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プーチン氏が認めた豪腕 ティラーソン米次期国務長官

2016年12月13日 21時29分40秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK13H4P_T11C16A2000000/?dg=1&nf=1

プーチン氏が認めた豪腕 ティラーソン米次期国務長官
(1/2ページ)2016/12/13 18:53 (2016/12/13 20:29更新)日本経済新聞 電子版

 トランプ米次期大統領は米東部時間13日午前、米石油メジャー最大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO、64)の次期国務長官への起用を発表した。メジャーのトップが超大国の外交を担う異例の人事。「ワールドクラスの人物」とトランプ氏が絶賛するティラーソン氏とはどんな人物なのか。

■「サハリン1」で妥協せず

 ティラーソン氏は米オイルの産地テキサス州出身の生粋のオイルマン。1975年に旧エクソン(後にモービルと合併してエクソンモービル)に入社して以来、41年間のティラーソン氏のエクソンでの人生で欠かせないのがロシアとの関係だ。

1975年に旧エクソンに入社して以来、41年間のティラーソン氏のエクソン人生で欠かせないのがロシアとの関係だ

 98年にロシア担当になったティラーソン氏が取り組んだのが、樺太沖の原油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン1」だ。度重なる工事延期、環境問題、パイプラインの敷設など次々と難題が持ち上がる中、事態を打開しようとティラーソン氏はプーチン大統領との直談判にこぎつける。スティーブ・コール氏の著書「石油の帝国」によると、そのときプーチン氏は大統領令による解決を提案したが、ティラーソン氏は恒久的な法律に基づく解決を頑として主張したという。プーチン氏は激怒したものの最終的にティラーソン氏に同意することになる。

 その後もプーチン氏は「サハリン1」への国の支配を高めようとしたが、ティラーソン氏は契約順守を要求して抵抗した。両者は何度となく衝突したが、ティラーソン氏は原理原則にのっとった解決を主張。その胆力と妥協のない性格に感じるところがあったのか、2013年にプーチン氏はティラーソン氏に「友情の証し」としてロシアの友情勲章を贈った。

■炭素税で妥協も

 他のメジャーもロシアでエネルギービジネスを展開しているが、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは強制的に権益や合弁会社の持ち分を減らされる憂き目にあった。一方、エクソンは国営石油会社ロスネフチとタッグを組み、北極海、黒海、西シベリアといった広範な地域で権益を獲得するなどメジャーでも破格の待遇を受けた。その要因をたどるとプーチン氏とティラーソン氏の親密な関係にたどり着く。

 このため「(プーチン氏との関係は)懸念材料」(ジョン・マケイン共和上院議員)とティラーソン氏の国務長官への起用を問題視する声が、トランプ氏の身内の共和党からも上がる。

 いかにも頑強な体格に人を射抜くような目つき。妥協しないのはティラーソン氏の持ち味であるが、時には柔軟な面も併せ持つ。エクソンは化石燃料を大量に生産するため、環境活動家から標的にされ続けてきた。エクソン自身も気候変動問題への取り組みは消極的な時期もあったが、06年のティラーソン氏のCEO就任以降は、方針を転換。炭素税の導入を提唱するなど環境問題に一定の理解を見せるようになる。「我々は気候変動のリスクに対処するため真剣に対処しなければならない」(ティラーソン氏)。もっとも、方針転換の背景には、08年に大統領選に勝利し、環境重視を打ち出したオバマ大統領への政治対応の側面もあった。

■勝ち取った権益は制裁でストップ

 エクソンの源流をたどるとジョン・ロックフェラーが設立したスタンダードオイルに行き着く。米国で石油の9割のシェアを握り、ライバルが出てくると力ずくで退け、市場を意のまました時期があった。時に傲慢との批判を受けたが、エクソンもそのDNAを受け継いでいるのか、14年8月にロシアのクリミア侵攻に伴う米欧制裁対象になっていたロスネフチと共同掘削を北極海で強行した。しかし、結局、米欧政府から批判を浴び中止に追い込まれた。

 ティラーソン氏の前任CEOのリー・レイモンド氏はエクソンについて「米国企業ではない。米国にとって何が良いのかを基準に意思決定することはない」と話したことがある(「石油の帝国」から)。これからティラーソン氏に求められるのはエクソンの利益ではなく米国の国益である。自ら勝ち取ったロシアの権益の多くは制裁対象となり、ストップしたまま。就任早々、ティラーソン氏は国務長官としての見識が問われることになりそうだ。

(ニューヨーク=稲井創一)
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