京の辻から  =My good days=

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

花の中に仏さんが… 「花戦さ」

2017年06月10日 | 映画・観劇

「五月雨晴るる」、梅雨の合間。今日も真夏日だが、蒸し暑さを感じさせない心地よい風がわたる。朝から窓を開け放し、流しまわりを見直すついでにあっちもこっちも。昼過ぎまで動きっぱなしで疲れたが、気持ちよく整え直した。 


一昨日、映画「花戦さ」を観た。戦国時代末期の京都を舞台に、生け花を大成した花僧・初代池坊専好の生きざまが描かれている。時の権力者・信長や秀吉などと、花を介して向き合う専好だが、実像は資料に乏しく、不明な点が多いという。

終わって、しみじみ心に残る感動は薄かったが、権力者と相対す一方で、河原の名もなき人々を弔って、小石を積み上げ一輪の花を手向ける専好の姿が記憶に残った。「花の中に仏さんがいてはりますなあ」と口にする専好。華道は仏前への供花に始まる。花を「立てる」は神仏に「たてまつる」の意になる。
秀吉と利休の関係、専好と利休の交流も描かれる。利休の庭に咲いていたたくさんの朝顔がすべて取り払われているのを見て、秀吉はこぶしをぎりぎりと握り締めて立ち尽くす。その利休の茶室に、一輪の朝顔が飾られていた。【「一」は「多」よりも多くを語る】という利休の哲学なのだ。「茶の湯は第一仏法を持って、修行修道することなり」。権力を握った秀吉の狂気の沙汰が醜い。「上に立つ者、人の心を大切にせよ」、と信長の言葉が繰り返された。

花も人もモノも、それぞれにそれぞれの美しさがある。梅には梅の、桜には桜の美しさがあり、金の茶室も、黒い茶碗も、それらを好むそれぞれの人間性も同様。「それぞれ」をそのまま受けとめることの大切さ、改めて思い直した。

専好を演じる野村萬斎さんが「僕らは先人が作りあげた方法論から入り、心を充実させていく。型と心は『演じる』ということの両輪。優秀な役者さんは心の部分から迫り、演じる方法を確立する」と語るのを読んだ。これもそれぞれ、「どちらから入るかというだけ」に。
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8 コメント

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おはようございます。 (ゴマメのばーば)
2017-06-11 06:54:13
一輪の朝顔にまつわる利休の美意識には感嘆するばかりです。
このエピソードに触れるたびに私は、
「ただ一輪の薔薇 それはすべての薔薇」(リルケ)
という詩のフレーズを思い起こします。
バラも次々に咲いて、いい季節の到来です。
今日も、いい日でありますように。
「ただ一輪の薔薇」、ゴマメのば―ばさん (kei)
2017-06-11 18:33:13
こんにちは。
私はリルケの詩にも疎く(ハイネもそうです)て、教えていただきました。
意識したわけではありませんが、もともと翻訳の「詩」をあまり読まずに来ました。
花は黙って咲き、黙って散っていく。一輪の花の真…。
短時間でも充実した人生を、と思いつつ…、いい加減なことです。
薔薇も好きですが、清楚な花に心惹かれます。
コメントありがとうございます。
「花戦さ」 (Rei)
2017-06-11 22:30:32
ご覧になったのですね。
秀吉の動作、服装、言葉などなど映画とは言え
仰々しくて、あそこまでしなくてもと思いました。
まさに狂気の沙汰です。
何と利休の死の場面だけ居眠りしていました。
僅かの時間だったと思いますが、情けないことです。

久木綾子、89歳衝撃のデビューと知りました。
取材に14年、執筆に4年を費やした由。
是非読んでみようと思いました。
以前ご紹介いただいた寿岳章子「湖北の光」も大変楽しめました。
仰々しく、Reiさん (kei)
2017-06-12 09:53:03
おはようございます。
映画、として楽しんでみることができました。
花を介して専好と庶民の交流はなごみますね。
「サル、サル」と言っていた少女や男性の川柳に笑いましたが、むごい展開でびっくりでした。
ほんの一瞬、うとっとされたのですね(笑) 私も時々あります。
Reiさんが『花僧』を読まれて六角堂へと足を運ばれたお気持ちに重ねて、羽黒山五重塔を夢見ているところです。
瑠璃光寺にも参拝したいです。
華道 (Rira)
2017-11-08 10:27:31
こんにちは。
最初は池坊を学び、学生時代から小原流とご縁がありました。

それぞれ そのまま 受容し、少し先を見据えつつ
今できる努力をして お任せして見守る…そうありたいナ♪
この映画は新聞や雑誌に載っていました(^^)
伝統とか形とか…、Riraさん (kei)
2017-11-08 18:14:24
こんにちは。
こちらでは池坊展が明日から開催されます。
能楽師でもある方が、「形」は個人を制限するものではなく、昔の人とつながれるものだ、
といったことをおっしゃっていたのを思い出しました。

映画の中で、秀吉を諫めるために前田利家邸で生けられた大作、今回その作品の再現もあるようです。
でも私には、河原で花を手向けた専好の姿が心に響きます。
こんばんは (Rira)
2017-11-08 22:26:07
明日、その大作の再現展示もあるようなのですね。奇遇です。。
伝統は昔の人とつながれます
野辺のお花は好いですね♪

塩抜き沢庵ですが、姑が調理していました。
刻んで油で炒めて醤油と砂糖で味付けして…笑
懐かしい味を思い出しましたゎ
ありがとうございます(*^^*)
再現展示、Riraさん (kei)
2017-11-09 10:39:58
こんにちは。
形から入って学べることは多いですよね。
時に反発してきましたけど、いろいろと~(笑)
映画の中では、継いだ松の大木がミシミシっと! 笑えました。
沢庵、捨てることをしないで結局最後まで工夫しているのでしょうかね。
今日は少し肌寒いです。

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