尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

都議選、自民より深刻な民進党の惨状

2017年07月11日 23時26分20秒 |  〃  (選挙)
 ちょっとまた都議選の話に戻って。都議選では「自民惨敗」と言われるけど、それはまあ予想以上に落ち込んだけど、それなりに票は取っている。「都民ファースト」が188万票に対し、自民党は126万票である。(ちなみに、共産党77万票、公明党73万票、民進党38.5万票。)じゃあ、なんで獲得議席があんなに離れた(都民56、自民23)かというと、1人区があったり、複数区で共倒れしたためである。

 それに対して、比較にならないほど票を減らしたのが民進党である。2009年に54議席2013年に15議席(その後、維新の一部と合同して民進党)だったけれど、今回はわずか5議席。しかし、議席数だけではなく、当選圏に遠く離れた候補が多く、票を完全に「都民ファースト」に奪われている。

 例えば、豊島区泉谷剛という人は、2009年に4万5千票を獲得して、自民候補にダブルスコアで圧勝した。2013年には、1万1千票と激減して落選し、今回も民進党から出たけれど7825票と供託金も戻ってこない状態だった。まあ豊島区は小池知事の地盤だから、特別「都民ファースト」が強いところだが。でも、かつて当選した候補でも、法定得票に達しない選挙区がいくつかある。

 2013年でも、民主党は多摩地区でかなり獲得している。11人が当選しているのである。多摩地区には、「2人区」がかなり多く(11か所)、そのうち9か所で民主党は議席を得ていた。ただし、2009年はトップ当選だったが、2013年は2番目だけど。それでも2人区での自民独占は無理で、「自民・民主」2大政党のような状況が残っていたのである。

 だけど、今回は民進党で出馬して当選したのは、三鷹市のみ。他にも3人が当選しているけれど、それは民進党を離党して、無所属で都民ファースト推薦になった候補である。今回はそういう決断をした人がかなりいて、かなり当選している。2009年に民主党で当選した54人の中で、今回の都議選でも当選したのは、僕がざっと調べた限りでは14人いる。だけど、その中で民進党で当選したのは3人のみ。(中野、世田谷、三鷹。)他に維新が1人いるけど、残りの10人は都民ファースト、または都民ファースト推薦の無所属なのである。(民進党は他に、練馬の区議出身の新人、板橋で前回「みんなの党」から当選した現職の2人が当選し全部で5人。)

 選挙を前にして「民進党離党ドミノ」が起きたわけだけど、このように結果を調べてみると、確かに離党した方が良かったのである。まあ「当選第一」の観点からだけど。本来は政党はそれぞれの政治的考え方あってのものだが、今はそれ以上に党、あるいは党首のイメージが優先される。というか、各候補者に投票する有権者の方が、そういう風に見ている。もう民進党は、多分当選しないだろうという風に見られていて、支持者は自分の票を生かすためには他の候補に入れたくなってしまう。

 そうなったにはなっただけの理由がある。一番大きいのは、一度は都議会最大党派、さらには政府の政権党になったのに、事前に宣伝していたような「改革」を実現できなかった(と思われている)ということだろう。だから、より強力な「改革イメージ党」が出てくると、「何となく期待票」はみんなそっちに移ってしまう。有権者の移り気を嘆いていても仕方ない。問題は「民進党に入れても変わらない」イメージに対して、党内に危機感がないということである。自民党以上に、危機感がない

 もともと民主党、民進党は地域活動の地盤がない。自民、公明、共産は地域に活動家がいるのを皆が見ている。でも民主党、民進党の熱心な活動家は、地域の中では非常に少ないだろう。大阪や沖縄のように、民進党勢力が非常に弱くなってしまった地域がある。それぞれ地域独自の事情があるわけで、東京も今回そういう地域の仲間入りしたわけだ。でも、民進党の今後も、注目していかないといけない。執行部の危機感の薄さはかなり絶望的だけど。

 資料として、いくつかの選挙区の票の推移を見ておきたい。大きなところは大変なので、文京区、目黒区、小平市を取り上げる。(左から2009➡2013➡2017)下線が当選。
文京区
 増子博樹(民主) 41382 ➡ 17571 ➡ 42185 (都民)
 中屋文孝(自民) 27183 ➡ 28460 ➡ 26997
 小竹紘子(共産) 23125 ➡ 19693 ➡ 26782 (福手裕子)
・共産は今回新人候補で票は伸ばしたが、215票差で自民に負けた。増子の浮き沈みは劇的な票の変わり方に表れている。同じ人でも、民進党から出ず「都民ファースト」で出るとこうなる。だけど自民もそこそこ取っている。共産が増え、自民が減らしているが、当選は自民。

目黒区
 伊藤 悠(民主) 37430 ➡ 12663 ➡ 47674 (都民)
 鈴木隆道(自民) 24377 ➡ 13877 ➡ 13912
 斉藤泰宏(公明) 21531 ➡ 17321 ➡ 19007
 宮川知子(民主) 16058
 沢井正代(共産) 12383 ➡ 8211(松嶋祐一郎) ➡ 18572 (里見定子)
         栗山芳士(自民) 14475 ➡ 14455
・2013年に自民は2議席を得たが、今回は共倒れ。自民の二人は票は減らしていない。元民主の伊藤は、今回都民から出て前回から3万5千票増やしたが、共産が大きく票を伸ばして当選した。なお、2013年には他にもみんなの党やみどりの党、維新などから出ていて票が分散している。

小平市
 斉藤 敦(民主) 35963 ➡ 16388 ➡ 15238 (民進)
 高橋信博(自民) 22354 ➡ 21509 ➡ 15535
 末広 進(共産) 9087 ➡ 7316 (森住孝明) ➡ 10454 (鈴木大智)
        伊藤央(維新) 8425
                佐野郁夫(都民) 31884
・多摩地区の2人区では、自民が票を減らしつつも民進党を上回った。297票差である。共産も伸ばしたが届かない。こうして、2人、3人区だけ見るけど、案外自民が底力を発揮しているのが判る。都民ファーストは圧倒的にどこでもトップになっているけど。前回は自民が勝ったけれど、票数は少ない。投票率が下がって、民主票が落ちたからトップ当選したということがよく判る。今回前回の棄権票が「都民」に行ったことが判る。
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