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爆食漁船、日本近海に侵食 乱獲の懸念も  編集委員 志田富雄

2017年04月24日 05時59分42秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15453140Y7A410C1000000/?dg=1

爆食漁船、日本近海に侵食 乱獲の懸念も  編集委員 志田富雄
(1/2ページ)2017/4/23 2:00日本経済新聞 電子版

 日本の水産物消費は少子高齢化の影響などで減少を続けます。しかし、世界の需要は増加の一途です。とりわけ中国を中心とした新興国の需要は急増しているのです。中国では東シナ海だけで2万隻以上の漁船が操業しているとされ、こうした海外の漁船が漁業資源の豊かな日本の排他的経済水域(EEZ)に迫っています。

 2015年10月にこのコラムで台湾、中国漁船によるサンマの漁獲が日本近海で急増している話題(防げるか、台湾・中国の「サンマ先取り」)を取り上げました。その後、中台の漁船はサバ漁獲も拡大し、日本の漁業資源への影響が懸念されています。

日本海・大和堆周辺の日本のEEZ内で操業する中国船籍とみられる漁船(2016年9月撮影、全国いか釣り漁業協会提供)

■中台、技術革新で効率的な漁業

 海岸から12カイリ(約22キロメートル)は沿岸国の主権がおよぶ「領海」です。海岸から200カイリの範囲も「EEZ」と呼ばれ、国連海洋法条約が水産資源や鉱物資源の利用について沿岸国の主権を認めています。領海はもちろん、EEZでも海外の漁船は日本の許可がなければ操業できません。その先に広がるのがどの国にも属さない「公海」です。

 台湾や中国は日本のEEZのすぐ外側の公海に超大型の漁船を長期間停泊させ、とれたサンマやサバを輸送船で運ぶようになったのです。公海域では誰でも自由に漁業が行えるため、日本の漁業取り締まり船も手出しができません。

 これまで広い公海での漁業は効率が悪く、誰も行わないと考えられていました。しかし、魚群探知機の技術革新は公海でも魚の群れを探し出し、効率的な漁業を可能にしたのです。中国によるサンマの漁獲は14年には7万6000トン強と12年の37倍に急増。中国より早く1990年前後から操業していた台湾の漁獲は13年に18万トンを超え、日本の漁獲(14万7819トン)を上回るようになりました。サバについても中国は公海域だけで16年に約14万3000トンをとり、漁獲量は14年の5.8倍に増えました。

 三陸沖に広がる北太平洋西部域は、世界の漁業生産の5分の1を占める豊かな漁場です。公海域で乱獲が続けば資源が減り、日本沿岸への来遊量に影響が出る可能性も高いのです。政府はこうした事態に歯止めをかけるため、中国や台湾を巻き込んで「北太平洋における公海の漁業資源の保存および管理に関する条約」を採択。公海の資源を管理する北太平洋漁業委員会(NPFC)を設立しました。直近の米国を加え、日本、カナダ、ロシア、中国、韓国の6カ国と台湾がこの条約を批准して資源管理に参加しています。

■日本海、多いときは100隻以上侵入

 ただ、現在の合意は公海で操業する漁船の数をつかむために各国・地域が登録制度を導入し、漁船の数を急増させないことまでです。国・地域ごとに漁獲枠を割り当てる作業はこれからです。中国では未登録の漁船による操業も多く、水産庁の監視では60隻以上の未登録船が日本のEEZに隣接した海域で操業していたといいます。日本政府はこうした違反がないよう、中国側に厳格な管理を求める必要があります。

 日本のEEZに海外の漁船が迫るのは北太平洋だけではありません。たとえば日本海には「大和堆」と呼ばれる屈指の漁場があります。大和堆は日本のEEZ内にあり、近くには漁業協定によって日韓双方が利用できる水域や、韓国、北朝鮮、ロシアの水域が接しています。全国漁業協同組合連合会によれば、大和堆のある日本のEEZ内に昨年から中国や北朝鮮の漁船が多いときは100隻以上侵入し、日本側の操業を妨げています。

 大和堆の近くに中国漁船が操業できる水域はありません。漁業関係者の間では、北朝鮮が中国に北朝鮮水域での漁業権を売却、中国船が日本のEEZまで侵入するようになった、とみられています。中国の船団は「かぶせ網」という特殊な漁法でイカを群れごととるため、乱獲のおそれも強いのです。

 14年には中国の密漁船が高値で売れる赤サンゴをとるために小笠原諸島の周辺に出現し、一部の漁船は日本の領海内に入り込む事件が起きました。他の水域でも、海外の漁船が日本のEEZ内に入ってくるケースはしばしばあります。オホーツク海域では、ロシア漁船のものとみられるカニの漁具が日本のEEZ内で多数押収されています。水産庁は「見つかりにくい夜間に漁具をしかけ、回収することが多い」といいます。

 日本は国土は小さいものの、領海とEEZを合わせた広さは世界で6番目の規模を持ちます。しかも、三陸沖をはじめ恵まれた漁場を多く持つのです。政府(水産庁)は現在、44隻の漁業取り締まり船を重要水域に配置し、海上保安庁と協力して海外の漁船が日本の水域に入らないように監視。無許可での操業や立ち入り検査の拒否といった悪質な違反漁船は拿捕(だほ)しています。拿捕の件数は年10~20程度あり、九州・沖縄周辺の海域で多く発生しています。

■新興国にも厳格な漁業管理徹底を

 国連食糧農業機関(FAO)の統計によれば、中国の漁業生産量は14年に世界最大の7615万トンに達し、2000年に比べ76%増えました。大半は養殖漁業ですが、天然資源の漁獲も1735万トンと2割近く増えています。養殖に比べ天然漁獲の伸びが鈍いのは自主的な漁獲管理が要因ではなく、乱獲によって資源が減少しているからです。

 中国では東シナ海だけで2万~3万隻の漁船が操業しているといわれます。中国の沿岸部は乱獲によって水産資源が減り、資源の豊かな日本のEEZに迫っているのです。中国の漁船はアフリカ周辺など世界各地に進出しています。世界の水産資源をイナゴの大群のようにとりつくしていくような状況には歯止めをかけなくてはなりません。

 中国だけでなく、インドネシアやベトナム、インドなどの新興国も軒並み漁獲量を増やしています。漁業は天然資源に依存した、特異な産業なのです。新興国に対して国際的なルールの順守を徹底し、自国漁船の管理を厳格にしてもらうことが重要です。もちろん、新興国に資源管理を徹底してもらう上で、まず日本自身が漁獲管理を厳格にしなければなりません。


志田富雄(しだ・とみお)
 83年日本経済新聞社入社。欧州編集総局(ロンドン)時に初めて原油、金、非鉄金属などの国際商品市場を取材。北海ブレント原油が1バレル10ドル台を割り込む相場低迷や「すず危機」などを目の当たりにして商品市場の奥深さを知る。英文記者を経て商品部へ。石油、食品、鉄鋼を担当。現在、編集局編集委員兼論説委員。
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