ブエナビスタ

トールポピーのミネキヨ中心の小説ブログです。チアノダ小説も掲載します。

「Sleepless Night」

2008-10-18 | Weblog
清良のカントナ国際入賞パーティーが終了。
峰君と恵ちゃんは眠ってしまいリビングには僕と千秋君と清良が残った。

「良かったな!日本に帰れる事になって!峰とも再会出来たし。」
「うん…ありがとう…」
千秋君と僕の言葉に清良は目を細めながら笑った。

「嬉しそうだね。」
「うん…2年間頑張って来て…ようやく結果が出せた…」

そう言うと清良は泣き出してしまった。

「清良?…」
「清良?…」
「ごめん…大丈夫…張り詰めた糸が切れたのかな…安心しちゃって…」
「そっか…」
「ほら!泣くな!」

千秋君が清良の背中を軽く撫でる。

「うん…」
「日本に帰って峰君と幸せにね。」
「ありがとう…千秋君…黒木君…」

その時だった。

「清良!泣いてるのか?清良?」
「龍?」
「峰君!寝たんじゃ?」
「峰…お前…」

峰君が起きて来ていた。
「お前等!清良泣かしたのか!」
「違うの!私が勝手に泣いたの!」

峰君が清良を抱きしめる。

「峰!清良の事大切にしろよ!」
「幸せにしてあげなきゃダメだよ」
「当たり前だ!清良は一生離さねぇし、誰にも渡さねぇぞ!」
「龍…ありがとう…愛してる…」
「俺も愛してるぞ…」

そこには幸せな時間が流れていた。


END

「Sincerely」

2008-10-10 | Weblog
「龍?」

裏軒のカウンター。俺がボーッとしていると帰宅したばかりの清良が俺の名前を呼んだ。

「ん?どうした?」
「あ…あのね…」

清良が俺を見つめる。

「何だよ?」

俺は清良を見つめながら言った。

「最近…体調悪くて…仕事帰りに病院行ったの…そしたら…」
「何だって!どっか悪いのか!」

俺は清良の肩を揺さぶった。

「違うの!出来たの!」
「出来た?何が?」
「赤ちゃん…」
「えっ?」
「私と龍の赤ちゃん…」
俺は一瞬、頭の中が真っ白になった。

「ホントか?」
「うん!」
「ホントなのか?」
「ホントだよ。」
「よくやった!清良!」

俺は涙を流しながら清良を抱きしめた。

「龍…」
「ホントにありがとう!清良!」
「私こそありがとう龍」

俺達は二人でしばらく抱き合った。

「しばらく仕事休むから…」
「当たり前だろ!一人で外出歩くなよ!重たいモノ持つなよ!無理するなよ!」
「うん!ありがとう!大丈夫だよ!」
「ダメだ!過保護にしてやる!」
「ちょっと龍…」
「覚悟してろよ!」

俺は清良を抱き抱えて、部屋に入った。


END

「羽にして」

2008-09-25 | Weblog
「清良さん~!このランチ美味しいデス!」

イタリアへ向かった千秋君達を見送った後、私とのだめちゃんはランチの美味しいお店に行った。

「でしょう?ここのランチ人気なのよ!」
「来て良かったデス」
「でしょう?」

二人で盛り上がる。

「清良さんは峰君と逢えなくて寂しくないんデスか?」

のだめちゃんが聞いて来た。

「えっ?」
「のだめは先輩と逢えなくて寂しいデス…先輩はプロだってわかってるんデスけど…やっぱり寂しいんデス…」

のだめちゃんが寂しそうに言った。

「のだめちゃんはいいじゃん…千秋君と同じ国にいるんだし…逢おうと思えば逢える距離にいるんだし…私と龍はウィーンと日本だし…もう2年も逢ってないんだよ…」
「清良さん…」
「でも…大切な人がいるから…頑張れる…」
「清良さん…」
「今度のコンクールで絶対結果を出して日本に帰って龍に逢う。そう決めてるの…」
「頑張ってクダサイ!のだめも頑張ります!」
「うん!」

この想いを羽にして…
いつか再会できるその日まで…笑顔で逢えるように…


END

「No.1」

2008-09-18 | Weblog
「辞めてよ!離して!」

仕事からの帰り道、私は突然、何者かに公園に連れ込まれた。
街頭の明かりで、相手が誰だか判明する。最初のウィーン留学時に交際していた男だった。

「清良久しぶりだな?」
「何よ!いきなり!」
「いいから来いよ!」

髪を引っ張られる。

「辞めて!痛い!離して!」
「すっかり有名人になったよな!お前!」

抵抗する私を暗闇の公衆トイレに連れ込む。

「辞めて~!」

その時だった。

「お前!俺の清良に何してるんだ!」

声と同時に男は逃走し、私は突き飛ばされ、倒れそうになった。

咄嗟に大きな腕が私を抱き抱える。

「大丈夫か?清良?」
「龍…?」

力強くて暖かくて優しい声。私は涙を流した。

「安心しろ、もう大丈夫だからな!」
「うん…」
「お前…震えてる…」

龍は私を抱き抱えたまま近くに止めてあった車へと私を運び、助手席に座らせた。

「お前な!あんな危険な道歩くなよ!あの道は危険なんだぞ!」
「だって…近道だし…」
「危ないから辞めろ!」

龍は私の頭を撫でながら言った。

「うん…ごめん…」
「わかればいい!」

龍が車を走らせる。

「やっと泣き止んだみたいだな!」
「うん…ありがとう…」「さっきの奴…」
「龍と出会う前…ウィーン留学時に付き合ってた人…」
「そうか…」

龍は何も言わない

「龍?」
「また何かされたら隠さず言えよ!俺が守ってやるから!」
「うん…ありがとう…」
龍は私にとってNo.1。
龍と巡り会えて良かった


END

「HANABI」

2008-09-07 | Weblog
どれぐらいの値打ちが
あるのだろう…
俺が今生きてるこの世界

ぐっすり眠ってしまった恋人を見つめながら俺はベランダに出た。
パリから日本に帰国して一年。俺もあいつもそれぞれ忙しい…。

手に入れたモノと引き換えにして切り捨てたいくつもの輝き…本当に数えきれない程あった…

どんな理想を描いたらいいのか?
どんな希望を抱き進んだらいいのか?
わからない…
日々忙しい日常に葬られて行く…。

プロとしての成功、売れっ子としての忙しさ…
常に感じてしまう…。

「先輩?」

だけど…

突然のあいつの寝言…
優しく柔らかい寝顔…
見ているだけで憂鬱な心が消えて行く…

誰もが皆悲しみ、苦しみ、問題を抱えてながら
それでも懸命に生きている。明るい素晴らしい未来を信じて…

あいつと巡り会って
もう何年になるのだろう
巡り会えた事でこんなにも俺の世界が変わった。
単純かもしれない…だけど、本当の愛を知った。
本当にありがとう…
心からありがとう…

「これからも頑張らないとな…」

HANABIのような光だとしたって…ほんの僅かな光掴めない光だとしたって…手を伸ばしたい…。
それを教えてくれたのは…あいつだから…


END

「月も星も」

2008-08-24 | Weblog
「お~い!清良!」

夕食後、二人で裏軒の前にある公園に出てのんびり過ごしていると、突然、龍が私を呼んだ。

「何?」

私は龍の方へと行った。
「見てみろよ!」

龍が夜空を見上げながら私に言った。夏が終わり、すっかり秋。秋風が心地良く、肌に触れる。
夜空を見上げるとそこには凄い綺麗な月と星…。

「凄い綺麗…」

私は見とれてしまった。

「この街でこんなに綺麗に月や星が見れるなんて珍しいよな?」
「そうだよね。でも、この都会でも月や星がまだまだ見る事が出来るんだなぁ…」
「ん?」
「こんな世の中だけどさぁ…まだまだこんなに素晴らしい事も沢山あるんだなぁって…」

どんな世界になったとしてもまだまだこんなにも暖かい場所や素敵な場所がある。月も星もまだまだ見る事が出来る場所がある。


END

「どんな自由も孤独も」

2008-08-23 | Weblog
「峰?待たせたな!」
「いや!俺も今来たところだ!」

久しぶりに千秋と二人で飲む事になった。
場所はお洒落な雰囲気が人気の都内のバー。

「のだめとはどうなんだ?ラブラブか?」
「まあな。お前こそ清良とはどうなんだ?」
「俺達もラブラブだぞ」
俺も千秋も完全に惚気けた。

「でもなぁ…俺…不安になるんだ…」
「どういう事だ?」
「あいつは俺なんかと一緒にいて幸せなんだろうかってな…大切にする、幸せにするって決めた筈なのに不安になるんだ…」
千秋が突然言い出した。

「俺だって同じだ…」

俺もポツリと呟いた。

「あいつがいつか俺から離れて行くんじゃないかっていつも不安なんだ」
「峰?」
「でもな…俺が全てを賭けて大切にするって幸せにするって決めた女なんだ…俺は最後までやり遂げるつもりだ…」

俺は清良への想いを千秋にぶちまけた。

「そうだよな…俺だって同じだ!あいつと出会って俺は初めて誰かを愛する事を知ったんだからな…」

千秋がそう言った。

「俺もそうかもしれないな…清良に出会うまで、誰かを愛するって事は儚い事なんだって思ってた…でもな…あいつと…清良と出会って初めて知ったよ。どんな自由も孤独も誰かを愛しているから生まれる感情なんだって…」
「峰…」

これだけ清良への気持ちをストレートに誰かに話したのは初めてだった。
「さて、今夜はまだまだ飲むか?」
「ああ。」

俺達は二人で飲み明かした。

「自由と孤独」

2008-08-17 | Weblog
「3位入賞おめでとう」
「ありがとう!龍!」

カントナ国際バイオリン部門の結果発表の後、俺は清良と会場の外でしばらく抱き合って過ごしていた。

「龍!二次予選の時会場に来てたでしょう?」
「知ってたのかよ!」
「勿論(笑)」

清良は微笑みながら俺に更に抱き着いて来た。

「でも、さっきはびっくりしたぞ!後ろからいきなり抱き着いて来るとは思わなかったからな!」
俺がそう言うと清良の目には涙が浮かんでいた。
「うわぁ!どうした?俺変な事言ったか?」
「ううん。私は龍に逢いたかったの!二次予選の会場で龍の姿見つけて、コンクールが終わったら逢おうってずっと思って頑張って来たから…」

清良はそう言うと泣き出してしまった。

「俺も清良に逢いたかった!二年間寂しかったんだぞ!」
「私もだよ…」

俺達はきつくきつく更に抱き合った。

「私ね。二年間ずっと自由と孤独の中戦って来たの。夢の為なのにこんなに辛いと思ったの初めてだった。龍以前にも何人かと付き合ってたのに」
「俺も同じだよ。でも、本気で誰かを愛するってそういう事じゃないのか?俺はそう思う。本気で愛する人と出会い初めて自由と孤独の意味を知った。だからこそ幸せを感じられるんだ。」
「うん。そうだね。」

夜のパリの街は輝いてい見えた。


END

「あなた」

2008-08-13 | Weblog
「もしもし?」

久しぶりの着信音
最後に会ったのは…
確か2年前だったかな?
「久しぶりだな!」
「うん。元気だった?」
「ああ。お前もすっかり売れっ子バイオリニストだな!」
「そっちこそ。」
「峰は元気か?」
「元気すぎるよ(笑)」

あなたも相変わらず忙しいみたいだね…。パリを拠点に世界的有名指揮者としての彼の活躍は常に大きく報道されていた。私は日本を拠点に世界で活動している。

「俺、今日本にいるんだけど今から会えるか?」

突然の言葉。

「うん。いいよ。」
「じゃあ待ってる。場所は…」
「わかった今から行く」
待ち合わせ場所へ向かうタクシーの中、あなたと過ごした日々を思い出していた。長野音楽祭で初めて出会った事、一緒にR☆Sオケを設立した事、ウィーンで再会した事、そして、お互いプロになってから一緒に仕事をした事。あなたと巡り逢えた事本当に心から誇りに思う。

「お待たせ…。」

待ち合わせ場所に到着すると既にあなたの姿が。
私は一歩ずつ歩み寄った

END

「Shine」

2008-07-15 | 小説
「ねぇねぇ龍?」
「ん?どうした?」
「真一君!」
「何だ?」
「今夜はのだめちゃんと寝るから(笑)」
「清良さんと寝マス!」
私と龍は夫婦で、千秋君とのだめちゃん夫婦の自宅に泊まりに来ている。
「ちょっと待て!お前らはそれでいいかもしれないが、俺は峰なんかと寝るのゴメンだぞ!」
「清良ぁ(涙)」
「いいじゃん!」
「というわけでのだめは清良さんと寝マス!」

文句を言っている男性陣を放置して私とのだめちゃんはダブルベッドに入った。

「あれ?ベッドって一つしかないんだよね?」
「ププッ。今頃、真一君と峰君は布団で寝てマスよ!」
「ハハハハ(笑)」
「文句言い合ってマスかね?」
「多分ね。」

二人で笑い合う。

「いつも千秋君とこのベッドで寝てるの?」
「ハイ!そうデスよ!」
「私もね。龍とダブルベッドで寝てるの(笑)」
「ふぉ~!ラブラブデスね!」
「のだめちゃんこそ!」
また二人で笑い合う。

「千秋君はのだめちゃんの前ではどんな感じ?」
「甘えん坊さんデス!」
「龍もそうなんだよね」
「のだめがいないと真一君泣きそうになりマスから…!」
「龍もそう!でもこれだけ思われて幸せなんだなぁ。って実感する。」
「のだめもデス!」

私達は夫の事について、一晩中語り明かした。

「峰!くっつくな!」
「いいじゃん千秋!」

同じ頃、龍と千秋君が隣の部屋で格闘していたというのはまた別の話。


END

「Deep Sky」

2008-07-13 | Weblog
あの日と同じ空
澄み切った青空
Deep Sky

「懐かしいなぁ」

隣で眠っている清良を眺めながら俺はベッドを出て机の中にしまい込んでいたモノを取り出した。

幼い頃、初恋の人と写した写真…


「龍太郎。私ね。卒業と同時に引っ越す事になったの…」

小学校の卒業式当日。
彼女はそう言った。
俺が初めて好きになった初恋の人…

「そっか…。」
「今までありがとう!龍太郎!」
「あ…あぁ。こちらこそ今までありがとう。」
「明日引っ越すからハイ。これが新しい住所」

澄み切った青空の下。彼女は笑った。
あの日以降彼女には会っていない。いろんな女と付き合ってもずっと彼女の事を忘れられなかった。清良と出会うまでは。清良と出会って俺は彼女以上に愛する人を見つけた。だけど、彼女の頃は時々思い出す。
あの日と同じ澄み切った青空を見る度に…

「龍?起きてるの?」

突然、後ろから清良に抱きしめられた。

「ああ。眠れなくて。」
「龍がいないから心配しちゃったよ…」
「ゴメンゴメン。さて寝るか!」
「うん(笑)」

写真を再び机にしまい込み俺は清良を抱きしめながら眠りについた。

END

「オーシャン」

2008-07-01 | Weblog
「大丈夫か?」
「ん…龍…?」

パリからウィーン経由で日本へ帰国したその足で、空港の近くのホテルに入った俺と清良は、ベッドで何度も何度も果てるまで愛し合った。

「ごめんな。張り切り過ぎた!久しぶりだったからな(笑)」
「確かにやり過ぎだよ(笑)でも、久しぶりに龍を感じられた。」
「清良…。」
「ありがとう。龍。パリまで来てくれて。本当に嬉しかった!」

清良が優しく微笑んだ。

「愛する真っ赤なルビーの為だからな!」
「ありがとう…。」

清良は照れ臭そうな顔をした。

「これからはプロとして頑張れよ!応援してるぞ!世界的有名バイオリニスト三木清良!」
「うん。ありがとう!」
「お前素直になったな」
「うん!」
「今のお前の方がかわいいよ!」
「ありがとう!」

俺は清良をきつく抱きしめながら眠りについた。

END

「遠くから 近くから」

2008-06-27 | Weblog
「千秋!のだめ!」
「おはよう!千秋君!のだめちゃん!」

偶然にも俺と恵のオフが重なった日、峰と清良に「話しがあるから」と裏軒に呼ばれた。

「ああ。おはよう!?」
「おはようございマス」「で?話しって何だ?」

俺は峰と清良の顔を見ながら聞いた。

「実はな!千秋に俺達の結婚式のスピーチして欲しいんだ!」

峰がニヤニヤしながら言った。

「断る!俺はそんな事しない!したくない!させるな!」

俺は峰を睨みつけながら断った。

「千秋君?お願い出来ないかな?私は千秋君にスピーチして欲しいから」
「のだめも真一君のスピーチ聞きたいデス」

峰が相手の時は強く言い返せたのに清良と恵に頼まれた途端、言い返せなくなる俺…。

「わかった…。」

俺は小さく呟いた。

「真一君!文章考えマショウネ!」

END

「MIRAI」

2008-06-21 | Weblog
「清良?」
「ん?どうしたの?」

裏軒の二階にある俺と清良の新居。俺は寛いでいた清良を突然、抱き寄せた。

「俺達、結婚したんだよな?何か実感なくて…」

「実は私もなんだよね(笑)でも、それが私達らしいのかも。」
「ああ!そうだよな!」

結婚して半月。
今までと変わらない俺達

「龍と結婚出来てよかった。ホントにそう思う」「ああ。俺もだ!清良と結婚出来てよかった!」

俺達は抱き合った。
これから歩いて行く未来を思い浮かべながら…


END

「smile Jack」

2008-06-18 | Weblog
「千秋、幸せそうだな」「お前だって幸せそうだぞ!峰!」

俺も千秋もそれぞれ結婚して一年。
千秋とのだめは結婚後、日本に帰国。俺は清良と結婚した今も裏軒で暮らしている。
千秋ものだめも清良も日本を拠点として世界で活躍する音楽家だ。

「のだめとの生活はどうだ?」
「相変わらずだ。少しは部屋の片付けが出来るようになったかもな」
「ほ~っ。」
「お前こそ清良とどうなんだ?」
「ラブラブだそ!結婚してからの方がラブラブだ!」
「お前らしいな…。」
「何だよ?愛し合ってるんだぞ。」
「俺達もだぞ。」

営業終了後の裏軒で俺達はそれぞれ惚気合った。

「これからも今まで以上に幸せになれるように祈って乾杯」
「ああ。乾杯。」

俺達は飲み明かした。


END