ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

「真夏の果実」ショート・ショート小説

2017年11月11日 19時58分04秒 | owarai
真っ白な扉―――
その向こうにあった、彼の
部屋。
ドアをあけると、小さな書斎が
あった。書斎には、デスクとラ
ジオが置かれていた。

寝室の奥に、広い部屋がふたつ、
直角に折れ曲がるような形で
つながっていた。

手前の部屋は、アトリエ。その
続きには、彼の作品や画材や
画集がところ狭しと並べられ
ていた。

絵具のにおいがした。
窓の外にも、うちにも、広がって
いた、サムシング・ブルー。

幾度、訪ねたことだろう。はち
切れそうな情熱と、あふれる愛
の言葉を抱えて。

わたしはいつも、大きく広げら
れた彼の腕の中に、飛び込んで
いった。

あの部屋で、交われさた会話、
抱擁、口づけ。流れていた時間、
空気、風、季節。結ばれた約束。
聞かさえれた旅の計画。ふたり
で見つめた、ひとつの未来。

ふたつの心の映った鏡。
それらは今、どこにあるの。
どこへ行ってしまったの?
あなたは、わたしを置いて・・・
今、どこにいる?

どんな空のもとで、誰のこと
を思っている?

YouTube
JUJU #05 真夏の果実 [サザンは最高!] @ スパーアリーナ 2014 [+歌詞]【HD】

https://www.youtube.com/watch?v=ryCYkBM-I_Y

誰より好きなのに

2017年11月11日 16時01分34秒 | owarai
あなたにもしだまされているの
なら
それがわかった時に、そう思う
それならそれでいいから

私はただ信じている
信じるまでもなく

何もうたがわず
ただ無心に
あなたのそばにいる
この強さ

あなただからこそ


YouTube
JUJU 04 ♪誰より好きなのに 古内東子 @ 国立代々木 2015【HD】- Aimer plus que quiconque

https://www.youtube.com/watch?v=IIOnuFBQf-0

夏をあきらめて

2017年11月11日 14時00分22秒 | owarai
油断するとあっという間
こんなに大切なことが
知らないうちにどんどん

流されていくとは
知らなかった

気をしめなくては
油断したまま終わりがきそう

誰かを思い
せつなくなる時

その気持ちを大事にしよう

YouTube
JUJU 「夏をあきらめて」 -Snack JuJu.2016-

https://www.youtube.com/watch?v=5pTbtDCHHwk&list=RD0GrrPIbxv2o&index=4

「赤いボタン」 ショート小説

2017年11月11日 00時01分20秒 | owarai

両親の離婚は―――
ちっとも悲しくなかった、と
言えば、それは嘘になる。

けれど、悲しくて悲しくて
毎日泣き暮らしていたのか
というと、そうでもなかった。

ただ、一度だけ、全身がばら
ばらになるほど激しく、泣いて
しまったことがある。
母が家を出ていってから、二、
三ヶ月が過ぎていた、ある日
曜の朝だった。

騒々しい物音で目が覚めて、
部屋のカーテンをあけたわた
しの目に飛び込んできた風景。

狭い裏庭いっぱいに積み上げ
られていた、鏡台、本棚、書
物用の机と椅子、洋服、バック、
靴、オルゴール、時計・・・

それらはすべて、母の持ち物
だった。

母は家を出ていく時、ほんの
僅かな荷物しか持って出なか
った。

だから、母がいなくなったあ
とも、家の中には母の所有物
が多く残されていた。きっと
そのせいで、わたしはまだ
「母がここにいる」と、感じる
ことができていたのだろう。そ
して、喪失感や寂しさから、救
われていたに違いない。

ねえ、お母さん。いつか、ここ
に戻ってくるよね?わたし、待
ってるよ。

ところがその朝、そんな期待は
木っ端微塵に打ち砕かれた。
母が愛し、慈しみ、使い込んで
きたもの。育ててきたもの。

何もかもがごっちゃにされて、
見るも無残な瓦礫の山と化し
ていた。翌朝、ごみとして
捨てられてしまうために。

それはまるで生きている者
たちのように、悲鳴をあげて
いた。わたしに向かって、
叫んでいた。

「助けて」
「捨てないで」
「連れていって」
「お願い」
その光景を目にした時、全身
から、悲しみが吹き出してきた。

心と同じように物も、痛みを
感じているのだと思った。

捨てられた痛み。愛する人と
離れ離れになった痛み。おそ
らく、わたしはその時初めて、
別れというものを、形あるも
のとして、見ていたのではな
いかと思う。

わたしは泣きながら、パジャマ
姿のまま庭に飛び出して、母
の持ち物の前まで駆け寄って
いった。

何かひとつ、たったひとつ
だけでもいから、救い上げたい。
でも、いったいどれを救えば
いい?

どうやって選べばいい?

これもあれも、母に大切に
していたものばかりなのに。
迷いながらも、手をのばして、
拾い上げて、抱きしめた。

茶色の熊のぬいぐるみ。
胸に赤いボタンがついて
いる――――

それは、幼かったわたしが、
眠る時も、ごはんを食べてい
る時も、テレビを見ている時
も、片時も離さなかった。
まるで友だちのような熊だった。

やがて成長したわたしが手放
したあとも、母は大切にしま
っておいたのだ。自分の宝物
として。
そのぬいぐるみを、わたしは
今も持っている。両腕で、か
ばい続けている。母とわたし
の傷痕の象徴として、

とどどき取り出して、赤いボ
タンに触れてみる。
「また会えたね」
と、呟きながら。

YouTube
駅 by JUJU

https://www.youtube.com/watch?v=ZA_jGAtr52w