玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

勇敢な眞鍋さん、情けない城内氏 (その3)

2009年08月04日 | 日々思うことなど
何回も書くことじゃないような気もするのだが、やっぱり面白い問題なのでまた書く。
「面白い」というのはゴシップ的な興味もあるけれど、危機管理とか人間性(他者の権利の尊重)、コミュニケーション(誰を信頼し誰を信じないか)といった多くの問題についてコントラストの強いイメージが見えてくるからだ。勇敢な眞鍋さんと情けない城内氏の姿はとても対照的である。

前の記事では眞鍋さんの勇気と賢さを大いにほめるつもりだったのだが、城内氏の情けない話がついつい長くなってしまった。今度こそ気合を入れて眞鍋さんのことを書こう。
…と決めた先からまた城内氏について書いてしまう。何をやってるんだ俺は。眞鍋ファンの方、読者の方々ごめんなさい。

言ってみれば城内氏は眞鍋さんの顔と名前を利用してマジックを披露するつもりだったのだ。
招待席には静岡7区の有権者。彼らを気持ちよくだまして「清き一票」を集めることができれば大成功だ。マジックの発想と準備は倫理的にも技術的にも穴だらけだが、結果良ければすべて良しである(本当に?)。
タキシードで身を固めた城内マジシャンは自信たっぷりで舞台に立つ。自信作「眞鍋ポスター」マジックがいよいよ始まる。
…と、そのとき。マジックのタネを覆い隠していたベールがひらりと落ちた。つぎはぎだらけで薄汚い仕掛けがあますところなく観客の目にさらされる。あわてたマジシャンがベールを拾ってもとの位置に戻そうとするが後の祭りだ。かがんだ拍子にサスペンダーが切れてズボンがくるぶしまでずり落ちてしまう。舞台の上にいるのはパンツ丸出しのマジシャンと二度と使えない手品の種。
平凡なマジシャンなら、あわてて舞台の袖に隠れるとかズボンを上げて観客に詫びるとかするところだ。だが「信念を貫く男」城内マジシャンは違う。なんと、上半身はタキシード、下半身はパンツ丸出しという恥ずかしい姿のままで、表情も変えずに(ネタバレした)眞鍋ポスターマジックを続けようとするではないか!あんびりーばぶる!ひーいずあぶれいぶ!おあくれーじー!
一瞬、気を飲まれて静まり返った観客席がざわめきだす。あちこちでブーイングが起こり、足を踏み鳴らしたりこぶしを突き上げて抗議する客もいる。ここにきてようやく「まずいことが起きている」と気付いたマジシャンは、「みなさん、マジックの準備は完璧でした。決して私のミスではありません」と正当なる説明をするが、わかってくれる観客はあまりいない。ブーイングと足踏みは高まり、地鳴りのように舞台を震わせる。手を止めて舞台の上で立ちつくす城内マジシャン。いまだにパンツは丸出しだ…。

一度見たら忘れられないほど印象的で情けない光景といえる。
「ネタがばれたのにマジックを続けようとする信念のマジシャン」「パンツ丸出しで舞台に立ち続ける信念の(略」こんなハプニングは見ようと思って見物できるものじゃない。それに比べれば、「マジックを準備したのは誰か」とか「失敗したのは誰の責任か」といった問題はどうでもいいことに思えてくる。今はただ舞台の上のマジシャンを見つめて痛いいたい。



情けなくて痛い人のことはこれくらいにしよう。カッコいい女性のほうがずっと目の保養になる。
ポスター事件が発覚したときから今日までずっと眞鍋かをりさんはカッコ良かった。率直に、過不足なく、自分の気持を自分の言葉で語った眞鍋さん。ダメな対応、逆効果の発言を続けた城内氏とは対照的だ。眞鍋さんに城内氏を貶めるつもりはちっともなかったのに、城内氏が自分で泥沼を作り上げてズブズブと沈んでしまった。奇妙奇天烈、摩訶不思議。

眞鍋さんに対して「本人がいきなりブログに書くから問題が大きくなった、事務所に任せて黙っているべきだった」という批判が向けられている。ああ、くだらない! 眞鍋さんの関知しないところで勝手に彼女の写真を使ったポスターを作り、勝手に貼り出し、勝手に取材を受けたのは城内氏のほうだ。眞鍋さんこそ望まないしメリットもない「城内候補の応援者」イメージを貼り付けられた被害者なのだ。自分勝手な行動で迷惑をかけておきながら被害者に「黙っていろ」なんて虫のいい話が通るはずもない。ポスターを貼り出す前に、城内氏が眞鍋さんの事務所に仕上がり確認を求めていれば、それこそ事務所に内密の対応を任せることができた。眞鍋さんがポスター問題を公表する必要もなかった。すべての責任は当然行うべき連絡・確認を怠った城内氏の側にある。

 眞鍋かをりのココだけの話 powered by ココログ: ポスター掲載の件 2009/07/29
今朝のスポーツ新聞に掲載されていましたポスターについてです

候補者の方と私が一緒に写っている写真が使われていますが、その方とは全く関係ございません。

1年ほど前に一度だけ対談でお会いしてそのときに写真を撮りましたが、何故その写真がポスターになってしまっているのかわからず困惑しています。

私は特定の政党や政治家の応援はしていませんし応援コメントも出していません。
何故このような使われ方をしたのか確認して対処したいと思います。

とりあえずご報告まで。

補足

きちんと確認をしてからコメントすべきというご意見をコメント欄にて

いただきました。ありがとうございます。言葉足らずですみませんでした。

もちろん更新前に事務所にどこまで把握しているのかを聞いて

その上で自分がそういった声明を出して良いか確認をしています。

いろいろとむこうの事情もあると思いますので

ただ私が言えるのは

政治に関して特定の人物を応援することはありえない

ということだけです。


 ・ ポスターがどのような経緯で作られたのか承知していない、今はただ困惑している
 ・ 特定の政治家を応援するつもりはない、事実を確かめて対処する
 ・ 事務所に確認したうえで自分の意思を明らかにした

さすが初代ブログ女王と感心した。自分の思いを過不足なく伝えていて立派なものである。
私が眞鍋さんくらいの年齢でこういう目にあったら、カッとなって城内氏を名指しで批判するか嫌味ったらしいことを書いていただろう。眞鍋さんはきっぱりと自分の顔と名前の政治的利用を拒絶しながらあえて城内氏の名前を出さず、声高にポスターの撤去や謝罪を要求したりしない。当惑しながらもトラブル拡大を望んでいないことがよくわかる。たぶん事務所のチェックも入っているのだろうが、眞鍋さんの肉声が感じられる気持のいい文章だ。
対照的になんとも不出来なのが城内氏の文章である。

 ☆お知らせ☆ ポスター掲載写真の件について « 城内実のとことん信念ブログ
2009-07-30 07:55 by 城内 実
 この度、眞鍋かをり氏掲載のポスターに関し、あたかも無断で使用したかのような内容の書き込みが当ブログのコメント欄などでなされておりますので、以下でご説明させていただきます。

 当方は、ポスター作成に際し、都内在住の知人のご好意で、眞鍋かをり氏所属事務所より、ご本人の写真をお借りして、掲載許可をいただいた上でポスターを作成いたしました。

 したがって、無断使用した事実はありませんので、この場をお借りして皆様にご報告させていただきます。

 ☆お知らせ☆ 眞鍋かをりさんポスター掲載について « 城内実のとことん信念ブログ
2009-07-31 11:41 by 城内 実
 昨日より、マスコミ各社で報道されている標記の件に関し、当後援会作成のポスターに起因して、眞鍋かをりさんがテレビ番組の出演を見合わせるなど芸能活動に支障をきたしていることに大変心を痛めております。
その結果を重く受け止め、現在掲示中のポスターを早急に撤去する事といたしました。
 また、城内みのるオフィシャルサイトに掲載中の眞鍋かをりさんとの対談動画も早急に削除いたします。
 眞鍋かをりさんの、今後益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

慇懃無礼で独善的、迷惑をかけた相手への思いやりや謝罪の気持がちっとも伝わってこない。特に最初の文章では眞鍋さんという人間の存在そのものを無視して「契約があればいいだろ、つべこべ文句言うな」的な顔を見せていてたいへん印象が悪い。コメント欄が炎上して反省したのか、翌日には急に彼女の仕事を心配してみせる。なのに、眞鍋さんを困惑させたことには触れず自分の心の痛みばかりを語る。なんという薄っぺらさ。どうやら城内氏には他者の人格を尊重する気持が根本的に乏しいようだ。「信念を貫く男」と書いて「じこちゅう」と読めばちょうどいい(ピカチュウの仲間ではない)。
ポスターの存在がスポーツ新聞に掲載され、眞鍋さんがブログで困惑を明らかにした7月29日から5日も経った後で、ようやく城内氏は謝罪の言葉を述べた。

眞鍋かをりポスター問題で城内氏が謝罪 「無断使用していない」 - MSN産経ニュース
 衆院選に静岡7区から無所属で出馬予定の城内実氏(44)の後援会ポスターに、タレントの眞鍋かをりさんの写真が使用された問題で、城内氏自身が3日、「眞鍋さん自身、眞鍋さんの事務所、ファンの方々にご迷惑をおかけしたことをおわびいたします」と謝罪した。

 衆院選に向けた共同インタビューの冒頭、城内氏自身が「私からお話ししたいことがあります」と切り出した。

 写真使用について城内氏側は「都内の会社を通じて了解をいただいている」としているが、眞鍋さんは自身のブログで「なぜその写真がポスターになったのか困惑している」と、自身が知らぬところで写真が使われたと抗議していた。

 城内氏はすでにポスターの大半を撤去済みとした上で、「(写真使用について)仲介した会社と眞鍋さんの事務所との間で十分に了解が得られていなかったようだ。私たちはご了解いただいたと思っており、無断使用していないと思っている」と説明。「おわびは申し上げるが、趣旨が伝わっていなかったとすれば非常に残念です」と述べた。

謝罪のはずなのに言い訳臭く、むしろ「自分は正しいのに無理やり頭を下げさせられて不本意だ」とでも言いたそうな、不思議な言葉が並んでいる。もっとも、これが城内氏の肉声そのものという保証はない。インタビューの書き起こしだから記者の編集によってずいぶん印象が変わってくる。こういうところが眞鍋さんとは比べようもなく下手くそだ。

 ・ 眞鍋さんはポスターの存在を知ったその日にブログで困惑を明らかにした。
 ・ 城内氏は謝罪をためらいぐずぐずと5日間も無駄にした。

 ・ 眞鍋さんは自筆の文章ではっきりと自分の気持を伝えた。
 ・ 城内氏はインタビューという形でマスコミのフィルタリングを許した。

スピードの点でも正確さの点でも眞鍋さんの方がはるかに上だ。遅らせたりあいまいにすることで城内氏が何か得をしたのかといえば、何もない。ただ眞鍋さんのストレスを増やし、ネット上の(誰も得しない)騒ぎを過熱させただけである。城内氏が外務省で教えられたコミュニケーション技術がどういうものなのか知らないが、今の日本で役立つものではなさそうだ。もったいぶって偉そうに見せる効果だけは認められる。

「ポスター事件」に示された眞鍋さんと城内氏の対照的な姿はたいへん興味深いものだった。お二人の姿から学べることがたくさんある。眞鍋さんは不本意なトラブルに巻き込まれたときのお手本として、城内氏は自分のミスによって誰かに迷惑をかけたときの反面教師として。

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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2009-08-05 04:27:47
補足する必要がありますね。
8月1日に眞鍋さんの事務所は「許可は一切出していない」と事務所HPで発表し(2日アメーバニュース、C-CASTニュース)、
3日の城内氏の会見はそれを受けての事です。
またその会見では3日読売新聞によると、
「陣営関係者によると、ポスターは来年3月開催の演説会告知用として数百枚作製」とあり、
それがどうやら許可を得ている根拠のようだ。
8ヶ月も先のイベント用とは。
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