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米アップルCEO「スマホ、まだ草創期」 来日インタビュー

2016年10月17日 08時54分20秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16H3E_W6A011C1000000/?dg=1

米アップルCEO「スマホ、まだ草創期」
来日インタビュー
2016/10/16 21:22日本経済新聞 電子版

 来日した米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞のインタビューで、スマートフォン市場の先行きやスティーブ・ジョブズ前CEOの思い出を語った。(聞き手は編集委員 関口和一)

■日本の人々の物静かさが好きだ

――5年前にCEOに就任して以来、初めての来日です。サプライヤーの集積地であり、米国や中国に次ぐiPhoneの大きな市場である日本をどのように見ていますか。

「日本は様々な意味で重要な国だ。早い時期から仲間のような意識を抱いてきた。デザイン面や美意識、また数多くの技術が日本で生まれている。日本には数多くのパートナーや部品のサプライヤーなどがいる。開発者のコミュニティーも非常に活発で、日本に来るのはいつも楽しい」

表参道で、自撮り(セルフィー)の求めに応じるアップルのティム・クックCEO(13日、東京都渋谷区)

「日本の好きなところは数え切れない。人々の物静かさが好きだ。正確さ、職人芸、品質を重視するところもそうだ。新しい技術に熱心なところも好きだ。創造性にも優れている。ゲーム開発者の世界を見ると、本当にたくさんのアプリが日本人の開発者の作品だ。私は日本の人たちが好きで、とても特別な場所だと思う」

――横浜に研究開発拠点を設けるのはなぜですか。

「技術や人材の観点からみて、日本はカギを握る国だと考えているからだ。ここに拠点を持つことは理にかなっている。間もなく業務を始める予定で、非常に楽しみにしている。深いエンジニアリングを手掛けるが、(研究内容については今)明言することは避けたい。エンジニアリングやそのほかの面で非常に優れた国だから、ここに拠点を構える」

――ソニーが開発した通信方式を使う非接触型IC「フェリカ」を採用し、日本でも「アップルペイ」を今月にもスタートさせます。

「日本で生まれたフェリカを用いて、現金なしで完結する社会をつくるカタリスト(触媒)になりたい。消費者はいつもコインや紙幣が足りなかったり持っていなかったりすることに気を取られている。便利で決済が速く、プライバシーも守られたシステムを消費者は望んでいる。(電子マネーは)セキュリティー面でも安心だ。クレジットカードは情報が盗まれたりすることもある。日本でもアップルペイの導入により、家を出るときに持つのはiPhoneだけというようにしたい」

■スマートフォンは1人1台に

――iPhoneが世に出て今年で9年になりました。

アップルの表参道の店でプログラミングを学ぶ子どもたちと談笑した(13日、東京都渋谷区)

「最初のiPhoneは米国でたった1つのキャリア(携帯電話事業者)で始めた。当時は2.5G(世代)で、(アプリ配信サイトの)アップストアもまだなかった。1年ほどしてアップストアが始まり、その後、普及していった。振り返ると毎年大きな進歩をしている」

「変化しているときにその変化に気づくことはまれだ。歴史を振り返って初めてわかる。スマートフォン市場は電子機器で唯一、1人1台が実現する分野だ。いまはまだ実現していないが、これは大きな事だ。パソコンは1人1台に達するとは誰も考えていなかった。タブレットも大きな市場だが、1人1台とはならないだろう」

――スマートフォンの次はどんな商品を投入する考えですか。

「スマートフォンはまだ、地球上の誰もが必要としている。誇張ではなく、スマートフォンはまだ草創期にあると言っていい。9歳で、まだティーンエージャーにもなっていない。始まったばかりだ。人工知能(AI)など新しいコア技術をiPhoneに取り込んでいけば、まだまだ進化していく」

――AIやIoT(モノのインターネット化)が話題です。

「バズワード(流行語)は好きではないが、いつも自問自答している。利用者の体験をどうしたら深められるか、利用者自身が使いたいと思う方法で新しい製品を使えるようにするにはどうすればいいのか。こうしたことを考えたとき、AIはコア技術となる。AIは本質的に横串の技術であり、あらゆる製品に関わるものだ。実は私たちはAIをほとんどの人が気付かないところで既に使っている。気付いてもらう必要もない」

「例えばAIを使えば、端末の電池の持続時間を伸ばせる。アップルミュージックに登録していれば、最適な音楽を提案できる。どこに車を駐車したのか思い出すのを助けられる。AIはiPhoneのあらゆる機能に関わり、今後も広がり続けるだろう。利用者にとって重要な機能にAIを使いたい。スマートフォンやiPhoneは大きな未来がある」

■一夜で世界は変わらない

――アップルウオッチは日本ではあまり浸透していません。

クック氏は短い滞在中に多くのビジネスパートナーを訪問した(13日)

「私はアップルペイの電子決済はいつもアップルウオッチを使っている。スーパーのようにたくさん人が居る場所では便利だ。自宅でもそう。例えば玄関を開けるときに、ポケットから鍵を取り出すよりも手首をかざすだけで扉を開けられれば、よりシンプルになる」

「過去を振り返ると、iPodは一大現象となり、音楽の文化を変えたが、普及には時間がかかった。一夜にして変わったわけではない。過去のことを顧みると一夜で変わったように思いがちだが、実際には違う。日本でどうであれ、アップルウオッチはほかの地域では非常にうまくいっている。フェリカも使えるようになれば、日本でもうまくいくと思う」

――米IBMとの連携は進んでいますか。

「関係は非常にうまくいっている。IBMとの連携は、新しい種類のアプリ開発に関するものだ。消費者向け分野ではアプリ数が爆発的に増えた。課題や興味があることに対応するアプリはどこかに存在するだろう。しかし法人分野ではそうではない。法人向けは(ワープロソフトなどの)汎用ソフトしかない。会社の中での一つ一つの仕事に対応したモバイル用のアプリはほとんどない。200万ものアプリがアップストアにあるが、法人向けモバイルアプリは砂漠のようだ」

「IBMとの協業を通じ、社内業務の改革を考えるための明かりを灯したといえる。人々の働き方を変えたいと思う。法人向け分野のアプリの世界で2015、16年は、消費者向けアプリの08年から09年ごろの段階にある。iPhoneが消費者の生活を変えてきたように、法人向け市場でも今後は同じようなことが起きるだろう」

――独統合基幹業務システム(ERP)大手のSAPとも提携しました。

クック氏は「株式時価総額のことはあまり考えていない」と語った(13日)

「提携したのはSAPが世界中のあらゆる取引のバックオフィスの機能を果たしているからだ。米デロイトとも提携した。数多くの企業が業務改革支援をデロイトに頼っている。米シスコシステムズとは企業におけるiOS用アプリの最適化に向けて協業している。これらは重要な業務アプリを情報インフラの上で素早く動作させるための近道になる。大きな観点でいえば、消費者の生活のあり方を変えてきたように、人々の働き方を変えていきたい。生活と仕事は切っても切り離せない関係にあるのだから」

「多くの会社では、モバイル機器の使い道と言えば、メールのチェックとウェブ閲覧、カレンダーや連絡先の管理。現実はこれだけだ。どの会社の従業員もモバイルアプリを使えるようになっていくはずだ。先進的な企業では既に取り組み始めている」

■縦割りにはなっていない

――アップルは巨大企業に成長したことで、新しい商品が生まれにくくなったといわれます。

「私たちは自分たちを大企業とは考えていない。アップルの組織内部をみると、たくさんの小さなチームが仕事をしている。1999年ごろと何ら変わっていない。全体としては規模は大きくなったが、同じ感覚や優れた製品への情熱を持ち、世界を変えたいというメンタリティーや反骨心は今も私たちの中にある。私たちの仕事の方法や、やり取りの仕方は、実際のところ当時と同じ構造だ。私たちは大企業では唯一、縦割り主義になっていない会社だと思う。もし縦割り組織だったらiPhone、iPadで違うOSを使い、iOSとMacOSのハーモニーはほとんど無かったはずだ」

――日本の公正取引委員会はスマートフォンメーカーの販売管理体制を「競争相手の排除につながる」とし、アップルによるものと示唆したと受け止められています。欧州でも課税逃れなどが指摘されています。

「アップルの規模から来る問題であり、批判の声があることは認識している。私たちは巨大企業だとは思っておらず、ベンチャー企業のように機能している。当局からの照会には誠実に対応していく考えだ。日本の当局に対しても同様だ。私たちはユーザーのために全力を尽くそうとしており、それに関係する問題提起はおおいに歓迎する」

――株式時価総額で世界トップに立っていますが。

「実のところ、私自身はあまり時価総額のことは考えていない。人々の生活を豊かにする製品を出すことにフォーカスして実行できれば、その結果としてよりよい売上高と利益、そして株式時価総額につながるものだと思っている。時価総額が重要でないと言っているのではない。どこの企業でも経営陣がそればかり考えるのは誤りだということだ」

――CEO就任から既に5年がたちました。

「次の5年はこれまでの5年と同じで、その前の5年とも同じ。素晴らしい製品を作り、人々の生活を豊かにするのが私たちの仕事だ。新しい商品カテゴリーに参入することを考えるとき、私たちは常に自問している。コアの技術を持っているかどうか。真に革新的でよりよいものを作ることができるか。ハードウエア、ソフトウエア、サービスがそれぞれ必要とされているかどうか。それらを融合することこそ、アップルの強みだからだ。大きな意味で世界に貢献し、私たちにしかできない方法で世界を変えていくものを作り出したい」

■少ない製品に集中する

――日本の家電業界の衰退が叫ばれています。アドバイスはありますか。

「彼らより彼らのビジネスについて私が知っているとは言えない。私が言えるのは我々の場合、何が有効だったかということだ。少ない製品に集中し、良いものを作る。素晴らしい製品に全てのエネルギーを投じる。利用者の体験、顧客の要望に応える。そうすれば利益は後からついてくる。何にフォーカスすべきかということを間違えてはならない」

――京都で任天堂の宮本茂代表取締役クリエイティブフェローと会いました。

「『スーパーマリオラン』を年内にどう立ち上げるかについて話した。任天堂は人々に驚きを与える。大きな作品で提携のスタートを切ることができた。今後が非常に楽しみだ」

――ソニーをどう見ていますか。

「ソニーとはたくさんの分野で協業している。音楽・映画・テレビのコンテンツで関係があるし、もっと多くの分野で協力関係を築きたい。私はカズ(=平井一夫社長)がソニーのためになし遂げたことや彼のリーダーシップを尊敬している」

――韓国のサムスン電子は今、厳しい状況にあります。

「彼らの部品技術は非常に素晴らしい。いくつもの異なる事業領域があるが、我々は共通の利益がある分野で彼らとパートナーを組み、同時にスマートフォンなどでは競い合っている」

――サムスンとの法廷闘争が続いています。

「知的財産のコピーに怒っている」と語るクック氏(13日)

「主な係争は知的財産に関することで、理由はシンプルだ。彼らが我々の知的財産をコピーしたからだ。適切な行動だとは思えない。何かに全身全霊を注いで取り組み、アーティストが絵画や曲などを作るとき、何年もかけて完成させ、ようやくサインをする直前に誰かが勝手に名前を入れてしまったなら、どんなふうに感じるかを考えてほしい」

「言葉で伝えるには難しい感情だ。我々にも素晴らしい製品を作り出したエンジニアやデザイナーがいる。だから本当に怒っている。法廷で一貫して主張し続けているのはそのためだ。私は訴訟は決して好きではない。私にとっては最後の手段だ。だが、分野によっては彼らと協力することができるし、そうしている。部品分野などでは大変敬意を払っている」

――昨年12月にカリフォルニア州で起きた銃乱射事件を巡り、容疑者のスマホの暗号解除を求める米連邦捜査局(FBI)と訴訟にまで発展しました。

「あれは悲惨な事件であり、私たちも心を痛めている。FBIに協力していたが、やがて私たちにはできないことを要求された。ショックだった。『ノー』と言ったら彼らは脅しをかけてきて、我々を訴えた。こうしたケースでは公の場で自らを防御するのは難しい。私たちは一生懸命、なぜそうすべきだと思ったのかを説明し、プライバシーを守るために立ち上がった。米国で国民として守るべき国の基礎となる合衆国憲法に反することを要求されたと感じた。どんなに難しいことだとしても立ち上がる義務があると感じた。実際大変だったが、やるべきことをした」

「我々は非難を浴び、慣れない中で主張を展開せざるを得なかった。製品について説明するのには慣れているが、全く違う種類の話だからだ。たくさんのことを学んだと思う。これも将来には役に立つだろう」

■ジョブズは「何をすべきか君自身が示せ」と言った

――スティーブ・ジョブズ前CEOから生前に何を託されましたか。

インタビューでは「日本の好きなところは数えきれない」と述べた(13日)

「彼の療養中、私は頻繁に彼の家を訪ねていた。2011年8月のある日曜日、彼は私を呼んだ。彼はアップルが今まで一度もプロフェッショナル・トランジションと言えるCEOレベルの交代ができていないことをかなり長い時間をかけて説明した。これまでは社内で何かが起きてCEOが交代していた。誰かが退社させられ、別の人が入ってきた。彼はそれを望んでいなかった。彼はプロフェッショナルな移譲を望み、今がその時だと感じていたようだった」

「正直言って、私は驚いた。彼がCEOの仕事を好み、彼の病状は改善していると思っていたからだ。彼は恐らく、自分自身が満足できる水準の仕事ができるほど良くなっていないと考えたのだろう。その日はその後、彼が何をし、私が何をするかということをずっと話した。私は彼が何を考えているのか知りたくて、細かな質問をたくさんした。彼は『ディズニーを見て、苦しさを紛らわせている』と言った」

「彼はこうも言った。『何をすべきかは君自身が示すんだ。私ならどうするかなんて聞かないでくれ。正しいことをやればいい』と。しばらくは毎日のように話し合い、一緒に働いた。私がCEOで彼が会長という体制はずっと続くと思っていた。私はいずれ退き、彼は残り続けると。しかし彼の病状がいよいよ悪化した時、彼ならどうするかということは聞くなと再び私に言った」

――ジョブズ氏の期待に応えられたと思いますか。

「彼は誰にも代えがたい。私も最初から彼の代わりになることはできないと分かっており、そうなろうとも思わなかった。私は私。自分にできることをやり、自分ができる最善のCEOであろうとした。もちろん彼がいてくれたらどんなによかったか。彼ともっとたくさんのことに取り組みたかった。しかし残念ながら彼はもういない」

■聞き手から

クック氏、柔和で冷静な経営者

 伊丹空港から入り、仙台空港から帰る急ぎ足の旅で、取材できたのは新幹線の車中だったが、ティム・クック氏はスティーブ・ジョブズ氏とは異なり、柔和で冷静沈着な経営者だった。アップルストアの表参道の店舗ではプログラミングを学ぶ子供たちに目を細めた。

プログラミングを学ぶ子どもたちに「僕もみんなぐらいの年齢のときにアプリをつくれたら良かった」と話した(13日)

 「アップルから新製品が生まれなくなった」といわれるが、本人は意に介した様子はない。スマートデバイスを生活のツールからビジネスや医療などのツールへと広めていく戦略を語った。

 一方、韓国のサムスン電子との知的財産問題や米連邦捜査局(FBI)との法廷論争に話が及ぶと一転して厳しい表情に変わり、毅然として闘う姿勢が印象的だった。「スティーブがいてくれたら」と思うことはあるそうだが、すでにCEO在籍5年。5年で売上高を倍増させたあたりに自信のほどをのぞかせた。
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