玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

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創世記「検索」機械

2007年01月22日 | テレビ鑑賞記
ネットでは「期待外れ」という声が目立つが私は面白く見た。NHKのドキュメンタリーは落ち着いていて良い。とはいえ、もし同じ素材でBBCあたりが作ったらもっと深みのある番組になったんじゃないかという気もする。

NHKスペシャル|“グーグル革命”の衝撃  あなたの人生を“検索”が変える
世界のインターネット業界で今、劇的な地殻変動が起きつつある。震源地は検索エンジンの雄、「グーグル」だ。
八年前スタンフォード大学の学生二人が学生寮から立ち上げたベンチャー企業は、今や時価総額18兆円、ITの巨人マイクロソフトの地位を揺るがそうとしている。
躍進の原動力は、ネット検索サービス。世界でグーグルが検索される回数は一日10億回、世界中すべての人間が一日一度はグーグルに向かってキーワードを打ち込むといわれている。世界中が情報をグーグルに頼り、かつ頼らざるをえなくなりつつある。
そのインパクトは「グーグル革命」とも呼ばれ、「文明に対し人間が文字を発明して以来の衝撃をもたらしつつある」という指摘もある。
検索サービスを核に進化するインターネットの新たな波が、我々の暮らしや社会にどのような影響を及ぼしつつあるのかを伝える。

番組全体で見ると
「アフィリエイトで月収90万円」「検索上位で売上が三倍に」「世界の全情報を検索可能にする壮大な夢」
といったポジティブな面よりも
「検索サービスに人生を預けていいのか」「検索上位に入るには優秀な(高額な)コンサルタントが必要」「操作される検索結果・明かされない手法」「グーグル八分で売り上げ急減」
などのネガティブな印象のほうが強かったけれど、これはネットに無知な(おそらくは大部分の)視聴者に「あるある納豆騒動」のようなブームを煽らないための配慮だと思う。見るものに「何だかわからないがグーグルって凄い!」「バスに乗り遅れるな!」という焦りより「ネットの巨大な影響力」「検索独占の恐ろしさ」を考えさせる番組作りはそんなに悪くない。

グーグルで働く若くて超優秀なエンジニアたちの姿を見ていたら、古いSF小説を思い出した。

「創世記機械」ジェイムズ・P・ホーガン
東北大SF研 創世記機械 レジュメ
 1 あらすじ
 東西分裂が進み、両者の緊張関係が高まる中、若き天才理論物理学者ブラッドリー・クリフォードは、政府機関高等通信研究所で統一場理論の研究を独自に進め、画期的な成果をあげた。物質、電磁気力、そして重力の本質を見事に解き明かしたのだ。この理論を応用すれば、宇宙のエネルギーを自由に操り、利用することができる。使い方によれば究極の兵器にもなる、そこに目をつけた西側軍部は、ともすると反抗的なクリフォードを辞職に追いやり、理論の提唱者不在のまま独自に研究を進めようとする。彼は非政府機関の国際科学財団に移り、細々と研究を続けていたのだが、行き詰った軍部に招かれて再び政府に組し、惜しみなく提供される資金と技術力を駆使して最終兵器を作り上げた・・・。

物理学と数学・情報科学、冷戦下の対立とグローバリズム、戦争と宣伝競争、軍部と民間企業…と、道具立てだけを見ると「創世記機械」とグーグルは似ても似つかない。だが、小説中の「少数の天才グループが世界の構造を変革する」ストーリー、「無邪気な技術礼賛」の雰囲気はグーグルにそっくりだ。
説明をつけるために延々と理論説明をいれているところには敬意を表して読み飛ばし、科学者が軍事部門を・・・東側と西側に分かれて両者の緊張関係が極限まで高まり、目下それが最大の関心事となっている時勢においては世界を・・・征服してしまうという、シナリオ全体に感動しました。
 科学万歳!天才万歳!
 ・・・・・・クリフォードが平和主義者でよかった。厭世家で自己中心的な人間だったら終末へのカウントダウンですよ。あるいは、彼以上の天才で軍に忠誠を誓うことを愛国心と信じて疑わないおめでたい科学者が登場していても泥沼の戦端が開きますね。いや、西側の完全勝利か・・

「創世記機械」は危機のあと能天気なほど幸せな世界をもたらしたが、グーグルは21世紀のネットを、いや地球をどのように変えてゆくのだろう。正直なところ私はそれほど安心できないけれど、それでも毎日何度となくグーグルを利用している。ランプを擦れば即座に現れる万能のジン(魔神)に頼るのをやめるのはとても難しいことだ。

ところで、番組中ではーグルと第一音節にアクセントを置いていたのが気になった。コンピュータ用語はアクセントなしで平板に発音するものだとばかり思ってたのだが。
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