尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

傑作だけど…映画「ディストラクション・ベイビーズ」

2016年10月08日 00時16分59秒 | 映画 (新作日本映画)
 早稲田松竹で、「ヒメアノール」と「ディストラクション・ベイビーズ」の2本立てを最近見た。どっちも今年公開の日本映画で、犯罪というか暴力を扱っていることで共通している。どっちも面白かったのだが、特に「ディストラクション・ベイビーズ」は傑作だと思った。監督は新鋭の真利子哲也(1981~)という人で、僕は初めて見た。早稲田松竹の上映は終わったけど、シネマヴェーラ渋谷(ユーロスペースの上)で、10日から14日まで監督の特集がある。だから紹介しておく。

 全編が愛媛県松山市で撮影された映画で、ほとんどがケンカなどの暴力シーンである。こういう映画は今までなかったように思う。いや、「けんかえれじい」や「岸和田少年愚連隊」はどうだって言われるかもしれないけど、ユーモアや懐古がまったくなく、理由もなくただ暴力がある。「地方都市のすさんだ青春」だったら、例えば「サウダーヂ」(富田克也監督)はじめ最近時々作られている。だけど、そういうんじゃないのである。何かの意味づけもない、ひたすらなる肉体的暴力の噴出である。

 映像的にも上出来で、脚本もよく出来ている。(脚本は監督と喜安浩平(「桐島、部活やめるってよ」)が書いている。)映画的な完成度が高く、やはり傑作というべきなんだと思う。だけど、やっぱりここまで暴力のみだと、好きにはなれない。見ていても辛い。意味もわからない。

 主演の柳楽優弥もぶっ飛んでる感じで、存在感がすごい。「誰も知らない」からずっと存在感はあったけど、こんなケンカ演技が出てくるとは。柳楽にくっついていくことになる菅田将暉も、最近出すぎだけどチャラい感じをよく出している。たまたま連れていかれる小松菜奈の壊れ方もすごい。(好きにはなれないけど。)柳楽の弟役の村上虹郎、あるいはちょい役の池松荘亮など、新進監督としては異例なほど若手有望株の役者を集めている。初のメジャー作品としての格を高めている。

 と思うんだけど、暴力を生業にしているはずのヤクザより強いというのもどうか。それに柳楽に乗っかる菅田の暴力は、やり過ぎの弱いものいじめにしかなってない。全体に、なんでこうなるのか判らない。しかし、それを言えば、現実に起こっている少年事件を見ても、なんでそうなったのか自分たちでもよく判らないようなケースも多いと思う。最近、再び「非行少年」問題を時々ニュースで見るようななったけど、そういう現実を反映、あるいは予見しているのかもしれない。全然好きにはなれないけど、こういう映画があり、出来も良いという話。
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