経済中心に書いてます!

趣味の範囲で…園芸・沖釣り・漢方・医食同源の投稿をします…業務はCX・225指数・FX Pro. …

ランナー置き去り 市民マラソン、バブル崩壊

2017年02月13日 14時04分04秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO12775770Q7A210C1000000/?dg=1

ランナー置き去り 市民マラソン、バブル崩壊
(1/3ページ)2017/2/13 6:32日本経済新聞 電子版

 国内最大のマラソン大会、東京マラソンを2月26日に控え、今年も市民マラソンの季節が本格的に始まる。自治体などが誘致するマラソン大会は増える一方だが、それを支えるランナー人口が減少に転じていることはあまり知られていない。マラソン大会に「供給過剰」のひずみが出始めている。

■種子島マラソン、30年の歴史に幕

 今年3月12日を最後に、ある市民マラソンがひっそりと姿を消す。「たねがしまロケットマラソン」だ。第1回の1987年から今年で30年。国内最大のロケット発射場、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)がある種子島を縦断するマラソンで、多いときには3000人近くのランナーを集めた。

3月12日、たねがしまロケットマラソンが30年の歴史に幕を閉じる(写真は16年3月の大会)

 「参加者は年々減っている。このままでは町の財政を圧迫するばかりだ」「30年も続いた大会なのに……」「今年から鹿児島マラソンも始まった。あちらは日本ガスや京セラ、トヨタ系も協賛している。競合しても未来はない」――。

 昨年9月26日、たねがしまロケットマラソンの主催者会議に南種子町長や、商工会議所の幹部が集まった。「こんな状態で続ければ、クレームが来るのは目に見えています。ランナーたちから惜しまれるうちに、有終の美を飾りましょう」。企画課主任の松木龍宏が、大会データを片手に主張。町長の名越修は「続けられないのか。わかった」と了承し、廃止が決まった。

 種子島は風光明媚(めいび)な鹿児島県の観光名所だ。マラソンついでに観光を楽しむ人も多く、古参のランナーたちの間では知る人ぞ知る名マラソンだった。だが、参加者数の低迷に歯止めがかからず、昨年は1800人、ピークから4割減った。

 「ブームの終わりなんでしょうね。参加者減を抑えられなかった」。松木は肩を落としながらも、今年で最後となる大会のため備品の発注などの準備に戻っていった。

■ランナーは減る、大会は増える

 正月の箱根駅伝、2月の京都マラソン、東京マラソンと、この季節に盛り上がる市民マラソン大会の熱気からは想像できないが、実は、ランニングブームは頭打ちの兆候が出ている。笹川スポーツ財団(東京・港)が1年おきに実施している調査によると、年に1回以上ランニングをする「ランニング人口」は14年に986万人で、12年の1009万人から微減となった。

 2月下旬にも公表される16年のランニング人口はさらに減少する見込み。2期連続での減少となれば、東京マラソンが開催され、ブームに火が付いた06年以降初めてとなる。同財団主任研究員の渋谷茂樹は、「コアなランナーはいるが、あまり熱心でなかったランナーが離れ始めた」と理由を解説する。

 一方、フルマラソンの開催件数は急増している。マラソン大会の口コミサイト「ランネット」を運営するランナーズホールディングス(東京・渋谷)によれば、15年に開催された国内のフルマラソンの数は77大会。東京マラソンが始まった06年度の50大会から10年で35%増えた。

 「供給過剰」のひずみは少しずつ顔を出している。

■さいたま国際、国内最高値

第2回さいたま国際マラソン(16年11月)。参加者数は前年の3倍を超えたが

 昨年11月13日に1万6000人のランナーが参加した第2回さいたま国際マラソン。マラソン歴5年の会社員、水田三喜男(46)は、脚をつらせながらも3時間30分台で走りきった。タイムには満足したものの、大会には不満が残った。参加費が「高すぎる」(水田)。

 フルマラソンの参加費は1万5000円。抽選倍率が10倍を超える東京マラソンは1万800円、観光地の魅力十分な京都マラソンでさえ1万2000円だ。「景観などもみるべきものはなかった。なぜ、こんなに高いのだろう」といぶかしむ。

 全国のマラソンに関する口コミサイト、ランネットには、「給食がなかった」「更衣室が満室で、女性の前で着替えた」といったコメントがあふれている。その数約1150件。

 同大会に沿道警備のボランティアとして参加した鬼頭晃子(47)は、管理のずさんさに驚いた。「こんな状態でランナーが倒れたらどうなっちゃうんだろう」。コースに見物客が進入しないように見張ったり、競技中に倒れたランナーの救援を呼んだりするボランティアは大会に不可欠だ。通常、ボランティアリーダーと呼ばれるベテランがグループを管理し、指示を出す。だが、当日のリーダーは、スタート直前に、「ここにいてください」と一言残したきり6時間、1度も顔をださなかったという。「見回りをしながら、『異変はありませんか』と聞くのが普通。事故が起こっていたらと思うとゾッとする」(鬼頭)。

 そもそも同大会は、1回目の大会ではフルマラソンの完走時間を4時間に設定していたが、昨年の第2回は6時間に拡大。その結果、参加者数は1回目の5000人から1万6000人に急増した。「給食がない」という苦情やボランティアの不足は、無理な参加枠拡大が原因になっている。

 大会の不備についてさいたま市に尋ねると、「給食不足は、業者のミス。ボランティアについては、見込み違いだった」(スポーツイベント課)と認めるものの、イベント課副参事の横川康夫は、「完走時間を拡大したのは、市民ランナーを取り込み、みんなのマラソンにするためだ」と話す。

 さいたま国際の無理な大会運営は、その発足の経緯と関連していそうだ。

■女子の低迷で消えた大会

 日本女子マラソンの成長とともに、36回を数えた横浜国際女子マラソンが最後の大会を終えたのは14年11月のことだ。日本陸上競技連盟や、主催する新聞社が、財政難を理由に継続を断念したという。この大会は、女子のエリート選手の選抜の場ともなり、前身の東京国際マラソンはロサンゼルス五輪(1984年)での女子の正式種目採用の原動力になった歴史ももつ。

 だが2007年に東京マラソンをはじめとする大規模市民マラソンが人気を集める一方、女子マラソンの低迷はスポンサー獲得を難しくしていった。

 「女子マラソンの選考大会」という横浜国際の看板に飛びついたのが、さいたま国際だった。「ここから、世界へ。」をキャッチフレーズに、現職市長が旗振り役となり、観光資源の乏しいさいたまを盛り上げようと誘致した。

 だが、主催団体の幹部は、「資金繰りが苦しい。参加者の負担増でまかなうしかない」と本音を漏らす。国内のスポーツ事情に詳しい専門家も「女子マラソンでは、野口みずきや高橋尚子など、視聴率をとれるスターが今はいない。それに加え、マラソン全体のブームが頭打ちになったのを見誤った」と指摘する。

 市民マラソンの運営費は、自治体の予算、企業の協賛金、参加費でまかなわれる。この3つのバランスが良いほど、持続可能な大会になるといわれるが、さいたま国際の場合、全体の運営費約8億円に対し、さいたま市と埼玉県の支出が3億3000万円と、4割以上に上る。

 東京や大阪、京都など、大都市のマラソンならば集客力や予算でカバーできるが、全国80カ所近くまでひろがった市民マラソンとその文化に生き残る道はあるのか。

■東北の風土とフード

今年4回目を迎える東北風土マラソン。フルマラソンは長沼を2周する(写真は16年4月の大会)

 宮城県登米市の湖、長沼の湖畔を走る「東北風土マラソン&フェスティバル」は、3月18日から3日間の日程で開催される。今年で4年目。参加ランナーの見込みは6000人で、第1回の1300人から順調に参加数を増やしている。マラソンと併設して、東北の食材を振る舞うフードフェスティバルも開催され、全体の来場者は延べ5万人を見込んでいる。ランナーは、走り終わったあと、東北各地の米所から集まった日本酒や、地元の特産品に舌鼓を打つという趣向だ。

 発起人の竹川隆司(39)は、野村証券のロンドン拠点や米ハーバード大ビジネススクールを経てネットベンチャーを起業、その傍らマラソン大会の主催を志した。きっかけは、東日本大震災で復興に携わろうとしたが、満足できる成果を上げることができなかったからだ。

 マラソン開催に向けて最も時間を割いたのが、地元の理解を得ることだったという。地元の同意がなければ、警察からの道路使用許可が出ない。竹川は13年末、コース沿いに住む家庭、200軒を個別に訪問し、開催の意味を訴えた。

 「こんなところでできるの」「言っている意味がわからない」。当初は懐疑的だった住民も、訪問を重ねるごとに理解を示し始めた。宮城県や登米市の自治体予算は一切使っていない草の根マラソンだ。竹川は「1つの自治体でない広域的な取り組みにしないと、東北全体の復興にならない」と話す。その証拠に、給水所には登米のコメだけでなく、気仙沼のフカヒレスープや南三陸町のめかぶ、山形県の最上早生そばなど、東北各地域の物産と、生産者が集まる。

 1回目の大会から参加している持田覚(51)は、コース周辺の草刈りに有志で取り組む。普段は放置されているコースは、1年たつと雑草で溢れるためだ。最近では周辺の住民から、「草刈りはやっておいたよ。東京からわざわざありがとう」と声がかかる。「3回目にして地元の人に受け入れられ始めたかな」

■カギは地元とのつながり

 東北風土マラソンがモデルにしているのが、今年で33回目を迎えるフランスのメドックマラソンだ。毎年9月、色とりどりの仮装のランナー8000人が集まり、休憩所でメドックの有名シャトーワインを味わう。2日間の経済効果は約30億円。来場者3万人の4割は海外からの観光客という。

 メドックマラソンの発端は、当時、まだ有名でなかったメドックの農家が集まり、何とかして知名度を上げようとした努力の結果という。マラソンの波にのり、メドックも世界的なブランドとして波及した。

 2020年の東京五輪を控え、企業は五輪マーケティングに予算をシフトする。「マラソン大会は今後、ますます厳しくなるだろう」(スポーツ事情に詳しい専門家)

 さいたま国際に幻滅した鬼頭は、それでも「来年も参加するつもりです」と話す。運営がずさんでも、ランナーとハイタッチする瞬間や、地元のボランティアとの交流が醍醐味だからだ。「まだ始まったばかりの大会だし、変わっていけると思う」

 今年で幕を閉じる、たねがしまロケットマラソンの松木も、「この大会の最初のきっかけは、島民同士の交流の場をつくることでした」と振り返る。静かに再起のチャンスをうかがっているようだった。

=敬称略

(飯島圭太郎)
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 米、北朝鮮へ強硬策に転換 ... | トップ | GDP、住宅投資に失速感 ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。