尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

受動喫煙規制問題

2017年04月19日 21時31分14秒 | 社会(世の中の出来事)
 ちょっと一回だけ「受動喫煙規制」の問題を取り上げたい。安倍政権は東京五輪を理由にして「共謀罪」(テロ等準備罪)が必要だと強弁しているが、「受動喫煙対策」も五輪に向けて必要だと言われながら、全然積極的ではないようである。たばこ税の問題や葉タバコ農家の問題もあるだろうけど、飲食店業界の反対が強いという。まあそれ以前に自民党には「喫煙じいさん議員」が多いんだと思う。

 僕は「非喫煙者」だから、受動喫煙は厳しく規制して欲しいと思う。おいしい店でも、喫煙可の店は行きたくない。(実際に行くのを止めている店がある。)喫煙可の店があってもいいけれど、そのことを明示して欲しい。そうすれば避けられる。だけど、そういう話を書きたいのではない。僕が思うに、この問題には全然議論されていない大問題があると思う。そのことを書きたい。

 それは何かというと「飲食店従業員の受動喫煙」である。喫煙可の店の従業員は、その人が非喫煙者であれば、勤務によって非常に大きなリスクを負うことになる。では、喫煙可の店では喫煙者しか雇わないことにしたらどうか。それは公序良俗に反する不当な差別行為だろう。それに喫煙者であっても、喫煙量によって健康リスクは増大すると考えられるから、勤務による受動喫煙は問題である。

 勤務の中に特に危険な業務が含まれるときは、一般的に「危険手当」のようなものが支給されるはずである。まあ「特殊勤務手当」と正式には言うだろう。福島第一原発の廃炉作業員にも、そのような手当が支給されている。(だけど、途中で「搾取」されているケースが多いという話だけど、その問題は別にして、「危険手当」は出ているはず。)将来病気を発症するリスクが高まるということでは、受動喫煙でも同様である。本来は喫煙可、あるいは分煙の店に勤務する人は、アルバイトも含めて何らかの手当が出て当然なんではないだろうか。

 そして、もし「従業員に受動喫煙手当を支給しなければならない」という法律があったとしたら、飲食店経営者は「それでは経営が成り立たない、全面禁煙にするしかない」というのではないだろうか。そうすると、つまり飲食店(に限らないけど)の経営は「従業員の勤務リスク」を受益者である経営者が負わずに、非喫煙者を含めた健康保険に背負わせることで成り立っていることになる。

 そりゃあ、おかしいだろと思う。今は多分、従業員もあまり意識していないと思う。そんなものだと思って、店側の従業員が喫煙者の対応をすることに疑問を持っていないと思う。だけど、たばこの危険性は、本来はちゃんと「危険手当」を要求するべき問題だろう。それに有権者一般としても、本来はそれで利益を上げている飲食業者が、国民一般につけ回しをしているという構造を問題にするべきだ。

 常々そう思っているんだけど、なかなか書く機会がなかった。僕が若いころは「喫煙」に関する問題意識がほとんどなかった。80年代前半に学校に勤務した時は、職員室はもちろん、職員会議でも喫煙が可能だった。映画を見ていると、60年代にはほぼ男の全員が吸っていて、中には病院で医者が吸っているシーンもある。劇映画だけど、そういう現実があっての描写だろうと思う。

 僕は自分は吸わないものの、若いころは他人が吸うことにそれほど迷惑感もなかった。(ヘビースモーカーになったことは一度もないけど、多少吸った時期はある。)でも、今は非常に迷惑だと思う。それは多分自分が年を取ったということなんだと思う。自分の体力が衰えてきて、たばこの煙に敏感になったのである。かなり遠くからでも判る感じがする。健康に影響する、将来の発がんリスクが高まるなどと言うことではなく、とにかくたばこの煙を感知すると、心臓や血管に影響が出るのが自分で判る。

 喫煙そのものは、閉ざされた空間で自己責任でやってもらえば、それ以上あれこれ言う気はない。喫煙も「文化」ではあるだろう。この問題は、本当は「どういう人が喫煙者になりやすいか」ということを具体的に検証していかないといけない。一度中毒になると抜け出しにくい。「喫煙しやすい環境」があるのも間違いない。その環境改善を置いて、精神論だけで「健康に悪いから止めろ」というだけでは解決しない。そのような具体的な社会改善策を地道に議論していかないといけないだろう。
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