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タイ軍政、王位継承期の国の安定へ腐心

2016年10月16日 02時13分54秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08426240W6A011C1FF8000/?dg=1&nf=1

タイ軍政、王位継承期の国の安定へ腐心
2016/10/16 1:15日本経済新聞 電子版
タイ

 【バンコク=小谷洋司】タイの軍事政権が王位継承期の国の安定に腐心している。絶大な権威と求心力を持ったプミポン国王が死去し、安定が揺らぎかねないためだ。国王が空位の間、職務を代行する摂政を元陸軍司令官のプレム元首相が務め、プラユット暫定首相ら軍の“後輩”と二人三脚の体制を敷く。その先にはタイ社会で長らく続く政治的分断の解消という難題が待ち受ける。

 ウィサヌ副首相(法務担当)が14日、プレム氏の暫定摂政就任を明らかにした。国王の諮問機関・枢密院の議長を20年近く務めたプミポン国王の側近だ。摂政と兼務できない議長職からは離れた。

 跡継ぎのワチラロンコン皇太子は「いまは国民と悲しみを共有したい」と、即位を急いでいない。ウィサヌ氏は15日、国王の火葬が1年以上先になるとの見通しを皇太子が示したことを明らかにした。国王という権威が不在の事態を補うのがプレム氏の役割だ。

 1980年から8年間首相を務め、清廉な指導者として国民の支持を集めた。軍出身ながら議会制民主主義を重視する政治手法で評価された。軍政からも国民からも受け入れられる重鎮といえる。

 誕生日にはプラユット氏ら軍政首脳がプレム氏の自宅をそろって訪れ、祝いの言葉を伝える。プレム氏の影響力の大きさを映す。国王不在が長引く場合、新憲法がプレム氏の承認によって発布される可能性もある。

 軍政は治安対策も強化している。8月には南部を中心にテロとみられる連続爆発が起きた。国家警察は10月後半に首都バンコクでテロが起きる恐れがあるといい、警戒を強める。王位継承の間隙を突く勢力が現れないとも限らない。

 新国王の即位後も不安の種は残る。「国父」と慕われたプミポン国王の権威を引き継ぐのは容易ではない。皇太子は国王の誕生日を祝うイベントを主導するなど国民との交流も図ってきたが、国の要としての権威の醸成はなお途上だ。

 タイにはタクシン元首相派と、既得権益層を中心とする反対派の根深い政治対立が残る。タクシン派のインラック政権を倒した2014年5月のクーデター後、軍政はプミポン国王の勅令をよりどころに全権を握った。だが、クーデターを正当化した権威は国王個人に属する。ある外国人研究者は「軍政は正当性の面で難しい課題に直面する」と指摘する。

 8月の国民投票で可決した新憲法は当初5年間、軍の影響力が色濃く残る政治制度を導入する。軍政が任命する上院がその一例だ。選挙で選ばれる民選政府に上院がにらみをきかせ、社会対立をあおるような政治の芽を摘む狙いがある。

 だが軍監視の政治は民主主義の後退につながる懸念が付きまとう。次世代の王室にとっても、亡き国王が目にできなかった「国民和解」は大きな宿題となる。
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