峡中禅窟

犀角洞の徒然
哲学、宗教、芸術...

「禅とアニメの融合」...そこに禅はあるか?

2016-09-17 00:01:01 | 日記・エッセイ・コラム

はじめに、こちらを...

村上隆さんが描く「禅とアニメの融合」

THE WALL STREET JOURNAL  2016年9月16日

詳しくは、こちら...

Zen and the Art of Takashi Murakami

by Inti Landauro : WSJ


禅は、自由なものですから、こうでなければ禅ではない...と大上段に振りかぶることによって、かえってそこから禅そのものが失われてしまったりするものです。

一見「禅らしいもの」「禅ぽいもの」が禅であるとは限らないのと同様に、まったく禅に見えなくても、禅ぽくなくても、そこには禅の精神が息づいていたりするものです。

あるいは、ここではもっと「禅的」に、


禅、禅、と言うけれども、禅とは一体何なんだ?

そもそも本当に「禅」など存在するのか? 


と逆に訊き返しても良いのです。

ここで紹介されている村上隆氏の『禅とアニメの融合』について言うべきことは、ただ、自分で見て、自分で判断しなさい、ということだけです。

ただ、作家や詩人や劇作家のように、言葉を駆使する人たちは別にして、画家にせよ彫刻家にせよ、自分の作品を自分自身の言葉で創造的に語ることのできる人とそうでない人がいます。それは、その人が自己言及を好むかどうか、自分自身の創造活動について饒舌かどうかとは別の次元において、言われるべきことです。

このインタヴューは、そういう点から言えば、あまりうまくいっているとは言えないように思います。世界的に評判となり、こうしたとりあげ方をされているという点で、成功だと言えなくもないのですが、内容がとてもベタで月並みです。それは質問する側の問題でもあるのですが、禅に限らず、日本文化全体の理解に関しても、所詮はそういうものなのかもしれません...


さて、一つ注意するべき点は、禅というものは徹底して「実参実究」の世界のものですから、何事であれ、真摯に仮借なく向き合うところにしか立ち現れてはくれません。禅が「修行」の宗教だというのは、まさしくそういう意味において言われることです。

道場に行くとか行かないとか、出家するとかしないとか、厳しいめに遭うかどうかとか、そんなことではなく、何事であれ、薄紙一枚、兎の毛一本、塵一つ交えないところで、端的直接に物事に向き合っているか...

言葉も、身振り手振りも、何も挟まないで、共感とか感応とかいうことすら挟まないでいるかどうか...

「以心伝心」ですら、「以(〜をもって)」と「伝(〜を伝える)」というものが間に挟まっていますし、そもそも「心」というものが挟まっています。大事なことは、そんなものを一切挟まないで、「ピカッ」「ガラガラッ」と来るかどうかなのです。

するとここで、「ピカッ」「ガラガラッ」とは言うけれど、「ピカッ」「ガラガラッ」間に「間(ま)」があるじゃないか、「間」が挟まっているじゃないか...そう言う人がいます。

私はそう言う人に聞きます、

その「間」はどこにあるのですか? あなたが勝手に入れているのではないですか?

「ピカッ」「ガラガラッ」の間に「間」などないのです。私たちがストップウォッチを片手に「〜秒」と計って見せても、それは「わたしたち」がその間に「時・間」を挟み込んでいるだけなのです。そこに「間」を挟み込んで「時間」を見てしまうのは、私たち人間の謂わば「性(さが)」であり、私たち人間の都合でしかありません。そうした私たちの側の都合を抜きにすれば、「ピカッ」「ガラガラッ」があるだけなのです。禅ではだから、この「ピカッ」「ガラガラッ」に参ずるには、まずは一息に「ピカッガラガラッ」と工夫せよ、と教えます。

この、「ピカッ」「ガラガラッ」を指し示すものを私は「禅」と呼びます。それは、「月を指す指」です。月とは「ピカッ」「ガラガラッ」のことです。そして多くの場合、月を指しているようで、月を指すはずが、指を指してしまうのです。

「ピカッ」「ガラガラッ」の間に「間」を見てしまう人は、「ピカッ」という指と、「ガラガラッ」という指を見て、その二本の指を月だと思い込んでもう一本の指、三本目の指で指し示すのです。

この、「禅とアニメの融合」に禅があるかどうか...

肝心なことは、まず第一に自分自身で月を見ることです。禅では、ここを「禅とアニメの融合」はしばらく措く...と言います。「禅とアニメの融合」はどうでも良い。ただ、あなたが、私が、ちゃんと月を見ることです。月をしっかりと見届けることができたならば、「禅とアニメの融合」のことは、自ずとわかります。

指を見るな、指を見るな、月をみよ...

大切なことは、この一点なのです。

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