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あらがえば痕跡残さぬ 政敵の遺物砕く 闘争再び(1)

2016年10月16日 14時15分50秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08420210V11C16A0MM8000/?dg=1

あらがえば痕跡残さぬ 政敵の遺物砕く
闘争再び(1)
2016/10/16 3:30日本経済新聞 電子版

 8月5日午前0時、中国の遼寧省大連。闇に紛れ、数十人の男が「星海広場」にそびえる20メートルの石柱「華表」の下に集まった。突然、電動カッターから火花が散り、重機がうなる。中国で権力を象徴し、白い玉石に竜の昇る姿が刻まれた柱はわずか30分で砕け散った。

撤去される前の「華表」(遼寧省大連)

 権力闘争への号砲だった。この石柱を建てたのは、かつての大連市長、薄熙来(67)。2012年秋の中国共産党大会で権力の頂点に上った現国家主席、習近平(63)の政敵の一人だ。

 習への権力移行にあらがった薄は、習の手で獄につながれた。再び1年後に迫る5年に1度の党大会。7人いる最高指導部が入れ替わり、習の後継者選びも焦点となる。習は苛烈な闘いを前に政敵の遺物を撤去し「敵対すれば痕跡さえ残さぬ」と宣言してみせた。

華表の撤去後は噴水の設置工事を進めている(遼寧省大連)

 習は反腐敗を旗印に政敵を次々と追い落とし、党内に「踏み絵」も迫る。習の側近で政治局員の栗戦書(66)は6月、党内で習を「核心」とたたえた。別格の指導者を意味する表現だ。9月、天津市トップに就いた李鴻忠(60)は「核心である習総書記」と表明。2代前の国家主席、江沢民(90)に近かったが、表向き習への忠誠を装った。

 だが引き締めすぎた手綱への反動は強まる。

 8月、河北省の避暑地で開かれた毎夏恒例の「北戴河会議」で長老らは不満を漏らした。「いくら反腐敗運動を進めても民衆の生活は豊かにならない」。習の強権への批判だった。

 9月末、党指導部が開いた「勉強会」に中国全土の注目が集まった。題材は前国家主席、胡錦濤(73)が出版したばかりの全3冊の発言集。習は「重要な教材だ」と持ち上げた。国営中央テレビは勉強会の様子を約10分にわたって報じた。

 注目を集めたのは、胡の直系で、政権ナンバー2、首相の李克強(61)と習との摩擦が目立つためだ。

 7月、同じ国営中央テレビは奇妙なニュースを伝えた。「習と李がそれぞれ国有企業改革で指示」。習が会議で「大きな国有企業にせよ」と命じると、李は「痩せて健康体の国有企業」をめざせと力を込めた。「2人の考えの違いはもはや隠せない」(党関係者)

 習はこれまで2代前の江に連なる勢力をたたくことに力を注いできたが、胡や李と同じ共産主義青年団の出身者も反腐敗の標的にし始めた。胡や李との関係が冷える中、胡をたたえる勉強会を開く。習の権力集中もすんなりとは進まない。

 習はさらなる権力集中をめざし、24日からの指導部の会議で党内ルールの改定を議論させるという。習はその日程や議題を詰める会合を李が外遊から帰国する前日に開いた。ナンバー2を待つことはなかった。

◇ ◇ ◇

 中国の最高指導部人事を決める共産党大会が1年後に迫る。「大国」を揺らす権力闘争は、世界経済やアジアの安全保障にも影響を及ぼす。「習近平の支配」の行方を追う。(敬称略)
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