの名前を覚えて「弁当の発注がうまくいっていますね」などと声をかけてほしい。褒められるとうれしいですから。

 村田氏 ある都内の店ではグラフを出していました。1年たってからは「村田さん、新商品の売れ行きがいいよ」と言われるとうれしかったです。これは小説で書きそびれましたが、(発注が)失敗してしゅんとしていると「俺があおって100個も発注させちゃったから」と慰められて。

 もちろん売れると思っての結果なんですが。全然売れなくてすごい廃棄が出て、ゴミ袋がいっぱいになったときの絶望感といったら……。それでも失敗したら失敗なりの絆が生まれて、「怖がらず次も発注しよう」と。

 古屋氏 そう、いい店は小説にも出ていたように何かを100個売る日だと目標を作ります。カウンター商品などは「おいしいですよ」と声をかけるとやはり買ってくれますから。

 村田氏 「できたてですよー」とか。

 古屋氏 最近はお年寄りが増えたとは思いませんか。

 村田氏 そうですね。最近は野菜がすごく売れるようになって。今働いているお店はオフィス街ですが、お年寄りが増えています。以前は若い人が多く、年配の方は「コンビニは高い」などとおっしゃっていましたね。

■人と密に 自販機じゃない

 司会 コンビニはどう変わっていますか。

 村田氏 お客様との距離が近くなっていくような気がします。昔は自動販売機のような役割を求められていたような気がしますが、今は違ってきています。最近は毎日来る方が「きょうもありがとうございます」とか、祝日に働いていたら「僕も休日出勤なんです」とか声をかけられることが多くなっています。

 古屋氏 もうその通り。自由に欲しいモノだけを買うのがコンビニです。一方で今は7割が固定客なんですね。セミセルフという言葉を使いますが、自由な買い物に加えてカウンターでちょっとした会話も求められています。お年寄りなんかそうですね。

 村田氏 お薦めなんかも聞かれることが増えているような気がします。ファストフードなんか「お姉さん、どれが好き?」と言われると、つい売りたいモノを伝えてしまいます(笑)。

 コンビニ人間とコンビニ社長の対談。目的買いから衝動買いが起きる場所への変化や個店ごとのニーズの違い、人手不足問題など話は広がっていった。

■衝動買い起こしたい

 司会 小説に「コンビニは事務的に必要な物を買う場所ではなく、好きな物を発見する楽しさや喜びのある場所」という表現がありました。

 村田氏 目的買いと衝動買いの両方を満たす発注をするように強く教わりました。今でもそれが頭に残っていて、衝動的に何か買うような楽しい場所であってほしい。お昼休みの限られた時間だったら、なおさらおいしいお菓子を買えるといいですよね。

 古屋氏 コンビニでの顧客の平均滞在時間は約3分です。コンビニはのどが渇いたからジュースとか、目的買いが一番です。それでも新しいアイスやお菓子などの楽しいPOPを作ってあげると衝動買いが生まれます。

 もちろん全国共通のPOPを作りますが、書店のように店員さんの選んだナンバーワンと書かれると臨場感が生まれます。何でもありではないですが、成績の良い店は積極的です。

 村田氏 前に在籍した店で美術系の学校に通っている女性がいて、その子の店頭販促(POP)が本当にうまくて。しかも売れるんですよ。他の店の方がコピーしに来ますし。

■「使われ方、個店ごと」

 古屋氏 今の女性客比率は平均で48%で、店によっては60%に達しているケースもあります。本当に個店ごとに使われ方が違うと思うでしょう。

 村田氏 今の店は小学校近くで、PTA需要が時にどっと来ます。以前勤めていた繁華街の店ではクリスマス時に1万円もする大きなサンタクロースのブーツがどんどん売れていきました。どこの店も飾り用として置いているだけですが、(同伴の)女性が「あれちょうだい」というと男性がすぐに買ってくれて。

 古屋氏 飲み屋の女性かな(笑)。例えば(セブン本社近くの)東京・麹町では平日はオフィス勤務者の需要が中心、土日はマンション在住者。足立区や葛飾区になるとお年寄りが多く、売れるお弁当やおにぎりの種類も違ってきます。

 村田氏 そうですね。昆布がすごく売れる店があれば、焼き肉系がやたらと売れる店もありますし。

 司会 コンビニはここ20年で大きく進化してきました。仕事も煩雑になった印象です。

 村田氏 クリーニングやコーヒーマシンなど徐々に入ってきたので覚えるのは大丈夫です。中にはクリーニングの手続きがいつまでたっても覚えられない人もいましたね。

 古屋氏 お客様へのサービスはどんどん変化しますが、加盟店のスタッフの作業が複雑になるばかりだったら、コンビニビジネスはうまくいきません。コーヒーはセルフにして、サービス料金の支払いも1つのパターンで対応します。それからカウンター商品が増えていますが、揚げる機械の清掃が大変です。今年から食洗機を導入しています。

 司会 コンビニも人手不足が問題です。

 村田氏 最近は外国人の店員さんが増えています。かつては中国や韓国の方が中心でしたが、今はベトナムの方などに広がりました。それで随分解消された気がします。あまり辞めませんから。以前は「雨なので面接に行けない」などと言う日本の若い方が多かったですね。

 古屋氏 確かに有効求人倍率は高まっています。しかしセブンだけで見ると雰囲気の良い店は定着します。働きたい人は事前に店を見て、決めますから。店長の性格によってもね。

 村田氏 どっと辞めるとか。生々しいことも……。人望のあるパートさんが辞めると、一緒に辞める人もいました。

■「働く喜び伝えたい」

 司会 最後にコンビニの課題を。

 村田氏 コンビニの課題というより、自分の課題ですかね。新しい人を育てることに、なかなか慣れません。主人公の古倉さんもそうですけど。新人さんに教えるだけでなく、働く喜びを伝えることや、海外からやってきた右も左も分からない人にお客様が喜んでもらえるコツを教える人になりたい。

 古屋氏 一生コンビニで働いていただけるみたいですけど(笑)。

 村田氏 できれば、はい!

 古屋氏 またパート2を書いて下さい。

 司会 最近も働いているのですか。

 村田氏 この間、久しぶりに入りましたが、体がなまっていたのがショックで。納品スピードが落ちていて、ちょっとそれは反省(笑)。
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