goo

空色騎士2 その5

2017-06-13 00:07:00 | 物語・小説

そして、宿場村3滞在初日の夜の事、リッターとエスパーダは、村の酒場に居た。
「賑わってますね」
エスパーダは、酒場の中を見通しながら、そう言った。
飲食物の臭いと人々の営みがそこにあり、リッターは、こんな村にもこんな表情があるのかと少し回りに圧倒されていた時だった。
(ん?)
酒場の奥の席で、金色の立派な長髪の龍人が、嬉し楽しそうな表情を浮かべ、1杯やっている姿が、リッターの目にうつった。
錯覚かと眼を疑ったが、龍人もリッターに気付いたのか、
「おう」とでも言うように、手を振った。
「どうしたんです?」
エスパーダがリッターに問う。
「いや、変わった客人が居るなと」
リッターは、一瞬、龍人の方を指差したが、エスパーダには見えないようだった。
「何かさっきから、キツネにつままれたような感じですねえ」
エスパーダは、酒場内を見渡していると、
「御二人さん、見ない顔だね。旅人?」
綺麗な容姿の女性が、リッター達に声をかけてきた。
「はい。ところで、どなたかこの村周辺に関することの情報通の方、いらっしゃいませんかね?」
エスパーダが女性に問うと、
「情報ねえ。うーん。まあ、マスターに訊いてごらんなさいよ」
と女性は良い、カウンター席にリッター達を案内した。
「マスター、この人達が、訊きたい事があるって」
女性がマスターに声をかけた。
「何だい、訊きたいことってのは?」
とマスターがリッター達に問いかけた。
「ええ。この街の東の森にまつわる、何か、こう、言い伝えみたいなのは、ありませんか?」
エスパーダが訊くと、マスターは、顎に手をあてた。
「言い伝えねえ。うーん。ああ、森の忘れ形見って言うのがあるぜ」
「森の忘れ形見ですか。それはどう言ったもので?」
エスパーダが身を乗り出すかの様にして食いつくと、
「まあ、その前に注文してくれよ。こっちも商売だからよ」
マスターが言うと、さっきの女性がメニューを持って来た。すると、
「ああ、そこの水色の鎧着た人、あっちのお客さんが呼んでたわよ」
「えっ、私を?」
リッターは、女性が指差した方向を見ると、さっきの龍人が手を振って微笑んでいた。
「リッターさんは、そっちで情報収集を。私はマスターから聞き出しますので」
エスパーダは、何かしらの酒を注文した様だった。
リッターは、龍人の所へ行った。
「よっ。空色騎士リッターさん。まま、一杯行こうか」
龍人は、テーブルの上の酒瓶を手にすると、グラスに入れリッターに差し出した。
「あっ、俺の名前は、カンヘルって言うんだ。よろしくな」
カンヘルは、リッターに手を差し出したので、リッターは、恐る恐るその手を握り返した。
「まあ、そう警戒するなよ。何もしやしないぜ。それにしても、俺に気付くとは、ちょっと居ない空色騎士様だ。いや、愉快愉快」
「神獣で名高いカンヘルが、何でこんな所に?まさか、森の忘れ形見の正体ですか?」
リッターが問う。
「それは、あいつだ。昼間会ったろ、アミスターの事さ。コールドラッドの」
「コールドラッド。やはり妖精だったか」
リッターは頷いた。
「あいつを見れば、これまでの空色騎士連中は、後を追いかけて来たが、あいつも意地悪で、姿を消しちまうんだ」
「へえー」
会えれば、ラッキーレアキャラ。でも、効果無しって奴で、探求には影響しないパターンかとリッターは思った。
「しかしまあ、珍しいくらい貧弱な空色騎士さんだわな。だがな、アミスターの心、お前には閉じていない。だからきっと会えるぜ。安心しな」
リッターは、カンヘルが入れたグラスを飲んだ次の瞬間には、マスターの居て、隣にエスパーダが居るカウンター席に居た。
「――って所よ」
どうやらマスターが、森の忘れ形見について、語っていた所の様だった。
「それで、目撃談は?」
エスパーダが、グラスをあけ、さらに一杯頼んだ。
「それなりにはあるぜ。小さな建屋があるって話は本当で、俺も見たことはあるんだが、姿までは。だが、完全なる廃屋でもない感じだったから、まあ、まんざらでもなさそうさ」
「なるほど。興味深いですね。是非、行ってみましょう」
エスパーダの好奇心は、止まらない様だった。
(そう言えば、カンヘルは?)
リッターが酒場を見渡したが、姿はなかった。
(さっきのは、気のせいだったのか?)
妙な所に来てしまったな――とリッターは思った。
goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。
 
この記事のトラックバック Ping-URL
 
 
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。