尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

玉川奈々福さんの浪曲を聞きに行く

2018年02月03日 00時37分37秒 | 落語(講談・浪曲)
 女性浪曲師玉川奈々福さんの名前は、2017年12月16日まで知らなかった。そういう人は多いと思う。その日の朝日新聞土曜版「be」の「フロントランナー」に奈々福さんが取り上げられていたのを読んだわけ。日にちがすぐに特定できるのは、その日が「高石ともや年忘れコンサート」の日だったからで、僕は夫婦で亀戸カメリアホールに行った。そこでもらったカメリアホールのチラシを見ると、1月27日の玉川奈々福さんの浪曲と映画の会のチラシがあった。それを見て、僕はこの人どっかに出てたよねと言ったら、今日の土曜版じゃないと言われた。そうか。
 (玉川奈々福)
 その会に是非行ってみたいと妻はチケットを取ってしまったけど、僕はまあいいかと思った。その会がすごく面白かったということで、今度は2月2日の「奈々福×吉坊 二人会」のチケットを2枚買ってきてしまった。うーん、どうしようかな。ホントはフィルムセンターで山際永三監督の「狂熱の果て」を見ようと思っていたのである。でも、まあせっかくだしなあと思って、浅草の木馬亭に出かけた。木馬亭というのは、月の初めに浪曲の定席を開いているところで、そんな場所は他にない。僕は初めて。

 けっこういっぱい入っていて、「みちゆき」と題した二人会も5回目だという。桂吉坊も初めてだけど、上方落語の期待の若手。今日は吉坊が「三十石夢乃通路」(さんじっこくゆめのかよいじ)という1時間かかる大ネタをやったので、浪曲の方は短めだった。この「三十石」が抜群に面白く、こんなに何も起こらないような、普通の意味の起承転結のない噺があるなんて知らなかった。大阪から伊勢参りをした後で京都を見て、伏見から船で大阪へ帰る二人組。どこまでも船に揺られて続くような心地よさ。
 (桂吉坊)
 その前の奈々福さんは「石松金毘羅代参」で、次郎長ものである。次郎長が森の石松に讃岐のこんぴらさんに代参を命じる。ただし石松は酒を飲むと訳が分からなくなるから道中は酒を飲むな。それは無理だから、引き受けられねえというくだりである。どうしてもマキノ雅弘監督の名作「次郎長三国志」の森繁久彌が思い浮かんでしまう。石松は三十石船で「寿司食いねえ」となる。広沢虎造との掛け合いも楽しく、虎造の浪曲も頭の中に浮かんでくる。今回は「三十石」つながりなんだろうけど、落語が長いから浪曲は抑え目。奈々福さんはこの前の方が面白いと妻の言。

 しかし、浪曲を聞きに行くとは我ながら思わなかった。でも、すごく面白かったのでクセになるかも。今回だけじゃ、玉川奈々福さんは語れない。後半の二人のトークが抜群に面白い。吉坊が桂米朝に付き添って旅に出たときの話なんか、抱腹絶倒である。今度は5月1日に予定。夜の浅草がライトアップされていて、9時半過ぎでも外国人がけっこう浅草寺の写真を撮りに来ているのも驚いた。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「部活指導員」と「部活講師... | トップ | 川島雄三監督生誕百年 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

落語(講談・浪曲)」カテゴリの最新記事