くるくるミラクルのロボ日記 Team KURU-MIRA

ロボカップジュニアに2008年から2013年まで参加した兄弟チーム「KURU-MIRA」”Y””T”と父母の日記

世界公式ルールに日本だけローカル規制追加は止めよう

2015年09月06日 | Weblog

父です。

RCJJでのリチウムイオン系電池の禁止は廃案になったとのこと。代わりに、今後何らかの安全策が導入されるそうです。

どんな内容になるかはこれからとのことですが、日本独自の制約でさらに縛るもので無く、世界公式ルールを尊重したものであることを願っています。

公式ルール電圧よりさらに低い電圧に規定したり、公式ルールに無いのに電池容量で規定するなどの、

公式ルールを満たしているのに、設計変更や買い直し出費を強いる内容で無いことを、強く望みます。

万一、何か数値的な制限が追加される場合は、だれもが納得できる明確な根拠が示される必要があります。

 

電池に閉じず、全てのことで、規制系の国内独自ルールは新たに設けないことが望ましい、と考えます。


ご提案する判断基準は、日本で世界大会を開催するとして、

「海外チームが困惑する規制」にはNo!

です。

公式ルールを満たしているのに、

「何かを買い直す必要がある」とか、「ロボットの設計変更を強いる」等、

”日本だけのローカル規制の追加” は止めましょう。


ロボカップジュニアは単なる競技会ではなく、世界的なロボット研究活動です。

特に「安全のため」とか言われると反対するのに抵抗があるのは分かりますが、少々難があっても、世界各国が従うグローバル・スタンダードである公式ルールをそのまま受け入れる努力をしませんか。

新ルール導入に1年とか時差があるのは止むを得ないです。

しかし、公式ルールに日本独自の規制を加えるガラパゴス化は止めましょう。

独自の規制がしたければ、日本裁量の独自競技(今だと旧サッカーA)でお願いします。


参加者は、「約40カ国に及ぶ”世界共通の活動だからこそ魅力と感じる」と思います。

 

今回の電池規制騒動もそうですが、運営側の姿勢(思想?)に海外とのギャプを強く感じます。

海外では、RCJは、ロボカッパーが、自己責任のもと、自由なロボット研究を行っています。

他国のRCJ組織は、選手を尊重し、公式ルール以上の自国独自の規制している例を聞いたことがありません。

ほとんどないでしょう。

一方、国内は、「国際公式ルール以上の細かな規制」を求め声がたびたび出てきます。

そして、規制強化の声の主は、いつも現場のロボカッパーではなく、RCJ組織側の関係者です。

 

過去5回同行した世界大会では多くの方と交流しましたが、ドイツのT'N'Tのメンターの言葉が印象的でした。

「日本人は過保護だな。

大人がコントロールする中で活動だけさせたいなら、WROで充分だろ?

ロボカップジュニアは単なる競技会じゃなくて、自由なロボット研究の活動だよ。」

他の国のメンターや委員の方も、これと同様な考えをお持ちでした。

 

なぜ日本だけが、規制規制に流れるのでしょう。

もちろん、規制を挙げる人は良いと思っての発言です。

しかし、外国ほど大人扱いしていません。

”子供だから大人で決めてあげないと”と、日本特有の「与える教育」の発想に染まっている気がします。

世界大会へ行くと、海外の子供は”たくましい”。 日本の子は”温室育ち”、と毎度感じます。

世界に通用する人材には”たくましさ”が必要と強く感じます。

大人がまず考えを変えないと。

 


サッカーLi-Po禁止検討の現状情報

2015年09月01日 | Weblog

くるミラの父です。

NESTロボコンでお会いしたRCJJ関係者の方から

「Li-Po禁止代替にLi-Fe推奨」の検討状況を聞くことができました。

その後、いろいろな意見が出たそうです。

 「知識を身につけて注意を払い扱える選手からもLi-Poを取り上げるのは、おかしい」

 「”推奨”は安全と誤解を生み、かえって初心者に危険では」

 「世界大会ではLi-Po使用が多数。電池規制は世界との格差が広がり、学びの格差も生む」

 「2017年世界大会は日本。Li-PoがNG(しかもサッカーだけ)じゃ各国が納得しない」

など。

 

現在は、

 「高出力電池全般への安全指導を推進する」

 「運営側の消化器準備などの万一の対策強化」

など、Li-Po禁止の規制では無く、安全指導と万一への備えをまず行うべき、

との意見に集約しつつあるようです。

ありがたいです。

 

Li-Po代替案も、推奨される側の、”当のLi-Fe電池会社側”より、

「全てはそちらの責任での判断であり、当方は一切感知しない」、

「無断で会社名・製品名を推奨に挙げないように」

と、突き放されたことも大きいでしょう。

これも、国内において電池工業会の安全指導を尊重する姿勢のメーカ・販社として、

予想通りの反応です。

 

 

追伸:

「Li-Feは燃えるガスが出ないから安全って聞いたけれど、

どうしてLi-Poと同じ注意を払わないといけないのか判らない」

とのコメントを頂きました。

ちょっと難しい話でわからないとのこと。

以下、たとえ話でご説明します。

 

電池を乗り物に例えると、Li-PoやLi-Feは、

一度に多量の電流が流せる=60キロや100キロのスピードの出る「車」です。

Li-Poをガソリン自動車、Li-Feは最近登場の電気自動車、と思ってください。

「ガソリンは燃える!」  Li-Fe推進者の最大根拠はこれでしょう。

もちろん私もそう思います。

ではこれで、「電気自動車はガソリン自動車より安全」、といえるのでしょうか。

電源のショートなどで、大電流が流れれば、発生する熱で燃えたり、

電池が破裂することがあるのは、高出力電池なら同じです。

車が100キロで走行中での事故を、想像してみてください。

電気自動車なら安全でしょうか。

ガソリン車と実際の差がどれだけありますか。

 

車なら、丈夫な構造とか、ブレーキ機能とか、エアバックとか、バックモニターとか、

事故を防いだり程度を軽くする重要な仕組みが沢山ありますよね。

中国の電動バギーカーで60キロ以上が出せるものがありますが、車検が通らず、

公道を走れません。インドの車「クタ」はサイドミラーが1個しかありません。

電池も同様です。

多層耐圧フィルムや圧力弁になる機構を入れたLi-Po製品が登場した一方、

簡素な構造や品質が不安定な新興国製セルと思われる海外Li-Fe製品も

Amazonをはじめ出回っています。

玉石混淆です。

ガソリン車か電気自動車かに関係なく、個々の車の作りが安全性に影響します。

だから、エンジンの方式のみでLi-FeはLi-Poより安全と言うのは乱暴な話です。

局所的すぎて意味がありません。

ガソリンの引火性を理由に、”市販ガソリン車は危険で市販電気自動車を推奨”

なんてありえないのと同じです。

これが、技術知識に自身がある人が陥りやすい「木を見て森を見ず」です。

 

また、なにより、事故を起こす前の予兆を見逃さないことがもっとも重要です。

電池が膨らんできた、熱い、くさい、煙が出てきたなどの異変に気づくことです。

充電中や動作中に目を離さなければ、多くは大事に至る前に対処できます。

事故対策にもっとも効果のあるのは、利用者が適切な取り扱いをすることです。

 

充電中は、全ての電池でもっとも注意を払うべき時間のひとつです。

注意意識が浸透してきたLi-Poにくらべ、特に、Li-Feは同じ高出力電池なのに

充電中の放置が散見されます。

Li-Feなら放置しても安全というのは誤った情報です。

 

 

電池工業会では、車(=大きな電流を流せるリチウム電池系全て)は、

正しい整備と交通法規を理解し守りなさいと指導しています。

(充電中目を離さない、セーフティバックを使用、異常があれば即使用中止等)

と定めて、指導しています。

車(=高出力電池)を運転するには、電池の正しい取り扱い知識を持ち、

交通規則を守りましょう。

それが守れそうに無いうちは、車(Li-PoもLi-Feも)はやめましょう。

なので、初心者を対象の日本独自リーグであるサッカーAは、

リチウム系の高出力電池を規制することは良いと思いますが、

正式種目ルールは変にいじらず、世界標準を基本として欲しいです。

日本のガラパゴス化に反対します。

 

選手やメンターも、今一度、自分の電池の取り扱い説明書を見ましょう。

取り扱い注意書きもない商品は、その会社の安全への姿勢として怪しいと

思ってほしいところです。