ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

特別休暇は有給? 無給?

2018-01-13 15:59:11 | 労務情報

 労働基準法で定められている年次有給休暇のほかに「慶弔休暇」や「リフレッシュ休暇」等の休暇制度を設けている会社も多い。一般的に「特別休暇」と呼ばれるこれらの休暇中の賃金は支払わなくても良いのだろうか。

 これらの休暇は、法令で義務付けられているものではないので、その対象者や付与日数など、すべて会社が定めることができる。有給とするか無給とするかも会社の任意だ。「ノーワークノーペイの原則」により賃金を支払わないこととしても、法律上はまったく問題ない。
 とは言え、そもそもどういう趣旨でこれらの休暇制度が設けられたのかを考えてみると、おそらく、これら特別休暇には、会社からの祝福・弔慰・ねぎらい等の意味が込められているはずだ。
 であるなら、賃金を控除することとしては、その“気持ち”は従業員に通じまい。従業員のロイヤリティ醸成の面から考えても、慶弔休暇等の特別休暇は有給とすべきと言える。

 ところで、会社によっては、「公民権行使休暇」や「生理休暇」といった法令で義務づけられている休暇も「特別休暇」と呼ぶことがある。これらについては、上に挙げた慶弔休暇等とは趣旨が異なるので、原則どおり無給で良いだろう。
 もっとも、これらを有給としても従業員に有利になる話なので法律上の問題は生じない。しかし、その場合は、休暇を取得した者と取得しない者との間に不公平が生じないよう、運用面での工夫を要するところだ。

 なお、どういう制度にするにしても、「休暇」に関しては就業規則への絶対的記載事項とされている(労働基準法第89条)ので、その手続きも忘れないように気を付けたい。


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「従業員の健康を守る」=「会社を守る」

2018-01-03 11:59:19 | 労務情報

 会社は、従業員が安全に働けるよう配慮すべきとする「安全配慮義務」を負う(労働契約法第5条)。
 これに関しては、かつては職場での事故や怪我を防止することに重点が置かれていたが、昨今では、過重労働等を原因とする脳・心臓系の疾病やうつ病などが労災と認定されるようになり、また、平成27年12月からは「ストレスチェック」の実施も(従業員数50人未満の事業場を除き)義務づけられて、今や会社は、従業員のメンタル面を含めた健康にも配慮すべきとする「健康配慮義務」も果たさなければならなくなってきた。

 また、ここ数年、「健康経営」(NPO法人健康経営研究会の登録商標)も話題になったように、「企業の持続的な成長のためには会社が従業員の健康に積極的に関与していくべき」という現代的な考え方も生まれてきている。
 もっとも、常識的な経営者なら、従業員が負傷したり病気に罹ったりするのを望むはずがなく、従業員には健康でいてほしいし、(いやらしい言い方にはなるが)良質な労働力を提供してほしいと願っているはずだから、これは「現代的」というより「本質的」とでも言って良いくらいだろう。

 とは言え、例えばウオークラリーを実施したり喫煙を禁じたりするのは、“啓発”ならまだしも罰則付きで“強制”するのは法的に微妙だし、一部の従業員からは反発があるかも知れない。プライベートな事項に会社が干渉することの是非は、会社ごとのカラーによって異なるので、他社で効果が上がったと聞いて安易に飛びつくことのないように気を付けたい。

 それよりも、安全配慮の基本である「危険の予測(または早期発見)」と「適切な措置」が、健康配慮の面においても重要であることを忘れてはならない。
 そのためには、少なくとも法で義務づけられている健康診断・ストレスチェックと、その結果を踏まえた治療や保健指導等を完全実施することをまず考えたい。
 身体的・精神的を問わずすべての疾病に共通する話であるが、早期発見によって重篤にならないうちに治療すれば回復も早い。
 また、早い段階で対処していたなら、万が一、会社の健康配慮義務違反を問う訴訟が提起されたとしても、会社としては最善を尽くしたと抗弁もできよう。「従業員の健康を守る」ことは、即ち「会社を守る」ことにも通じるのだ。


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契約社員は期間途中で解雇できない!

2017-12-23 12:59:31 | 労務情報

 「2018年問題」(脚注※1参照)を控え、多くの会社では、有期雇用従業員(いわゆる「契約社員」はもとより、いわゆる「パートタイマー」も大多数はこれに含まれる)の在り方を見直したことだろう。

 ところで、有期雇用契約に関しては、特に期間途中における解約について、一部に誤解されている向きも見られるので、ここで再確認しておきたい。

 有期雇用契約では、その期間途中における解約は、基本的には、雇われる側(労働者)が自ら退職することも、雇う側(会社)が解雇することも、どちらも許されない。
 とは言うものの、有期雇用従業員から本人の都合で退職したいと申し出が有った場合に、これを会社が認めないのは、現実的には難しい。それは、本人の意に反する労働を強制することになってしまう(日本国憲法第18条「苦役からの自由」および労働基準法第5条「強制労働の禁止」に抵触する)からだ。民法第628条に言う「やむを得ない事由」の有無を問う余地も無い。
 他方、会社が期間雇用従業員を解雇する場合には、労働契約法第17条により「やむを得ない事由」が、こちらは厳格に求められる。どのような場合が「やむを得ない事由」となりうるかは、裁判所は「整理解雇の4要素」(脚注※2参照)に準じて判断している(福岡高決H14.9.18等)ので、会社にとってはかなりハードルが高いと言える。

 これは契約社員に限る話かと思いきや、いわゆる正社員を新規に採用する際にも問題になることがある。
 例えば、雇用契約を「無期雇用。ただし3か月間の試用期間あり」とする代わりに、「3か月間の有期雇用。大過なく勤務したらその後は無期雇用」という条件で締結するようなケース。
 なるほど、後者のような契約ならば、その3か月が経過した時点で正式採用しないことが、前者の「試用期間付きの無期契約」よりも容易と考えられるかも知れない。しかし、反面、その3か月の間に従業員本人の問題で雇用を継続できなくなったとしても解雇しにくくなることは承知しておかなければならない。
 有期雇用契約はこのようなリスクも含有していることを理解し、安易に用いるのは避けたいものだ。


※1
「2018年問題」=2013年4月1日以降に開始した有期雇用契約は通算5年を超えると労働者が申し込めば無期雇用契約へ転換するため、それへの対応を企業が迫られている問題


※2
「整理解雇の4要素」= (1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務の履行、(3)被解雇者選定の合理性、(4)解雇手続の妥当性、の4項目。「整理解雇の4要件」とも呼ばれるが、すべて該当しないと認められない“要件”ではなく、これらを“要素”として総合判断に用いることから、近年では「整理解雇の4要素」と呼ばれることが多くなっている。


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懲戒処分は懲戒委員会で決定するべきなのか

2017-12-13 19:30:04 | 労務情報

 従業員を懲戒するに際して、処分内容を決定するために懲戒委員会(「懲罰委員会」とも称される)を開催することとしている会社がある。
 これは法律で設置が義務づけられている機関ではないが、次のようなメリットを有するため、懲戒委員会の設置を勧める識者は多い。
  1.客観的な資料と複数の者の意見に基づいた冷静な判断が期待できる
  2.本人の弁明を聴く機会を与えることにより、本人の反省や納得を促せられ、また、会社にとっては真相究明と再発防止の一助となる
  3.労働基準監督署や裁判所に対して、公正な手続きに則った懲戒処分であることを主張できる
  4.議事録を保管しておくことにより、類似事案が発生した際の参考にできる
 これらを総じてみると、労働契約法第15条(懲戒)・第16条(解雇)の求める「合理性」と「相当性」をクリアするために懲戒委員会が活用できるということに集約できそうだ。

 しかし、懲戒委員会で懲戒処分を決定することには次のようなデメリットもあることは承知しておく必要がある。
  1.結論が出るまでに時間が掛かる
  2.議事録等に不備があると、懲戒委員会を開催しなかったとみなされることがある
 ちなみに、就業規則で「懲戒委員会を開催する」と定めているのにその手続きを経なかった場合には、原則的にはその懲戒処分は無効となる(大阪地決S47.7.12、東京高判H16.6.16等)ので、会社の規程に則った対応が必要だ。懲戒委員会を経ないで科した懲戒処分を有効と断じた裁判例(大阪地決H6.3.31等)も無いではないが例外事案と言えるだろう。

 以上を踏まえれば、懲戒委員会を設置するとしても、例えば「役員全員による」といった大規模なものよりも、「社長、人事管掌役員および当該従業員の上長たる役員の三者による」くらいの構成にしておいた方が、運用面で使い勝手が良く、また、情報漏洩を防ぐ意味でも有効と言えそうだ。
 あるいは、就業規則には懲戒委員会については明記せず、人事担当部内での「内規」として委員会の構成や審議事項(特に本人に弁明の機会を与えること)等を定めておく、というのも一策だろう。

 結論として、懲戒処分は懲戒委員会を開催して決定するのが望ましいが、それを就業規則にどのように記載するかは慎重に考えたいところだ。


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家族がインフルエンザに罹った従業員を休ませるべきか

2017-12-03 18:59:17 | 労務情報

 今年もインフルエンザシーズンが到来した。
 12月1日、厚生労働省は、平成29年第47週(11月20日~11月26日)の定点あたり報告数が1.00を上回ったため、流行シーズン入りを宣言した。

 ところで、従業員から、家族がインフルエンザに罹った旨の報告を受けたら、会社としてどのように対処したら良いだろうか。

 従業員本人がインフルエンザに罹った場合、それが鳥インフルエンザ(A属H5N1型)または新型インフルエンザであったなら、そもそも就業してはならない(感染症予防法第18条)。
 それでも本人が無理して出勤してきたら、会社としては、本人の健康と周囲に伝染させないという両面を慮って、やはり休ませるべきだろう。こうした場合には、就業規則や労働協約等で賃金を補償する特約を設けていない限り、法律上は、賃金を支払う義務は無いとされる。

 しかし、インフルエンザに罹ったのが家族であった場合には(それが鳥インフルエンザや新型インフルエンザであったとしても)、従業員本人を休ませるべきかどうかは悩ましい問題だ。
 本人も感染している疑いが濃厚であるとは言え、それでも本人が就労するつもりであるのに会社が休業を命じた場合には通常の賃金が発生するからだ。少なくとも休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければ、労働基準法違反にも問われることになる。

 詰まるところは本人の意向も踏まえたうえでの“経営判断”ということになってしまうが、このようなケースでの報告方法や休業命令のルールは、できれば事前に就業規則等に明記しておくのが望ましい。

 なお、そのルールを作るに際しては、個別の対応にとどまらず、爆発的流行(パンデミック)において従業員の大多数がこれに該当してしまうケースまで想定した対処方法を考えておくべきだろう。


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研修費用を返還させる旨の契約は違法か

2017-11-23 17:29:07 | 労務情報

 従業員の能力開発のために各種の研修メニューを用意している会社は多い。しかし、従業員の中には研修を受けるだけ受けたらすぐに転職してしまう者もいて、経営者の頭を悩ませている。

 そうした事態を防ぐため、「研修受講後一定期間内に退職する者には研修に掛かった費用を返還させる」旨を取り決めておく会社もあるが、これには法令上の問題は無いのだろうか。

 裁判例を見ると、美容室の従業員に美容指導を受けさせたケース(浦和地S61.5.30判)、会社の海外留学規程により留学先を選択し、帰国後に留学で習得した技能を生かした職務に従事させたケース(東京地H10.9.25判)等、その研修が社員教育の一環として行われたものは、使用者として当然なすべきものとして、要した費用の返還を求めることは違法と断じている。

 一方で、従業員からの申し入れにより技量資格検定試験受験のために実施した社内技能者訓練について、その費用を「立替金」と位置付け(大阪地S43.2.28判)、また、社内公募により海外留学させ、一定期間内に退職した場合には掛かった費用を返還させる旨を就業規則に定めてあったものを「返還債務免除特約付きの貸付金」として(東京地H9.5.26判)、いずれも労働契約とは区別して労働基準法第16条が禁じる「違約金」には該当しないとした裁判例も存在する。

 概して見れば、次のような要件に該当する場合は、労働基準法に違反しないと判断されているようだ。
  1.労働者本人が希望した研修であること
  2.費用を返済すべきことについて予め労働者が認識していたこと
  3.費用返済の取り決めが雇用関係の継続を不当に強要するものでないこと
 ただ、現実には、ケースバイケースで判断するしかないので、これを鵜呑みにされないよう。


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中途採用の内定取り消しは新卒のそれよりも重大

2017-11-13 09:59:29 | 労務情報

 今春、東京の旅行会社が経営破綻し、およそ50人の採用内定が取り消されたことが話題になった。内定取り消しの理由は、本件のような会社側の経営上の都合によるもの(業績の急激な悪化等)と本人の責任によるもの(「学校を卒業できなかった」など)の2つに分けられるが、トラブルになりやすいのは、俄然、前者の方だ。

 「採用内定」は、当事者間で「解約権を留保した労働契約」が成立したものと解される。
 したがって、「内定取り消し」は、その契約を会社側から一方的に終了させるという意味を持ち、「解雇」と同じ労働契約法第16条の適用を受ける。すなわち、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効」となるのだ。
 訴訟においては、(内定取り消しは解雇ではないものの)「整理解雇の四要素」と呼ばれる (1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務の履行、(3)被解雇者選定の合理性、(4)解雇手続の妥当性、の4項目を用いてその当否が判断されるので、そもそも内定を取り消す前に、これらを勘案したうえで、慎重に結論を出さなければならない。

 ところで、中途採用の内定取り消しは、新卒採用予定者の内定取り消しと比較して事の重大性が異なるので、特に注意と配慮を要する。
 というのも、中途採用では、通常、現在勤務している他社を退職してもらうことが前提となるからだ。前職を退職した挙句に内定を取り消すことになったら、その人が培ったキャリアを無にしてしまいかねないからだ。このことは、裁判所が中途採用での内定取り消しを無効と断じた事案において、その間の賃金を補償させる他に“慰謝料”も支払うよう命じた裁判例が複数ある(新卒採用における内定取り消し事案では見当たらない)ことが端的に示している。
 会社としては、経営が苦しいから内定を取り消すのだろうに、働いてもいない人の賃金やまして慰謝料まで支払うことになったら目も当てられない。

 会社としては、「内定取り消しは整理解雇の寸前でなければ発動できない」ぐらいに理解し、相応の金銭補償も含めた誠意ある説得から始めるべきだろう。
 これも、言ってみれば「解雇に準じた対処」ということになる。


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不採用者の応募書類は返却するべきか

2017-11-03 10:06:52 | 労務情報

 採用活動において、不採用とした応募者から、履歴書等の応募書類を返却するよう求められることがある。その場合、会社はこれに応じなければならないのだろうか。

 結論を先に言うと、法令上、返却する義務は負わないとされている。

 では、ここで、個人情報保護法の規定を整理しておくこととする。
 まず、「個人情報取扱事業者」の定義について、かつては「政令で定める者(事業の用に供する個人情報の数が過去6か月内いずれの日においても5千件以下の者)を除く」とされていたが、かっこ書き部分は、今年5月30日に改正施行された現行法では削除されている。そのため、今では、ほぼすべての事業者が個人情報事業者に該当すると言っても良いくらいだ。
 また、採用活動においては、当然、個人情報を取得することになること、そして、応募書類には個人情報(改正法で明確化された「要配慮個人情報」(従来「センシティブ情報」・「機微情報」とも称されてきた)を含む)が満載であることについては、異論を挟む余地は無いだろう。

 そう考えると、本人が請求してきた以上、会社は応募書類を返却しなければならないと思いがちだが、同法は、「内容が事実でないとき」には個人データの訂正や削除を、「必要な範囲を超えたり不正の手段により取得したものであったりしたとき」は個人データの利用停止や消去を、それぞれ請求することができる(改正法第29条・第30条)と定めているに過ぎないのだ。
 したがって、正しい個人情報を正当に取得し利用している限り、この求めに応じる義務は発生しない。

 しかし、そうは言うものの、利用する必要がなくなったときは個人データを遅滞なく消去するよう努めるべき(改正法第19条)と追記されたことに鑑み、また、データベースの不正提供(改正法第83条に罰則を新設)を疑われないためにも、少なくとも請求された場合には、応募書類は返却してしまうのが無難だろう。

 なお、書類返却に要する費用は本人の負担としても差し支えない。募集要項に「不採用の場合に応募書類の返却を希望するなら、切手を貼付した返送用封筒を同封すること」と記載しておくのも一策だ。ただ、そうした場合は、「個人情報に配慮している」との安心感を与えると同時に、「ケチな会社だ」とも思わせかねないので、その点は慎重に考えたい。


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特定受給資格者? 特定理由離職者?

2017-10-23 07:59:13 | 労務情報

 ちょうど10年前の平成19年10月に雇用保険法が改正され、失業給付を受給するには、原則として「12ヶ月以上」の被保険者期間が必要となった。いまだに「6ヶ月以上」で受給権を得られるものと記憶している人もいるようだが、現行制度では、それは「特定受給資格者」と「特定理由離職者」に限っての扱いとなっている。

 「特定受給資格者」とは、倒産や解雇等により離職を余儀なくされた者であって、いわゆる“会社都合”での離職者を言う。
 もう一つの「特定理由離職者」とは、平成21年に新設された区分で、「正当な理由のある自己都合により離職した者」を言う。特定理由離職者は、失業給付に際して、当面は(当初は「平成24年3月31日までの暫定措置」であったが、現在は「平成34年3月31日まで」に延長されている)特定受給資格者と同様の扱いをするものとされている。
 なお、これに「有期雇用契約の更新を希望したにもかかわらず更新されずに契約満了となり離職した者」を含む取り扱いは、今は廃止されている。

 まれに、「正当な理由=会社都合である」と誤解してか、「特定受給資格者」として扱うよう会社に求めてくる退職者もいると聞くが、会社はそれに応じる必要は無い。
 確かに、例えば「配偶者の転勤により通勤困難になったため」というような理由は、単なる「転職希望」とは性格を異にする正当な離職理由ではある。しかし、そうであっても、“自己都合”であることに変わりはないのだ。
 もし、そのように求めてくる退職者がいたら、「特定理由離職者」という区分があって、給付制限や給付日数等についても「特定受給資格者」と同様に扱われることを説明し、理解を求めるのが正しい対処だ。


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部下に資格取得を命じる際に注意しておくべきこと

2017-10-13 22:39:31 | 労務情報

 業務上、従業員に、特定の資格を取得してもらう必要がある場合には、会社はそれを命じることができる。そして、従業員は正当な理由なくその命令を拒むことはできないものとされる。このことは、すべての業務命令に共通する考え方だ。
 しかし、資格取得命令に関しては、直接的に業務を行うための命令とは扱いを異にする点があり、それに関しては、下命側(上司)・受命側(部下)ともに誤解している向きがあるので、ここで整理しておきたい。

 まず、受験そのものに掛かった費用に関しては、受験料は言うまでもなく、受験会場までの交通費や受験時間相当分の賃金も、会社が負担しなければならない。これらはすべて業務命令を遂行するために必要な経費だからだ。
 ちなみに、仮に受験結果が不合格であった場合でも、これらを会社に返還させることはできない(大阪高判S43.1.28)。なお、資格取得の成否が社内評価(人事考課や昇格査定等)に影響することについては、それが業務命令である以上、当然と言えよう。

 それから、資格を取得するために必要な学習時間については、労働時間として賃金支払いの対象しなければならない。これに関しては、従来グレーに扱われがちであったが、先ごろ策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(H29.1.20基発0120第3号)には労働時間に含むべきことが明記されている。
 また、労災事案ではあるが「技術士資格受験のための勉強も会社の指揮監督の下での残業というべき」と判じられた裁判例(大阪地判H21.4.20)も参考になりそうだ。

 一方で、資格取得のために学校に通うことに関しては微妙かも知れない。
 例えば自動車運転免許のように、その資格を取得するためには学校(この例では自動車教習所)に通うのが一般的とされているなら会社がその費用を負担することについて異論を挟む余地は無さそうだが、必ずしも学校に通わなくても取得できる資格の場合に、その費用や、ましてその時間分の賃金を支払うかどうかは、会社の考え方によって異なる。
 また、資格が取得できた折に奨励金(一時的なもの)や資格手当(恒久的なもの)といった金員を支給するかどうかも、会社ごとに異なって然るべきものだ。
 もっとも、こうした制度は、一般的に“自己啓発”を促すモティベーションとしての機能を期待されていることが多いが。

 経営者や管理職としては、これらを踏まえたうえで、安易に資格取得を命じるのでなく、自己啓発とも組み合わせながら、部下のポテンシャルを向上させることを考えるべきだろう。


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