黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

冷静に! なお冷静に!(2)――このおっさん(安倍首相)、何を考えているのか?

2017-05-04 10:45:03 | 仕事
 「冷静に!」とタイトルを付けたが、昨日の安倍首相の戦前回帰を目指す「日本会議」系の改憲集会に送ったビデオ・メッセージの内容を見て、「冷静に!」などと言っていられないのではないか、と思った。
 そのメッセージの中で触れられている「日本維新の会」にしっぽを振るような俗耳に入りやすい「高等教育(高校・大学)の無償化」については、授業料や入学金で財政を賄っている「私立」の高校や大学のことを考えれば、そうでなくとも毎年「赤字国債」を発行して何とか当面の財政難を取り繕っている現状を考えれば、「高等教育の無償化」を保障する財源をどのように確保するのか、という大きな問題を考えれば、リップサービス以外の何者でもない。
 問題は、昨日のメッセージで、「北朝鮮や中国の脅威」を暗黙の前提として、従来の憲法第9条第1項・第2項はそのまま据え置き、それに加えて、「自衛隊=国防軍」の設置を明文化した「第3項」を憲法改正の目玉として、東京オリンピックが開かれる2020年には施行したいと明言したことである。
 もう一度、おさらいをする。日本国憲法第9条「戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認」の
 「第1項」は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
 「第2項」は、「前項の目的を達するために、陸海軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」
 となっている。
 たぶん、このおっさん(安倍首相)は、きちんと「国語」を勉強してこなかったから日本語文を正しく読めないのだろう。これは、集団的自衛権行使を容認する安保法制の国会通過の時にも指摘したことだが、今回の北朝鮮問題に関して、集団的自衛権を行使する(例えば、アメリカ軍の艦船を自衛隊が警護する)のは、もうすでに「第1項」の「武力による威嚇」を行ったのと同じで、多くの憲法学者が集団的自衛権行使は「違憲」だというのは、間違っていないのである。 アメリカ軍が、原子力空母カール・ビンソンを日本海に展開し(それと自衛仮名は強度訓練を行い)、かつICBM(ミニットマン3)の実験をお粉たことを許容する安倍内閣は、安保法制上は当然と思っているかも知れないが、そもそも安保法制そのものが「違憲」なのだから、なにをかいわんやである。
 (1)でも書いたことだが、北朝鮮にしてみれば、「米韓合同軍事演習」も世界第7位を誇る武器(戦闘機や軍艦、ミサイル、等々)を備えた自衛隊の存在も「脅威」である。
 安倍首相の今回のメッセージによって伝えられた「第9条の改正=自衛隊(国防軍)の設置を銘記した第3項の追加」もまた、北朝鮮や中国から見れば「脅威の増大」なのではないだろうか。
 そこで、言うのだが戦争=敵対関係に抗する思想は、「共生」しかない。アメリカの尻馬に乗って、外交努力など一切せず「敵対」し続け、国民に「恐怖」を煽る。北朝鮮のミサイルが飛んでくるかも知れないからと言って、地下鉄を止めたり新幹線を止めたり、政府の公報で「気をつけろ」と言ったり、「このおっさん、何馬鹿なことをやらせているのだ」、としか思えない。もし、本気で北朝鮮のミサイルが飛んでくると思ったのであれば、まず当然北朝鮮(だけでなく、中国やロシアのものも)のミサイルが標的にしている原発を即時停止すべきであるのに、そのことには一切触れない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿