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デザインが加速させた マツダ「ものづくり改革」

2017年05月15日 20時50分05秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO16169360Q7A510C1000000/?dg=1

デザインが加速させた マツダ「ものづくり改革」
(1/3ページ)2017/5/15 6:30日本経済新聞 電子版

日経デザイン
 マツダは「魂動(こどう)」というデザインテーマを2010年に打ち出して以来、「CX-5」「アテンザ」「ロードスター」などヒットを連発、2017年3月期の世界販売台数は過去最高を更新した。デザインがブランドを、会社を変える──これを地で行くのが現在のマツダだ。デザインを向上させ、それをテコにしてブランド価値を上げたい、社員の働き方や考え方を変えたい。そう考える企業は多いが、実現は容易ではない。マツダでは、従来はトップシークレットだった量産前のデザインを1年以上前に社内公開することで、部門間連携を加速。商品デザインに磨きをかけている。

■発売より1年以上前にデザインを公開

「デザインカスケード」は、量産前のデザインの意図や思いを、社内の他部門のスタッフに向けてデザイナーが解説する場。写真は2015年10月に開催した新型「CX-5」のデザインカスケード

 2015年10月、マツダ社内の一室で新車両のデザインプレゼンテーションが行われていた。新型「CX-5」のデザインの意図やデザインに込めた思いを、デザイナーやクレイモデラー(詳しくは後述)が語る、通称「デザインカスケード」だ。

 参加者は、生産現場を含む他部門のスタッフたち。社内といえど、発売よりも1年以上も前にデザインを公開することは、異例の取り組みだ。量産前のデザインは、従来なら役員や生産部門のトップしか知りえなかった機密情報なのだ。

 このデザインカスケードこそが、マツダデザインの躍進を語るうえで欠かせない「共創」の象徴だ。部門の垣根を越え、デザイナーが直接デザインを伝える場があるからこそ、現場の作業スタッフが思いを込めてものづくりに取り組める。

■魂動デザインを金型に落とし込むのは難しい

 初めてデザインカスケードを催したのは、4代目「ロードスター」のときだった。その後もこの取り組みを続けている中山雅チーフデザイナーは、「ロードスターRFなら、ファストバックスタイルという言葉が社外に漏れるだけでも一大事だった」と語る。

上は、クレイモデラーが作った、チーターの動きをモチーフにした魂動デザインのオブジェ。「御神体」と呼ばれる。下は、プレス金型製作部門がその御神体を再現したもの。1回目に作ったものをデザイン本部のスタッフに見せたところ、「違う」と言われて作り直したため2体ある(写真:丸毛透)

 そんなリスクを押して実施するのは、生産現場の協力がなくては魂動デザインを完璧に量産ラインに落とし込むことができないからだ。どちらのロードスターのデザインも、「生産現場のデザインに対する理解があったからこそ実現できた」(中山チーフデザイナー)。

 プレス金型製作部門が取り組んだ「御神体活動」は、デザイン部門との共創だ。御神体とは、クレイモデラーが魂動デザインを具現化したデザインオブジェのこと。金型製作部門は、魂動デザインを実現することが自分たちの役割だと考え、御神体を再現することで、自分たちの技術力を試してみようと考えた。

 しかし、結果は散々だった。御神体活動に取り組んだ技術本部ツーリング製作部の安楽健次・ツーリング技術グループ主幹は、「前田さん(デザイン本部長として魂動というテーマを考え出した前田育男・常務)や中山さんがやって来て、我々が製作したチーターを眺めては『違う』といって帰っていく。プライドはズタズタでした」と語る。

 デザイン部門によって「躍動感や生命感を出すボリュームが、全部削がれている」と評価された後、金型製作部門のメンバーは、クレイモデラーの作業の様子を見学するなどし、御神体と自分たちが製作したものとの違いを学んだ。その後、2体目の御神体作りに取り組んだ。

■クレイモデラーの姿をじっくり観察

 クレイモデラーがクレイを磨く姿を見て気づいたのが、例えば、ボディのリフレクション(光の反射)を通したい方向に磨くことだった。

 この活動を通じて、金型製作部門で生まれた新しい技術のひとつが、金型の「魂動磨き」だ。自動車のボディは、鉄板を金型でプレス成型して作る。金型の精度が、完成車のボディの精度に直結する。ボディ表面のリフレクションまで視野に入れた金型がなければ、魂動デザインを実車で再現できないと考えた安楽主査たちは、金型の仕上げ段階で磨き上げる際に、リフレクションを通したい方向に合わせて磨くようにした。

量産用のプレス金型を磨く、魂動磨き。面のつながりを描けなければ、進化を続ける魂動デザインの生命感は表現できない

従来の磨き方(写真上)と新しい「鼓動磨き」(写真下)。鼓動磨きは、ラインを作る方向に沿って磨いていく。ラインを描くというより、両サイドの面を作り込むことでラインを形成する(写真:丸毛透)

 砥石メーカーと共同で、独自の砥石も開発した。市販の砥石は、ひと擦りで7~8ミクロンは削れる。新開発の砥石は5ミクロンしか削れない。魂動デザインの微妙なリフレクションを再現するには、金型を磨くときに5ミクロンの精度が必要と割り出したのだ。

■デザインと共に現場も進化

 魂動デザインは、当初のラインを強調する表現から、連続した面の陰影の表現によって生命感をもたらすデザインへさらなる進化を遂げつつある。その際、最も重要な要素のひとつが、ボディに映るリフレクションだ。リフレクションが、エモーショナルな表情を生み、車の生命感を増す。

左は、金型製作部門が導入したゼブラ投光器。右上は、ツーリング工場内でゼブラ投光器を使用し、リフレクションを再現する様子。右下は、デジタルモデラーが作成したCADデータ(写真左:丸毛透)

 そこで、金型製作部門が導入したのが、多数の蛍光灯を並行に組み合わせた「ゼブラ投光器」だ。デジタルモデラー(詳しくは後述)はCADデータでリフレクションを検証しているが、これまで生産サイドにはリフレクションを検証する手段がなかった。デザインの意図を知り、技術力が向上しても、現場で確認できないことがボトルネックとなっていた。

 ボディにゼブラ投光器で光を当てて、CADのリフレクションとの違いを検証することで、生産現場でも客観的な判断基準を持てるようになった。

 リフレクションの精度を求めるのは、デザインカスケードを通じて「光の当たり方で車高を低く見せる」などの意図に加え、デジタルモデラーの努力を知ったからだという。「コンマ数ミクロンを数百時間かけて調整しているとは思わなかった。モデラーが200時間かけた微妙な表現を、自分たちが一擦りで削ってしまうと考えると、ものづくりに携わるプライドにかけてなんとかしないといけないと思った」と安楽主査は言う。他の生産現場も導入を検討しているほど、ゼブラ投光器は好評だ。

 御神体作りで見つけた、さまざまな課題と解決のための取り組み。マツダデザインの躍進は、現場が取り組むものづくりの革新にも支えられている。

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独自の感性で立体化する提案型モデラー

クレイモデラーが製作した、魂動デザインのフィロソフィーを体現したデザインオブジェの例。クルマでの制限を取り払い、造形の純粋な美しさ追い求めた

 マツダ車の独特の存在感は、どこから生まれるのか。マツダのデザイン開発における最も特徴的な要素のひとつに、「クレイモデラー」の存在がある。

 マツダのデザイン本部には、デザイナーとモデラーが在籍している。モデラーチームには、粘土で造形を形作るクレイモデラーと、クレイモデルを樹脂や金属を用いて実車の状態に近づける「ハードモデラー」、デジタル上の造形に落とし込む「デジタルモデラー」がいる。

 マツダでは、デザイン開発においてスケッチやクレイモデル、デジタルデータなどの作成を同時に進めることが多い。一般的なクレイモデラーは、デザイナーのスケッチを立体化することが仕事だが、マツダではクレイモデラーとデザイナーが対等な関係にある。両者の役割は時として、並行することも逆転することもある。特に、数名しかいない「匠」と呼ばれるクレイモデラーは、熟練の技と感性を持つ特別な存在だ。

■実車開発とは一歩距離を置いて製作

4代目「ロードスター」や「CX-3」にも、デザインオブジェが存在する。より実車に近い形状だが、タイヤは付いていない。こうした造形表現がデザイナーに気づきを与え、マツダ車に美しさや生命感を宿す

 「魂動」デザインを表現するとどういいう形になるのか、どんな造形を美しいと感じるのか。そんな視点で実車開発と一歩距離を置いたところで匠モデラーが製作しているのが魂動のオブジェだ。

 マツダのクレイモデラーは総じて、デザイナーが描いたスケッチに自身の感性を加えて立体化する提案型クレイモデラーだといわれる。

 実車開発においても、デザイナーとの対話から拾った言葉や、造形を示す「シュッとした」などの擬音語、1本の線からデザインオブジェを製作する。これが車両デザインのスタートポイントになることも多い。

 新型「CX-5」では、デザイナーが実車としてのデザインの制約の中で悩んでいるとき、クレイモデラーが実車とは離れた視点でクレイモデルを作ることで、CX-5のデザインが目指すべき方向性をあらためて発見できたという。

 「気づかなかった表現手法や、造形処理のヒントをくれた。クレイモデルによって、ここを強調すればより魅力的に見える、などの発見につながった」と諌山慎一チーフデザイナーは振り返る。

 マツダのクレイモデラーがクレイメーカーと共同で開発し、何十年も前から使う専用のクレイは、収縮率が限りなくゼロに近いもの。このクレイを使うことで、繊細な造形を思いのままに作れる。その分、扱いは難しく、高いスキルが求められる。マツダで使うクレイは3種類だが、マツダで使う最も柔らかいものが、自動車メーカーで一般的に使われる最も硬いクレイだという。その硬いクレイを自在に扱う熟練の技は、マツダ車に宿る生命感として身を結んでいる。

(エディター 廣川淳哉)
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