尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

日米首脳会談とゴルフ「供応」問題

2017年02月13日 21時37分13秒 |  〃  (国際問題)
 トランプ政権、あるいは日米首脳会談について、やはり何回か書いておく必要があるだろう。なんでもドナルド・トランプという男は身長が190cmあるんだという。体重は107㎏で、ちょっとこういう人とはゴルフはもちろん、あまり会いたくもない気がする。対するに安倍首相は身長175cm、70㎏ぐらいらしい。この体格差は、ほぼ日米関係に相似なのではないか。

 それはそれとして、日本政府関係者から見れば、日米会談は「大成功」だったんだろう。もともと安倍首相はプーチンやエルドアンなどと息が合うところがあった。これらの政治家は、自国の伝統重視強権体質人権軽視で共通している。もちろんトランプは、彼らを上回ることはあっても、決して下回らないだろう強権的、人権軽視の人物である。もともと「ウマが合う」ところが多いはずである

 先に書いたように、トランプ政権は「お友だち政権」どころは「親族政権」になりつつある。「敵」と見なされたら排除されるけど、「身内」と見なされれば厚遇を受ける。安倍首相がフロリダの別荘を訪れゴルフをともにするというのは、この「身内待遇」を求める方針だから、対トランプという点だけで考えれば「正しい戦略」とも言えるだろう。

 だけど、それは同時に「日本国民を見切っている」ということでもある。イギリスのメイ首相は、トランプ政権に無批判だったということで帰国後に批判された。そこで幾分かトランプ批判をしないわけにはいかなかった。日本国民が同じように、ちゃんとトランプ政権の人権無視政策を批判しない安倍首相を非難するならば、安倍首相もうかうかとゴルフに興じている余裕などないはずだ。

 だけど、安倍首相は日本国民がそんな非難はしないだろうと思っている。もちろん野党はアメリカべったりというだろうが、それは世論調査に反映されない。それより経済で難癖をつけられずに帰ってくれば、支持率は上がると踏んでいるだろう。そして実際にNHKの調査では首相の支持率はアップしている。(国会審議を見ていれば、とても安倍政権が順調だとは思えないはずだけど…。)

 トランプとゴルフをするというのは、「いじめっ子の親分に取り入る」ようなもので、およそマトモな感覚があれば耐えられないものだと思う。そういう本質的な問題もあるけれど、僕にはもっと他にあまり論じられていない問題があると思う。それは「プライベートな趣味の時間」として、大統領個人所有のゴルフコースでプレーするという問題である。

 首相の個人旅行ではなく、政府専用機で行く公的な海外出張である。すべての経過はオープンにされなければならず、どこでどんな会話をしたかも国民に知らされなければならない。外国訪問中は、儀礼行事出席中と言えど「プライベートな時間」ではない。トランプは土曜で休日というかもしれないけど、外国訪問中の首相の方に「休日」はないだろう。それなのにゴルフ中は取材が許されず、ごく限られた映像と写真が提供されただけ。

 今までも大統領の別荘を訪れたことはあるが、ここまで豪華な場所ではないだろう。首相はアメリカ合衆国を訪問しているのであって、トランプ大統領個人を訪れているのではない。相手国から歓待されるのはいいけれど、トランプ個人からあまりにも厚遇を受けるのはおかしい。というか、そもそもここまでの大富豪がトップになることが想定されていなかったのだろう。どこかの独裁国家みたいである。

 このゴルフ場滞在費とプレー代を日本政府は支払っていない。それはゴルフ場がトランプ所有なので、トランプ個人への献金と見なされ、外国政府からの献金を認めない合衆国憲法に違反するからだという。合衆国政府も支払っていない。アメリカ政府が負担すると、アメリカ国民の税金でトランプ氏個人をもうけさせるという批判が出かねない。ということで、今回の別荘とゴルフに関しては、トランプ大統領個人が私費で払うということになった。

 だけど、それはおかしいだろう。そもそも、別荘なら大統領専用のキャンプ・デイヴィッドの有名な別荘を使えばいい。ゴルフをしたいならトランプ所有じゃないゴルフ場へ行けばいい。それなのに、わざわざトランプ氏が私費で安倍首相を歓待した。いま「歓待」と書いたけど、言葉を変えれば「供応」である。これはいくらぐらいになるだろう。数百万にはなるだろう。これはいいのか。それは「わいろ」や「外国からの政治献金」じゃないかもしれないが、常識的な感覚で言えばおかしいのではないか

 こうした外国首脳個人からの「おもてなし」は想定されていなかっただろう。だから、違法じゃないんだろうし、倫理規定なんかにも(言葉の上では)反しないんだろう。だけど、明らかにおかしいと思う。こういう歓待を受ければ、普通は批判をしづらくなるし、何か報いようと思うものだ。だから「接待」という営業方法があるんだし、それが「癒着」につながったりする。

 今回もせっかく昨年の臨時国会で強引に認めさせた「TPP」に全然触れてない。TPPの問題点もあるだろうけど、日本はとにかく国権の最高機関である国会で承認している。野党側はトランプ次期大統領の出方を見て拙速な対応はおかしいと主張していたはずだ。でも強引に国会で承認された以上は、これは「国民の意思」である。行政府の長である首相には、それに沿ってアメリカの翻意を促す義務があるはずである。(まあ、本人は会談で触れたと言ってるようだけど。)

 今書いたのはタテマエ論である。そういうもんじゃないという考えもあるだろう。でも国会に対しては十分に説明する必要があるはずだ。少なくともTPP国会承認をそのままにして、日米二国間協議に応じるなどあってはならないだろう。それはさておき、TPPに言及せず、7か国入国禁止令にも一切言及しない姿勢に、「癒着」に近いものを感じてしまうのも確かである。
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