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台風が去って、朝顔が一輪 [森へ行く道<33>]

2017年08月09日 | Weblog


台風5号は北陸を通過して日本海で温帯低気圧になった。各地とも大きな被害はなく、関東地方の水源が潤ったという一面もあったらしい。
今回の台風関連の記事では、いろいろとお騒がせしました。
今日は、朝顔が咲いている。暴風雨を耐えたあとの爽やかな一輪である。

明日は、山越えで「博多の海」へ行く。
年に二、三度、調子が狂う老母の介護旅行だ。
今朝は、1時間ほどかけて布巾をたたんだり、開いたり、また、畳んだりしていた。それが終わるとまた1時間ほど、お気に入りの煎茶道具や「小鹿田焼」の茶碗などを持ち出してきて、並べたり、片付けたりする。
その間、たえずなにか話し続けている。
私はその内容を知っているが、相槌も打たず、返事もしない。
空襲下の博多の町を逃げ回ったこと、やり手だった父親(つまり私の祖父)が若くして癌で他界したこと、わずかな縁を頼って山の村に嫁いだこと、楽しかった山の生活、焼畑や茸採り、畑の世話。
ここにいる一人の老人は、昔々の物語世界を逍遥しているのだ。
もはや聞き手も他者も必要としていない。
そして、幼い頃を過ごした海岸で、海を一目見れば、そのきれぎれの記憶が一瞬で結ばれて、彼女は幻想世界から現世へと戻ってくる。

明日、米良の山を越えて行く。五木の川辺で弁当を食べ、私はヤマメ釣りをする。母は、その帰りを車の近辺を散歩しながら待っている。獲物を下げて帰ると、にっこりと笑う。
猟師の妻の顔だ。
祖父も父も山猟・川漁を得意とした。
その獲物を料理するのが、山の女の役割だ。

出水の後だから、川虫が取れないだろう。
蜘蛛に似せた毛鉤を作っておいた。
明日はこの仕掛けで釣ってみよう。
箪笥の引き出しから出てきた、父の使い残しの針を毛鉤に転用したのだ。
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