sironeko

短歌

迷い猫が帰ってくるおまじないの和歌

2010-06-04 12:29:37 | Weblog
 迷い猫が、帰ってくるおまじないの和歌があると、河野裕子さんのエッセーで読んだことがあったが、どんな和歌なのか知らなかった。ところがNHK連続ドラマ「げげげの女房」の今日の放送でその歌がでてきた。奥さんが着物を質入れするときに、質流れせずに戻ってくるようにとおまじないとしてこの和歌を紙に書いて畳紙の中に入れられていた。それを聞いた旦那さまの水木しげるさんが、それは猫が戻ってくるおまじないと言われたのでしらべてみた。なんと百人一首の中の一首だった。
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☆  たち別れ 因幡の山の 峰に生ふるまつとし聞かば 今帰り来む

        中納言行平(16番) 『古今集』離別・365
たとえば、飼っていた猫が行方不明になった時、おばあさんな
 どが、この歌を短冊に書いて、猫の皿を伏せてその下に置いてお
 くのを見たことがありませんか?
  この歌は、別れを惜しむ歌ですが、一方でいなくなった人や動
 物が戻ってくるように願う、おまじないの歌でもあります。
 
■□■ 現代語訳 ■□■
  お別れして、因幡の国へ行く私ですが、因幡の稲羽山の峰に生
 えている松の木のように、私の帰りを待つと聞いたなら、すぐに
 戻ってまいりましょう。
 
■□■ 作者 ■□■
  在原行平(ありわらのゆきひら。818~893)
 平城(へいぜい)天皇の皇子・阿保(あぼ)親王の子で、業平の異
 母兄にあたります。文徳天皇の御代の850年ごろ、過失をおかして
 一時期須磨に流されたことがありました。

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もっと早くこの和歌を知っていたら、家出して帰って来なかった猫が戻ってきていたかもしれないと思うと残念。
むかし祖母から聞いた耳の裂けた猫の話を思い出した。

それから、この和歌の作者は、在原の業平のお兄さんで、海女に潮を汲ませて塩をやいた故事に因み、
塩を焼く器から起った鍋で行平(雪平)鍋に、今も名を残している人だったのは意外な展開だった。

☆草山に見え隠れする白と黒猫の尻尾は何か愉しげ

☆祖母言へり猫岳山(ねこたけやま)で修行を終へし猫の耳裂けて帰り来

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