玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

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「賢い」人たちの勘違い

2005年09月05日 | 政治・外交
「賢い」人たちが小泉内閣(竹中大臣)の郵政民営化マーケティング用文書(とされるもの)に怒っている。
いや、もしかしたら「怒ったふりをして頭の悪い連中を煽ってやろう」というつもりなのだろうか。

■ 立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」第27回 郵政民営化問題で現実味帯びる小泉首相の政治生命の終焉
竹中郵政改革担当大臣が雇ったPR業者のPR戦略文書に、「小泉内閣の支持基盤は、主婦層、子供層、シルバー層など、『具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する』IQが低くて構造改革にはポジティブな層」という分析があるという。

このバクロ文書は、小泉・竹中コンビにとって致命傷になるかもしれない。

これから参院の郵政問題の審議がはじまるが、小泉・竹中にこの文書が突きつけられ、「あなたは郵政民営化を支持してくれる人達はIQが低い人々と考えるPR業者に、郵政民営化のPRを頼んでいるのか。あなたは大衆はIQが低いと思っているのか。あなたは大衆をバカにしているのか」

などと連日にわたって攻めたてられたら、いかにもっともらしい否定答弁をならべて切り抜けようとしても、そうすればするほど、そういう文書の存在が喧伝され、「小泉・竹中イコール大衆をIQが低いとバカにする政治家」というイメージができあがってしまうだろう。

自分をバカにする人間に対する大衆の怒りは、爆発すると、とんでもなく大きい。


■ 0 1/2 : 「小泉支持層=バカ決定資料!?」
正確には、「小泉総理のキャラクターを支持する層 ⇒ B層 ⇒ 低IQ(EQ、ITQ)」

竹中大臣が雇ったPR業者(有限会社スリードと有限会社オフィスサンサーラ)が作成した文書ということらしい。今回、なんら利害のからまない小泉支持者は、『「IQの低い層をターゲットにしよう」という戦略にまんま乗せられたバカ』を自分で認めることになりそうです。


どちらの文章も嫌味なエリート臭と煽り臭が鼻につく。
こういう態度だから「賢い」人たちのご立派な意見が一般国民から相手にされなくなるんだよ、と悪態をつきたくなる。別に小泉政権不支持だろうと郵政民営化に反対しようと思想の自由であり、好きにすればよろしいのだが、自分の意見に同調しない人々を蔑むような態度はよろしくない。これは道徳的に責めているのではなく、世論調査で示されている「世間の4割を占める岩盤のように強固な小泉支持者」を蔑み敵視すれば、彼らの心を動かして「反小泉」の主張に耳を傾けさせるのはますます困難になる。つまり戦略的に愚かな行為だ。

さて、彼らは自民党のマーケティング対策の資料とされる書類に
「『B層』(具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを指示する層・内閣閣僚を指示する層)にフォーカスした徹底したラーニングプロモーションが必要」*参考資料
と書かれていたことを根拠に「小泉内閣は支持者をバカにしているぞ!」と怒っている(あるいは怒ったふりをしている)。
私はそんな風に煽る「賢い」人たちのほうがよほど「愚かな」小泉(自民党)支持者をバカにしていると思う。

日本の選挙制度においては、賢い人も愚かな人も、高所得者も貧乏人も、すべての成人(公民権停止者をのぞく)が等しく一票を投じる権利を持っている。
つまり、各政党にしてみれば有権者はみな平等に大事なお客さまなのだ。
頭の悪い有権者にも自分たちの考えを説明し理解してもらわなければ貴重な一票を投じてはもらえない。そのために工夫を凝らし、限られた広報リソースを重点的に投入する。これはむしろ「IQの低い」有権者を優遇していると言ってもいい。「賢い」人たちには「愚民をたぶらかしている」ように見えるだろうが、有権者の立場からすれば無視されるよりも一生懸命アピールされるほうがマシだ。一時的にせよ自らが主権者だという喜びを味わえる。
もし仮に某政党の資料に「IQの低い有権者は我が党の政策を理解できないので無視する、高学歴のエリートに訴求対象を絞る」などと書かれていることがバレたとしたら(あくまでも仮定の話である)、世論の反発はずっと大きなものになるだろう。

もう一度はっきり書けば、有権者の怒りをよりかき立てるのは「IQが低いとゾーニングされること」よりも「無視されること」だ。自民党のプロモーション戦略に「賢い」人たちが怒るのも、「俺たちを無視しやがって」という気持からではないのか。
かつて森総理が「無党派層は寝ていてくれればいい」と発言したとき世論は強く反発したが、小泉総理の「郵政民営化の是非を国民に聞いてみたい」演説で支持率は急上昇している。「寝ていてくれれば」のときは無視されたと感じて怒り、「聞いてみたい」と言われると主権者として国政への審判を期待されて喜んだのだ。

なにはともあれ、賢さを自認する人たちは自分たちがなぜ「愚かな」大衆を説得できないのか反省したほうがいい。小泉総理や広告代理店を憎み大衆をバカにするのは逆効果でしかない。




■ 参考にさせていただいた記事

● Scott's scribble - 雑記。: 「IQ低い」で怒る前に。
● 福田川新報: 民主党はキャンペーンが下手である
● ニート・ひきこもり・失業 ポータルネット: 政策を売る能力とは。やや暴論気味?
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5 コメント

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なぜ今頃 (やすゆき)
2005-09-06 02:34:46
記事を参考にしていただき、有難うございます。

問題の資料は、6月下旬頃から公にされたものなんですね(立花先生の記事も日付は7月頭ですね)。選挙前とは言え、2ヶ月たってから急にネットを騒がせ始めた、って感じです。何となく民主党支持層(と思われる)のブログを中心に、話が伝播してる様が見て取れます。

ちなみに、はてなブックマークで人気になっていた

http://blogs.yahoo.co.jp/election_2005_jp/9787030.html

見事閉鎖されていました。やっぱし、プロパガンダ目的のサイトだったんでしょうか?
なるほど・・・ (藤田)
2005-09-06 21:14:24
>もう一度はっきり書けば、有権者の怒りをよりかき立てるのは「IQが低いとゾーニングされること」よりも「無視されること」だ。



本質を突いた鋭いご意見だと思います。「『好き』の反対は、『嫌い』ではなく『無関心』である」「『無名』よりも『悪名』」なんていう格言(?)らしきものを耳にしたことがありますが、人間にとって一番辛く屈辱的なのは、自分の存在をまともに認知されないことなんですよね。



それにしても、「賢い」人達の感情むき出しな小泉批判は一体何なのでしょうね。玄倉川様がエントリーであげられた立花氏もそうですし、あの森田実氏の物言いも、お世辞にも知性のある人の文章だとは思えません。



「人を馬鹿にする奴こそ愚か者なのだ」

よく祖母から聞かされたお説教を思い出します(笑)。
コメントありがとうございます (玄倉川)
2005-09-07 00:51:18
>やすゆきさん

自民党支持の人が「バカにされた!」と怒るのはわかるのですが、反自民党の人が自民党支持者に「お前らバカにされてるぞ、怒れ!」と煽るのはおせっかいと言うか選挙目当てなのでしょう。



>藤田さん

立花氏や森田氏もそうですが、アンチ小泉の人の文章は憎しみが溢れていて読むのが辛いです。小泉さんの人気と幸運の秘訣は「人の悪口を言わないこと」だという話がありますが、その点は小泉流を見習いたいですね。
Unknown (ヤマグ)
2005-09-21 00:24:46
はじめまして。



最近の評論は、有権者を馬鹿にした内容が多いのに、不景気の表れかなと思うことが多いです。小泉氏が支持されたのはまさに自分の主張ありきの姿勢だったように思います。
立花センセ (Baatarism)
2005-09-21 14:15:29
立花センセのコラムですが、衆院選以降全く更新されていませんね。

自分の意見と正反対の結果が出て、絶望してしまったのでしょうか?まあ愚民とか言い出すよりはマシなんでしょうが。

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竹中大臣が雇ったPR業者(有)スリードが作成したとされる郵政民営化の合意形成コミュニケーション戦略のレポートがインターネット上で流出している。 ((有)スリードについてはこちらを