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趣味の範囲で…園芸・沖釣り・漢方・医食同源の投稿をします…業務はCX・225指数・FX Pro. …

2017.08.03(木) 本日の注目指標★☆… 特に、欧州系通貨が高値圏ですので、英中銀スーパーサーズデーに注目です! 更新

2017年08月03日 23時31分12秒 | 投資ノウハウ


先ずは、昨晩のNY…

メスター・クリーブランド連銀総裁
・雇用者の増加は現行のペースから若干減速の可能性。
・インフレ抑制を考慮し、自然失業率の推計値引き下げ。
・直近のインフレ鈍化は一部特殊要因。
・労働市場やGDPの成長、そして期待がインフレを押し上げる。
・インフレ鈍化に市場は過剰反応すべきではない。

ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁
・この秋のバランスシート縮小開始を支持。
・バランスシートを妥当な規模に戻すのには約4年かかる。
・FRBにとって重要なのは目的と目標を明確にすること。
・バランスシート縮小開始は市場では既に織り込み済み。
・長期金利はこの先数年上昇を予想。
・短期金利は2.5%付近が新常態。

ブラード・セントルイス連銀総裁
・近い時期の追加行動は支持しない。
・軟調なインフレ統計を懸念。
・指標は回復する可能性はあるが、今はそれを確認する必要。

来週の米国債入札は3、10、30年物で620億ドル
 8日 3年物 240億ドル
 9日 10年物 230億ドル
10日 30年物 150億ドル
計620億ドル

トランプ大統領
・ロシア制裁強化法案に署名
・法案には重大な欠陥がある。
・大統領権限の侵害や、同盟国との協力に悪影響が及ぶ恐れ。
・米企業に意図せぬ悪影響が出る可能性。


・NY市場でドル円は下に往って来い
・110円を割り込むと、押し目買い
・日銀と各国中銀の出口戦略への温度差で円安期待
・110円割れなら拾いたいロング勢も多い
・NY時間の朝には111円手前まで買い戻された

・アップルが好決算を発表し株価も大幅に上昇した
・IT・ハイテク株への売りが強まる
・ナスダックが下げに転じた

・米インフレ鈍化
・トランプ大統領の経済政策への不透明感
・依然、ドルの上値を重くしている

・NY時間に、110.30近辺まで下落
・終盤になるとIT・ハイテク株が下げ渋る
・ナスダック指数も前日付近まで戻した
・110.75近辺まで戻す展開!

・ADP雇用統計が発表
・予想を下回った
・前月の雇用者が、上方修正
・±で、反応は限定的!

・週末の米雇用統計
・雇用者数より
・賃金などインフレ関連のデータに関心が集中

・クリーブランド連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁の発言が伝わった
・インフレ鈍化の一部は特殊要因で過剰反応すべきではないと認識
・この秋のバランスシート縮小開始を支持するといった発言

・ユーロの上げが止まらず!
・ユーロドルは1.19台まで一時上昇
・過熱感も高まる
・高値警戒感も強まる
・ドルも円も買えない
・ユーロへの資金流入が続く
・2015年1月以来の高値更新
・米雇用統計を前にドルロングを調整する動きが出たとの指摘!

・ユーロを買いたいというより
・ドルが買えない状況
・ユーロドルを押し上げている

・米インフレ鈍化への懸念
・年内の米利上げ期待が後退
・トランプ大統領の税制改革
・インフラ整備など
・経済政策への実効性への疑問
・ドルに対して投資家を臆病にしている!

・8月下旬にワイオミング州のジャクソンホールでFRBのシンポジウムが開催
・イエレンFRB議長
・ドラギECB総裁も参加する予定
・そこでの要人発言が注目
・少なくともそれまでは今の流れは変わらない?!


米4-6月期企業決算:テスラ↓

ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁の発言が再び
・年内にもう1回、18年に3回の利上げ適切。
・9月がバランスシート縮小開始の適切な時期。
・ドル安はインフレ予想のうえで大きな要因ではない。

ローゼングレン・ボストン連銀総裁のインタビュー
・より高い賃金が近く実現する局面に接近している。
・市場は9月のバランスシート縮小開始を適切に予想。

【恐怖指数】警戒感は上昇
・VIXスポット(NY時間:16:14)
・スポット  10.28(+0.19 +1.88%)






本日の経済指標は、特に、欧州系通貨が高値圏ですので、英中銀スーパーサーズデーに注目です! 
NY時間に関しては、明日の米雇用統計待ちになる可能性が高いです!

08:50↑↓日本財務省が発表した対外・対内証券投資の状況(7月23日~7月29日)
対外証券投資
 株式    1374億円の買い越し
 中長期債  10670億円の買い越し
 短期証券  307億円の売り越し
 合計    11737億円の買い越し
対内証券投資
 株式     1238億円の売り越し
 中長期債   2939億円の買い越し
 短期証券   2616億円の売り越し
 合計     915億円の売り越し

10:30↓↓豪州貿易収支(6月)結果8.56億豪ドル 予想18.00億豪ドル 前回20.24億豪ドル(24.71億豪ドルから修正)

10:45?中国財新サービス業PMI(7月)

12:45?10年物物価連動国債入札(4000億円)

16:00↓↑↓↓トルコ消費者物価指数(7月)
 結果0.15% 予想0.17% 前回-0.27%(前月比)
 結果9.79% 予想9.90% 前回10.90%(前年比)

16:55↓↓ドイツ非製造業PMI・確報値(7月)結果53.1 予想53.5 前回53.5

17:00→→ユーロ圏非製造業PMI・確報値(7月)結果55.4 予想55.4 前回55.4

17:00!ECB経済報告 
・相当な規模の刺激策が依然必要
・基調インフレは中期的に緩やかに上昇
・所得に関するデータは堅調、広範に成長が進展

17:30↑英国CIPS非製造業PMI(7月)結果53.8 予想53.6 前回53.4

↑ポンド買い反応

日銀 
↑本日は従来型のETFを733億円購入
・設備・人材投資企業支援のETFを12億円購入
・J-REITは購入せず

18:00↑↑↑↑ユーロ圏小売売上高(6月)
 結果0.5% 予想0.0% 前回0.4%(前月比)
 結果3.1% 予想2.5% 前回2.4%(2.6%から修正 前年比)

↓ポンド相場は上昇を消す

★英中銀スーパーサーズデー

20:00→→英中銀政策金利 結果0.25% 予想0.25% 現行0.25%

英中銀 
・政策金利据え置きは6対2で決定
・資産買入枠の据え置き、全員一致
・成長見通しと賃金上昇率見通しを引き下げ

20:00!英中銀議事録、英中銀四半期インフレ報告 2017・18年の成長見通し引き下げ
・2017年成長見通しは1.7%(前回1.9%)
・2018年成長見通しは1.6%(前回1.7%)
・2019年成長見通しは1.8%(前回1.8%)
・2017年インフレ見通しは2.7%(前回2.6%)
・2018年インフレ見通しは2.6%(前回2.6%)
・2019年インフレ見通しは2.2%(前回2.2%)
・2018年賃金見通しは3.0%(前回3.5%)

ポンド急落
円買いにも波及

20:30!カーニー英中銀総裁、インフレ報告について会見
・ポンド下落が実質所得を削減させた
・弱い消費支出が成長のマイナス材料
・投資は英国民投票以降弱まっている
・目先の経済成長は引き続き低迷
・投資や貿易の回復で経済成長は加速するだろう
・経済の供給能力は緩やかに上昇
・今後3年間で幾分かの引き締めが必要に
・EU離脱の不透明感が重石となる面も
・将来の利上げ時期についてはコメントせず
・英国の潜在成長率は1.75%を下回る
・消費者信用は経済を牽引するものとはなっていない

英中銀発表でポンド急落
・票割れ
・成長・賃金見通し引き下げ

21:30↑↑米国新規失業保険申請件数(29日までの週)結果24.0万件 予想24.3万件 前回24.5万件(24.4万件から修正)

23:00↑↓↓米国耐久財受注(6月)
 結果6.4% 予想0.0% 前回6.5%(前月比)
 結果0.1% 前回0.2%(輸送除コア・前月比)

23:00↑↑米国製造業新規受注(6月)結果3.0% 予想3.0% 前回-0.3%(-0.8%から修正 前月比)

23:00↓↓米国ISM非製造業景況指数(7月)結果53.9 予想56.9 前回57.4
 総合   53.9(57.4)
 事業活動 55.9(60.8)
 新規受注 55.1(60.5)
 雇用   53.6(55.8)
 入荷遅延 51.0(52.5)
 仕入価格 55.7(52.1)
 輸出   53.0(55.0)
 輸入   51.5(51.0)


欧州企業決算:クレディアグリコル、アディダス、BMW




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苦戦アルゼンチンに変化 期待大きい闘将の手腕 サッカージャーナリスト 沢田啓明

2017年08月03日 22時26分59秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19544470S7A800C1000000/?n_cid=DSTPCS005

苦戦アルゼンチンに変化 期待大きい闘将の手腕
サッカージャーナリスト 沢田啓明
(1/2ページ)2017/8/3 6:30

 世界の先陣を切って2015年10月に始まり、参加10カ国がホームアンドアウェー方式で対戦を重ねてきたサッカーの18年ワールドカップ(W杯)南米予選は残り4節。ブラジルが首位を快走して早々とW杯出場を決め、ボリビアとベネズエラが脱落。7カ国が残る3.5枠を奪い合う(5位はオセアニア代表との大陸間プレーオフへ回る)。最も注目されるのが第14節終了時点で6勝4分け4敗で5位と苦戦する強豪アルゼンチンの動向だ。

■名将ビエルサ氏から大きな影響

アルゼンチン代表の立て直しを託されたサンパオリ新監督=ロイター

 FWメッシ(バルセロナ)、CFイグアイン(ナポリ)、MFディマリア(パリ・サンジェルマン)ら世界トップクラスの名手をそろえながら、最終ラインからトップまでの距離が間延びして攻守が分断され、組織的なプレーができず、勝ち点を落とし続けた。今年4月にエドガルド・バウサ監督が解任され、スペインリーグの強豪セビージャを率いていたホルヘ・サンパオリ氏が新監督に就いた。

 サンパオリ氏はメッシの生まれ故郷ロサリオの近郊の出身で、57歳。現役時代はボランチで、地元クラブの下部組織でプレーしながらプロを目指したが、故障のため19歳で引退。「選手としては完全に失敗した」(サンパオリ氏)が、「自分にはサッカーしかない」と考え、「W杯に出場するような監督になりたい」という無謀とも思える夢を抱き、地方の弱小クラブで指導者の道を歩み始めた。戦術研究に没頭するうち、1990年代にアルゼンチンリーグを4度制覇し、その後、アルゼンチン代表とチリ代表を率いた名将マルセロ・ビエルサ氏の戦術と指導法に強く共感。「高い位置から強烈なプレスを仕掛け、人数をかけて相手ゴールを襲う」というビエルサ流の攻撃的なスタイルをベースとしながら、対戦相手の出方に応じて自在にフォーメーションを変更するなど、独自のテイストを加えていった。

 試合中は常にコーチングエリアをせわしなく歩き回り、大きなジェスチャーで選手に指示を与える。味方のミスには頭を抱えて悔しがり、ゴールが生まれると飛び上がって絶叫する。なりふり構わない姿はコミカルですらある。

サンパオリ氏の勝利への執念はすさまじい=ロイター

■勝利に対するすさまじい執念

 勝利に対する執念はすさまじい。監督として駆け出しのころ、審判の判定に不服を唱えて退席処分を受けると、ピッチ脇の高い木によじ登り、大声で選手に指示を与え続けたという逸話がある(ただ、そこまでやっても敗れたそうだ)。

 選手としての実績が皆無だった悲しさで、国内有力クラブからは見向きもされなかった。ペルー、チリの中堅クラブを率いてコツコツと実績を積み上げ、11年、チリの強豪ウニベルシダ・デ・チレの監督に就任。この年の国内リーグで優勝すると、コパ・リベルタドーレスも制覇して南米クラブ王者になった。

 12年、チリ代表の監督に就任すると、14年W杯南米予選を突破。W杯1次リーグで前大会の覇者スペインと対戦し、ほぼ90分間、強烈なプレスをかけ続けるというサッカー界の常識を覆す試合内容で2―0で快勝。決勝トーナメント1回戦でも地元ブラジルと互角に渡り合った(延長、PK戦の末に惜敗)。

 15年にチリで開催された南米選手権では、決勝で母国アルゼンチンを延長、PK戦の末に下して初優勝。外国人でありながら、チリの国民的英雄となった。16年初めにチリ代表監督を退任すると、6月にはセビージャの監督に就任。以後、2シーズンにわたって好成績を残し、アルゼンチン代表監督の就任会見で「長年、自分が夢見てきた場所についに到達した。しかし、責任の重さは十分に自覚している。自分の能力のすべてを出して期待に応えたい」と抱負を語った。

新監督が自らの信じる戦術を選手たちに浸透させようとしている=AP

 代表監督としての最初の試合は7月9日の宿敵ブラジルとの強化試合。短い練習時間しかなかったが、選手の運動量が劇的に増え、攻守の切り替えが見違えるほど速くなり、球際にも強くなっていた(1―0で勝利)。さらに、シンガポール戦では代表初招集の若手をずらりと並べ、2―3―5という常識外れの超攻撃的布陣で臨み、6-0と圧勝した。わずか2試合だが、新監督が自らの信じる戦術を選手たちにたたき込みつつあり、なおかつ大胆な選手起用を断行してチームを大きく変貌させようとしているのが見て取れた。

 今後、アルゼンチンは南米予選で8月31日に宿敵ウルグアイ(アウェー)、9月5日にベネズエラ(ホーム)、10月5日にペルー(ホーム)、そして10月10日にエクアドル(アウェー)と対戦する。最初のウルグアイ戦で是が非でも引き分け以上の結果をもぎ取り、ホームでの2試合で連勝して、最終節を迎えたい。

■「組織の力で勝つのが理想」

 今回の南米予選は中堅国の実力が軒並み上がっており、非常にハイレベルな戦いとなっている。とはいえ、これだけ能力が高い選手がそろっており、クラブと代表の両方で実績を残してきた優秀な監督がいるアルゼンチンが予選で敗退するとは個人的には思っていない。それと同時に、アルゼンチンが出ないW杯は興味が半減する、という思いもある。

 今後、サンパオリ新監督がいかにしてチームを立て直すのか。来年のW杯に出場できるのか。その過程のすべてが極めて興味深い。「個人ではなく組織の力で勝つのが理想」と語る闘将の戦術とチームづくりは、日本代表やJリーグのクラブにとっても大いに参考になるはずだ。
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[FT]ドイツ自動車業界に方向転換の時(社説)

2017年08月03日 22時26分05秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H2B_T00C17A8000000/?n_cid=DF150220104320

[FT]ドイツ自動車業界に方向転換の時(社説)
2017/8/3 14:06日本経済新聞 電子版

Financial Times
 ドイツの自動車メーカーは、厳しい新たな現実に直面している。約80万人を雇用し、世界の高級車市場を支配するドイツの自動車業界に、国民は長い間、誇りを抱いてきた。戦後ドイツの工業の成功を示す象徴であるだけでなく、多かれ少なかれ「ドイツ株式会社」の代名詞にもなっている。

■政治家の自動車産業保護の態度にも変化

ディーゼル規制逃れの不正を機に、ドイツの自動車産業に厳しい目が注がれている(2日、ベルリンで開かれた「ディーゼルサミット」に出席した、=左から=フォルクスワーゲンのミュラー社長、ダイムラーのツェッチェ社長、BMWのクリューガー社長)=ロイター

 政治家は自動車業界の利益の保護に素早く動いてきたが、ディーゼル車に対する反発を受けて態度が変わりつつある。2日にベルリンで開かれた「ディーゼルサミット」でドイツの自動車メーカー各社は、ディーゼル車500万台の排ガスの有害物質を削減するための改修を行うと約束した。だが、この約束では不十分かもしれない。ドイツ政府は先週、違法な排ガス制御ソフトを搭載していることが判明したポルシェの一車種のリコール(回収・無償修理)を命じた。国民の不満が高まるなかで保守派の政治家は、フォルクスワーゲン(VW)が米国で受けているのと同種の集団訴訟に対する反対を取り下げる準備に入っている。

 自動車業界と政府の近さをめぐる論争と同様に、自動車メーカー同士のなれ合いに関する指摘も重大な問題だ。シュピーゲル誌が先月報じたように、欧州連合(EU)の欧州委員会はVWとダイムラー、BMW、VW傘下のポルシェとアウディによるカルテルに関する調査を開始した。この5社は1990年代から作業部会の会合を重ね、ブレーキやクラッチからディーゼル車の排ガス浄化装置に至るまで、技術や部品について話し合っていたという。

 EUの競争法に違反していたことが判明すれば、5社は大きな金銭的影響を受ける可能性がある。だが、罰金や評判へのダメージという可能性を超えて、欧州委員会の調査は、異常な協調性というドイツの企業文化の問題を浮き上がらせている。この協調性は、ドイツの製造業と輸出の成功において重要な一要因となっている。

 ドイツの製造業は、サプライヤーや研究機関との長期的関係の構築で幅広い称賛を浴びている。ドイツ企業には、効率と国際競争力を高めるための同業他社との協力という長い伝統もある。基準の設定や革新の促進、相互運用性の確保、消費者価格の低下に寄与するのであれば、そうした協働は許容でき、望ましいものになりうる。

■「協働の文化」が反競争的慣行の温床に?

 問題は、この協働の文化が企業間の共謀につながり、反競争的慣行への一線を踏み越えやすくしていたのではないかという点だ。BMWはこのような見方に対して、ブランドの差異化に影響しない部品に関する協力をしていただけだと反論している。だが、自主的に当局に情報を提供したダイムラーとVWは、話し合っていた内容の一部は詳しい調査で問題視されるかもしれないと明らかに懸念している。

 不正行為の度合い、特に価格設定に関わる不当な試みの証拠は出ていない。だが、外国勢が除外されていることは、疑えるようにみえる。また、実際の走行状況では適正に機能しないことがわかっていた排ガス浄化装置の購入について、各社が合意していたとされる問題も気掛かりだ。期待されるのは、欧州委員会が各社に過去の慣行について説明させ、今後の協働に対する制限範囲をはっきりさせることだ。これはドイツの自動車業界だけでなく、欧州の他の業界にも意味を持つ。

 ディーゼルに大きく賭けていたドイツの自動車メーカーは、電気自動車の技術開発を押し進め、カーシェアリングの普及に事業を適応させる必要がある。これは自動車メーカーだけの課題ではない。強い規制の下にある業界において、政治家と政府はディーゼルからの撤退を促さなければならない。だが、9月の総選挙に伴う圧力が弱まった後も、怒れる国民は自動車メーカーの責任逃れを許そうとしないはずだ。

(2017年8月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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国境地帯で対立、インドにたじろぐ?中国  編集委員 村山宏

2017年08月03日 22時23分48秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19550340S7A800C1000000/?n_cid=DSTPCS019

国境地帯で対立、インドにたじろぐ?中国  編集委員 村山宏
(1/2ページ)2017/8/3 6:30日本経済新聞 電子版
インド 中国

 「いずれ北京も占領されるよ。我々もインド人になるしかないね」

 「立派な兵器を自慢しているが、インド軍も追い出せないのか」

 8月1日は中国人民解放軍の創立90周年記念日だ。中国はこれに合わせ7月30日に内モンゴル自治区で軍事パレードを実施し、ステルス戦闘機など最新鋭兵器をお披露目した。だが、おめでたいはずの1日、中国のネットには政府を皮肉る書き込みが目立った。インドとの国境を巡る対立で中国側が守勢に立っているとの印象をネットユーザーが持ち、不満を募らせているからだ。中国はナショナリズムを政権の求心力維持に利用してきたが、逆に政権の足をすくいかねない危うさをはらむ。

■ネット世論、インド批判一色に

 中印両軍は6月中旬から中国、インド、ブータンの3カ国が国境を接するドカラ(Doka La)付近で対峙している。インド側によれば、ブータンと中国がともに自国領と主張する係争地、洞朗(Dolam)に中国人民解放軍が道路を建設し、インドとの国境付近へと道路を延伸しようとした。国境地帯に道路が伸び、軍事基地ができればインドには脅威となる。インド軍は6月中旬に事実上の境界線を越えて洞朗に入り、道路工事を妨害したとされる。

中印国境地帯で「あなたは国境を越えた、引き返してください」と書かれた横断幕を掲げる人民解放軍の兵士。中国はインドとの衝突は避けたい考えだ=AP

 対立の背景は日本経済新聞の7月20日付の「中印『一帯一路』巡り摩擦 国境地帯で1カ月にらみ合い」などを参照していただきたい。中国側は自国領へのインド軍の不法侵入として撤退するよう強く求めているが、インド軍は洞朗に駐留したままだ。中国が自国領と主張する地域に外国の軍隊が無断で進駐するのは異例中の異例だ。中国はいつものように激しい言葉でインド批判を繰り返しているが、軍事的な対抗策には打って出ていない。

 中国のネット上では、少し前まで地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の導入に絡み、韓国を非難する書き込みであふれていた。それが今や打って変わってインド批判となり、最近は対抗策を打ち出さない中国政府の姿勢に不満を述べる内容も増えてきている。愛国的なネットユーザーの目には、1カ月以上もインド軍の駐留を許している姿が「弱腰姿勢」に映るのだろう。冒頭のコメントはそんな状況を皮肉ったものだ。


 過去20年、中国政治はナショナリズムを軸に動いてきたともいえる。1996年に「ノーと言える中国」という書籍がベストセラーになったが、この頃から一般民衆の間で対外強硬策を求める声が強まり出した。社会主義イデオロギーが薄まるなかで、共産党政権は素朴な祖国愛を意図的に政治に利用してきた。愛国心に根ざしたナショナリズムは感情移入がしやすく、国家や社会をまとめ、求心力を維持するうえで好都合だったからだ。

 習近平主席も「中華民族の偉大な復興」を掲げ、東シナ海、南シナ海の領有権を巡る問題では日本、米国などに一歩も引かない姿勢を貫いてきた。空母「遼寧」の就航に続き、初の国産空母も進水させた。領土問題ではけっして妥協しないと国内外に示してきただけに、インドとの国境を巡る対立で軍事的に守勢に回った印象を国内に与えてしまったのは政治的には失策だったかもしれない。

■秋の党大会に向け「駆け引き」も

 とはいえここでインドと衝突するわけにもいかない。

 中国にとってインドとの戦闘はリスクが大きいからだ。局地戦に勝っても「武力を背景とする対外拡張」という印象を世界に与え、平和的台頭という名目を失う。中国を軸に経済圏をつくる一帯一路構想が崩れかねない。戦闘に負ければ秋の共産党大会を前に習近平指導部の信任が失墜する。だから中国は慎重な対応をしているともいえるが、人々の目には中国がインドの攻勢にたじろいでいるようにも映ってしまう。

 中国政治に詳しい方は5年前を思い出すかもしれない。前回の共産党大会を前にした2012年9月、大規模な反日デモが中国全土で巻き起こった。習主席らの勢力は胡錦濤前国家主席の勢力をそぐ道具として反日デモを使ったとされる。胡前主席らの対日外交を融和的だとして批判し、習主席が軍部強硬派の支持を取り付けようとしたという見立てだ。事の真偽はともかく反日ナショナリズムを軸に習指導部が基盤を固めたのは客観的な事実だ。

 この延長上線で考えると今回のインドに対するネットでの弱腰批判は、再び巡ってきた秋の党大会を前に習主席に対抗する勢力が意図的に仕掛けたとの臆測すら成り立つ。弱腰批判は7月から様々なネット掲示板に書き込まれており、繰り返し出てくるからだ。そんな陰謀論を持ち出すまでもなく、習主席にしてみれば火種は早めに消しておかねばならないはずだ。放っておけば党大会で決まる指導部人事に利用しようとする者が出てくる。

 ナショナリズムで登場した習主席だが、再任では一歩間違えばナショナリズムに苦しめられかねない状況にある。党大会を前に、予想もしていなかった難題の解決を習指導部は迫られている。


村山宏(むらやま・ひろし)
1989年入社、国際アジア部などを経て現職。仕事と留学で上海、香港、台北、バンコクに10年間住んだ。アジアの今を政治、経済、社会をオーバーラップさせながら描いている。趣味は欧州古典小説を読むこと。アジアが新鮮に見えてくる。
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「多様性まみれ」のインドで生き抜くコツ インフォブリッジグループ代表 繁田奈歩

2017年08月03日 22時22分25秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19448620R30C17A7000000/?n_cid=DSTPCS019

「多様性まみれ」のインドで生き抜くコツ
インフォブリッジグループ代表 繁田奈歩
(1/2ページ)2017/8/3 6:30日本経済新聞 電子版
インド

 インドをひと言で言い表すとどうなるだろうか? ひと言しか使えないのならば「多様性の国」と言うべきだろう。国内で使う言語は20を超え、南部と北部では人種も気候も異なる。「カレー」と日本人はひとくくりにしてしまうが、さまざまな食材とスパイスを使って実に多くのフレーバーを作り上げる。

 インドでビジネスを始めて10年近くになるが、いろいろな人たちに出会うたびに、ちょっとインドを理解したような気になっても、すぐに頭のなかで疑問が渦巻く、これこそインドの正体と言えるかもしれない。

 もともと北部の首都、デリーを拠点にしていたが、最近になって南部のアンドラプラデシュ州(AP州)におけるプロジェクトが増えたため、人口200万人ほどの小さなこの町に拠点を構えて、二重生活を始めた。そのためか、南部と北部の人々の考え方の違いを、日々の仕事や生活で感じることが増えた。

 一般的に、南部の人は北部に比べて穏やかで、のんびりしているとされる。特にデリーのような北部は、夏にセ氏45度を超す酷暑となるが、冬場は2、3度まで冷え込む過酷な気候だ。一方、南部は年中20~40度の間で比較的安定している。温暖な気候で育つ人は、食べるものに困ることもなく、ゆったりと生活するというが、まさにその通りだ。

 もう一つ、最近気付いた違いは、外資系企業のインド各地への参画の仕方だ。首都のデリーには様々な多国籍企業が進出し、西部のムンバイは古くからの交易都市で、金融の中心でもある。同時に西部は、中近東や欧州、アフリカから近い。ムンバイ近郊のプネなどにはドイツ勢の参入が増えている。

 ところがインド南部は、西部や北部のデリー、ムンバイといったエリアと比べるとまだ外資勢の投資は少ない。昔から交易が盛んだった北部や西部には、商売っ気のある人々が多いが、南部ではガツガツした意欲を感じることは少ない。

■「南部は保守的でヤル気がない」「北部はガサツで乱暴」

インドの主要都市には様々なエリアから人々が集まる(2017年7月、ハイデラバードにある起業支援施設)

 北部のデリーで一緒にビジネスをするパートナーたちに聞くと「南部の人はヤル気がなく、何かといえばすぐ仕事を休む」「保守的な考え方で積極性がない」などと切り捨てる。昔は、そこまで酷評しなくてもいいのではないかとも思ったが、実際に北部と南部の両方に身を置いてみると、さもありなんと納得してしまう部分もある。南部の人たちに言わせれば「北部はガサツで乱暴だ」ということになるのだが。

 様々な分野で持ち上がる新規事業の可能性を話すと、北部のデリーに多いパンジャブ系の人たちは、いったん興味を持つと「俺はこうしたい、ああしたい」と、極めてアグレッシブに提案してくる。こちらの都合などお構いなしに、ひたすら自分たちの理屈で強力に迫ってくる。

 だが、南部の人たちと新規事業の話をしても、向こうからグイグイ押してくることはあまりない。「協力してほしいことがあれば言ってくれ」という、どちらかといえば受け身の態勢だ。あまり自分たちのエゴを押しつけるのは良くないという考え方が垣間見える。だが、案件が固まるまでノンビリと待たれていると、残念ながら「おいしい話」がそのまま残っている可能性は少なくなってしまうかもしれない。

 個人的に言えば、押しが強く思い込みも激しいが提案を持ってくる北部の方が好きだ。互いに主張をぶつけ合う中から新しい発見や出会いがあるからだ。南部では、こちらが強く主張すると、相手が「まあまあ落ち着いて」とドン引きしてしまうケースも多い。

 それは私が、すでに10年近く北部でビジネスをしてきたせいでもありそうだ。日本人の立場で考えると、大きな目を見開いたインド人からガンガン議論を攻めたてられるよりも、ソフトに接してくる南部のインド人の方が対応しやすいかもしれない。

 一時期、自動車関連を中心に外資系企業が盛んに南部へ進出したことがあった。その時は「北部より人々が穏やかで、英語の浸透度も高いから日本企業が進出しやすい」と、まことしやかにささやかれていた。それを耳にして「なるほど南部ならアジア式でビジネスをできるかもしれない」と南部に進出した日本の人たちが、数年後には「結局、南部も広い意味ではインドだったと後悔した」という笑えない話もあった。

 今なお日本企業は、インドに進出する際に、いかに「違い」を理解しようとするかに重きを置いているようだ。インドは日本と異なる国だから、まずは理解をしようという気持ちはよくわかる。日本の中でも「東と西でカップ麺のスープの味が違う」とか「県民性が違う」などと雑学的な議論がある。だが、日本の10倍近い面積を有し10億超の人口を抱えるインドでは、「違い」を考えるだけで、すぐに5年や10年の時間が過ぎて、その分コストも増えてしまう。

■すばやく見極めて、行動しながら修正する勇気を

インド南部にも開発の波が押し寄せている(2017年6月、AP州の新州都、ビジャヤワーダに建設中のビル)

 「違い」を理解するまで動けないとなると、いつまでたっても動くことはできない。その間、市場も競争相手もドンドン手を打ってくる。「違い」を生み出す土壌や背景を的確に見極め、自分たちのビジネスにどう影響するかを考えてアクションを起こすことが重要だと考える。

 政治家の場合、選挙が近づけば有権者の動向をすばやく見極めて行動する。同じく企業も、どんな競争の環境かによって方針を転換する。時代や経済状況によって環境は大きく異なることを前提に、どんな選択肢があるかを考え、すばやく意思決定を下すべきだ。

 そのためには、どんな背景があるかを理解する力、ビジネスパートナーの性格を見抜き、その目的やターゲットを見極める力、そして環境の変化を読み解く力。インドに限らず、こういう視点を持つことは、海外に進出する際に不可欠な要素だと思う。

 なかなか行動を起こせない組織を動かすには、何をしたらいいのだろうか。新しい事業を始めようとすれば、当然あつれきが生じる。いくら日本が人口減少の時代に入り、右肩上がりの成長を見込めなくなっても、新しい産業は必ず立ち上がっていく。

 海外で事業を始めるというのは、日本と異なる環境で新規に事業を立ち上げるということと同じだ。新規事業が課題にぶつかったとき、そこであきらめてしまうのか、それとも何らかの対策を講じて動かそうとするのか。

 刻々と変化する状況に応じて迅速に選択肢を見付け出し実行する。その結果を検証して、次のステップを選ぶ。この考え方の展開とすばやい行動こそ、新しい事業の明暗を分けるポイントだ。それは日本であろうがインドであろうが変わらない。インドの北部も南部も変わらない。どんな場所でも道を切りひらくことはできる。あきらめてはいけないのである。


繁田奈歩(しげた・なほ)東京大学教育学部在学中にインドを放浪し、旅行会社を設立。その後、オンライン調査会社の中国子会社立ち上げに関わり、2006年に新興国進出支援を目的にインフォブリッジ社を設立。現在ニューデリーに在住し、インドを中心に日系企業の進出をマーケティング視点からサポートするほか、市場調査や事業開発、コンサルティングなどを展開している。
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住友化学、協和発酵キリンの農薬事業を買収

2017年08月03日 22時21分13秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ03I16_T00C17A8TJ2000/?dg=1&nf=1

住友化学、協和発酵キリンの農薬事業を買収
2017/8/3 21:40日本経済新聞 電子版

 住友化学は協和発酵キリンから農薬事業を買収する。買収額は60億~70億円とみられる。2018年3月をメドに手続きを完了させる。農薬の品ぞろえを充実させるほか、植物の生育環境に合わせた農薬使用の知識やノウハウを取り込む。同社は農薬や農業資材を成長領域に位置づけ、健康・農業関連事業で19年3月期に4400億円の売り上げをめざしている。

住友化学は南米やアジア各国に研究開発拠点を広げている(2016年に開設したブラジルの圃場)

 協和発酵キリン子会社の協和発酵バイオと農薬事業の買収で合意した。同事業の売上高は10億円強のもよう。協和発酵から農薬事業の10~20人の従業員を引き受ける。農薬の生産設備は協和発酵に残す。

 協和発酵の農薬事業は植物の成長に影響する植物ホルモン「ジベレリン」の製剤が主力。ブドウの実に種子ができるのを抑える効果があり、種なしブドウの生育に利用する。ジベレリン製剤は住友化学も販売しているが、協和発酵は果樹の種類などに合わせて製剤の最適な使用方法を提案する知識やノウハウを豊富に持つ。

 協和発酵はヘルスケア分野に経営資源を振り向けるため、非中核の農薬事業の売却を決めた。

 住友化学は農薬の国内最大手で、健康・農業関連事業の売上高は17年3月期に3193億円だった。畜産飼料の添加物「メチオニン」などに積極投資を続けているほか、昨年はインド企業の買収にも乗り出した。農薬の効果を決める有効成分の新規開発に力を入れており、米モンサントや独BASFなど海外大手との協業も多い。

 協和発酵の農薬事業は微生物などの天然物を生かして農薬にする「バイオラショナル」と呼ぶ分野。消費者の健康意識が強く、化学農薬を敬遠する向きもある先進国で需要が高まっている。住友化学は2000年に米アボット・ラボラトリーズから微生物農薬事業を買収して本格参入した。世界の農薬市場は5兆円超とみられ、企業買収などを通じて事業拡大を狙う。
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[FT]高利回り求める投資家、イラク国債に殺到

2017年08月03日 22時20分19秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H3A_T00C17A8000000/?n_cid=DF150220104320

[FT]高利回り求める投資家、イラク国債に殺到
2017/8/3 14:56日本経済新聞 電子版

Financial Times
 イラクが自身の信用力で10年以上ぶりに発行した国債に投資家が殺到している。国際市場でよりリスクの高い債券を求める需要が続いていることを表している。

■10年以上ぶりに10億ドルの国債

イラク国債の人気はイラク国情の好転を表すものとして受け止められている(2日、バグダッドのイラク証券取引所で株価モニターに見入る投資家)=ロイター

 発行額10億ドルのイラク国債の満期は2023年で、2日午後までに66億ドルの申し込みを集めた。当初は7%以上が見込まれていた利率は6.75%で決まり、予想を下回った。

 投資家は、世界的な低金利を受けてより高いリターンを求めており、資本市場でリスクをとろうとする旺盛な意欲が、イラク国債に対する高い需要の背景にある。

 欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)による度重なる緊急財政支援を受けているギリシャは先週、3年ぶりとなる国債を30億ユーロ発行した。また、アルゼンチンは6月、債務不履行となった長い歴史があるにもかかわらず、約8%の利率の100年債で27億5000万ドルを調達してみせた。

 今回の国債発行は、イラク政府にとって重大な局面となる。というのも、イラクは、自身の信用力で発行するこの種の債券を数社の証券会社の引受シンジケート団を組んだ、完全な「シ団方式」で販売したことがないのだ。米国が主導して介入した2003年以降の内紛から立ち直ろうともがくイラクには、06年に発行した国債の残高が27億ドルあるが、それも以前からある債務再編の一環として発行されたにすぎない。

■「イラクがなし遂げたことへの支持」

 シティグループで欧州・中東・アフリカ新興国向け債券資本市場部門を率いるサマド・シロヘイ氏は「今回はイラクがシ団を組んでマーケティングした国際市場初の債券発行だ。今回の反応は、イラクがここ数年なし遂げてきたことに対する強力な支持になっている」と語った。

 イラクは今年、米国の保証がついた国債も10億ドル発行している。利率は2.149%で国際的な支援プログラムに関連した発行だった。また、イラク政府は16年夏、IMFから54億ドルの救済策を受けることで合意している。

 IMFのデビッド・リプトン氏は1日、声明の中で「過激派組織『イスラム国』(IS)との武装衝突や、それに続く人道的危機、原油価格の暴落といった衝撃に対処するためにイラク当局が導入した経済政策は適切だ」と語った。

 IMFはさらに、イラク当局は同国経済の「重要なよりどころ」となるイラクの通貨ディナールのドル連動(ペッグ)制を適切に維持しているとした。

 イラクはかつて、15年に資本市場での資金調達を計画していたが、利率決定を巡る問題で取りやめた経緯がある。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは3月、経済状況に改善の兆しが見えるとして、イラクの格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」から「安定的」に引き上げた。

By Thomas Hale

(2017年8月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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ソックスのまま街履き 流行るスライドサンダル3選

2017年08月03日 22時17分32秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19109720R20C17A7000000?channel=DF260120166491&style=1&n_cid=DSTPCS020

ソックスのまま街履き 流行るスライドサンダル3選
2017/8/3

街履きでも違和感のないスライドサンダルが増えている
 「夏の定番サンダル」といえばビーチサンダルを思い浮かべる人も多いだろう。2017年夏、そのビーチサンダルに代わる形で注目を集めているのが「スライドサンダル」。これまではラフな印象が強かったが、デザイン性が高く街履きとして使えるモノが増えている。

■ソックスのまま履ける使いやすさが魅力

 スライドサンダルとは、足の甲が太いベルトで覆われていて、かかと部分にストラップがないサンダルのこと。文字通り、足を滑らせる(=スライドさせる)だけで簡単に履けるのがメリットだ。ビーチサンダルのように鼻緒がないため、ソックスのまま履けることから、日常使いのサンダルとして注目が高まっている。

 従来のスライドサンダルといえば、スポーツ後に履くシャワーサンダルや、いわゆる便所サンダルのようなラフなものが一般的だった。しかし今夏は、街履きとしても使えるデザインのスライドサンダルが増えているという。

 「若年層のファッションアイテムとしての日常履きが定着したことで、従来のイメージとは違い、オシャレな印象になりました。明るいカラーや柄物、異素材使いなどデザイン性のあるものが増え、注目が集まっています」(オッシュマンズ・ジャパン 営業本部 販促担当マネジャー 角田浩紀氏)

 スポーツブランドのシャワーサンダルもカラーバリエーションが増えており、またメジャーブランド以外からもスライド式が多く発売されるなど、今年の夏はスライドサンダルが盛り上がっている。

 「スライドサンダル全体の売り上げは、大きく前年比を伸ばした16年の110%で伸長しています。昨年は決まったアイテム中心の売り上げでしたが、今年はさまざまなバリエーションが売れているのも特徴です」(角田氏)

 今夏はビーチサンダルに代わってスライドサンダルという流れが生まれているそう。脱ぎ履きが楽で、ソックスのまま履ける。デザインも豊富になり、日常履きとしてもオシャレに使えるスライドサンダルの注目作を紹介する。

■ブランドブラック/洗練されたシンプルさ

ブランドブラックの「カシバ」(4700円)※価格はすべて税抜き
 オッシュマンズが今年の6月から販売をスタートした、ブランドブラックのスライドサンダル。ブランドブラックはロサンゼルス生まれの新鋭バスケットボールブランドで、デザイン性の高い洗練されたアイテムを手がけており、メジャーブランドとは一線を画す存在としてバスケファンの間では知られているという。

 単色のシンプルなデザインながらスタイリッシュな雰囲気。アフタースポーツだけでなく普段履きとしても活躍する。ソックスと合わせるとタウンユースにも難なく対応可能だ。

 こういったスポーツサンダルのアウトソールの素材には、EVA(エチレン・酢酸ビニール共重合樹脂)を用いることが多いが、本モデルはポリウレタン製。柔らかくも反発性が高いため、安定感があり履き心地に優れている。

 「販売を開始してすぐに反応が出たアイテムです。メジャースポーツブランドのサンダルに人気が集中しているなかにあって、コンスタントに売れています。メジャーブランド以外のサンダルを探している方や、他人との差別化を図りたい方から支持されています」(角田氏)

コーディネートしやすいワンカラー。サンダルでカーキというのも珍しい。太めのベルトが足をしっかりホールドしてくれる
ポリウレタン素材のアウトソールは安定感がある。スポーツブランドが手がけているだけあって履き心地抜群
■アグ/履き心地にこだわり

アグの「ゼビア ハイパーウィーブ」(1万3000円)
 アグの17年春夏コレクションの新作。フィット感と通気性に優れたコットン・ナイロンニット素材「ハイパーウィーブ」を使用したスライドサンダル。この素材はアグのスニーカーなどに採用されているもので、シームレスで肌あたりがよく、靴を履いているのにまるで素足のように快適なのだという。その特長を生かし、今年はスライドサンダルに取り入れたそうだ。

 アッパーもさることながらソールにもこだわりが見られる。しっとりとしたマイクロテクスチャー仕上げのEVAインソールと、「トレイドライト バイ アグ」と呼ばれる軽量なアウトソールによる二層構造。軽さと柔軟性、耐久性、クッション性とグリップ感を高めた新構造のアウトソールで、疲れにくい快適な履き心地を実現している。

 ツートーンカラーでメッシュ仕立てのニットアッパーが見るからに涼しそう。スライドサンダルでありながらソールユニットにもこだわり、歩きやすさまでしっかり追求。街履きをはじめ幅広いシーンで活躍するスライドサンダルに仕上がっている。

アッパーは工学に基づく特殊な編み構造のハイパーウィーブを採用。高い通気性とやさしい肌あたりが魅力
軽量かつクッション性に優れたアウトソールと、柔らかなEVA製インソールの二重構造。ストレスのない履き心地を実現している
■イズネス/普段に履きたい伊製サンダル

イズネスの「シャワーサンダル」(6400円)
 感度の高いアイテムを手がける日本のファッションブランドのイズネスは、毎年シャワーサンダルを4月に発売している。今年の新作は、なんとイタリア製。そのためだろうか、一般的なシャワーサンダルと比べて、ファッション性に非常に富んでいる。

 スポーティーでポップなデザインが、コーディネートのスパイスとして大活躍。いつもの着こなしに取り入れるだけで新鮮な印象になるので、レジャーシーンではなく普段使いにこそ適した一足だ。ソックスをあわせればシューズの代わりとして、難なく街で履けるはず。

 また、デザインだけでなく履き心地もいい。フットベッドにはくぼみがあり、足をやさしく包み込む。ソールはクッション性が高く、ほどよい重量があるため歩きやすいのも特徴だ。

鮮やかなカラーリングや型押しデザインなど、ファッション性の高いイタリア製シャワーサンダル
アッパーの内側は細かな起毛素材のため肌触りがいい
耐久性の高いEVA製アウトソールで、フットベッドは足を包み込むような形状になっている
特集 足元から涼しく!2017年夏の最新サンダルトレンド
 前編 足になじんで心地いい! コルク使用サンダルに注目
 中編 柔軟快適、デザイン豊富 流行るスライドサンダル3選
 後編 オフィスで使用も!? 注目のリカバリーサンダル3選(8月9日公開予定)
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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あなたの飲酒問題リスクは? 10点以上は依存症予備群 アルコール依存症にならないために(2)

2017年08月03日 22時16分05秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19283330W7A720C1000000?channel=DF140920160927&style=1&n_cid=DSTPCS020

あなたの飲酒問題リスクは? 10点以上は依存症予備群
アルコール依存症にならないために(2)
日経Gooday

2017/8/3

『寂しい』『休日だから』『不眠だから』と理由をつけて飲酒量・時間が増え出すとハイリスクとなり、引き返しにくくなります(c)marcos calvo mesa-123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 「飲酒量と依存症の関係」について、酒ジャーナリストの葉石かおりが、成増厚生病院・東京アルコール医療総合センター長の垣渕洋一さんに取材してお届けしているシリーズの2回目。前回記事「『私とお酒どっちが大事?』 酒と答える依存症の末路」を読んで、酒量の多い人で、「果たして自分は大丈夫なのか」と不安に思った人は多いだろう。そこで今回は、アルコール依存症や予備群の心配があるかどうかを簡単に確認できるテストと、飲酒量を減らすためのノウハウについて紹介する。

 ◇  ◇  ◇

■飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)で確認できる

 「まずは、WHOが掲げるAUDIT(オーディット:飲酒習慣スクリーニングテスト)か、久里浜医療センターのKAST(久里浜式アルコール依存症スクリーニングテスト)を行いましょう。診断はできませんが、飲酒問題の程度が分かります」(垣渕さん)。AUDITは厚生労働省や大手酒造メーカーのサイトなどでも公開されており、簡単に試すことができる。

 ということで早速、筆者もやってみた。質問は全部で10個。過去1年までを対象に、普段の飲酒状況に答えるだけで数分で結果が出る。私の結果は7点。思ったよりも低かったが、果たして……。



 「あくまでも目安ですが、9点以下はローリスク、10~19点はハイリスク(=予備群)、20点以上はアルコール依存症を疑う、という判断となります」(垣渕さん)

■飲酒量を減らすためには、まず「飲酒量の見える化」を

 悲しい結末を迎えないためにも、予備群に該当する人は、それより上に行かないために、そしてできることなら飲酒量を減らして、ローリスク群に入れるようにケアしておかねばならない。では、具体的にどうすればいいのだろうか、垣渕さんに聞いてみた。

 垣渕さんが依存症やその予備群の人に対して、飲酒量を減らすために推奨しているのが「飲酒量の見える化」なのだという。

 「記録をとり『飲酒量を見える化』するのが、飲酒量を抑えるための大きなポイントとなります。次の項目を表にして、日々記録してもらいます。(1)目標とする飲酒量、(2)何をどれだけ飲んだか、(3)それを満たしたかどうか(○×でチェック)、(4)休肝日(連続して2日)が取れたかどうか、(5)運動の有無――の5つです」(垣渕さん)

 「そして肝心なのが、チェック表ができたら周囲に宣言することです。そうすることで、周りの手前、なかなか節酒をやめにくくなります。この記録を奥様などにも確認してもらって、チェックをつけてもらうとなお効果的です。また定期的に計測したγ-GTPの数値などを書き加えておくのもいいでしょう」(垣渕さん)

 垣渕さんによると、目標を達成することで、何が得たいかを設定しておくことも大切だという。目標はγ-GTPの数値の改善、夫婦仲の修復など何でもいいそうだ。「要は自分にとってご褒美となる目標を設定すればいいのです」(垣渕さん)

■無理な目標設定はリバウンドのもと

 では、目標を決める際、飲酒量はどう設定すればいいのだろうか。

 垣渕さんによると、「無理な目標設定はリバウンドのもと」だという。実際問題、日々60g以上のアルコールを摂取している人が、いきなり20gにするのは無理がある。まずは40gを目指し、続けてできるようになったら30gといったように、少しずつでもいいから段階を経て減らしていくほうが無理がなく現実的だ。

 「ダイエットと同じく、飲酒量をレコーディング(記録)することで、自分のアルコール摂取の実態が明確になります。そして家族の応援も得られます。飲酒記録を行った方々で、健康を取り戻した方は多くいらっしゃいます」(垣渕さん)

 実際、特定保健指導の対象者に該当し、AUDIT10点以上もしくは週21ドリンク(1ドリンクは純エタノール10g)以上の男性飲酒者55名に対し、6カ月間の生活習慣記録表(飲酒記録)を取り入れた3回の集合教育を行ったところ、AUDIT得点、飲酒量、腹囲、体重、拡張期血圧、ALT、γ-GTPが有意に減少し、善玉コレステロールであるHDLコレステロールが有意に増加したという報告もある(労働科学. 2013;89(5):155-165.)。なお、メタボリック症候群と予備群を合計した割合は、55人中49人(89.1%)から31人(56.4%)に減少したという。

 垣渕さん曰く、アルコール依存症の人は「頑固で人の言うことを聞かない方が多いです。そうでない方は、病院に来る前に周囲の話を聞いて、断酒や節酒に成功しているはずですから」という。しかしこれだけ顕著に数字として結果が出せるなら、頑固な人でも「やってみようかな?」と思うのではないだろうか? 私もこれなら続けられそうだ。

 アルコール依存症や予備群にならないために、他に気をつけるべきポイントはないだろうか。

 「飲酒習慣は、何かイベントがある時に飲む『機会飲酒』、イベントがなくても飲む『習慣飲酒』、そして飲む時間や場所をわきまえなくなる『強迫飲酒』と進行します。ローリスクなのは、『機会飲酒』までです。晩酌は『習慣飲酒』の一種です。量が増えず、酒害は起きていなくても、飲まないと何となく物足りないという気持ちがある場合『常用量依存』となっている可能性があります。いわばミドルリスクです。その先、『寂しい』『休日だから』『不眠だから』と理由をつけて飲酒量・時間が増え出すとハイリスクとなり、引き返しにくくなります」(垣渕さん)

 うーむ、休日だからと昼から飲む自分を戒めなくては……。

 ◇  ◇  ◇

 人生を悲しい結末で終わらせないためにも、飲み過ぎだと自覚がある人は、飲酒の記録をつけ現状をきちんと把握し、少しずつでも酒量を減らしていくように努力する。できれば、アルコール換算で1日20gの適量に近づけるようにしたい。とにもかくにもまずはAUDITでセルフチェックをしてみてはいかがだろうか。

垣渕洋一さん
 成増厚生病院・東京アルコール医療総合センター長。1994年、筑波大学大学院医学専門学群博士課程修了。同大学附属病院などでの研修の後、2002年より成増厚生病院に勤務。臨床業務に加え、日本精神科看護協会、日本精神科病院協会、地域の保健所、自助グループなどで講師としても活動中。『セルフケア・シリーズ アルコールこうしてつきあう』(保健同人社、2008年)の監修などを手掛ける。
(エッセイスト・酒ジャーナリスト 葉石かおり)

[日経Gooday 2017年7月4日付記事を再構成]
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商用化へ加速、量子コンピューター「9000兆倍の破壊力」

2017年08月03日 22時13分52秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO18158440X20C17A6000000/?n_cid=DSTPCS003

商用化へ加速、量子コンピューター「9000兆倍の破壊力」
(1/3ページ)2017/8/3 6:30日本経済新聞 電子版

日経コンピュータ
 「巡回セールスマン問題」など数々の難問を一瞬で解き、性能はスーパーコンピューターの9000兆倍に──。夢の計算機「量子コンピューター」の研究が世界で急加速している。米IBMと米グーグルなどの米国勢は試作機を公開。欧州連合や中国政府も研究開発に巨額を投じている。「用途は科学技術分野など限定的だろう」との考えは正しくない。産業分野に応用できるアルゴリズムが突然見つかり、「明日にも企業が使えるようになる可能性がある」と専門家はみる。9000兆倍の破壊力を持つ新技術の今を追った。

各社の量子コンピューター関連の発表。左上はグーグルの9量子ビットの試作機、右上はオランダの研究グループ「QuTech」に5000万ドル(約55億円)出資したインテル。左下は2017年3月に50量子ビット機の開発計画を発表し、5月に16量子ビット機をクラウドで公開したIBM。右下は2016年3月にシミュレーターを公開したマイクロソフト(写真:グーグル、IBM、マイクロソフト、QuTech)

 2017年5月、米IBMは17個の「量子ビット」を備えたプロセッサーを試作したと発表した。同社初となる商用の量子コンピューター用プロセッサーの試作品となる。

 IBMが量子コンピューターの商用化へ本気で取り組み始めた。ジニー・ロメッティCEO(最高経営責任者)は同年3月期の業績発表で「量子コンピューターなど新技術を提供し、企業の複雑なビジネス課題への取り組みを変革する」とコメントした。

 IBMは2016年5月、量子ビット5個からなる量子コンピューターを操作できるクラウドサービス「IBM Quantum Experience」を無償提供して話題を呼んだ。公開から約1年で100カ国超の4万5000人が使い、約30万回の実験をこなした。2017年5月には量子ビット数を16個に増やした量子コンピューターのベータ公開を始めた。

 IBMが開発する量子コンピューターは「量子ゲート方式」と呼ばれるタイプだ。「0」と「1」のビットを基に論理回路(論理ゲート)で演算するのは従来のコンピューターと同じ。通常のコンピューターが扱うビットは「0」か「1」のどちらか一方を表すのに対し、量子コンピューターは「0」と「1」を重ね合わせた状態が取れる量子ビットで演算する。

 重ね合わせた状態を活用することで、膨大な組み合わせの計算を並列して実行できる。IBMが発表した17量子ビットであれば最大で2の17乗、13万1072通りの演算を1度に実行できる。

■米IT大手が続々と参入

 今、IBMに続き量子ゲート方式の研究に乗り出す企業が相次いでいる。

 ビッグプレイヤーの一社がグーグルだ。人工知能(AI)の演算を高速化できるとみて開発を進める。量子ゲート方式の権威として知られる米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティニス教授を研究グループに招き、スパコンの演算能力をはるかに超える量子コンピューターの実現を目指す。

 米インテルは2015年9月にオランダの研究グループ「QuTech」に5000万ドル(約55億円)出資し、インテルの半導体微細加工技術を生かした量子コンピューターを開発する。

 米マイクロソフトは「トポロジカル物質」と呼ばれる材料をプロセッサーに使った量子コンピューターを開発する。実機に先駆けて2016年3月、動作をシミュレートできるソフト「LIQUi|>(LIQUiD)」を公開した。

■目指せ宇宙スケールの超越性

 米IT(情報技術)企業が相次ぎ量子ゲート方式の開発競争に乗り出したのは、量子コンピューターでスーパーコンピューター(スパコン)をはるかにしのぐ演算能力を実現できる算段が立ったからだ。

 マルティニス教授は2016年6 月、分子の性質をシミュレーションする「量子シミュレーション」と呼ぶアルゴリズムであれば、50量子ビットの量子コンピューターでスパコンの性能をしのぐ「量子の超越性」を実証できると学会で発表している。さらに同氏は2017年中にも49量子ビット機を実現するとしている。

 スイス連邦工科大学の研究グループはスパコンを使ってシミュレーションをすると、その計算能力は45~49量子ビットの量子コンピューターと同等だと2017年4月に発表した。50量子ビットの量子コンピューターが完成すれば、その計算能力はスパコンを上回る。

 「量子シミュレーションは厳密な誤り訂正が不要なアルゴリズムのため、1量子ビット増えるごとに計算能力が2倍になる」。量子コンピューターの理論に詳しい東京工業大学の西森秀稔教授はこう説明する。

 IBMが公開している16量子ビットの量子コンピューターの計算能力は、スパコンの性能を47量子ビット相当として計算すると21億分の1程度になる。仮にスパコンの計算能力を人間の身長(1.5メートル)に見立てると、16量子ビット機の計算能力は炭素原子程度の大きさほどしかない。

 一方、グーグルの研究チームに参加するマルティニス教授は100量子ビット超の実現を目指す。IBM Researchの研究グループも2016年8月に100量子ビット機が近い将来に実現するとの論文を発表している。「近い将来」を5年以内と仮定すれば、2021年までには100量子ビットを実現できる。計算能力は単純計算でスパコンの9000兆倍。人間の身長と比較すれば太陽系の半径にも相当し、“超越性”と言うにふさわしい飛躍だ。

■“不安定”を長く保つ努力

 量子の超越性を実証できるメドがたった背景には、技術上のブレークスルーがここ数年で相次いだことがある。数十年にわたる基礎研究の積み重ねを経て、ようやく量子の超越性に手が届きそうな段階に行き着いた。

 量子コンピューターは演算方法やプロセッサーの材料などによって複数の方式に分かれるものの、ブレークスルーが求められる項目は共通する。「0」と「1」の重ね合わせ状態を維持できる平均時間「コヒーレンス時間」を長くすることだ。重ね合わせの状態は、すぐ別の状態に変わってしまう不安定な状態だ。重ね合わせの状態を長く維持できるほど、より複雑で大規模な演算を実行できる。

 加えて量子ゲート方式の場合、アルゴリズムによっては量子ビットを厳密に操作するためのブレークスルーが求められる。例えば間違った計算結果を修正する「誤り訂正」を使うアルゴリズムでは、量子ビットを99%以上の精度で操作する必要がある。誤り訂正の処理には多量の量子ビットを使うため、量子ビットを集積化する技術革新も必要だ。

■相次ぐブレークスルー

 グーグルとIBMが開発する量子コンピューターは、量子ゲート方式の中でも超伝導回路を流れる電流の向きで「0」と「1」を表現する「超伝導量子ビット型」と呼ばれる。

企業が開発に取り組む量子コンピューターの種類

 このタイプはコヒーレンス時間を長くしにくい弱点があった。重ね合わせの状態は原子などナノメートル未満の世界では維持しやすい一方、1000倍以上大きい数マイクロメートルの回路で作る超伝導量子ビットは「影響を受ける範囲が広く不安定になりやすい」(1999年に初めて超伝導回路の量子ビットを作った東京大学の中村泰信教授)。一方で回路が大きいため「複数の量子ビットを操作して論理演算する回路は作りやすい」(同)。

 超伝導量子ビットのブレークスルーは2012年、IBM Researchのグループがもたらした。これまで2次元平面上に構成していた超伝導回路を3次元上に構造化したところ、コヒーレンス時間がそれまでの2~4倍に及ぶ100マイクロ秒まで伸びた。さらにコヒーレンス時間の延長で、量子ビット操作の精度も実用域まで高まった。この技術革新があったからこそ、「量子コンピューターを開発できる見通しが立った」とIBM Researchのダリオ・ジル バイスプレジデントは話す。

 量子ゲートの実現方式には超伝導量子ビット型のほか、電子のスピンの向きで「0」と「1」を表現する「スピン量子ビット型」がある。スピン量子ビットは超伝導量子ビットに比べて周囲からの影響を受けにくくなる。慶應義塾大学の伊藤公平教授が作成した同位体制御シリコンがブレークスルーとなり、これをもとに豪州の研究グループが2014年にコヒーレンス時間を1ミリ秒に伸ばした。さらに横浜国立大学の小坂英男教授らはダイヤモンドを基板に使って、従来の1万倍となる10秒のコヒーレンス時間を達成した。

 量子ビットの操作精度については、東京大学の樽茶清悟教授の研究グループが2016年に99.6%、2017年に99.93%を達成した。樽茶教授は「スピン量子ビットを使った量子コンピューターは基礎研究が中心の段階から、集積化をしながら研究をするエンジニアリングの段階に入っている」とし、集積回路の製造技術を持つ企業に協力を呼びかけている。

 スピン量子ビット型の弱点は、量子ビットのサイズが小さいため量子ビット同士を相互作用させる回路が作りにくいことだ。スピン量子ビットは不純物原子や原子欠陥といった小さな領域に閉じ込めた電子を使うため、電子を閉じ込める場所が少しずれるだけで相互作用が大きく変わる。逆に言えば量子ビットを構成する材料を精度よく加工する技術があれば実現のメドが立つ。

■産業的な貢献度は未知数

 量子の超越性が目前に迫る量子コンピューターだが、「産業的な貢献があるかは、正直に言って分からない」(中村教授)。量子超越性を達成した量子コンピューターが扱う問題は「人類が初めて計算する問題であり、どんな使い道があるかが見えてくるのはこれから」(西森教授)だ。

 量子ゲート方式の計算能力はアルゴリズム次第だ。IBMが自社の量子コンピューターをクラウドに公開したのも「研究者を増やして産業応用できるアルゴリズムの発明を促す狙いがありそうだ」(中村教授)。現在は小さな分子の性質をシミュレーションできるとして、薬の合成に使う計画がある。

 アルゴリズムの発明は「前触れもなく突然に訪れる」。そう話す東京大学の小芦雅斗教授は、2014年に新たな量子暗号通信のアルゴリズムを発表した張本人。30年間議論もされなかった通信方法を「偶然見つけた」(小芦教授)という。新しいアルゴリズムが見つかれば、明日にも量子コンピューターが産業利用できるかもしれない。

(日経コンピュータ 広田望)

[日経コンピュータ2017年6月22日号の記事を再構成]
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ソラコム買収でわかったKDDI「5GよりIoT」の真意 ジャーナリスト 石川 温

2017年08月03日 22時12分46秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19557890S7A800C1000000/?n_cid=DSTPCS003

ソラコム買収でわかったKDDI「5GよりIoT」の真意
ジャーナリスト 石川 温
(1/2ページ)2017/8/3 6:30日本経済新聞 電子版

 KDDIは2017年8月2日、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」で実績のある通信ベンチャー企業であるソラコム(東京・世田谷)を子会社にすると発表した。1日に同社の発行済み株式を取得する株式譲渡契約を締結。8月下旬をめどに連結子会社化する。

ソラコム 代表取締役の玉川憲社長

 ソラコムはIoT領域のベンチャーとして2014年11月に創業されたばかりの、わずか40人程度の会社だ。データ通信サービス「ソラコムAir」は、同社の各種クラウドサービスと連携し、IoT向けに最適化されている。こうしたサービスはほかになく、短期間に一気に顧客を獲得してきた。利用実績は国内外の顧客数は約7000。120を超える国と地域で利用できる点が強みだ。

 ソラコムはサービス開始当初から、NTTドコモの回線を利用してサービスを提供している。KDDI向けには2016年10月に技術を提供し、KDDIが自社の回線とソラコムの技術を組み合わせた「KDDI IoT コネクトAir」というサービスを提供している。このころからKDDIはソラコムを高く評価しており、今回の連結子会社化につながったようだ。

 当時ソラコムと組んだ背景について、KDDI関係者は「ソラコムのやっていることは、通信会社である我々も提供できないことはない。しかし、我々が開発し、準備をすると、どうしても時間がかかってしまう。時間を買うという意味で、ソラコムと手を組むのが手っ取り早かった」と語っていた。

 連結子会社となれば、これまでソラコムが獲得してきた顧客もKDDIの手中に収まる。KDDIにとって、決して高い買い物ではないはずだ。

 KDDIとソラコムという組み合わせは、お互いの弱点を補完する点で理想的だ。KDDIはこれまで大規模な通信事業者として、営業担当者が大企業に出向き、相対契約で料金を定める形の顧客開拓を得意としてきた。一方のソラコムはインターネット経由で契約してSIMカードを発行する。回線の管理などもインターネット経由。こうした柔軟性と利便性を長所としてきた。

 IoTはまだ、小規模で少数の回線で実験的にスタートさせたいと考える企業が多い。しかもスマートフォン(スマホ)のように大量のデータを送受信するのではなく、センサーから取得した情報を送ったり、動作や設定のためのコマンドを受信したりといった、限られた少量のデータしか流れない。

 ソラコムは低速で少量のデータ利用を想定した料金設定に定評があった。それがベンチャーから大企業まで幅広い企業に支持され、短期間に一気に顧客を増やせた理由だ。しかし、少量のデータ量しか流れないと、通信料金で稼ぐのに限界がある。IoTで通信企業が売り上げを伸ばすには、通信回線だけでは足りない。企業の課題を解決する提案力も求められる。

 こうした提案営業となると、ソラコムでは力不足。これまでの実績と経験があるKDDIの法人営業部隊が威力を発揮する。ソラコムはプラットフォーム開発に専念し、KDDIがそれを大企業に売りまくるという役割分担になりそうだ。

■小規模メーカーが世界に出るきっかけに

 KDDIも、これまでIoT分野においては様々な種を仕込んできた。特にKDDIがIoTで得意とするのがグローバルとセキュリティーだ。

KDDIは国内最高峰のレース「スーパーGT」でトヨタ系のチームであるトムスのメインスポンサーである。トヨタとの関係を深め、IoT分野でさらなる成長を狙う

 16年6月、KDDIはトヨタ自動車と共同で「グローバル通信プラットフォーム」を構築すると発表した。トヨタ自動車は、2020年までに国内で生産する乗用車すべてに組み込み用SIM(eSIM)を搭載し、乗用車を「コネクテッドカー」にしていく。eSIMはKDDIが提供するグローバル通信プラットフォームで管理される。トヨタ自動車が日本国内で製造した乗用車がどの国に輸出されても、eSIMには現地の通信会社のプロファイルが書き込まれるようになる。

 KDDIの東海林崇ソリューション事業本部長は「自動車会社が各国の通信事業者と個別交渉すると、料金や端末などがバラバラで負担が大きい。そこで、KDDIがグローバルな通信プラットフォームを提供すれば、そうした負担を軽減できる。これまで国際通信を60年以上手がけ、世界600社以上の通信会社とのリレーションがあるからこそ実現できた」と語る。

 グローバル通信プラットフォームとソラコムのプラットフォームを組み合わせれば、トヨタ自動車でなくても、もっと手軽に日本メーカーの製品にeSIMを組み込み、グローバルに展開できるようになる。

 また、KDDIではIoT分野においてSIMカードに基づくセキュリティーシステムを強みとしている。東海林氏は「SIMカードはICチップなので、そもそも安全性が高い。さらにSIMカードでアプリケーションの実行が可能で、遠隔操作にも対応できる。KDDI総合研究所による世界初のセキュリティー技術は、SIMカードと暗号鍵を組み合わせて、高い安全性を確保できる」と語る。

 ここ最近、「ローラワン」や「シグフォックス」といった、携帯電話網を使わないIoT向けの通信技術が出始めている。KDDIやソラコムもこれらの技術を利用したネットワーク構築に着手している。こうしたネットワークは他社も手掛けるが、KDDIはこれまでSIMを利用した実績を活用して、例えば認証にSIMを利用するといった技術で他社と差別化できる。

 逆にSIMの技術だけなら、NTTドコモやソフトバンクにも知見がある。携帯電話網を利用したIoT向けのネットワーク技術「NB-IoT」や「Cat-M1」は、3社とも準備中だ。同じ通信規格が3社横並びになる。だがKDDIにはソラコムという強力な連結子会社がいる。NTTドコモ、ソフトバンクとの競争に優位に立てるだろう。

 今年2月、田中孝司KDDI社長は「今年は5GよりIoT分野に全力で取り組んでいきたい」と語っていた。まさにソラコムを取り込むという奇襲戦で、他社を出し抜いたといえそうだ。

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで趣味どきっ!「はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「仕事の能率を上げる 最強最速のスマホ&パソコン活用術」(朝日新聞出版)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(http://ch.nicovideo.jp/226)も配信。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226
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破綻寸前から大逆転、女性にも人気のカプセルホテルに カプセルホテルの変革者(上)

2017年08月03日 22時11分29秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19373190Y7A720C1000000?channel=DF190720172684&style=1&n_cid=DSTPCS020

破綻寸前から大逆転、女性にも人気のカプセルホテルに
カプセルホテルの変革者(上)
2017/8/3

ナインアワーズ創業者の油井啓祐氏
 日本生まれのカプセルホテルが海外から注目を集めている。そのきっかけをつくったのが、ナインアワーズ(東京都港区)だ。創業者の油井啓祐氏はベンチャーキャピタル大手、ジャフコの出身。父親の急死に伴い、期せずしてカプセルホテル事業に携わることになった。どのような曲折を経て、現在のナインアワーズにたどり着いたのか。

◇   ◇   ◇

 2017年7月下旬のある日、JR神田駅東口を出てすぐの狭小地に立つ「ナインアワーズウーマン神田」で内覧会が開かれた。ナインアワーズとして展開する5つめの店舗で、初の女性専用施設となる。案内に立った同社執行役員の渡辺保之氏によると、「女性からの問い合わせは以前から多く、既存施設に関しても女性用カプセルから先に予約が埋まることが多かった」という。

 数あるカプセルホテルの中でも、ナインアワーズはそのデザイン性の高さに定評がある。繊維強化プラスチック(FRP)製のカプセルユニットは日本で今、最も活躍するプロダクトデザイナーの一人、柴田文江氏の手によるもの。柴田氏はナインアワーズ全体のクリエイティブディレクターでもある。サインやグラフィックは広村正彰氏、インテリアは中村隆秋氏が担当するなど、デザインチームはいずれも一流ぞろい。さぞや資金的に恵まれたプロジェクトだったのだろうと想像したくなるが、実際はその逆だ。

■遺産相続でカプセルホテルと関わるように

 創業者の油井氏は当初、「カプセルホテルについてはネガティブな印象しか持っていなかった」と語る。大学を卒業後、ジャフコに入社。米アップルに投資するなど、シリコンバレーの礎を築いたことで知られるアーサー・ロック氏に憧れて、ベンチャーキャピタリストになった。ジャフコでは、IT(情報技術)を専門とする国内ベンチャー企業への投資業務に携わっていた。

 「自らは舞台に上がらず、影の存在に徹する姿に美学を感じていた」という。そんな彼がカプセルホテルを経営するようになったのは、1999年、父親の急死がきっかけだった。

 「父は東京・秋葉原でカプセルホテルを経営していました。オープンしたのは89年です。銀行系の不動産会社が所有していた土地と建物を借り、内装投資をした上で事業をしていました。バブル経済のピークに借金をしたため、ずっとその返済に追われていたようです。私がその事実を知ったのは、父が亡くなった日のこと。会社の財務諸表を見たら、借金が5億円でキャッシュが1000万円。あと2、3カ月で破産という状況でした」

 周囲には相続放棄を勧められたが、油井氏は悩んだ。「父が10年間抱えてきた苦しみを捨ててしまうのは、それを否定することになる」と思ったからだ。結局、債務含みで事業を相続する決断をし、勤めていた会社を辞めた。

■旅館・ホテル業界の「底辺」でもがく

 カプセルホテルは、旅館業法で「簡易宿所」に位置づけられている。客室の延べ床面積が33平方メートル以上でなくてはならないなどの決まりがあるほか、条例で基準を設けている自治体もある。当初、彼はそんなカプセルホテルを経営することに葛藤があり、父の代から勤めていた支配人に現場を任せ、銀行や不動産会社と折衝するなど財務面だけを見ていた。

 「常に最先端のビジネスに触れる仕事をしていたのに、目の前にあるのはローテクそのもの。ホテル業界では底辺に位置すると見られ、プロがほとんどいない世界でした」

 転機が訪れたのは04年秋。不良債権を顕在化させようとする動きが活発となり、それに伴って返済計画も見直すことになった。油井氏はその際、金融機関から借り入れをし、会社の債務を個人で買い取り、約10分の1まで圧縮することに成功した。本気でカプセルホテルの経営に取り組むようになったのも、この時期からだという。

 「ベンチャーキャピタルで仕事をしていた頃から、事業そのものをデザインしたいという気持ちは強く持っていました。それを実現しているのは当時、米アップルしかなかった。iPhone の箱を開けても分厚い説明書は入っておらず、電源を入れれば、子どもでも簡単に操作できる。アップルストアで買うところから一気通貫でデザインできている点がすごいと思いましたし、どうせやるのなら、カプセルホテルを世界に輸出できるビジネスにしたかった。ならばデザインする対象はカプセルユニット単体ではなく、事業そのものだと思いました」


カプセルホテル「ナインアワーズウーマン神田」のシャワーフロア
 とはいえ、投資してくれる人間はいない。集客さえできれば、カプセルホテルは坪効率のいい魅力的な事業だ。それを自分自身で証明しようと、手始めに、彼は相続した秋葉原のカプセルホテルを再生することに取りかかった。「規模の大きな近隣の施設と同じ土俵で戦えば負けてしまう。彼らがリーチしていない客をつかまなければと思いました」。

 当時のカプセルホテルは基本的に呼び込み型で、終電で帰れなくなったビジネスマンやサウナ好きの人が集まってくる場だった。油井氏はそれをまず予約型に変え、それまで縁遠かった女性と外国人に泊まってもらおうと考えた。

 「それまでの常識だったカップめんやビールの自動販売機を館内から撤去し、無料で使えるパソコンを置いてインターネットにつなげました。現場を仕切っていた支配人とは意見が合わずにもめることもありましたが、わかってもらう努力をし、売り上げは3年間で2倍以上に増えました」

 08年、秋葉原のカプセルホテルは開業20年目にして過去最高益、過去最高宿泊人数を達成。翌09年には周辺の再開発に伴う立ち退きで閉館した。以後、油井氏はその経験を基に、全国にあるカプセルホテルの再生支援事業を手がけるようになる。

■事業のコンセプトづくりをデザイナーに依頼

 同時に彼は、新しいカプセルホテルの構想も練っていた。斬新なサービスを誕生させたいと、05年からデザイナーにそのコンセプトづくりを依頼していた。だが、1年たって出てきたのは、これまでのカプセルホテルをゴージャスにし、高級感を増しただけのイメージ。「事業そのものをデザインし直したい」という油井氏の期待とはかけ離れていた。

 「原因は私自身にもありました。現実に商売をする立場からすると、いろいろ不安もあるわけです。例えばテレビ1台なくすにしても、それでお客さんが来てくれるだろうかと恐怖を感じる。事業そのものをデザインし直したいと言いながら、私自身の中に安易な解決策を求める気持ちが残っていた」

 先のデザイナーが降りた後、油井氏はカプセルユニットのデザインを担当することになっていた柴田氏に、改めてコンセプトづくりを依頼した。「資金的余裕がないことはわかっていましたし、高額なデザイン料をとれるとも思いませんでした。それよりも何かおもしろいことができそうだという期待のほうが大きかった」と柴田氏は言う。二人は約2年間、協力してくれる専門家や業者を訪ねながら、目指す方向を探った。その間、油井氏は柴田氏から何度も「私はあなた自身の中にあるものしかデザインできない」とくぎを刺されたという。


カプセルホテル「ナインアワーズウーマン神田」のカプセルユニット
 本質を削り出していくのがデザイナーの仕事だ。「『こうしたい』と柴田さんに伝えるのは、自分の内面をさらけ出すようで恥ずかしかった」と油井氏は回想する。試作したカプセルユニットの原寸大模型を目にした時、彼は「俺が見たかったものはこれだったのか」と思ったそうだ。

■ミニマムなカプセルホテルに内外メディアも注目

 従来のカプセルホテルのイメージを覆す、白を基調とした清潔で洗練された空間。「シャワー(1時間)」「睡眠(7時間)」「身支度(1時間)」、合わせて9時間の機能に特化したミニマムなサービス。09年12月、京都の繁華街に近い場所にナインアワーズ1号店が開業すると、国内外のメディアから取材が殺到した。

 生体リズムに合わせて光をコントロールするなど、良質な眠りにこだわったカプセルホテルは先入観のない海外の人たちに好意的に受け止められ、ナインアワーズのデザインチームはその後、国内外のデザイン賞を総なめにした。こだわり尽くしたアメニティーは英月刊誌が主催するデザインアワードで、海外の一流ホテルと並び「ベストホテルアメニティー賞」にも選ばれている。

 「この時点で私には多店舗化のノウハウが不足していました」と油井氏は語る。そこで企業経営支援会社「リヴァンプ」の沢田貴司氏(現リヴァンプ会長でファミリーマート社長)に相談すると、不動産事業に詳しい社員の松井隆浩氏を紹介された。13年、法人としてのナインアワーズを設立すると、松井氏はその最高経営責任者(CEO)に就任した。

 ナインアワーズは現在、創業者の油井氏とCEOの松井氏による二人三脚で経営している。途中、京都店の不動産オーナーが倒産し、それに伴う所有者の入れ替え手続きなどで一時的に閉鎖を余儀なくされる出来事もあったが、すぐに営業を再開した。2号店からは遊休地を所有するオーナーやデベロッパーと協力し、運営のみを担当する形で多店舗展開している。京都、成田空港、仙台、北新宿、神田の5店舗を合わせた利用者はのべ約70万人。利用者の国籍も約50カ国と幅広い。

 「今はまだ単に安いからという理由でカプセルホテルを選ぶ人が多いと思いますが、ナインアワーズはよりアクティブに都市を楽しみたい人に利用してもらいたい」と油井氏。東京の竹橋や蒲田、浅草などで、すでに複数のプロジェクトが同時並行で進んでいる。「20年の東京五輪までに50店舗」が当面の目標だ。

 次回はデザイナーの柴田氏に、ナインアワーズ発想の原点を聞く。

(ライター 曲沼 美恵)
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人口世界一が目前 インド、内需主導でさらに投資機会 世界のどこに投資する?(5)インド・前編

2017年08月03日 22時10分24秒 | 市場動向チェックメモ
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19449890R30C17A7000000?channel=DF280120166571&style=1&n_cid=DSTPCS020

人口世界一が目前 インド、内需主導でさらに投資機会
世界のどこに投資する?(5)インド・前編
2017/8/3

野村アセットマネジメント北薗雅一氏(左)、演説するモディ首相(右)
 世界で人口が最も多い国といえば中国。ただインドが早晩、中国を追い抜く見込みだ。中国の人口は13億7900万人(2016年、世界銀行調べ)なのに対し、インドは13億2400万人(同)。合計特殊出生率(女性1人が生涯に生む子供の数)は1979~2015年に実施された「1人っ子政策」の影響で中国が1.6(15年)なのに対し、インドは2.4(同)と高い。

 年率7%台の経済成長を保ち、株価も右肩上がりのインド。好調の背景は何か。日本の個人投資家にとって投資妙味はあるのか。ファンド関係者やエコノミストなどの意見を基に探っていこう。前編ではインドの足元の経済統計を見た上で、昨年以来、純資産総額が急増している投資信託の担当者のインタビューをお届けする。

■新税GST導入で企業に弾み

 インドの実質GDP(国内総生産)成長率は2016年で7.1%。中国(6.7%)やフィリピン(6.9%)を上回る高水準だ。さらに、労働人口の伸びを背景に潜在成長率が上昇し、GDPの伸びは加速するとの見方が多い。国際通貨基金(IMF)によると、インドのGDP成長率は17年で7.2%、22年で8.2%という。日本経済新聞社と日本経済研究センターがエコノミストに経済見通しを聞く「アジア・コンセンサス」調査(6月9~30日実施)によると、インドの実質GDP成長率予想は17年、18年、19年で7.4%、7.7%、7.9%だった。現地エコノミストの間では「新興企業の成長、インフラの発展が雇用の拡大を促す」などの前向きな評価が多い。


インドの独立記念日に演説するモディ首相(インド報道情報局提供)
 財政赤字の比率はおおむね低下傾向だ。GDPに対する財政赤字の比率は4%を切る水準。銀行貸し出し成長率はやや鈍化傾向にあるものの、債務不履行率は上昇に歯止めが掛かっており、不良債権の増加に対する懸念はやや後退している。米格付け会社のS&Pグローバル・レーティングはインドの長期債務格付け(外貨建て)を「トリプルBマイナス(BBB-)」と、ぎりぎりではあるが「投資適格級」と位置づけている。

 インドの経済指標も、足元では大きく落ち込んでいるものは少ない。7月にGST(物品サービス税)が導入されたばかりだが、「消費の落ち込みは一時的で、中長期的にはむしろプラス」との前向きな見方が目立つ。新税により企業の税務処理が簡素化され、国内29州の間で、役人に賄賂を払わなくても州境を超えて商品を移動させるのが容易になるからだ。6月のサービス業のPMI(製造業購買担当者景気指数)は53.1と、判断の分かれ目である50を上回っており、「サービス業の好調さがインド経済をけん引している」(第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミスト)との声が出ている。

 新興国株式に日本の個人投資家マネーが流入しているなか、個別国で流入が大きいのはインド株に投資する投信だ。中でも野村アセットマネジメントの「野村インド株投資」は16年以来急速に純資産総額が増えており、今年7月末時点で前年同期比4倍弱の4197億円に達した。

■モディ政権への期待強いがキーマンリスクも

 新興国株に関心を持つ個人のマネーをここまでひき付けるインドへの投資の妙味とリスクについて、野村アセットマネジメントのチーフ・プロダクトマネージャー、北薗雅一氏に詳しく聞いてみよう。北薗氏は同ファンドに関し、運用拠点のシンガポールと緊密に連絡を取っている。

――野村アセットマネジメントの「インド株投資」に急激な資金流入があるが、理由をどう見るか。

 「インド経済は14年5月からのナレンドラ・モディ政権への移行で大きく変化している。モディ政権以前の連立政権時代はほとんど何も決定できず、双子の赤字(財政赤字と経常赤字)問題が深刻だった。モディ政権に入り経済改革(モディノミクス)加速への期待が強く、世界の投資家のマネーをひき付けている」

――インド経済の概要をどうとらえているか。

 「インドは働く世代の人口が増える『人口ボーナス期』に入っており、中間所得層を中心に消費が拡大していく。足元では7月12日発表の6月の消費者物価指数(CPI)が前年比1.54%上昇という低水準にとどまったため、インド準備銀行(中央銀行)の一段の利下げによる消費刺激の期待も出ている。ただ昨年に続き今年のモンスーン期もしっかり雨が降っており、農産物の価格は安定する見通し。内需が堅調に拡大するとの見方が出ている」

――インドの通貨や株式相場には不安定なイメージもあるが。


野村アセットマネジメント 北薗雅一チーフ・プロダクトマネージャー
 「確かにインドルピーは13年夏に急落し、『フラジャイル5(脆弱な5カ国)』の一角を成した。ただし7月末は1ドル=64.2ルピー前後、1ルピー=1.72円前後で落ち着きを見せている。インド中央銀行はラジャン前総裁以来のインフレ対策などが奏功し、通貨の相場は落ち着きを見せている。株式相場は今年に入り、上昇傾向が鮮明。インドの主要株価指数『SENSEX30』は昨年末比で22%上昇した(7月末時点)」

――新興国の企業の多くは世界全体の需要の伸びで利益を得ており、新興国の成長を買いたいときに新興国株に投資しても意味が乏しいとの指摘がある。インド株の投信についてはどうか。

 「インドの株式市場については、基本的に内需主体の銘柄構成と認識している。MSCIインド・インデックスの業種構成(6月末時点)を見ると、上位から金融(24%)、一般消費財・サービス(13%)、生活必需品(10%)と続く。インドでは『メイク・イン・インディア(インドでの生産を)』という輸出・製造業振興策があるように、製造業の育成が課題となっている。輸出関連株といえばソフトウエアの受託生産をするIT(14%)、ジェネリック(後発)医薬品などのヘルスケア(7%)ぐらいだ。内需の構成比率が高く、消費拡大で着実に伸びていくだろう」

――投信「インド株投資」ではどのような銘柄に投資しているのか。

 「6月末時点で、12%と組み入れ比率トップの銘柄はHDFC銀行。2位はHDFC(8%)だ。HDFCは住宅ローン専門の金融公社。モディ政権は『2022年までに全国民に住居を』のかけ声のもと、人口増を視野に入れ、低・中所得者層向けの住宅供給を進める方針。これに応じて住宅ローンの需要は広がっていく。3位のたばこのITC、7位のイエス銀行も内需銘柄だ。4位のマルチ・スズキはインド社会に深く根付く日本系の自動車メーカー。同国向けに自動車を量産しており、れっきとした内需株といえる」

――最後に、インド経済のリスクをどう見るか。

 「いわゆる『キーマンリスク』は無視できない。モディ政権のナンバー2にジャイトリー財務相がいるが、リーダーシップという側面からいえばモディ氏に比べ劣る。政権に万一のことがあれば、改革期待が大きいだけに景気を冷やしかねない。次に原油価格の上昇リスク。消費大国インドでは原油を輸入で賄っているので、原油高は消費を冷やす方向に働く。もっとも1バレル=45ドル前後(7月中旬時点)の原油価格が急上昇するとの見方は少なく、大きなリスクとはとらえていない」

◇  ◇  ◇

 日本で個人マネーを集めるインド株投信についても、内需銘柄をメインに組み込んで成長の果実をもぎ取ろうとしている様子がうかがえた。では現地インドでは、モディ政権はどのように期待されているのか。次回のインド・後編では商都ムンバイで活躍するエコノミストのインタビューをもとに詳しく見ていく。

(マネー報道部 南毅)
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「政治離れ」の金融市場、平穏はいつまで?  編集委員 藤井彰夫

2017年08月03日 22時08分43秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19544890S7A800C1000000/?n_cid=DSTPCS001

「政治離れ」の金融市場、平穏はいつまで?  編集委員 藤井彰夫
(1/2ページ)2017/8/3 6:30日本経済新聞 電子版

 安倍晋三政権の支持率急落、米トランプ政権の人事のゴタゴタ、エスカレートする北朝鮮のミサイル・核開発など政治の不安にまつわるニュースは事欠かない。にもかかわらず、金融市場はこれまでのところ平穏だ。市場の「政治離れ」ともいえる現象はいつまで続くのだろうか。

 米S&P株価指数の予想変動率を示すVIX指数(恐怖指数)は7月26日の取引で一時、1993年の算出開始以降では最低水準を記録した。日経平均株価の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)も26日、2010年の算出開始以来の最低水準を更新した。

■仏大統領選、相場安定の転機に

米トランプ政権の人事のゴタゴタなど、政治の不安にまつわるニュースは事欠かないが、金融市場は平穏だ=ロイター

 昨年は6月の欧州連合(EU)離脱をめぐる英国民投票や11月の米大統領選でのトランプ氏当選など政治ニュースが市場を大きく揺るがしたが、今年は市場では政治のニュースはあまり大きな材料にはならず、好調な企業業績や経済指標に素直に反応する「政治離れ」が明確になっている。

 今年も決して政治のニュースがないわけではない。1月に発足したトランプ政権では、政権内の人事抗争、ロシアゲート疑惑の広がり、公約の医療保険制度改革法(オバマケア)見直しの頓挫など混乱続きだ。目玉公約の税制改革やインフラ投資も大幅に遅れ、国際通貨基金(IMF)は財政政策の遅れを理由に今年と来年の米国の成長率見通しを引き下げた。それでも市場は「政策停滞」に大きな反応を示していない。

 「アベノミクスはどうなるのか?」――。自民党が惨敗した7月2日の東京都議会選の直後から、欧米大手金融機関の日本拠点には、外国人投資家からの問い合わせが相次いだ。安倍政権の行く末しだいでは、日本の株式市場や円相場にも影響が出るのではないかと心配したからだ。だが、その後も日本の市場は不思議な安定をみせている。3日の内閣改造後の世論調査などを見極めてからと考えている投資家も多いのだろうが、昨年の英国民投票や米大統領選の前のような緊張感はない。

 「5月のフランス大統領選が転機になった」と大手証券会社のエコノミストは指摘する。中道のマクロン氏が極右候補のルペン氏を退けたことで、昨年のEU離脱の英国民投票、米大統領選以降の反グローバル化、ポピュリズム(大衆迎合主義)のドミノ倒し的な流れにひとまず歯止めがかかったからだ。

 この仏大統領選が市場の政治離れの契機になった可能性はあるが、政治の先行きへの不安が消えたわけではない。

 経済政策の不確実性について論じた新聞記事データをもとに算出する経済政策不確実性指数(Economic Policy Uncertainty Index)という指標がある。足元の同グローバル指数は昨年に比べると低下しているものの、なお2013~14年の水準は上回っている。

 政治や政策の先行きに不確実性が残るなかで、なぜ市場が安定しているのか。米ウォール街のベテランの株式ストラテジストは「今の市場は政治リスクよりは、企業業績や経済実態などを重視している」としたうえで、市場安定のもう1つの理由として、上場投資信託(ETF)など指数連動のパッシブ型運用が増えている点をあげる。

 世界のETF残高は6月末で4兆ドルを突破、残高はこの5年で2倍以上に増加した。日本では日銀が金融緩和策の一環として、ETFを年間6兆円のペースで買い続けている。「自ら企業価値を発見し投資するアクティブ型運用が減ると相場の変動率は低下する」と言う。

■9月以降、世界で政治イベント目白押し

 この安定相場に死角はないのだろうか。米ストラテジストは、パッシブ運用では、本当に大きな政治イベントに反応する場合は変動が大きくなる可能性があると指摘する。ETFは流動性の高い大型株を組み入れているので、売りたいときは売りやすく、それだけ相場の下げも加速しやすいというのだ。今は市場関係者が無視している政治リスクが、はっきり表面化したときの反応、相場変動率は一気に高まるということだ。

 8月3日の安倍政権の内閣改造に続き、9月以降には米連邦準備理事会(FRB)の資産圧縮とイエレン議長の後任人事、ドイツの連邦議会選挙、連邦債務上限をめぐる米議会の議論、さらには中国の共産党大会など政治イベントが控える。市場はこのまま政治ニュースを無視し続けるのか、あるいはどこかで大きな反応を示し「政治相場」が復活するのだろうか。


藤井彰夫(ふじい・あきお)
 1985年に日本経済新聞社入社。経済部で国内経済・金融問題、ニューヨーク、ワシントン、ロンドンなど海外で経済問題を主に取材。ワシントン支局長、国際アジア部長、Nikkei Asian Review編集長などを経て2017年より現職。著書に「イエレンのFRB~世界同時緩和の次を読む」「G20~先進国・新興国のパワーゲーム」
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コマツ、見えてきた逆張り投資の成果 証券部 菊地毅

2017年08月03日 22時07分55秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19549840S7A800C1000000/?n_cid=DSTPCS007

コマツ、見えてきた逆張り投資の成果
証券部 菊地毅
2017/8/3 5:30日本経済新聞 電子版

 コマツの業績が急回復している。7月28日に発表した2017年4~6月期の連結営業利益は前年同期比76%増の524億円で、4~6月期としては3年ぶりに500億円を超えた。けん引したのは景気対策でインフラ投資を進める中国の建設機械需要だ。ただ、インフラ投資の先行きには不透明感がつきまとう。ここに来て注目が集まっているのが今年4月に子会社になった米鉱山機械会社、コマツマイニング(旧ジョイ・グローバル)の存在だ。

鉱山機械を手掛けるコマツマイニングの業績は改善基調

 「想定を上回る好決算だった」。コマツを担当するアナリストは口をそろえる。市場の事前予想では4~6月期の営業利益は340億円強。実績はこれを5割も上回ったことになる。「想定以上」が意味するのはこれだけではない。

 実はこの数字にはあるマイナス要素が含まれている。コマツマイニングとの統合に伴う無形資産償却などの一時費用だ。これを取り除いて従来のコマツだけの営業利益をみると、前年同期比2.2倍の653億円にまで拡大する。

 一見すると買収がなかった方が業績にはプラスだが、実態は異なる。コマツマイニングの収益力も急回復しているのだ。一時費用を除いたベースでみると、コマツマイニングの売上高営業利益率は8.6%。前年同期の3.5%から5ポイント以上改善した。英豪リオ・ティントや豪英BHPビリトンといった資源大手の鉱山開発が復調し、鉱山機械向けの部品販売が伸びた。

 コマツが旧ジョイ・グローバルの買収を決めたのは昨年7月。原油価格は昨年初めの底値からは回復したものの、まだ1バレル40ドル台前半で停滞していた時期だ。業績が低迷する旧ジョイ・グローバルの株価も数年前の半値以下に下がっていた。コマツは「中期的に鉱山資源の消費量は増える」(大橋徹二社長)と判断。市場では懐疑的な見方が多い中、買収額は約3000億円とコマツとしては過去最大のM&A(合併・買収)に踏み切った。

 鉱山機械も建機と同様に中国景気の影響を受ける点では変わらない。資源価格も“爆食”ブームで中国が世界から資源を買いあさったころの勢いはない。だが、旧ジョイ・グローバルの買収で鉱山機械は、コマツと米キャタピラーの2強が牛耳る分野になった。ライバルの多い建機に比べれば、価格競争も緩やかだ。今となっては「3000億円はいい買い物だった」との声も聞こえてくる。

 ただ、急回復をみせるコマツマイニングだが、市場では「統合効果はまだ見えてこない」(外資系証券)との批判もある。コマツは今秋をメドに鉱山機械部門の経営統合効果や今後の戦略をまとめる方針だ。

 コマツ株は足元で上昇基調にあるものの、終値での3000円超えは今年3月以来果たせていない。2日も2981円50銭にとどまった。「3000円の壁」を超えて定着するには統合効果を含めてコマツマイニングの力強い業績改善のシナリオを見せる必要がありそうだ。
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