WALKER’S 

歩く男の日日

10月16日

2010-10-16 | 10年日帰り遍路


 7:53
1ヶ月前と同じ、8時丁度発の岡山行きに乗り込んだ。みのまでの料金は2710円、考えた末この切符を買ったけど、おつりに十円玉が5枚出てきたので結果的にうまくなかった。


 8:28
列車がもうすぐ有年駅に着こうとするころ、突然停車した。すぐ車内放送で、この先の踏切で非常ボタンが押されたので安全を確認しています、と説明があった。まずい。岡山駅でのマリンライナーの乗り換えは4分しかない。4分止まればアウトだ。マリンライナーは1時間に1本だったか、2本だったか。2本だったとしても四国に渡ってからの観音寺行きの普通は1時間に1本しかなかったはずだ。歩ける時間は1時間短くなる。すなわち、捨身ヶ嶽禅定に登ることは絶対できない。


 9:38
有年駅の手前の踏切では多くの保線員の方がおおわらわの様子だったけれど、車は見えなかった。おそらくいたずらで非常ベルが押されただけなのだろう。有年駅を出たのは8分遅れだった。そのまま岡山駅に着いたのも8分遅れ、7,8番ホームにマリンライナーは見えなかった。次のマリンライナーは22分後に出るので少しほっとしたけれど、結局は四国で30分以上待つことになるのだろう。


 9:45
向こうの9番10番ホームで5人の桃太郎が大声を張り上げながら踊り狂っている。一種異様な光景。背後の横断幕に「秋の遊歴観光号 出発式」とあった。


 9:48
おなじみ「瀬戸の花嫁」が流れて、マリンライナー19号が入ってきた。


 9:49
マリンライナーに乗り込んで右手を見ると、くだんの遊歴観光号がホームに入っていた。ぼくの座席からは先頭に取り付けられたパネルはよく見えない。ぼくのような鉄道素人からすればちょっと古い型の気動車にすぎない、という感じだけど・・・


 9:50
撮り鉄の人たちが大挙押し寄せていた。ネットには「このキハ28・58は全国でも珍しい国鉄時代の面影を残した朱とクリーム色の車体で・・・」とあり、マニアには価値のある列車のようだ。中には脚立を用意している人までいて、出発する54分までこの人だかりが絶えることはなかった。

 10:42
10時35分に坂出駅に到着。反対側ホームに移って讃岐富士を眺めていたら、駅前広場の横断歩道をお祭りの山車が行き過ぎていくところだった。そういえば、北側の駅前からも絶えず太鼓の音が聞こえている。ぼくの地元では昨日が灘のけんか祭りだった。


 10:45
 快速サンポート琴平行きがやってきた。多度津で乗り換えになる。多度津でどれだけ待たされるのかまだ分からない。


 11:01
 11時に多度津駅に到着、予想に反して観音寺行きが出るまで45分の待ち時間。本当ならこの時間みの駅から歩き始めたころだ。


 11:03
 やはり予讃線の普通(快速)は1時間に1本、先月は一つ上の10時38分発に乗っていた。


 11:30
 ベンチに腰掛けて昼食を摂っていたら、アンパンマントロッコ号がやってきた。暇なのでカメラを向ける。


 11:31
瀬戸大橋アンパンマントロッコ号は岡山から高松と琴平へそれぞれ1日1往復、土曜、日曜に全車指定席で運転される。人気の列車だとネットには書かれているけれど、この先頭車両には一組の乗客しかいなかった。


 11:44
 快速サンポート南風リレー号観音寺行きがやってきた。不思議と待ちくたびれたという感じは全くなく、のんびり、ゆったり過ごし、かつ変更を余儀なくされた今日のルートをきっちり固めることができていた。


 11:58
 当初の予定より63分遅れで無事みの駅に到着した。歩く距離は予定より4km短くなって、11kmくらいになる。でもとにかく歩けるだけで嬉しいしありがたい。


 12:03
 昨年の遍路日記で、要潤さんのふるさと三野には山と田圃と弥谷寺しかない、と書いたけれど、それは間違い。広大なダイワハウスの工場と配送センターがあった。


 12:04
 でも、目を転じれば大方こういう風景が広がっている。


 12:05
右側のピークが弥谷山、その下の白い建物がふれあいパークみの。弥谷寺はその真ん中くらいの高さになるだろうか。


 12:09
9分で遍路道に到着、先月この交差点へ右側から来て左折してこちらへ来た。遍路道は右折なのでこのまま直進すればよい。


 12:10
交差点にある本日最初の遍路シール、この写真を撮ろうとしたら、この横にあるお店の奥さんが、ぼくが迷っていると思って「遍路道はあちらですよ」と教えてくれた。ここを右に折れると急に道幅が細くなっているのでちょっとした迷いどころになっている。地元の人はそれが分かっているから、こうして優しく声を掛けてくれる。


 12:10
右に折れたところにもすぐ遍路シールがある。


 12:12
古いタイプの遍路標識の文字が読めなくなっているのは毎度のことながら、寂しい感じがする。


 12:15
このあたりからごく緩やかな登りになってくる。目指す山はあんなに遠いけれど、裾野がこんなところまで延びているようだ。


 12:15
正面にふれあいパークみの、だいぶ大きくなってきた。弥谷寺に向かってまっすぐ続くこの道は本当にへんろ道らしい道。


 12:19
交差点に古い道標、本山寺、弥谷寺だけでなく72番曼茶羅寺にも指が指している。ここから曼茶羅寺に向かうおへんろはいないと思うけど。


 12:20
立派な71番の石柱がある。これが門柱であるとすればすでにここからが寺域ということなのだろうか。たしかに山の裾野であることは実感するけれど。


 12:20
県道48号を横切る。これは新しくできたバイパスで先ほどの道標があったところが前の48号だったと思われる。


 12:21
県道の右側はこんな感じ、斜めの稜線から我拝師山がのぞいている。


 12:22
県道を横切ると坂はかなり急になってくる。


 12:23
ふれあいパークみのまで続く自動車道に合流する。


 12:23
振り返ると三野の田園風景が広がる。すでに結構高いところまで登っている。


 12:25
自動車道を120m行くと、脇道に入る。


 12:25
脇道は緑のトンネル、こういう道がふれあいパークまで続く。この道が71番までで一番きつい登りになる。


 12:29
自動車道が見えた、そこを左に折れて50mくらいで合流する。例年本山寺からここまで11kmを休みなしで歩く。2時間弱の一番最後にこの急坂があるので、いつもすごく長くきつく感じる。でも今日は2kmしか歩いていないのでいつもより短く感じたし、さほどきついとも思わなかった。汗はたっぷりかいたけどね。


 12:30
自動車道に合流した。この左はすぐふれあいパークの駐車場になっている。道を横切って右が弥谷寺の駐車場。


 12:31
山門は200mくらい先にあるけれど、それはほんの序の口。ぼくは山門でタイムをとるのでそれ以降はあまり苦にならないけれど、初めて来るほとんどの人が、まだかまだかという感じであえぎながら登っていく。


 12:32
最初の石段、ここからが本当の山登りだ。


登り切ったところを左折すると71番、右折すると72番73番に至る。おもしろいのは道標の72番までの距離が3.1kmなのに標識の方は3.8kmになっている。ちなみにへんろ地図では3.5kmになっている。正解は未だに分からないけれど、ぼくは一応へんろ地図を信用している。


 12:33
左折してすぐ20段ほどの石段がある。登り切ったところが俳句茶屋の前。

俳句茶屋の前でご主人が店の準備に余念がない。こんにちは、と声を掛けたら、こんにちは、ご苦労様です。と返してくれた。店の前からすぐ50段ほどの石段、登り切るとやっと山門だ。


 12:34
50段を登りきると、すぐ前に71番弥谷寺の山門がある。みの駅から3.1kmを34分で来た。後半はずっと登りだったし写真もいっぱい撮ったから、かなりいいスピードだといえる。この調子で30分後にここまで戻ってこられるか。

山門をくぐると緩やかな石段が続く。2段登って2mほど平らな部分の繰り返し。


 12:37
緩やかな石段を100mほど登って突き当たりを左に折れると大きな観音様の姿が見える。

観音様の左に水屋と有料駐車場がある。車へんろの人もここからは我々と同じ山登りをしなければならない。


 12:38
観音様の前からまたすぐ石段が始まる。

突き当たって左にこの先の見えない階段、教育テレビの「初めてのお遍路」のタイトルバックにも使われた。上から下りてくる車へんろの男性に「歩きですか?」と訊かれたので「はい」と答えると「たいへんやねえ」と慨嘆される。区切り打ちで、しかも日帰り、しかも今日は11kmしか歩かないから、そんなに感心されると少し面映ゆい。でもすれ違いざまだから詳しく説明するわけにもいかない。


 12:40
70段はゆうにある長い階段を登りきると、目の前は大師堂。この階段は本堂にお参りしてから登る。本堂はこの前を右に折れるけれど、よく分からなくて、そのまま大師堂に入ってしまう人もいる。

本堂は右の矢印があるけれど、この前でちょっと迷う人が多い。地図を見ても本堂までの道のりはまだまだ長い。


 12:41
お大師さんの前の広場を横切っていく。

広場を突き当たると左にまた先の見えない石段が続く。


 12:42
半分くらい登ってようやく行き着く先を確認。

登り切るとすぐ左に折れる。右に折れると天霧城跡に至る。その少し手前で左に折れて山を下ると海岸寺に至る。ぼくが歩き残している数少ない遍路道の一つ。でもここから海岸寺に行くと逆打ちになる。別格17番神野寺を打つ前に18番海岸寺に行くことになるから、厳密にいえば遍路道ではないのかもしれないけれど、一応地図には赤点線が付いているので押さえておきたいとは思っている。


 12:43
左に折れると今度は30段くらいの石段がある。

登り切るとちょっとした広場があって、左の方に石段の登り口が見える。右の方には下ってくる石段もある。ここからは往きと帰りのルートが別になっているのだ。油断してちょっとピンぼけになってしまった。


 12:44
20段、大詰めも近い。

踊り場を経てまた20段ちょっと。

登り切ったところから右を見るとようやく本堂を拝むことができる。残り10段、山門から10分でたどり着いた。石段の総数は540段といわれている。あの有名なこんぴらさんの石段が785段、10番切幡寺の石段が333段。でも要所に平らな部分があるので、切幡寺よりも大分楽な感じで登ることができた。


 13:01
本堂でお参りを済ませ、帰りの石段を下り、大師堂へ戻る。大師堂は靴を脱いで入る。靴を脱いでお参りするのはここ以外では61番香園寺と別格13番仙龍寺の二つだけ。休憩なしで山門まで戻ってきた。昨年より2分短い27分だった。写真を撮らなければもう2分ほど短かったかもしれない。


 13:02
俳句茶屋の中をのぞくと小さいながら液晶テレビが置いてあった。地デジ化は完了しているようだ。


 13:03
屏風浦海岸寺、右27丁。俳句茶屋の傍らに初めて見る道標があった。7回も来ていて全く気が付かなかった。海岸寺へはふれあいパークの前の道から行くものだとばかり思っていた。


 13:04
最初の石段を登ったところの分岐点、ここから曼茶羅寺への遍路道が始まる。

2m下の道は幅があるけど、足元の遍路道は50cmもなくて心許ない。三原村から宿毛へ下りていく真念遍路道がこういう感じだった。


 13:05
一本道で迷いようのない遍路道だけれど、こういう分かりやすい標識があるとそれはそれで落ち着いて自信を持って歩く手助けにはなる。距離は相変わらずあやふやな感じではあるけれど。


 13:07
ここまではほぼ平坦な山道だったけれど、ここから登りになる。

1分も登らずして竹藪に囲まれたピークに至る。ここから先は下るばかり。


 13:08
竹藪の中の緩やかな下り道。最初来たころはこのあたりから下りに任せて半ば駆け足のように思い切りとばしたものだったけれど、今はとてもそんなことはできない。平坦な道でもまだ普通にジョギングはできない状態だ。


 13:09
当たり前のことじゃないか、と思われるでしょう。でもぼくには、とても意味のある言葉だと、大きくうなずきたくなる。7回通しで歩いても、遍路道の隅から隅まで熟知していても、家に戻っていれば遍路ではない。家の周りをいくら歩いても遍路ではない。遍路になるには四国に戻ってくる以外にない。


 13:10
竹林を抜けて雑木林の中の下り道。


 13:12
まだまだ急な下り坂、足元がでこぼこで慎重にならざるを得ない。膝にかなり負担を感じ始める。


 13:14
また竹林になった。坂は幾分緩やかになる。そろそろ下界かもしれない。


 13:15
ようやく平坦なところに下りてきた。左に農地が見える。前は草ぼうぼうで道だと判別できないくらいになっていてちょっと歩きにくい。


 13:16
今度はため池、前は相変わらず道の上にまで草が生い茂っている。


 13:17
ようやく舗装道に出てきた。ここまでの山道は今までで一番長く感じた。


 13:18
かなり急な下り坂、さっきの山道ほどではないけれど膝の負担を感じる。


 13:19
左手に天霧山が見えたっ!讃岐の山は本当におもしろい形の山が多い。

高松自動車道の下をくぐる。


 13:20
トンネルの入り口にはちゃんと遍路標識がある。

トンネルを抜けてすぐ左折、高松道沿いの道を行く。


 13:22
この向こう側にももう一つため池があって、その間の道を行く。見えている山は筆ノ山。


 13:23
右手を眺めれば我拝師山の中腹に捨身ヶ嶽禅定の建物がはっきり見える。


 13:24
ため池の東側の道、最初はちょっとした林の中を行く。


 13:25
弥谷寺から1.6kmを23分もかかっている。登りがほとんどない道でこれだけゆっくり歩くことは滅多にない。今回は速く歩くことが目的ではないから、全く問題にはしていない。


 13:28
明治30年の古い道標、100年前のおへんろも確かにこの道を歩いていた証。


 13:29
国道11号に合流する。


 13:30
ぼくが最初に来た03年までコンビニ(Yショップ)だった。翌年からずっと閉まったまま。04年はここで夕食を調達するつもりでいたのでかなり焦った。


 13:31
国道を離れる脇道がある。わずか150mほど、こちらを行くと番外霊場七佛寺の前を通る。ぼくは5年ほど前に一度歩いて、以後はずっとそのまま国道を歩いている。


 13:33
脇道が合流してくるポイント、この交差点を右折して国道を離れる。

右折して県道48号に入る。この道をまっすぐ行って突き当たった所にあるのが仙遊寺、お大師さんが子供のころ遊び場にしていたといわれる。


 13:34
交差点のちょっと上がったところに休憩所がある。この札所間の距離は短いのでぼくは一度も休んだことはない。


 13:36
県道を150mほど行くと右に折れる。

右折ポイントにありったけの遍路シールが貼ってある。

この道は自動車道を少しだけ短絡する点線の道。


 13:37
自動車道に出たところにたばこ屋さんがある。04年、先のコンビニがつぶれていて買えなかった夕食をこの店でやっと調達することができた、パンや袋菓子も売っていた。


 13:39
我拝師山に向かって歩く。嬉しい。


 13:40
手前にため池、ここは讃岐の国。


 13:41
道標、標識、シールのそろい踏み。後ろにはかなり古そうな道標もある。


 13:43
いよいよ我拝師山が近く大きい。写真サイズでは3つ前のものとあまり変わらないけれど、実際には一まわりも二まわりも大きくなっている。その懐に飛び込んでいくような、お大師さんに包み込まれているような心地さえして、うきうきしてくる。過去この道は7回歩いているけれど、こんなに楽しく嬉しい心持ちで歩いたことがあったろうかと思う。2年前までのぼくなら、このような日帰りで歩くことなどとても容認できなかった。普通の区切り打ちでさえ何となく物足りないものだと思っていた。でもこうして実際に歩いてみて、通しで歩いている時以上の充実した気持ちを味わえている。間違ってはいなかったとここにきて確信できている。


 13:44
右へ行くと73番、左へ行くと72番。73番に先に行くと100mくらい短くなるので、納経帳を持っていた昨年以外いつも右折した。でも今回は73番には行かないので順番通りの道を行く。


 13:45
昨年は白衣を着けていたし納経帳も持っていたのでよほど入ろうかと悩んだけれど、こちらからお接待お願いしますとはどうしても言えなかった。これだけはっきり書かれていてもこちらか言えるようなことではなかった。今回は日帰りなので全くそういう気持ちは起こらない。


 13:46
曼茶羅寺の隣にある門先屋旅館、ぼくは6年前2巡目の時お世話になった。いい宿だけれど、翌年からは観音寺に泊まるようになったのでここは正午前に行き過ぎてしまうことになった。


 13:46
72番曼荼羅寺に到着。弥谷寺から3.3kmを44分かかった。時速4.5km、ベストタイムは6km以上出ていたから本当にゆっくりじっくりの歩きだった。この間写真を50枚近く撮ったから、それがなければベストより2~3分遅いだけだったと思われる。


 14:01
これは山門の柱、74番は左の矢印。つまり72番より先に73番へお参りした人のためのもの。

今回は出釈迦寺に行かないので、矢印に従って左折する道を行く。ここから74番に行く道はもう一つある。その道は昨年、一昨年と歩いたので久しぶりにこちらの道を行くことにした。前を二人連れの歩きへんろさんが行く。今日初めて出会う歩きの人だ。ここまで一人も歩きの人に会わなかった。秋遍路の通しの人が讃岐に来るのは11月になってからがピークになるから普通なのかもしれない。


 14:03
前の歩きの人に追いついた。男性はリュックを背負っているけれど女性は荷物を持っていない。二人とも白衣を着けていない。へんろではないのかもしれない。区切りだとしても週末を利用しての2泊か1泊の短期の旅のようだ。


 14:05
刈り入れの終わった田圃が広がるのどかな道。

県道に当たるずいぶん手前に右折の矢印。ちょっと珍しい。


 14:06
県道48号には歩道がない。この道が嫌でもう一つの道を行くことが多くなった。


 14:09
善通寺吉原郵便局の前にやってきた。ここが次回の重要なポイントになる。次回は今回登れなかった捨身ヶ嶽禅定に登るので、海岸寺の駅から最短距離で一番に目指すことになる。駅から南下して遍路道に合流するのがこの交差点で、この郵便局が目印になる。


 14:13
ここから県道を離れる。74番、75番は今回はスルーするので、県道を行く方が近道になるけれど、甲山寺への遍路道は大好きなのであえて遠回りすることにした。


 14:14
もう一つの道は右の方から来てここで合流する。道標はその人たちのためのもの。


 14:23
曼茶羅寺から2.1kmを21分で甲山寺の前までやってきた。ほぼ例年と同じペース。やはり写真を撮らなければいつもと変わらない速さが出ているようだ。お参りは次回にするのでタイトルに札所の名前は書かない。


 14:24
山門を出たところにある橋を渡る。善通寺まで1.5km、善通寺から善通寺駅まで1.3km、本日の旅もあと3km足らず。


 14:31
この標識は毎年見ていて、気になりながらも行き過ぎるしかなかった。何しろこの区間というのはもっとも忙しい区間。観音寺から坂出まで42kmの道のりで11の札所を回らねばならなかった。どんなに朝早く出ても宿に着くのは16時を過ぎた。今回は時間の余裕があるので初めて寄り道をする。


 14:32
遍路道から50mほど入ったところにひっそりとそのお寺はあった。本堂が全くそれらしい雰囲気がなくて少々がっかりだった。


 14:43
善通寺の境内を抜けて赤門を出るとこのお遍路さんのお宿がある。それにしても善通寺はびっくりするくらい閑散としていた。20人くらいしかいなかった。例年とは季節が違うし、時間も大分違うから特に不思議とも言えないのだろうけれど、いつもは優に数百人の参拝客でにぎわっていたから、ちょっと異様な感じを受けた。お参りは次回にするのであえて写真も撮らなかった。


 14:57
旅の終点、善通寺駅に到着した。善通寺からは時速6kmくらいで歩けてはいたけれど、かなり疲れた。前回とは違って足の痛みやその兆候は全くなかったけれど、体がちょっとだるく、動きが鈍い感じがしていた。たった11kmなのにどうしたことだろうと思う。1年前の自分は全くの別人だと思うほかない。1日に40km歩くことなど絶対に不可能だ。30kmでもかなり困難。練習してのばしていくことはできるけれど、今のところ練習が十分できない状態だし、それだけ歩く機会も持てないので、無理して練習する気にもなれない。
 駅を出たところにいる二人の女性は外人さんで、ぼくが近づくと「ゼンツウジ・・・、ゼンツウジ・・・」とぼくに訊いてきた。善通寺に行きたいことは分かったけれど、とっさにそれらしい英語が出てこなくて身振りで方角を示すのがやっとだった。でも納得してにっこりしてくれた。しばらくして振り返ると横断歩道を渡ったところにある地図で確認しているようだった。
 改札を抜けると、下りの琴平行きが遅れているようで、さかんに構内放送が繰り返されている。ぼくが乗る上りの列車は時間通りに来たので気にもとめなかったけれど、そのあとが大変だった。金倉寺駅で停車、これはさほど長くはなかったけれど、多度津駅では延々と待たされた。坂出駅の二つ向こうの加茂川駅で事故があったようだ。坂出での乗り換え時間は11分、すでにその時間は超過しようとしている。でもマリンライナーも遅れていたので、8分遅れのマリンライナーに乗ることはできた。岡山での乗り換え時間は12分、何とか間に合うだろうと思ったら岡山の手前で失速、結局12分遅れで到着した。車内放送で、姫路行きは待ってくれているというので急いで隣のホームへ移動、姫路行きは3分遅れで出発。最後の最後までばたばただった。