油小路ニュー中猫屋
いるみなしおーん。
 



ある冬の朝,彼らが二年おきに死ぬということを思い知る。午前一時に葬儀会場の遺族控え室の灯りを点けると、部屋は暗かったときよりも一瞬で狭くなり,しんとしていて,誰かの鞄などの荷物が,ひっそりと置かれていた。

重大な機会を喪ったきみへ。現実の世界に降る雨は,誰かが幻想のなかで降らせたものである。遠くで誰かが思い描いたことが,いまここで起こった。そして,誰かがいま思い描いていることが,どこか遠くで起こりつつある。

幻想は,乳児の口を塞ぐ乳首の喪失とともに,心的現実として,現実と完全に分かたれる。雨が幻想世界に降るように,現実にも雨は降る。幻想世界が現実を忠実に移植したといえた日々は過去となり,現実世界が幻想の,劣った「写本」となる。

誤解を懼れているきみへ。理解者を最後まで持つことが出来ないように,「誤解者」をいくら待とうとも,彼らを得ることは出来ない。

春を待つ夜に,からすが鳴いている。死に向かいつつあるものはすべてであるのに,ここでは死んだ者は僅かだ。


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